ブラウンシュヴァイクからフォーゲルに転生したけど、立ちはだかったのはヤン・ウェンリー(原作読破済み転生者)だった 作:ひいちゃ
まずはカストロプ動乱からスタート。
最初からクロスオーバー全開(当社比)ですよ!
どうぞお楽しみください!
※なおこの話は、宇宙戦艦ヤマト2202の楽曲『蛮族襲来』をBGMにしてお読みいただくと、さらに楽しんでいただけると思います(笑
第1話『わしが逝くは星の大空』
戦艦の艦橋内。その中で、古代ローマ風の衣装をまとった乗員が作業をしている。
その中の一人が、奥の玉座に座った、同じく古代ローマ風の衣装をまとった男に話しかける。
「公爵、敵艦隊の座標、設定完了しました!」
「エネルギーチャージ、完了!」
部下からの報告を受けた男……カストロプ公爵マキシミリアンは、不敵な笑いを浮かべて号令する。
「よし、フレーメン・ゲットローフェン・ゲヴェーア、発射!!」
次の瞬間、彼の乗艦の前面にまばゆい光が放たれたかと思うと一瞬にして消えた。
そして……。
一方、そのカストロプ軍艦隊に向けて前進している艦隊。
その中で、シュムーデという名の提督が笑みを浮かべながら、腕を組んでいた。
「これだけの数を揃えたのだ。カストロプ艦隊など……」
しかし、その彼を突然死神の鎌を襲った!
「し、シュムーデ提督!」
「ん?」
次の瞬間、シュムーデは、周囲の幕僚や乗員ごと、閃光の中にかき消えた。
先頭を進んでいた彼の旗艦分艦隊の前方に突然高エネルギー体が現れ、それは光線となって、直線上の戦艦を消し飛ばしたのだ。
射線上の艦は瞬時に消滅し、射線から少し離れた艦は、そのエネルギーで大きな損傷を受けて、炎の竜に全身をむしばまれたあと爆散し、さらに離れた艦は、その爆散した艦の破片を受けて轟沈した。
旗艦分艦隊を失った艦隊など、烏合の衆である。案の定、シュムーデの艦隊は、司令官を失ったことで統率を失い、隊列を乱した。
その様子を見たマキシミリアンは高笑いをあげてから言い放った。
「あとは雑魚だ! 主力艦隊、前進! 子羊どもを蹴散らせ!」
「了解!」
本隊の後方に展開していた分艦隊が前面に展開し、シュムーデ艦隊に向かっていく。もはや勝敗はついたも同然だ。
その様子を見て彼は、得意そうにつぶやいた。
「見たか、帝国軍め。ブラウンシュヴァイクの豚は無様に散ったが私は違うぞ。フェザーンから手に入れた、このフレーメン・ゲットローフェン・ゲヴェーアがあれば、貴様らなど恐れるに足らぬわ!」
彼の旗艦の艦橋に、高笑いが響く。
* * * * *
私はフォーゲル。銀河帝国の提督の一人だ。だがそれは、仮の姿に過ぎない。
私の本当の名はオットー・フォン・ブラウンシュヴァイク。銀河帝国の貴族の一人である。
前世で自業自得ながらも非業な死を遂げたわしは、フォーゲルとして生まれ変わったのだ。
それからわしは、数ある戦いを潜り抜け、ついにはかつてわしが非業の死を遂げた帝国の内乱・リップシュタット戦役を生き延び、複数の艦隊を束ねる艦隊群の司令官にまでなることができた。
おっと、前世は貴族だからと言って、再び貴族を復活させるつもりはない。
わしは今世でフォーゲルとして生きていく中で学んだのだ。門閥貴族の醜悪さと、平民たちのささやかな幸せの大切さを。
転生して間もないことこそ、任務だということで淡々と戦ってきたが、それを知ってからは、門閥としてのプライドをブラックホールに投げ捨て、門閥打倒のためにリップシュタット戦役を、枢軸側について戦った。
そして、今に至る。
さて、わしは今、カストロプ星域に向かっているところだ。
カストロプ公は、リップシュタット戦役では中立を保っていたが、実は貴族軍とつながっていたことが明らかになった。戦闘にこそ参加していないが、貴族軍に物資やら資金やらを提供していたのだ。
当初、帝国政府や帝国軍はこの事実を察知していなかった。だが、戦役終結後、突然カストロプ公が挙兵したことで、改めてカストロプについて調査したところ、この事実が明らかとなったのだ。どうやら、次は自分が討伐される番だと判断して挙兵したらしい。
というわけで、さっそく第一次討伐隊が派遣されたのだが、カストロプ軍との艦隊戦の末、シュムーデ提督は戦死して敗北……ばかりか、壊滅したらしい。
というわけで、今回はわしに討伐の命が来た、というわけだ。
* * * * *
さて、わしの艦隊群が、オーディンのあるヴァルハラ星域外縁まで来たところで、前方にボロボロの艦がやってきた。
「第一次討伐隊の生き残りか? 所属を確認せよ」
「了解」
通信士が向こうの艦に所属を問いただす。すぐにその結果は出た。
「判明しました。第一次討伐隊に所属していた駆逐艦・バンデヴェルです」
「やはりそうか。よし、乗員を救助せよ。データも回収するように」
「了解です」
そして……。
「これは……」
わしは、スクリーンに映し出された第一次討伐隊の映像を見て愕然とした。
突然、艦隊の前面に閃光が発生したかと思うと、それは巨大なレーザー……いや、熱線ビームか……? となって、多くの艦を巻き込んで撃沈していく。それはまさに、プチ・トゥールハンマーと呼んで差支えないほどだ。
「むぅ……。ここで、敵の新兵器の概要がわかって助かりましたな。何も知らずにカストロプに向かっていれば、我らも、第一次討伐隊と同じ運命にたどっていたかもしれませぬ」
そう腕組みして言うのは、我が艦隊群随一の勇将、ファーレンハイト大将だ。その艦隊運動は、かの疾風ウォルフことミッターマイヤー大将に匹敵し、攻撃指揮においては、彼を上回ると評価されている提督だ。
「しかし、わかったからといっても、真正面から相対するのは自殺行為に等しいな。ミュラー提督のパーツィバルの『イージスの盾』でも、あのビームは防げないだろう?」
「そうですね……。というより、あれを防げるのは、イゼルローンの流体金属装甲ぐらいのものではないでしょうか」
わしの質問に顔をしかめてそう答えるのは、ミュラー中将。階級は低いながらも、その防御指揮は、他の提督たちより巧みであり、防御戦においてとても頼りになる提督だ。だがそんな彼でも、あのカストロプの新兵器の相手は荷が重い……というか重いどころの話ではない。
ミュラー提督の旗艦、パーツィバルは防御重視の設計になっており、装備されているエネルギー中和磁場発生装置の強化版、電磁シールド『イージスの盾』は、よほど集中攻撃されない限り、どんなレーザーもはじくという優れモノだ。だが、その電磁シールドでも、あの新兵器のビームの前では紙切れ同然だというのはわしでもわかる。そりゃそうだ。戦艦の装甲とエネルギー中和磁場でトゥールハンマーを防げるかと言ってるようなものだからな。
フレーメン・ゲットローフェン・ゲヴェーア(火炎直撃砲)とはよくぞ言ったものだ。奴らはあの兵器をそう言っていたが、まさに憎らしいほどにぴったりなネーミングである。
「……」
「はっ。アイゼナッハ提督からの意見としては、『見るところ、敵旗艦らしきものは動いていないように見える。これは、搭載艦が静止して、姿勢を安定させていなければ撃てないのではないか。また、あの兵器は、エネルギー弾をワープで飛ばしているように見える。そこが付け所と思えるが、抜本的な対策にはつながらないのではないか』とのことです」
そう、部下のグリース大佐に代弁させているのは、無口提督として知られるアイゼナッハ提督だ。ほとんどしゃべらず、わしも彼の声を聴いたのは、貴族軍との決戦直前の一度だけだ。しかし、そんな彼だが、どんな任務でもそつなくこなす名将でもある。
「アイゼナッハ提督の言う通りですな。態勢を崩そうにも、奴らに接近するまでが問題です。また、ワープアウトの位置を予測して回避するとしても、それでも回避できるだけのこと。あの新兵器を黙らせられる決定打にはなりますまい」
「そうだな。回避ながら接近するのも大変な困難だ」
我が艦隊の総参謀長のナイゼバッハ中将の言葉に、ファーレンハイト提督もそう答える。
それにしても、これは困ったな……ふむ。
……ん?
そこでわしは、カストロプ星域の外縁にある、おかしな小惑星帯に気が付いた。
「おい、ナイゼバッハ中将。この変な小惑星帯はなんだ?」
「はい。それは、カストロプ星域特有の、レーザ・フリントと呼ばれる、レーザーが結晶化した物質だそうです」
そしてナイゼバッハ中将が、そのレーザ・フリントとやらの性質を教えてくれた。
……ふむ、これは使えるかもしれない。
なお、『フレーメン・ゲットローフェン・ゲヴェーア』は宇宙戦艦ヤマト2、宇宙戦艦ヤマト2202から、『レーザ・フリント』は、宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコから設定を拝借しております。
きっと、カストロプ公役は、故・大塚周夫さん(火炎直〇砲的な意味で)w
さてさて、この難敵にブラ公inフォーゲルはどのように立ち向かうのか!?
次回『おいでませ、カストロプへ』
転生提督の歴史が、また、1ページ