俺の家にTASがやって来た 作:ニコnc
TASさんと言う変な人
「TASです」
「は?」
ピンポーンと聞こえて出てみれば、そこにいたのは一人の少女。
開けてみれば開口一番意味不明な言葉。
俺は唖然として少女の顔を見る、
少女は俺の方に軽く手を置く。
「あの……」
「私はTASです。それ以上でも以下でもありません」
誰なんですか、と言おうとしたが先に答えられてしまう。
ちょっと怖いんだけど、なにこれ。
「な……」
「貴方が選ばれたからです」
「しゃべ……!」
「すいません。どうして先読みしてしまうんです」
それもうTASじゃねぇ、別のなんかだよ。
てかアパートで朝早くとかからなんの地獄なんだろうか。
まだ六時なんだけど、寝させろよ。
とにかく俺は一旦部屋に入れる。
「俺に喋らせろ! 先読みすんな!」
早口でなんとか言い終える。
それに対してTASと名乗る少女は軽く頷いた。
「で、何の用?」
「あなたの生活をアシストします」
「……どゆこと?」
「こういうことです」
そう言うと近くに置いてあったスマホを手に取る。
そして軽く操作すると、俺にあるものを見せて来た。
それはL◯NEでたまたま届いたよくわからない懸賞。
酔った勢いで送ったのを忘れていた……。
「て、ちょっと待て。お前俺のスマホのロック」
「些細な問題です」
「どこが!? 大問題なんだけど!?」
俺のセキリュティ、どうなってんの。
いやそれ以前の話だ。
このTASっての、ヤベェよ。
TAS自体どんなものかは知っている。
なんの略称かは知らないが、フレーム単位でやっていることは知っている。
それでとんでもないゲームのプレイを見せると言うことも。
ちなみにここまで現実だ、ゲームではない。
「えっと……TASちゃん? TAS?」
「どちらでも」
「まぁTASでいいや。えっとだな、とにかく……そのなんだ、帰ってくれ」
「気に入りませんでしたか?」
「気にいる気に入らない以前の問題なんだが!?」
こんなの家に置いておけるわけがない。
そもそも、一人で生活するのに精一杯だと言うのに、一人増えたら俺の生活は完全に終わる。
それにとにかく帰ってほしい。
女の子家に置いてるのか近所で何言われるか分かったものではない。
「無理です」
「いや帰って」
そう言って俺は無理やり、外に押し出した。
一回ドンドンとドアを叩く音が聞こえたが、無視をする。
するとそれはすぐにやむ。
外で声も音も聞こえなくなった。
ドアの覗く穴から外を見てみると誰もいない。
帰ってくれたことにホッとして、後ろを見た。
「帰れません」
「うぎゃあああああああッ!!!?」
叫び声を上げて尻餅をつく。
さっき外に追い出したはずの少女が目の前で座っているのだ。
驚かない奴が果たしているだろうか、いやいない。
「な、なな、ななな、なんで……!?」
「そこ、0.1秒ズレが起こるんです。その瞬間狙って……」
と長々と語り出す。
なんでもいいから助けてほしい。
ガバの神様でもいいからマジで助けてくれ。
「あー……つまり。絶対に、鉄の意志で、帰らないと」
「そうです」
「……頼むから、帰ってくれ」
「いやです」
色々最悪だが、これが俺とTASの出会いである。
この日から俺の生活は徐々に……あーいや違う。
もう既におかしくなっていた。