東方独剣録   作:らすこーす

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短いです。プロローグ的な。


目覚めるとそこは。

 瞼に暖かい光が差し込む。恐らくっていうか、確実に太陽の光だろう。朝はいつも目覚まし時計で目を覚ますのだが、日の光で起きれた時はもう最高の気分である。その日は何でもできる気がするのだ。そういえば、日の光は人間の体を活性化させると、何処かで聞いたことがある。脳が働き出すとともに、体も眠りから覚醒する。指先を、手のひらを、腕を動かす。いつもはここで時計のアラームを止めるのだが、今は鳴っていない。はてさて、今日は早起きなのか、それとも寝坊なのか。それにしても背中に感じる感触がゴツゴツしている。まるで地面に横たわっているようだ。ていうか、眩しすぎる。なんでだ? カーテンはしめてるはずだろ……。そう思い、重たい目をあける。

「…………はっ?」

 視界に映る景色は森だった。見渡す限りの木、木、木。まさしく森。どれもビルの三階ほどはある高さで、木々から生えているたくさんの枝からは、数えきれないほどの葉が生い茂っている。それらは太陽を隠すように、空を覆っている。そのせいで日の光は遮られ、辺りは鬱蒼とした雰囲気だ。唯一、寝ている自分の目線の先にあるところは葉が覆ってなく、光がさしており、今が日中であることを教えてくれる。俺の目を覚ました光は、恐らくこれだろう。

「え、えっ?ちょっ、なに?ここ。はぁ?」

 先程日の光で起きたら最高の気分だと言ったが、あれは嘘だ。だって今、俺最高に混乱してるもん。メダパニ状態だよ。どういうことかというと、森の中で自分が一人寝ているという状況が信じられないのである。なぜなら、俺が最後に寝た記憶は、昨晩自分の家のベットの中だったからである。

「……痛っ」

 何度か自分の頬を叩いてみても、目の前の景色は変わらなかった。

 

 

                    ◇

 

 

 目覚めてからだいぶ時間が経った……はず。なにしろ時計がないので、現在の時刻が分からないのである。時間が分からないというのは、時間に支配された生き方をしている現代人故か、とても不安になる。太陽の位置で分からないこともないのだが、周りの木々のせいで全く分からない。くそっ、こんなことなら昨日寝る前に腕時計を付けて寝るんだった……。

 今、俺は目覚めた場所とは違うところにいる。あそこからずっと離れたところを歩き続けている。なぜあの場所を離れたかというと、あそこにいても何もないと思ったからだ。こういう時、下手に動かない方がいいかもしれないが、あのままじっとするのは無理だった。不安で押しつぶされそうだったからである。というか、すでに泣いていた。それから移動する際、元いた場所に戻れるように、何かしらの印を残していこうと思ったが、周りは雑草だらけで地形もボコボコ。加えて薄暗いし、道具も何も持っていなかった。なので、戻れないことを覚悟し、探索することにした。

「……あー、昨日まで普通に暮らしてたんだがなぁ……。どうしてこうなったんだか」

 俺は蒼威 巧という名前の大学生で、年は二十一になる。性別は男。身長は175cm。一人暮らしをしていて、昨晩(主観的には)いつものようにベットに入って就寝。本当なら、それからいつものように大学へ行って、講義を受け、友達と談笑し、気になる女の子にアタックし、バイトに励む。そんな当たり前の日々だったはずなのに、起きたらこれである。

「あーあ」

 溜息と独り言が止まらない。

 

 

                    ◇

 

 

 「おっ?」

 しばらく歩いていると、森の奥にわずかに光がさしているのが見えた。ずっと薄暗い中歩いていたので、とても嬉しくなり、思わず光に向かって駆け出していた。足元は暗いので、案の定、二度ほどこけながらも俺は光を目指して走った。

 走った結果、どうやら俺はあの薄暗い森を抜けたようである。体を動かしたせいで額や脇からは汗が少しでていて、それをシャツの裾で拭いていく。裾が汗で滲む。さらにこけたせいで服には泥による汚れが目立った。目の前には、青空が広がり、太陽に照らされたどこまでも続いていそうな草原があった。生えている草は足首に届かないほどの長さで、どこからともなく吹くそよ風にゆらゆらと靡いている。その光景は、後ろにあるあの鬱屈とした森とは対照的で、まるで光と闇である。

「……やっぱりあの場所に居続けなくて正解だったな」

 そう呟き、あてもなく一人、草原の奥へと進む。突然こんなわけのわからない目にあい、これから何をするべきなのか、どこへ行くべきなのか、わからないことだらけだが、今はとにかく進むしかないと思った。

 




この作品を読んでいただき、ありがとうございます。この小説は作者の処女作であり、また作者自身も小説を書くというのが初めての経験であります。作品を読んでいく中で、お見苦しい部分もあるかと思いますが、これから精進していきたい所存です。感想や評価の方はドキドキしながらお待ちしております。それでは。
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