ブラウンシュヴァイクからフォーゲルに転生したけど、立ちはだかったのはヤン・ウェンリー(原作読破済み転生者)だった   作:ひいちゃ

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第32話『落ちろカトンボ!~第二次フレイア星域会戦』

 さて、幕を開けた第二次フレイア星域会戦だが、帝国・同盟連合軍の空戦隊はかなりの苦戦の中にいた。

 

「くそっ、なんだこいつらは!? トリッキーな動きで惑わしやがって!」

 

 スパルタニアンのコクピットで、撃墜王オリビエ・ポプランはそう悪態をついた。エースの名をほしいものにしている彼でも、シロッコ軍のMS(モビルスーツ)の相手はかなり難儀していたのだ。

 シロッコ軍の主力MSはガブスレイ改。転生前に彼が設計したMS・ガブスレイをもとにして開発された可変MSである。短期間での量産を可能とするために、色々な部分が簡略化されてはいるが、それでもその実力は侮ることはできない。

 様々な性能は帝国や同盟の艦載艇に劣るが、ガブスレイ改はその変形が可能という点を最大限に活用し、トリッキーな動きで空戦隊を翻弄し、被害を与えているのだ。

 

『うわー!!』

「おい、ヒューズ!!」

『ち、ちくしょう、やられた! あとは頼む!』

「シェイクリ! ちきしょうめ!」

 

 そしてその彼を横目に、MS隊は空戦隊を守りを抜け、艦隊のほうへと向かっていった。

 

「ちきしょう、やらせるかよ!」

 

 ポプランはスパルタニアンを旋回、MS隊を追撃していった。

 

* * * * *

 

 同盟軍巡航艦の至近距離に到達したガブスレイ改の一体がMS形態に変更し、マウントされたフェダーインライフル(ビームは宇宙世紀のメガ粒子ではなく、中性子レーザーになっている)を構える。

 そして次々と、目の前の巡航艦に中性子レーザーの弾丸をぶち込んでいく。あわれ、その巡航艦はたちまち轟沈して火の玉となった。

 また別のところでは、帝国軍の戦艦が、別のガブスレイ改によって火の玉とされていた。

 

「閣下、敵のMS隊によって、我が艦隊は少なくない被害を受けています。このままでは、敵艦隊と決戦する前に……」

「そうだね。全艦、よく狙って敵MSを迎撃してくれ。当てられない相手じゃない。幸いにも、敵はまずこのMS隊で我々に大打撃を与えようとしているようだ。敵艦隊への対処より先に、艦隊に突入したMS隊の排除に注力してくれ。このことは、帝国軍艦隊にも知らせるように」

「了解しました」

 

 そのヤンの指示をきっかけに潮目が変わった。各艦の精密な対空砲火によって、突入していたMS隊は次々に鳥のように撃ち落とされていく。

 MSが有力な機動兵器とされたのは、何よりミノフスキー粒子の存在による。この粒子によって、誘導兵器はもちろん、対空砲火のためのレーダーも機能不全に陥れられ、MSにただ蹂躙される結果を強いられていたのだ。

 しかし、この銀河にはミノフスキー粒子は存在しない。それはすなわち、十分な対空砲火を放つことが可能なことを表している。さらには、そんな世界で軍事技術を発展させてきたため、この銀河の艦艇はどれも、宇宙世紀のものより高度な防空能力を持っているのだ。その対空砲火をもってすれば、MSなど普通の艦載艇と大した変わりがなかった。

 

 たちまち、艦隊に突入したMS隊は数を減らしていく。

 

「やれやれ、なんとかなったか……。でも、すぐに第二陣が来るだろうしな……。彼らの相手は、空戦隊ではきついだろうし……」

 

 と、考え込むヤン。そこに。

 

「あの……閣下」

「何かな?」

「前世でスパ〇ボVをプレイしたのですが、そこでの対MS戦に対する表現で思い出したことが……」

 

 それでフレデリカがあることをヤンに耳打ちした。それを聞いたヤンはかすかに微笑みを浮かべた。

 

「なるほど、その手があったか。ありがとうグリーンヒル大尉。これでなんとかなりそうだよ」

「いえいえ」

 

 そこにオペレータが報告の声をあげる。

 

「閣下、敵艦隊から艦載機隊の第二陣が発進しました!」

「よし、全艦。主砲発射用意。目標、敵艦載機隊。射程距離に入り次第、弾幕を浴びせてやれ。とっても濃い奴をね。これは帝国軍にも要請してくれ」

「はぁ? わかりました」

 

 そして……。

 

「敵艦載機隊、射程距離に入りました!」

「よし。弾幕の射線上から我が艦隊の空戦隊は退避しているな?」

「はい!」

「よし、全艦、主砲斉射三連!!」

 

 彼の号令一下、同盟軍艦隊から濃密かつ広範な弾幕が放たれた! その広く濃い弾幕の前に、MS隊は次々と射抜かれていく。ある機体は突進していたところに直撃を受け爆散し、またある機体はなんとか回避することに成功したものの、別の弾に直撃されて砕け散った。

 

* * * * *

 

 同盟軍の弾幕の前に、まるでカトンボのように、敵の機動兵器が落とされていく。それをわしは感心して見ていた。

 

「なるほど。こういう手があったのか。さすがヤン・ウェンリー。彼の頭には、知らない対策法はないかのようだな」

 

 そう言ってうなずくわしに、副官のナギ大尉が飽きれた様子で報告してきた。

 

「閣下、感心しているところすみませんが、我が艦隊のほうにも敵の空戦隊が接近しています」

 

 おっといかん。こっちもやらねばな。

 

「よし、全艦、砲門開け! 同盟に後れをとるなよ! 帝国軍に、我がフォーゲル機動艦隊群ありということを思い知らせてやれ!」

 

 わしからぬ激励だが、これが最後の戦いだし、これぐらい大げさに言ったほうがいいだろう。

 かくして、シェルフスタットⅡを始めとした、我が直属艦隊の艦艇からも濃密な弾幕が放たれ、前方の敵空戦隊に大きな火の玉を咲かせていく。

 

「どうだ?」

 

 わしが聞くと、レーダー手がすぐに返事を返した。

 

「はい。敵の空戦隊第二陣、ほとんど壊滅しました」

 

 よし、これで敵の一番の脅威は取り除けたな。

 

「よし、これで決着をつけるぞ! 全艦隊、前進! それと、左右に配置している、カールセン艦隊、正統政府軍艦隊に突撃の指示を出せ!」

 

 わしの指示と同時に、左右の小惑星帯に隠れていたカールセン提督の艦隊と、銀河帝国正統政府軍の艦隊が姿を現し、シロッコ軍の艦隊に左右から襲い掛かった! 左右からの奇襲に敵艦隊は態勢が整わず、劣勢に陥っている。

 さらに、奴らの艦は構造が脆いようで、こちらの艦に比べて、比較的簡単に大破していった。

 

 これで、勝ったも同然だな。

 

 ……と思っていたことが、わしにもありました。

 




さて、大逆転という感じですが、シロッコはまだまだ終わりませんよ!
次回、あの男に大きな見せ場が!

次回「主役は私なのだ!」

転生提督の歴史が、また1ページ
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