ROCKMANZERO~赤い彗星~   作:坊やだからさ

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やっとできた。


再来の赤い彗星

私の名は、シャア・アズナブル。

 

ジオン・ズム・ダイクンの遺児であり、現ネオ・ジオン軍の総帥である。

 

現在、私は、伝説のレプリロイド『ゼロ』として目の前で話をしている少女シエルからこの世界の状況を聞いている。

 

認めたくないことだがこの世界は、どうやら私のいた世界とは別世界のようだ。その証拠として、この世界では人類は宇宙へその勢力圏を拡大させ、スペースコロニーを建造することなく、地球を荒廃させ、自分たちの労働をレプリロイドと呼ばれているロボットたちに押し付けている。

 

私の世界でいうスペースノイドとアースノイドの関係を近いどころかより毒々しい悪意を感じられる。

 

レプリロイドは、『ロボット三原則』という括りに縛り付けられ、それを反した者は『イレギュラー』として他のレプリロイドに処分させるのだ。これは100年前から続いている関係らしく、このイレギュラーたちとの戦いがこの世界を荒廃させたのだという。そして、人類は自分たちが擦り付けた業を認めず、私・・・いや、この体の本来の持ち主である『ゼロ』の戦友である『エックス』が建国した『ネオ・アルカディア』に引きこもっている有様だ。

 

だが、これで終わりではない。

 

ここ数年、深刻になりつつあった『レプリロイドのエネルギー資源の枯渇』が問題化し始め、『エックス』はイレギュラーでもないレプリロイドたちを一方的にイレギュラーと認定し、粛正しているというのだ。これはかつてのティターンズが実行した30バンチ事件、ハマーンのダブリンへのコロニー落としを思い出させる。

 

この話をしているとき、彼女の表情に何か重いものを感じたが敢えて何も言わないことにする。

 

そして、このレジスタンスベースには命からがら逃げのびたレプリロイドたちが己の身を守るために築き上げた最後の砦だという。シエルは人間でありながらそれを指揮し、今日まで持ち続けたがついに限界が訪れ、最後の綱の頼みである『ゼロ』の伝説を信じて犠牲を払いながらもあの遺跡に行った。

 

尤も発見できたのが『ゼロ』ではなく、何らかの理由で体を乗っ取った私なのだがな。

 

「話は今言ったことがすべてよ。こうしている間にも多くの無実のレプリロイドたちが処分されているの。」

 

シエルは、不安を無理やりこらえながら私を見て話す。この話の流れだと恐らく私に助けを求めるのだろう。

 

「貴方の力を借りたいの!私たちの未来は貴方にかかっている。」

 

「・・・・」

 

「助けて・・・・くれるよね?」

 

年相応な、縋るようで甘えるように彼女は私に助けを乞う。もし、相手が私ではなくアムロだったら協力してくれただろう。だが、私は・・・・

 

「・・・・・」

 

「えっ?」

 

私は、無言で持っていた銃(話によるとバスターショットと呼ばれるビームマシンガンに近い武器でこの世界では旧式らしい)を彼女に返す。答えは簡単だ。『協力する気はない』。

 

「残念だが君たちの気持ちにこたえることはできない。確かに私は『ゼロ』かもしれないがそんな巨大な組織である『ネオ・アルカディア』から君たちを救えるほどできた存在ではない。」

 

「そんな・・・でも、あのゴーレムを簡単に・・・」

 

「シエル、君は私を買いかぶり過ぎだよ。君たちが追い込まれているのはこの基地の様子を見ても分かるが『ネオ・アルカディア』の全体からしてみれば君たちは『単なるテロリスト』に過ぎない。それに私一人が加わったところで戦況がよくなるなんて都合のいいことは起きんよ。『一騎当千』と言えばカッコよく聞こえるかもしれんが物量で勝る連中には無力に等しい。」

 

私は、己の体験を交えて皮肉を言う。

 

実際にレジスタンスの規模は極めて小さい。大きく例えるのなら一年戦争のジオンと連邦がいい例だろう。

 

私がレジスタンスに加勢したとしても一時的に寿命が延びるに過ぎない。神でもない限りこの戦況を覆すことは不可能だ。

 

それに・・・・私には彼女たちを導く資格はない。

 

この世界に来た意味は分からないが現にエゥーゴ時代におそらく最高のニュータイプになり得たカミーユを導くことができず、地球人類を抹殺しようとアクシズを落とそうとした男がこの私、シャア・アズナブルなのだ。

 

そんな私が彼女たちを導くなど都合がよすぎる。

 

私は、放心状態の彼女に背を向いて部屋の外へと出る。

 

「シエルさん、大変です。今日の正午にまた捕まった仲間の処刑が・・・・・あれ、ゼロさん!?」

 

「・・・・」

 

部屋の出口ですれ違った兵士を無視し、私は地上へ出るためのエレベータへと向かう。ゼロが元々どんな男だったかはわからない。だが、私にはその変わりが務まるとは思えない。

 

地上へ出ると見回り担当のレジスタンス兵が私に敬礼をして頭を下げて来た。

 

「あっ、ゼロさん。お会いできて光栄です!」

 

「あ、あぁ。」

 

「シエルさんのところへいると思っていましたが外へ出てくるとはどうしたんですか?」

 

流石に彼女の協力要請を断ったとは言いづらいな。

 

「少し周囲の状況を確認しようと思ってな。」

 

「偵察ですか。ご苦労様です!」

 

「だが、まだこの辺の地形をまだ把握していない。」

 

「それでしたら向こうの街の方をお願いできますか?」

 

レジスタンス兵は、基地からそう遠く離れていない廃墟の方へ指を差す。

 

「あの先には仲間のレプリロイドたちが毎日処分される処刑場があるんですよ。シエルさんの話では近いうちに開放作戦を展開して施設を破壊する予定なんですが・・・」

 

「処刑場か。」

 

ララァのところへは行けんかもしれんが、この荒廃した世界では長く持つまい。

 

「わかった。少し様子を見て来よう。」

 

「ありがとございます!お気をつけてください!!」

 

態々自殺しに行くことも知らずに兵は、手を振りながら私を見送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いて街の中に入るとネオ・アルカディアの攻撃が早速とばかりに私に降りかかって来た。銃は彼女に返してしまったため、仕方なくあの謎の存在から受け取ったビームサーベルを使い、私は敵を破壊していく。途中で雨が降ってきたため、廃ビルの中で雨漏りがしていない場所で私は一時雨宿りをすることにした。

 

「・・・・・あの兵士の話が正しければ処刑場はあの建物になるな。」

 

黄色っぽい比較的にきれいなビルを眺めながら私は独り言を言う。反対を見れば基地が見え、さらにその先には広大な砂漠が広がっていた。

 

「・・・・アムロ、もし貴様がこの光景を見ているというのならそれでもあの時のように人類の可能性を信じることができるか?この世界の人間たちは、自分たちでやらなければならないことをレプリロイドに押し付けたことで地球をここまで荒廃させたのだ。遅かれ早かれ私のやったことと・・・何の変わりも・・・ない・・・・」

 

疲労していたのか私は眠気に襲われ、そのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、夢を見ていた。

 

そこはかつて一年戦争時私が借りたサイド6のロッジで、私はソファーに座っていた。

 

『大佐。』

 

背後から懐かしい声が聞こえる。振り向くと褐色の肌に透き通るような黒髪を団子状に束ねた女が私のことを見ていた。

 

『ララァ・・・・』

 

私はまるで母親に甘える子供のように彼女へ近づき、彼女の手を握ると思わず膝をついてしまう。

 

『大佐、迷ってらっしゃるのね。』

 

「わかるか?」

 

『はい。』

 

彼女は、ニッコリと笑いながら言う。

 

「ララァ、教えてくれ。私はどうすればいいのだ?」

 

『大佐。大佐はあの子をどうしてあげたいんでしょ?』

 

私の質問に対し、ララァは逆に質問を返してきた。

 

「シエルの事か?」

 

『大佐は、あの子の力になりたいと思ったんじゃないんですか?』

 

「傲慢だな。私にそんな資格はないよ。」

 

『本当に?』

 

吸い込まれそうな深い翠色を宿した瞳で彼女は私を見る。

 

「・・・・ララァの前では隠し事は出来んな。」

 

『大佐は大佐のやりたいようにやればいいわ。』

 

「だが、私は咎人だ。とてもだが彼女たちを導くことなどできんよ。」

 

『でも、大佐は今度は逃げたくないと思っているのでしょう。』

 

「・・・・」

 

『怖がっているのね。また、同じことを繰り返してしまうと。』

 

ララァは、そう言うと私の手を優しく包んでくれた。

 

「ララァ。私は正直言って今の自分が怖い。あの純粋な目をした彼女を導いてやりたい。だが、怖いんだ。カミーユの時と同じ過ちを繰り返してしまうのではないかと。」

 

『大佐、貴方も彼女も純粋なのよ。だから、助けてあげてください。かつて、私にしてくださったときのように。』

 

「君を死なせた私にか。」

 

『大佐ならきっとできるわ。』

 

そう言うと彼女は私の手を放し、その場から離れて行く。

 

「ララァ、待ってくれ。」

 

私は、彼女に手を伸ばそうとする。だが、その手は届かずどんどん離れて行く。

 

「ララァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ。」

 

シャアは、目を覚ますと目の前には相変わらず廃墟が広がっていた。

 

(夢を見ていたか・・・・・こんな体になっても私は今だにララァのことを忘れられんのか。)

 

彼を体を起こすと外を見回す。

 

「晴れているか。」

 

太陽の動きを見る限り、間もなく正午になる。

 

「・・・・・・・」

 

『貴方の力を借りたいの!』

 

脳裏にシエルの必至な顔が浮かび上がる。

 

「・・・・ララァ、私がこの世界に来たのは彼女たちを導くためということなのか?」

 

彼は、空を見上げながら独り言を言う。

 

「・・・私は『ゼロ』ではない。故に彼女たちの期待に応えることはできない。・・・しかし、これが私自身に与えられた贖罪で君の望むことだというのなら・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正午に差し掛かるまで残り10分前。

 

処理施設では今日もイレギュラ-と認定されたレプリロイドたちの処刑が行われようとしていた。その執行室の壁は血のような血痕がいくつも残っており、執行人である隼型レプリロイドが刻一刻と迫る処刑の時間を待ち続けていた。

 

「・・・・今日もまた処刑か。毎日同じようなことを繰り返していれば飽きるものだ。ハルピュイア様は何故私にこんな下らん茶番をやらせるのだ。」

 

アステ・ファルコンは、暇そうに呟く。彼の立っている床下では捕らえられたレジスタンス兵、そして、イレギュラーと烙印を付けられたレプリロイドたちが悲鳴を上げていた。

 

「ああ!助けて!助けてくれ~!!」

 

「フン、スクラップ共が。さっさとくたばってしまえばいいものを・・・・だが、それも後数分の命だ。せいぜい叫ぶがいい。」

 

アステ・ファルコンに同情という言葉はない。

 

彼は、レプリロイドの中でも選ばれたミュートレスレプリロイドであり、ネオ・アルカディア四天王の一人である賢将ハルピュイアの率いる『烈空軍団』の一人であるのだ。それ故にプライドが高い。

 

「さて、そろそろいつものようにあの悲鳴を聞かせてもら・・・・ん?」

 

装置を作動させようと動いたところで部屋の扉が開いた。

 

「何者だ?」

 

「名乗るほどの者ではない。ここにレプリロイドを処分するという施設があると聞いていたのだがここで間違いないかな?」

 

入って来たのはシャアだった。

 

「貴様、下のスクラップ共の仲間か?まあいい、私の名は『アステ・ファルコン』。ネオ・アルカディアの支配者『エックス様』に使える四天王の一人賢将ハルピュイア様の命でこの処刑場を任されている。」

 

「ほう、つまり貴様を倒せば彼らを解放させることができるということか。」

 

「どこの馬の骨とも知らない奴が何を言っている?しかし、貴様は運がいい。処分が開始されるまでまだ時間がある。特別にこの私が直々にスクラップにかけてやろう!!」

 

アステ・ファルコンは、彼に向かって突進をしてくる。

 

「単純な動きだな。」

 

シャアはいともたやすく回避すると収納していたサーベルを展開し、左翼を斬りつける。

 

「なにっ!?スクラップの分際で私の体に傷を!?」

 

アステ・ファルコンは両翼を広げる。すると壁蹴りをしていたシャアの体が引き寄せられるように離れる。

 

「今度は私が貴様を刻んでやる番だ!!」

 

アステ・ファルコンは、再び突進を仕掛けてくる。しかし、シャアは体に触れる直前に彼の頭部を掴み、反転して背後をとる。

 

「なっ!?また・・・・・」

 

「もらった!」

 

シャアは、アステ・ファルコンの頭部にビームサーベルを突き刺す。

 

「ガアアアアアアア!!」

 

アステ・ファルコンは、激痛に悲鳴を上げながらも攻撃を行おうとするがシャアは攻撃される前に彼の胴体を強く蹴り、吹き飛ばす。

 

「貴様あああああ!!」

 

彼は、両翼を床に突きつけて電流の塊を走らせる。

 

「当たらなければどうということはない。」

 

シャアは、電撃弾の軌道を読むと脚部のスラスター機能で瞬発的に加速して間合いを詰めて行く。

 

「許さんぞぉ!!スクラップの分際でこの私を!!」

 

だが、攻撃は当たることはない。錯乱しかけているせいなのかアステ・ファルコンの目には、シャアが徐々に一体のレプリロイドではなく、彗星のように見えて来た。

 

「み、見えない!?奴の姿が捉えられない!?何故だ・・・・カメラアイがイカレテしまったのか!?それとも・・・・奴が私の反応速度以上に速く・・・・!!」

 

次の瞬間、アステ・ファルコンの目の前にシャアが現れる。

 

「これで終わりだ。貴様の生まれの不幸を呪うがいい。」

 

それだけ言うと彼は、サーベルを振り下ろして頭部から真っ二つに切り裂く。

 

「赤い・・・彗・・・星・・・・・」

 

アステ・ファルコンは、断末魔にその一言を残すと爆散する。

 

「・・・・また、その呼び名で呼ばれるとはな。」

 

シャアは、アステ・ファルコンの残骸を確認する。

 

「フム・・・・・・この大きさでこれだけの出力を出せるのか。」

 

その残骸の中で唯一無傷で残った雷のマークが描かれたチップを回収する。

 

「後は、この施設を破壊しなければならんな。」

 

彼は、施設の奥へと入り動力炉をサーベルで破壊する。施設の機能の停止を確認すると続いて処理室の中へと入る。中では3人のレプリロイドが互いに抱き合いながら怯えている。

 

「怯える必要はない。ここの施設の機能は破壊した。これで君たちが処分される心配はない。」

 

「「「えっ!?」」」

 

捕まっていたレプリロイドたちは、その言葉を聞いて愕然とする。

 

「・・・あれ?じゃあ、ここを指揮していたミュートスレプリロイドは?」

 

「奴は、もういない。この先のトランスルームにレジスタンスベースへ行けるよう入力しておいた。」

 

「はっ、ははは・・・・・」

 

その報告を聞いたせいなのか一人が尻餅をつく。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、はい。ありがとうございます。まさか助かるなんて思ってもみなかったんで・・・・」

 

「立てるか?」

 

「いえ、まだ足がすくんで動けません・・・でも、動けるようになったらすぐに行きますので先に行っててください。」

 

「そうか。ここら一帯の敵は一応あらかた倒したが万が一のこともある。できるだけ早く来てくれ。」

 

そう言うとシャアは、施設の中へと戻り、トランスルームの転送装置でレジスタンスベースへと向かう。

 




MS出してえな。

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