お察しかもしれませんが、私は麺類が好きです。
かと言って麺縛りと言うわけでもないのであしからず。
でないとストック切れますしね!!!
クソゲーには2種類ある。
1度手をつけた後はもう2度と触れない猛毒を持つものと、半年に1度程度再び手を付けたくなる中毒性を持つものだ。
まぁつまるところどちらも有毒という事で、用法容量を守ったところでクソゲニウムは否応無しに摂取する羽目になる。
因みに今から手をつけるのは後者である。
Perfect cook2
料理シミュレーションゲームとして発売されたこれは、1の時点で猛烈な特徴を備えていた。
野菜に米、調味料とプレイヤーが触るであろう全ての物体に過剰な物理演算が働くのだ。
フライパンに卵を打ち込めば入れた反動で卵が向こう側へ飛んでいき、ミックスベジタブルは袋に入っている時点で微妙に振動している。
開けた瞬間四方に弾け飛ぶことが確約されたそれはプレイヤー間で野菜型爆竹と呼ばれていたそうだ。
そんな不親切な特性を持ったそれは、しかしながら予想を遥かに上回るヒットを記録した。
とあるゲーム実況でのプレイ風景がバズり、文字通り破裂的な料理を行うバカゲーとして楽しむプレイヤーが急増したのだ。
そしてこれに味を占めたのが販売会社
よせばいいのに物理演算をさらにグレードアップさせ、もっと刺激的に!と題して2を売り出したのだ。
「さて…久しぶりだから上手く回せるかな?」
既にフルダイブを済ませたサンラクは、コンロから1ミリほど浮かせた状態で両手にフライパンを握っている。
「作る料理は…折角だしやきそばにするか」
コマンドから焼きそばを選ぶと、眼前に調理前の食材が現れる。今回挑むのは下準備済モードで、各食材は丁寧に一口サイズに切られている。
「さて…行くか」
十分に熱したフライパンの片方にに野菜を投入すると、途端にそれら全てが跳ねた。
投入時の角度を調整したことによりそれらは全てもう片方のフライパンへと着地し、同様に跳ねて元のフライパンへ戻っていく。
そう、このPerfect cook2は、全ての弾性がスーパーボールのそれに匹敵する。
フライパンをコンロに置こうものなら天井へと吹っ飛んで行き、卵を焼こうとすると投入時と同じ向きに跳ね返ってくる。
バカゲーがウケる、と学んだ彼らが作った新作はその過剰すぎる物理演算によりもはや制御不能な域に達していた。
食材それぞれで跳ね方が異なるこだわりもまたプレイヤーを苦しめ、彼らは調理方法よりも如何にして食材を上手く着地させるかに気を配る羽目になったのだ。
ついた二つ名が「ジャグリングクッキング」
常に食材が空中浮遊する中最適な角度で着地を図る料理ゲームがここに爆誕した。
サンラクは昔の記憶を頼りに食材を次々と着地させ、もう片方のフライパンへと跳ねさせていく。
「っ!ここっ!」
そして全ての具材が片方のフライパンに入った瞬間、サンラクは焼きそば用の麺を束ね、その両端とフライパンの側面を同時に持つ姿勢に移行した。
「久しぶりの大縄跳びだ。全員大人しく跳んでろよ!!」
このゲームに火傷によるペナルティが存在しないからこそとれる手段。フライパン直持ちである。
麺を真っ直ぐ伸ばしその両端を持つ事で、大縄跳びよろしく真ん中だけがフライパンに着地するように回す事で焼きそばの暴走を抑えた。
そして他の具材を垂直に跳ぶよう調整する事で大縄跳びよろしく、中央だけ接触する面の上を飛び越える具材たちという構図となったのだ。
実を言うとこのゲームにおける最難関オブジェクトは麺類である。他の具材との接触の可能性が高い上に、麺自体一部分が接触するだけで跳ね返るため予測不可能な挙動でフライパンの上を更地にするまさにデストロイヤー。
サンラクのように両端を押さえていなければ暴れ回り、全ての具材を蹴散らしてしまうのだ。
そして全ての具材に火が入り、弱火モードに移行した。このゲームの唯一良心的な箇所として、過剰な跳ね返りは強火の時のみで有り、具材に火が通った時点で弱火モード、過剰に跳ねない状態に移行するのだ。
「よっし半分は残ったな。後はソースぶっかけてーーっと!??」
サンラクがソースをかけた瞬間、その全てが弾け飛んだ末に周囲の染みと化した。
この弱火モード、調味料に限り元の凶悪物理演算が適用される。最後に油断して味付けを失敗するのはこのゲームの良くある失敗と言えるだろう。
「チクショウ味がしねえ…」
素材の味のみで構成された焼きそばを、スコアCのリザルトと共に噛み締めていた。
次こそは味の濃い焼きそば作ってやる…
サンラクは心に決めた。
追記:試行回数17回で成功
リザルトを終えるには完食する必要があった為、その日の夕食の海鮮五目やきそばにも苦戦したとの事。