ブラウンシュヴァイクからフォーゲルに転生したけど、立ちはだかったのはヤン・ウェンリー(原作読破済み転生者)だった   作:ひいちゃ

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ちなみにタイトルですが、インディ〇ンとしちゃうと人種差別的な方面でやばいので、ネイティブアメリカン、としています。
ご了承ください(苦笑


第26話『同盟軍のネイティブアメリカン隊!?』

「何、叛乱軍が!?」

 

 アムリッツァに帰還して、数週間後。わしは副官のナギ大尉にそう聞き返していた。

 

「はい。ウォルテンブルグ星域周囲のキフォイザー、アルメントフーベル、ブラウンシュヴァイクの各星域に叛乱軍艦隊が襲来したそうです。既にミッターマイヤー提督の艦隊がブラウンシュヴァイク、ロイエンタール提督の艦隊がキフォイザーに、叛乱軍迎撃のために出発しました。我が艦隊には、アルメントフーベルに襲来した敵艦隊を迎撃せよと命令が届いています」

「そうか……。だが、これはいかんな……」

「何がです?」

 

 そう聞いてくるナギ大尉に、わしは苦虫をかみつぶしたような表情のまま答えた。

 

「ウォルテンブルグαを抑えられた現状、何か対策を打たなくては、奴らの術中にはまってしまう、ということだ」

「どういうことでしょう?」

「まぁ、これはあくまで最悪のパターンで当たっているかはわからん。まずは奴らを迎撃してからのことだ。ナイゼバッハ中将。我が艦隊群はこれより、アルメントフーベルに出撃する。準備を進めてくれ」

「はっ。それで、どの艦隊を出撃させますか?」

「うむ。我が主力艦隊、ファーレンハイト艦隊、アイゼナッハ艦隊を連れて行く。残ったバルトハウザー艦隊、トゥルナイゼン艦隊、ザウケン艦隊には、ミュラー大将の指揮に従うよう伝えてくれ」

「わかりました」

「よし、出撃する!」

 

* * * * *

 

 そして我が艦隊はさっそく、アルメントフーベル星域に出撃したのだが……。

 

「閣下、敵艦隊、急速に撤退していきました」

「むぅ……」

 

 わしは思わずうなる。これはもしかしたら、わしの最悪の予想が当たってしまったかもしれぬな。

 と、そこに、ファーレンハイト艦隊から通信が入る。

 

『閣下、奴らの撤退の様子をごらんになられましたか?』

「あぁ。彼らには全くまともに戦う気がなかった。まるで……」

『……まるで、我々を無駄に出撃させるのが目的のよう、ですな』

「うむ。もしかしたら、これはハメられたのかもしれんな……」

 

 と、そこに、それを裏付ける報告がなされた!

 

「閣下! 今度はシュワッツェン、リッテンハイム、ヨーツンハイムに叛乱軍が現れたと報告が!」

「……やはりか」

 

* * * * *

 

 一方、リッテンハイム星域。

 そこに、緑色に塗られた帝国軍型戦艦の群れが展開していた。言うまでもなく、銀河帝国軍正統政府軍の(唯一の)艦隊である。

 

 その旗艦の艦橋に立つ、軍事補佐官(という名の実質的な指揮官)パストーレに、軍事副補佐官のストークスが報告する。

 

「パストーレ軍事補佐官。まもなく、キュストリンの防空圏内に入ります」

「よし。攻撃用意。目標、キュストリンの防御衛星。くれぐれも、地表には当てないように気をつけろよ。撃て!」

 

 正統政府軍の各艦から中性子レーザーが放たれ、見事に惑星キュストリンの周囲に浮かぶ防御衛星を撃ち抜いていく。

 そこに。

 

「軍事補佐官。敵艦隊接近! ミッターマイヤー艦隊と思われます!」

「よし、長居は無用だ! ただちに撤退する! 相手は疾風ウォルフだ。生半可の加速では追いつかれるぞ。急げ!」

 

 ミッターマイヤー艦隊の来援を知るや、正統政府軍の艦隊は、まさに脱兎のごとく、キュストリンの周辺宙域から撤退していく。

 その撤退の中、旗艦に座乗しているフレーゲル元男爵が不満そうに言う。

 

「あの……パストーレ軍事補佐官。なぜに逃げ出すのだ? 接近してきたなら、迎撃すればいいではないか」

「いえいえ、男爵閣下。これも全ては、にっくきローエングラム公をおびき出すための計略なのです。ローエングラム公と戦う前に消耗しては、奴との決戦に差しさわりがあるでしょう。消耗を抑えて対峙してこそ、男爵閣下をはじめとした正統政府軍の力を十二分に発揮できるというもの。それに、なにより、ミッターマイヤーのような格下を倒すより、ローエングラム公という大物を倒したほうがいいとは思いませんか?」

「おぉ、なるほど! 確かにその通りだ! さすがはパストーレ軍事補佐官殿! この私ほどではないが、なかなかな軍才をもっておられる! これからも指揮のほうはお任せするぞ!」

「は……」

 

 そして今回も、フレーゲル元男爵を言いくるめるパストーレの手腕に、心から感嘆するシュナイダーであった。

 

* * * * *

 

 一方、オーディンの宰相府。

 

「キルヒアイスのおかげで、新しい供給ルートができたと思ったらこれか……」

「はい。このまま彼らの襲撃が相次げば、新しい供給ルートを使っても、我が軍が干上がることは確実です」

「敵が攻めてきたら、迎撃しないわけにはいかんからな。星域を奪われるわけにはいかん。叛乱軍が、民間のヘリウム3採取船には手を出さないことがせめてもの幸いか」

「とはいえ、民需分から徴発するわけにもいきません」

「そうだな。……となれば、手は一つだ。我が軍が動けなくなる前にウォルテンブルグを奪還するしかない。キルヒアイス、正直に答えてくれ。新ルート込みで、我が軍が大会戦に挑めるのはあと何回だ?」

 

 ラインハルトの質問に、キルヒアイスは表情を曇らせて答えた。

 

「一回が限度です。それも、出撃できるだけのヘリウム3を補充するまでに一カ月はかかります。イゼルローンが無事であれば、また変わっていたかもしれませんが……。イゼルローンにはかなりの備蓄があったはずですから」

「あぁ。だが、既にイゼルローンは無力化してしまった後だからな。それに、イゼルローンからのヘリウム3の輸送を黙って見逃すほど、叛乱軍が間抜けとは思えん」

「とすれば、やはり艦隊戦で取り返すしかありませんね」

「あぁ。しかも、チャンスは一回だけだ。その一回で、叛乱軍に勝利し、ウォルテンブルグを取り返さなくてはならん。幸いにも時間は一カ月ある。その間に、ミッターマイヤーとロイエンタールと、作戦を練っておくとしよう。下がって良い」

「はい」

 

 退出しながら、キルヒアイスはあることを考えていた。

 彼の元へは、自由惑星同盟を名乗る叛乱勢力の政府から、和睦の打診が何度も出されている。今までは、それを黙殺してきたが、今度の戦い如何では、その和睦を受け入れることをラインハルトに進言しなくてはならないかもしれない、と。

 

* * * * *

 

「……というわけだ。まさに奴ら、帝国のあちこちを荒らすネイティブアメリカン隊、というわけだな」

「なるほど。確かに、これまでの出撃で、このアムリッツァのヘリウム3の備蓄もカツカツになってきてますからね……」

「あぁ。しかも、奴らは徹底的に交戦を避けているので、戦力の損耗はないうえに、ウォルテンブルグαを抑えているから、ヘリウム3の消耗もないに等しい。憎らしいほどにうまい手を考えたものだな」

 

 アムリッツァ星域の惑星クラインゲルトにある艦隊群司令部にて、わしは作戦会議を行っていた。わしの話を聞いたミュラー大将もファーレンハイト大将も、みな苦々しい表情を浮かべている。それは、この状況が決して芳しいものではないことを物語っていた。

 

 と、そこでバルトハウザーが手を挙げた。

 

「それでは、イゼルローンからヘリウム3を回収するのはどうでしょうか? あそこにはかなりの備蓄があったはずですから」

 

 それはもっともな提案だ。だが。

 

「それはいい案だが、当然、叛乱軍のほうでもそのことは想定しているはずだ。おそらく、回廊内か、回廊の帝国側出口に艦隊を展開しているだろう。そこで戦いになって、ヘリウム3を回収できないまま、無駄にヘリウム3を消耗した、なんてことになったら目も当てられぬ」

「確かに……」

 

 再び沈黙。続いて手を挙げたのはトゥルナイゼン少将だ。

 

「それでは、このさい、民間の採集船から徴発するのはどうでしょうか? 幸い、奴らは民間船には手を出していないようですし」

「いや、それもダメだ。それをやったら、今のローエングラム公体制の大義が泥の海に沈んでしまう。帝国民を門閥による搾取から解放するために立ったローエングラム公が、国民から搾取してどうするつもりだ、という話だからな」

「それに、それをやったら奴らは民間船にも手を出すだけの話だ。そうなったら、帝国民は困窮し、心がローエングラム公から離れることになるだろう」

「なるほど……」

 

 わしとファーレンハイト提督に反論されて、トゥルナイゼンは納得した様子で着席した。

 そして再び沈黙。そこで、アイゼナッハ大将……の副官のグリース少佐が手を挙げた。

 

「司令。アイゼナッハ大将の代わりに発言してもよろしいでしょうか?」

「許可する」

「はっ。やはり、この状況を打開するには、総力を挙げて艦隊戦に挑み、ウォルテンブルグを奪回するしかないのではないか。幸いにも、フェザーンからウォルテンブルグへは、輸送船の行き来は多いが、何者かの妨害工作により、艦隊の移動はないようだ。そして……」

「ウォルテンブルグを襲った艦隊の戦力では、ウォルテンブルグ星域と、輸送路の両方を守るのは不可能。となれば、別動隊が輸送路を襲い、敵艦隊がウォルテンブルグを離れてその別動隊を叩きに行った隙に、主力がウォルテンブルグを奪回する、というのが得策、か……」

 

 わしがそう言ったところで、アイゼナッハ提督がこくりとうなずいた。確かにわしもそれが一番の作戦だと思う。だが……。

 

「その手しかないだろうが……だが……」

「何か?」

 

 そう聞いてきた総参謀長のナイゼバッハ中将に、わしは顔を向けて答える。

 

「考えてみよ。叛乱軍領侵攻作戦の時も、奴らはわしらがティアマトに援軍に向かうであろうことを読んで、退路に宇宙機雷を敷設していた。あの戦い、キルヒアイス軍務尚書とトリューニヒトの助けがなければ、間違いなくローエングラム公は討たれていたのだ」

「……」

「そんな優れた戦略を持った司令官だ。その作戦を想定しないことがあるだろうか?」

「確かにそうですな……」

「奴らのことだ。その作戦についても何か対策を講じているような気がするのだ。もっとも、この作戦以外の打開策がない以上、作戦司令部は対策の可能性も承知で、この作戦で奪還しようとするだろうが……」

 

 再び沈黙。と、そこでブラウヒッチ少将が口を開いた。

 

「とはいえ、司令部がその作戦を進めると決めれば、それに従うのが我々の使命。ここはその対策について考えるより、この作戦について最善を尽くすことを考えるべきではないでしょうか?」

 

 彼の言葉にわしはうなずいた。確かに彼の言う通りだ。

 

「確かにブラウヒッチ少将の言う通りだ。敵の対策のことを論じても仕方ない。敵の策を打ち破り、作戦を無事遂行できるように最善を尽くしておこうではないか」

 

* * * * *

 

 一方、ウォルテンブルグ星域の、ウォルテンブルグα軌道上。

 

「閣下、今回最後の補給物資が到着しました」

「そうか、よかった。一時はどうなることかと思ったけどね。本当に、シロッコ氏と、キャゼルヌ先輩様様だね。感謝してもしたりないよ。それで、例のほうはどうだい?」

「はい。先ほど、最終便が到着しました。これで、準備のほうは万端です」

 

 フレデリカの報告に、ヤンは満足そうにうなずいた。

 

「よし、これで全ての準備は整ったな。後は、ローエングラム公が折れるか、それとも攻めてくるのを待つだけ、だね」

「ですが、果たして攻めてきたとして、勝てるでしょうか?」

 

 そのフレデリカの言葉に、ヤンはかすかに微笑んでいった。

 

「まぁ、少なくとも負けはしないと思うよ。やるべきことはやったんだから。それにこの戦いは勝つことが目的じゃない。帝国軍の攻勢をしのぎ切るのが目的なんだ。へまをしなければ大丈夫さ」

「ですよね! ヤン様なら、帝国軍の攻撃をさばききれると信じてます!」

「ははは……。さて、ネイティブアメリカン隊の活動もここまでだ。各艦隊に、迅速にウォルテンブルグに戻るよう通達してくれ」

「わかりました」

 

 そして、ヤンは正面の宇宙空間に視線を据えてつぶやいた。

 

「さぁ、いよいよ正念場だ……。どうなるかな?」

 

* * * * *

 

 さて、それから一カ月ほど後。

 

 ローエングラム公から作戦の通達があった。

 作戦内容は、予想通りウォルテンブルグ星域を奪還するというもので、詳細な作戦は、やはりアイゼナッハ提督が言っていたものと同じだった。

 ローエングラム公の主力が、叛乱軍の補給路にあたるアイゼンフート星域を突き、それを迎撃するために敵艦隊がウォルテンブルグを離れた隙を突き、わしの艦隊がウォルテンブルグ星域を奪還する、というものだ。

 

 もちろん、叛乱軍がこの作戦を読んでいる可能性は高い。だが、ブラウヒッチ少将の言う通り、この手しかこの危機を脱する方法がない以上、わしらはこの作戦のために全力を尽くすだけだ。

 

 それでは行くとしようか。

 

「全艦、発進!!」

 

 かくして、わしの旗艦、シェルフスタットⅡを始めとした、フォーゲル機動艦隊群全艦隊は、一路ウォルテンブルグへ向けて出航していった―――。

 

 




さぁ、次回、いよいよラインハルトとヤンの決戦ですぞ!
果たして、それぞれどのような戦いを見せるのか!?

次回『二つの会戦が起こるなんて聞いてませんよ!?』

転生提督の歴史が、また1ページ
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