俺の家にTASがやって来た   作:ニコnc

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浩一くんに襲撃
浩一くんと変人


 TASと暮らし始めて、ちょうど一週間ぐらいが経過した。

 未だ彼女との生活に慣れることはない

 と言うか慣れそうにない。

 つーか、慣れるわけない。

 

 

 

異議あり!

 

 

 

 TASの机を叩く音と声が、裁判所の中で響き渡る。

 その声を受け、検事はカツラをずらしながら狼狽える。

 少し間が開いた後、検事がギリギリの反論をしてなんとか持ち直す。

 しかしすぐさまそれに矛盾を叩きつける。

 証人であろう緑のコートを着た男は会話に割って入ることすらできず、少し混乱していた。

 

「いやちょっと待って!? なんで俺、裁判受けてるの!? ねぇ!?」

 

 俺は今、自身の身に起こっていることを理解して叫び声をあげる。

 

「ちょっと被告人! 落ち着いてください!」

「あ、はい……スミマセン……」

 

 少し後ろに下がって、落ち着いてみる。

 しかしやはり、おかしいと思って隣で弁護を……いや、一方的な説明を続けるTASに俺は聞く。

 

「なぁTAS! これってどう言う……」

「黙っていてください。今、貴方の無実を証明しているんで」

「ちょちょちょちょ。虚空から証拠品取り出すのやめようよ!?」

「他の人には見えていませんから」

 

 スーツを着たTASはそう答える。

 俺は今、何か果てしないものを見ている気がする。

 TASは言った、ちゃんとした証拠で、偽物は一つもないと。

 取り敢えず、流れに身を任せよう、うん。

 

 その一分後。

 だから、裁判所に来て大体十分、だろうか。

 キチッとした無実を証明されて帰宅しようとしていた。

 帰る途中に聞いてみた。

 

「あのさ……証拠の生成どうやったの?」

「一日目の探偵の部分をスキップすることによって、擬似フラグを立てました。この擬似フラグが立った時、証拠品ファイルは基本的に……」

「聞いてもワカンねぇからやっぱいいや……」

 

 聞くだけ無駄なことを悟り、俺は一切聞かないことにした。

 捕まったのが昨日、取り調べを受けていて一日帰っていなかったが大丈夫だろうか。

 TASを見ると胸元につけた弁護士のバッジを外し、ポケットにしまってからボタンを軽く回していつもの服装に戻す。

 今までのスーツは弁護士用の服だとかで……あんま知りたくはない。

 

「……弁護士ってことはさ」

「はい」

「お金、結構もらえるんじゃねぇのか?」

「無理ですね。金銭の受け渡しが行われる際、私が公式的な弁護士ではないことがバレてしまいますから」

「そこらへんちゃちゃっと、できるんじゃないの?」

「やる意味がないですから。お金が欲しいのなら別の方法で手に入りますし」

 

 別の方法ね。

 一体どうするんだろうか。

 また今度聞いてみるとしよう。

 取り敢えず今は歩いて帰宅である。

 

 TASとの生活でルールをいくつか決めた。

 まず一つ、ケツワープなるものは使わないこと。

 もはや超常現象である。

 この前たまたま超高速で飛んでいたところを写真に撮られ、UFOか!? ってテレビで映されてしまった。

 

 二つ、少しでもいいから俺の理解できることをしてくれ。

 と言ってもこの約束に関してはないも同然なのだが。

 だって基本的に意味わかんないからな。

 

 三つ、『無』を作るときは俺の了承を得ること。

 これに関しては三日前に起きた事件が原因だ。

 冷蔵庫の中身を『無』が圧迫し始めたのである。

 今は全部食し、消化したため音楽はならないが、一時期俺だけ騒音被害にあっていた。

 

「結局事件ってなんだったんだよ……」

 

 一番理解できていないのは俺である。

 なんか殺人事件に巻き込まれたような気もしなくはない。

 TAS曰く日常的な事件とのこと。

 これ以上聞くべきではないことは容易くわかった。

 

 ボロ腐ったアパートに辿り着く。

 部屋に向かう途中、部屋に入ろうとして俺の家の前に誰かいることに気づいた。

 ボサボサの髪にメガネ、ちょっと汚れた白シャツ。

 それは見知らぬ女性だった。

 

「誰?」

「さあ?」

「……あ。帰ってきた」

 

 俺たちの方を見ると、近づいてきてこう言い放った。

 

「あのです、ね! うるさいんで、黙りやがってください、ませんかねぇっ!? うぎゃあああ!!」

 

 顔をよく見ると目の下に隈を作っていた。

 徹夜大体二日か三日目あたりだろう。

 ちょうどよく精神崩壊するぐらいの時間である。

 喋り方が凄い変だもん。

 

 しかしうるさいとは一体なんだろうか。

 エンディングは俺しか聞こえないし、TASは無音で暴れるし。

 

「うるさい、ですか?」

「そー、でやがりますよ! 昨日からずっとで……」

「TAS、なんかした?」

「何も。幻聴じゃないんですか?」

「はー! わたくしがげんちょーですか! そーですか!」

 

 なんというか会話ができそうにないのは確かだった。

 

「……中で話しませんか?」

「ええ、ですよ! きっちりかっちり花をつけましょう!」

 

 花をつけてどうするんだよ。

 俺は疲れつつも、よくわからない問題を解決するためにその女性を家へと招き入れたのだった。

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