ブラウンシュヴァイクからフォーゲルに転生したけど、立ちはだかったのはヤン・ウェンリー(原作読破済み転生者)だった   作:ひいちゃ

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オフレッサーとシェーンコップ、どちらが強いかですが、自分は白兵戦の強さなら、オフレッサーのほうが強いと思ってます。
彼は、脳の1シナプスに至るまで、人●しに特化してますからw なので、文明人であるシェーンコップより強い、というのが自分の考えです。

もっとも、オフレッサーの弱点は、全てが人●しに特化していることで、策を使われると、この話のように負けてしまう、と。


第19話『薔薇の騎士、と言っても男色じゃないそうです(後編)~シェーンコップ対オフレッサー!人類最強決定戦!』

 カスパー・リンツ少佐率いる同盟軍陸戦隊・薔薇の騎士(ローゼンリッター)の一隊は、サブシステム室へと通じる通路を、帝国軍の防衛部隊を蹴散らしながらひたはしっていた。

 

 帝国軍の防衛部隊の兵士たちも、弱小ではないのだが、それでも百戦錬磨という言葉も生ぬるい実力を持つ薔薇の騎士の面々には赤子も同然だった。

 

 ある者は、斧で頭をかち割られ、またある者は、トマホークで袈裟斬りに一刀両断され、倒れていく。

 

 だが、サブシステム室が近づくと、その彼らの進撃も鈍るようになる。帝国兵の力量が今までとは違い、強大になってきたのだ。

 それもそのはず。彼らを束ねていたのは……。

 

「あ、あれは……!」

 

 立ち止まったリンツが驚愕に目を見開いた。そこに立っていたのは……。

 

「ガーハハハッ! 来おったな、叛乱軍ども! フリカッセの具になりたい者から前に出ろ!!」

 

* * * * *

 

「オフレッサー上級大将を!? 彼をイゼルローンの防衛陸戦部隊の中核師団の団長に当てていたんですか!?」

 

 ナギ大尉が、わしの話したことに目を見開いて驚いていた。

 

「あぁ。元は、彼がわしについて行きたいと言っていたので、イゼルローンに連れてきて、師団長を任せていたんだが……。まぁ、彼なら、どんな強者からだろうと、要塞を守り抜いてくれるだろう。彼以外の味方は全滅しているかもしれないが」

「確かにそれはそうですけど……。よく彼が再び働くことを認めましたね。一瞬、司令がオフレッサー上級大将に頭をかち割られる様を幻視しましたが」

「まぁ、そこは色々とな」

 

 オフレッサー上級大将。元帝国軍の装甲擲弾兵総監だった男だ。前世において、かつてのわしに内応を疑われ、射殺されるという自業自得ながらも非業な最期を遂げた彼は、現世でのリップシュタット戦役でも門閥軍につき、レンテンベルクではなくガイエスブルグの防衛司令官の任についていた。

 ガイエスブルグの接収にあたり、当然ながら奴は、要塞のメイン核融合炉へ通じる通路を占拠し、徹底抗戦する構えでいたが、そこはわしが自分がブラウンシュヴァイク公爵の転生であることを明かしてまでして説得し、投降させたのだった。

 そこからはまた、処刑しろ、金髪の孺子の下では働けぬなどとひと騒動起こしたが、結局、名目上はわしの下で働くということで彼には納得してもらった。

 当然、ローエングラム公からも、彼を許し復隊させることに難色を示されたが、そこはキルヒアイス軍務尚書にも口添えをお願いし、彼からの条件を受け入れることでなんとか認めてもらえた。もちろん、オフレッサーが何か不祥事を起こしたら、わしの首も飛ぶであろうことは言うまでもない。

 その条件が、イゼルローン方面軍司令官への着任だったのだが。

 そして今にいたる、というわけだ。なお、無用な殺戮は控えること、部下に麻薬を使わせるなど非道なことはしないことを、念を押して言っておいた。反発するかと思ったが、彼は現世でもブラウンシュヴァイク公にそれなりに深い忠誠を誓っていたようで、すんなりそれを受け入れてくれた。ブラウンシュヴァイク公にそれだけの人徳があったとは驚きだ。

 

しかし、元はといえば、彼がわしの元でどうしても働きたいというので、イゼルローンまで連れてきて、その防衛部隊指揮を任せたのだが、それがここで役に立つとは思わなかった。ずっと閑職のままで終わると思っていたんだがな。人生、何が役に立つのかわからないものだ。

 

「まぁ、彼がいれば、そう簡単に落ちることはあるまい。彼が持ちこたえている間に、目の前の戦いに一区切りをつけて、大急ぎで要塞に戻るぞ」

「了解しました」

 

* * * * *

 

「なんだと!? あのミンチメーカーが!?」

『はい。間違いありません。何度目をこすっても、間違いなく目の前にいるのは、あのミンチメーカー・オフレッサーでした』

「なんてこった……」

 

 シェーンコップは彼らしくなく、かすかに動揺した。帝国軍がこのイゼルローンにオフレッサーを置いていたのは、さすがに想定外であった。

 それにこれは、作戦の大きな障害になりうる。いくら薔薇の騎士でもオフレッサーの相手は荷が重すぎるからだ。何しろ、前連隊長であるリューネブルクも、結局オフレッサーには勝てなかったのだから。

 しかし、ここで退くわけにはいかない。彼らの働きいかんで、この作戦の結果が決まるのだ。

 

「おい、ブルームハルト。この年寄りのお守りをしておいてくれ。絶対に逃がすなよ」

「は、はい。え、それでは大佐自らが……?」

「あぁ。あの怪物と互角に戦えるだろう勇者は、俺くらいのものだろうからな」

 

 そう言ってシェーンコップは、不敵な笑みを浮かべた。

 

* * * * *

 

 一方の、ヤン主力艦隊。

 

「まさか、オフレッサーがいたとはね。(原作と同じく、既にこの世にはいないものと思ってたんだが)」

「そうですね。私もびっくりです。(彼のおかげで私、前世ではフリカッセが食べられなくなりました。責任とってほしいです)」

 

 ヒューベリオンの艦橋にて、ヤンとフレデリカはそう愚痴をこぼしていた。もちろん、前世のことについては、周囲の幕僚たちに聞こえないように気を付けながら。

 要塞に潜入したシェーンコップから、イゼルローンにオフレッサーとその部下たちがいること、そのせいで攻略はもう少し遅れる、という連絡を受けていたのだ。

 しかし、ヤンとフレデリカは、愚痴をこぼすだけで済むだろうが、外縁でフォーゲル機動艦隊群と戦っているアッテンボローたちはそれで済む問題ではない。

 

『先輩。そんなこと言ってる場合ではないですよ。こっちはもういっぱいいっぱいです』

「わかってるよ。仕方ない。艦隊を一時少し後退させて、防戦に徹してくれ。ただし、敵が逃げる隙を与えないでくれよ」

『了解です。先輩、でもこの借りは高くつきますよ』

「あぁ。終わったら、一カ月分の夕食は私がおごるよ」

『絶対ですよ。それでは頑張るとします』

 

* * * * *

 

 そして舞台はイゼルローン要塞に戻る。

 

 そこの通路で、リンツ少佐率いる薔薇の騎士は、オフレッサー率いる防衛部隊とにらみ合っていた。

 オフレッサーの体から発する威圧感に、彼の強大さを感じ取った薔薇の騎士たちは、うかつに手が出せなくなっていたのだ。

 

 そこに。

 

「やれやれ。もう二万年早く生まれてきてくれなかったかな。おかげで、今を生きてる俺たちが苦労しているじゃないか」

「む……」

 

 装甲服を着こんだ一人の男がやってきた。いうまでもなく、薔薇の騎士連隊長シェーンコップである。

 

「ほう。ワルター・フォン・シェーンコップか。貴様のことは噂に聞いているぞ。叛乱軍の中でも最強だとな」

「ご存じいただいて恐悦至極だ」

「だが、このわしにかなうと思っているのか?」

「やってみなくてはわからんさ。少なくとも、戦技は、二万年前よりも洗練されてると思うがね」

「ほざけ!!」

 

 そう叫び、オフレッサーはシェーンコップにとびかかり、斧を振り下ろした! それをシェーンコップは長柄斧(ハルバード)で受け止める。ハルバードが弾かれないよう、その柄が折れないように巧みにその衝撃を逃がすが、それでもかなりの衝撃が、シェーンコップに襲い掛かる。

 

「ちぃ……!」

 

 オフレッサーの力がゆるんだところを見計らってそれを押し返す。わずかにだが、態勢が崩れた隙を狙って、渾身の斬撃を見舞う。

 

 が!

 

「ぬるい、ぬるいわっ!!」

「腕でハルバードをはじいただと!?」

「態勢が崩れた隙を狙ったつもりだろうが、それはこっちの台詞だっ!!」

「ちっ!!」

 

 オフレッサーが片手で戦斧を薙ぎ払うのとほど同時に、シェーンコップは後ろに飛びのいた。それでも十分にかわすことはできず、彼の装甲服の腹のところに、かすかな傷ができる。

 

「訂正するよ、ミンチメーカー。あんたの戦技は十分今のレベルに達してるよ。どこで教授してもらったのか、教えてほしいところだね」

「ぐふふふ……。ようやくわしの力がわかったか。小童どもが」

 

 その後も、シェーンコップとオフレッサーは激しい戦いを繰り広げた。その激しく美しい舞に、薔薇の騎士たちも、オフレッサーの部下たちも、ただ見とれていた。

 

 一方のシェーンコップは焦りを感じていた。互角に戦っているように見えるが、まだ余裕が感じられるオフレッサーに対して、自分は死力を尽くしてまでやっと互角なのだ。

 しかも、こうして手をこまねいているわけにもいかない。タイムリミットは確実に迫っているのだ。

 

(これではどうにもならんな……よし)

 

 正攻法ではオフレッサーにはかなわないと悟ったシェーンコップは、密かにヘルメットの通信機を入れた。

 

「リンツ、よさそうなところを見つけ出して、そこに罠を仕掛けろ。俺がそこまで奴を誘導する」

『了解しました。くれぐれも気を付けてください。大佐に何かあれば、我々はおしまいです』

「わかっている」

 

 そして通信を切る。そしてシェーンコップは、再びハルバードを持つ手に力を込めた。それを見たオフレッサーが不敵に笑う。

 

「遺言は決まったか、叛乱軍の青二才め!」

「あぁ、決まったさ。お前さんの墓碑名がな。『最強の蛮族、血の海の中で溺死』なんてどうだ?」

「ぐふふ、良く言うたわっ!!」

 

 そして再び戦いが始まる。

 オフレッサーは猛烈な攻撃を仕掛け、シェーンコップはそれに押されて、どうにかさばきながら後退していく。だがそれが、オフレッサーをある地点に誘導するための欺瞞であることに気づく者は誰もいなかった。シェーンコップの誘導は、それだけ巧妙だったのである。

 

 そして、そこまで二人は移動した。

 

 そこでシェーンコップはトマホークを構えたまま口を開いた。

 

「オフレッサー、あんたの強さには本当に敬服するよ。俺が勝てなかったのはあんただけだ」

「ぐふふ、ようやく観念したか。今、その記述をお前の血で綴ってやるから待っておれ」

「いや。あんたとはこれでお別れだ。だから、今のうちに言っておいたのさ」

 

 そうシェーンコップが言って、オフレッサーが突進したそのとき!

 

 ドッゴーーンッ!!

 

 オフレッサーの足元の床が崩れて、彼はたちまち床の上から姿を消した。

リンツがそこに落とし穴を掘っていたのだ。

 

 落とし穴は5mはあり、なかなか這い出せそうにない。そこに睡眠ガスが流し込まれ、彼は昏倒した。

 

「やりましたな、大佐。さすがです」

 

 近寄ってそう言ってくるリンツに、シェーンコップは首を振ってそれを否定した。

 

「いや、俺が勝てたのは、あくまで策を用いたからだ。純粋な戦闘技術だったら、俺の完敗だったさ。あれだけの強者には、金輪際、出会えることはないだろうな」

「全くです」

 

 そう言葉を交わしたところで、シェーンコップは表情を引き締めた。

 

「よし、最大の障害は排除した。後はサブシステム室に一直線だ。行くぞ」

 

 




さてさて、ついに最後の砦、オフレッサーが突破されました。
フォーゲルの運命やいかに……!?

次回『ITAMIWAKE』

転生提督の歴史が、また1ページ
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