飯食う人も好き好き   作:ももんじゃ

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エムルとにんじん

 

最近、アタシの扱いが更に雑になった気がする。

サイナとウィンプへの扱いに反して、サンラクさんはアタシに対しては所謂便利屋。お手軽移動手段として思っている節がある。

 

そして連れ回された挙句に強敵との死闘の連続。ヴォーパル魂の見せ所に間違いはないのだが、流石に生き急ぎすぎではないかと思うのだ。

そして数々の死戦を潜り抜けるにあたりアタシの存在は不可欠だったのは間違いないはず。

 

つまり何が言いたいかというと…

 

「ボーナスの支給を求めますわ!!」

 

今ここに、超個人的な理由で新クエスト「エムルのボーナスタイム」が爆誕した。

 

 

樹海のとある場所に至高の人参が自生する畑があるらしい。

そこで新鮮なにんじんを思う存分丸かじりしたい、というのが今回のエムルの要求である。

 

「クエストまで突きつけられたら、流石に受けるしか無いよなぁ…」

 

ログイン早々エムルから突きつけられたクエストに面食らったサンラクだったが、ここ最近エムルを酷使していたことも間違いない事実だった。

この程度の我がままは我がままのうちに入らない。脳裏に浮かぶ終身栄誉アバズレの顔を殴りとばしながら、サンラクはクエストの受注を決意した。

我がままの一つくらい聞いて親密度維持してやろうではないか。

 

「うっひゃ〜〜〜!もうこの辺りの香りだけでよだれが止まりませんわ!!」

 

該当の畑は既に場所も割れており、とてもスムーズかつ迅速に向かうことができた。そして到着した途端この大はしゃぎである。

 

一直線にここまで来たのは下手に寄り道をするとロクな目に合わないことと戦友が未だに健在なことから理解していたからだが、同じ理由でここに長居するのもあまりよろしくないこともわかっていた。

周囲からうっすら聞こえる戦闘音からも推して知るべし。俺は今にもにんじんに飛びかかりそうなエムルへ忠告した。

 

「エムル!今日のバイキングは制限時間20分だ!思う存分今のうちに頬ばっちまえ!!」

 

「短すぎですわ!!せめて1時間はここに寝転がってたいですわ!!!」

 

「その時はにんじんと一緒に恐竜の腹の中だよ!!食えるだけ食ったら後はタッパーに入れて持って帰るぞ!」

 

よーいスタート!とおれが叫ぶと同時に、エムルは手近の1つをズボッと引き抜き、土を軽く払うと勢いよく齧り付いた。

 

「…!!!はすふぁふぉれふぁへはひふぁいふぁふふぁ」

「どうどう飲み込んでから喋りな」

 

むぐむぐと頬張り続け、ゴクン!と思いっきり飲み込んだエムルは興奮気味に話しかける。

 

「さっすが!こんな奥地に生えてるにんじんはひと味もふた味も違いますわ!!強い甘みに身がぎっしり詰まってて食べ応えも抜群ですわ!!!」

 

どうやらご満悦のよう、エムルは夢中でそこら中のにんじんを掘ってはむしゃり掘ってはむしゃりしている。

 

…にしても、この辺の植物のデカさに反して、あのにんじん妙に小さかったような…

 

「イェェェェェア!!!」

 

「ピィッ!!?なななんでヒューマンドラゴラがここにいるんですわ!???」

 

周りと変わらない葉をしている癖して、抜くとビックリマッチョマンである。

サンラクは1人で勝手に納得していた。

 

おそらくここは養殖場なのだろう。

竜災大戦時に活躍したヒューマンドラゴラに少なくない注文が届いたため、繁殖もとい育てる場所を分割したのだ。ここにこんなものが埋まっていたら栄養分の多くがボディを育てるために持っていかれるのもうなづける。小さなにんじんは土の下でカツアゲを食らっていたのだ。

 

ペンシルゴンと提携していたとはいえ、殆ど知らぬ奴の商売を邪魔することもあるまい。掘り出したヒューマンドラゴラ君には丁重に土の下にお帰りいただいた。

 

その後もたまにハズレを引き抜きながら、エムルはにんじん食べ放題を満喫していた。

 

「ぷひゅ〜…もう食べられないですわ…」

丁度20分経った頃、腹を丸く膨らませたエムルはとても満足げな顔で転がっていた。食べた後も大目に掘り出した為、お土産もたっぷりである。

 

「よし、じゃあ帰るか!」

「ですわ〜。」

 

驚くほどつつがなく、エムルのボーナスタイムは終了した。

 

クエスト「エムルのボーナスタイム」をクリアしました。

報酬:特上にんじん




緋色の傷君に追いまわされた挙句
逃げ切るために臨海速使ったらエムルがゲロリそうになる展開は
そもそもエムルが門使って帰れば良いので消し飛びました。

この便利うさぎめ…
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