おぜうさまロード   作:さろんぱす。

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遅くなりましたが10話目です。よろしくお願いします!!


10本目:ヌく

 その日は雲一つ無い晴天だった。

 真上へ昇った太陽から暖かな光が降り注ぐ。

 心地よい気温となった空は鳥たちが飛び回り、草木は嬉しそうに揺れている。

 

「はぁ~~~。疲れた……」

 

 吹いている風が火照った肌を優しく撫でる。

 カルネ村に済む農民の1人、エンリ・エモット。

 彼女は外が見える村の最外周で、横にした丸太に腰掛けていた。

 その顔は心底疲れたという表情をしている。

 

「お疲れ様です姐さん!」

 

「あっ、ジュゲムさん達。」

 

 そんなエンリに話しかけたのは5人からなる緑の小人達の集団だ。

 それはゴブリンと呼ばれる亜人。ただし一般的なゴブリンとは違う。

 肉体は鍛え上げられた屈強な筋肉に覆われており、装備は鉄で出来たブレストプレート。

 さらにどこから持ってきたのか、全員が顔に黒い色眼鏡のような物をかけている。

 

「こっちの作業は終わったんですが……。いや、ほんと疲れてるみたいですね。」

 

「だってモモンガ様がせっかくまた来てくださったのに、村のみんなが対応を私に押し付けたんですよ? ひどくないですか?」

 

「しょうがないんじゃないですかね? 一番関わりがあるのはエンリの姐さんなんですし。俺たちを召喚したアイテムをくれたのもあの方々なんでしょう?」

 

「それはそうですけど。でもちょっと腑に落ちないっていうか。」

 

 そう言いつつエンリは村の外の方を見渡す。

 そこにいるのはエンリが“ゴブリン将軍の角笛”というアイテムで呼び出したゴブリン達だ。

 その総数は側にいる5体と併せて計19体。

 それらは各々が離れた場所で石の巨人に指示を出し、村の外周に強固な柵を作っていた。

 

(また助けられちゃったな……)

 

 カルネ村は少し前に法国の兵から襲撃された。

 村人が大勢が殺され、エンリ自身も死ぬところだった。

 その時に助けてくれたのがモモンガと名乗る旅のマジックキャスター様だ。

 

 おかげでエンリはなんとか生き残ることができたのだが、しかし助かったのは数十人だけであり、その後の村は色々と困ることが出てきた。特に一番は森から出てくるモンスターの対応だ。

 

(今までは人が沢山居たせいか全然見なかったのに。野伏(レンジャー)の人が最近は森の近くでモンスターをよく見かけるようになったって言ってたものね。)

 

 そんな時に再び村を訪れてくれたのがモモンガだ。

 エンリは思い出す。アンデッドとスライムが神輿に乗り、白い鉢巻を巻いた蜥蜴のような鱗の生えた亜人たちにワッショイ! ワッショイ! と担がれながら村にやってきた時のことを。

 

(あの時は村中が大騒ぎになったなぁ……)

 

 モモンガは最初に助けてくれた時は仮面をしていたが今回は素のまま、アンデッドの顔を丸出しにしていた。そのためモンスターが攻めてきたと勘違いした村人たちはパニックに陥った。

 当然だろう、ただのスケルトンならまだしも、神輿に乗るような知性の有るアンデッドに勝てるはずがないからだ。

 

 だがそのアンデッドが村を救ってくれたモモンガだと分かると騒ぎは次第に収まった。

 さらにモモンガは驚くことに『農業を教えてほしい』と願い、村の事情を聞くと、ならば代わりにと石の巨人を貸し出してくれた。

 

(畑を耕すアンデッドとスライムって、よく考えたらすごい光景よね。)

 

 種籾や道具など、ついでにと村の分まで買ってきてくれたので絶対に文句など言えないが。

 

「でも対価にしてはもらい過ぎな気がする。」

 

「そうだね。でもここは甘えておいたほうがいいと思うよ。」

 

「あっ、ンフィー。」

 

 村の外から1人の人間が歩いてくる。

 伸ばした前髪で目を隠しており、腰には錬金術用具とポーション瓶を下げている。

 それはエンリの幼馴染。村のことを知り別の街から駆けつけたンフィーレアという少年だ。

 

 

 

 歩いてきたンフィーレアは少し迷ってからエンリの横に腰掛けた。

 その顔は若干赤みがかかっていたが、しかし日差しのためかエンリはその事に気づいていない。

 

「おかえりンフィー。それでヘロヘロ様に弟子入り出来たの?」

 

「なんとか認めてもらえたよ。向こうも僕のタレントに興味があったみたいでね。」

 

 ンフィーレアは錬金術師だ。

 それもエ・ランテルで一番の薬師を祖母に持つ。

 さらに持って生まれたタレントは“全てのマジックアイテムを使える”という破格のものだ。

 

「ふーん。良かったね。」

 

「おばあちゃんに話しても絶対に信じないだろうけどね。僕もまさかスライムに弟子入りするとは思わなかった。」

 

「それなら私だって。恩人とは言えアンデッドに畑の作り方を教えるなんて思わなかったわ。」

 

 そう言いつつもンフィーレアの顔ははっきりと分かるほど喜んでいた。

 なんせ自分が今しがた弟子入りを許可されたのは錬金術師の夢である赤いポーション、その製造方法を知る人たちである。

 話せばきっと祖母だって許してくれるはず。それどころか自分も弟子入りしようとするだろう。

 それに弟子入りした理由はもう一つ有る。それは目の前の少女を守ること。

 

「それでさっきの話だけど、この先の事を考えると柵は絶対に必要だと思う。あんまりこんな事は言いたくないけど、この国の上層部は当てにならないみたいだからね。」

 

 この国の貴族たちは腐っている。私腹を肥やす者たちばかりだ。というのはよく聞く話だ。

 それでもンフィーレアは自分の住むエ・ランテルやこの辺りの村は大丈夫だと思っていた。

 なぜなら王の直轄領だからだ。しかしそれは幻想だった。村は襲われ沢山の人たちが殺された。

 その中には小さい頃、自分に良くしてくれたエンリの両親もいる。

 

「でも戦士長って人は来てくれたよ? それに今年の年貢も減税してくれるって。」

 

 王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ。周辺国家最強と名高い戦士。

 平民から成り上がった彼は平民の為に戦う義の人ともっぱらの噂だ。

 

「村のために戦ってくれた戦士長様たちは信用してもいいと思うよ。でもその戦士長は魔法の武具――物自体が光ってるような装備はしてなかったんだよね?」

 

「たぶんそうだったと思うけど。」

 

 店に来る傭兵たちの話では、戦争で戦士長は王国に伝わる秘宝で身を包んでいると言っていた。

 なのに今回の装備は恐らく普通の武具。どう考えても嫌々出撃させたようにしか思えない。

 

(つまり王様は、この辺の村はしっかりした装備で送り出す程の価値は無い、と思ってるってことだよね。)

 

 年貢にしてもそうだ。減税すると聞けば一見慈悲深そうに思える。

 でも特産の無い村で数十人だけの収穫なんてたかが知れている。

 仮に税を1割減らしたのだとしても、お金にすれば銀貨で数十枚程度でしかないはずだ。

 

 今まで税金として毎年徴収しておいて、いざという時に助けず、村人が殺されてから銀貨数枚分を減税するだけ。それは果たして優しいと言えるのだろうか?

 

「エ・ランテルも墓地から大量のアンデッドが溢れ出して大騒ぎだったからね。」

 

「そっか、そっちも大変だったんだね。」

 

 祖母経由で聞いた話によれば共同墓地に巨大な穴があり、そこにアンデッドが沢山生まれていたという。しかし今まで全く気づかなかったというのはおかしな話だ。

 

(都市長様は立派な人だと思っていたけど違ったのかな。)

 

 実際は墓地の担当者が真面目にやらなかっただけ、なのかもしれない。

 しかしエ・ランテルは王の直轄地で3国が交わる超重要な街だ。

 なのにこんなことが起きるとなると、どうしてもこの国はもう駄目だと思ってしまう。

 ならば力のある人たちとコネを持つことは自分たちを……エンリを守ることに繋がるはずだ。

 

「ところで一つ聞いていいかな?」

 

「ん、改めてどうしたの?」

 

 ンフィーレアは改めてエンリの顔を正面から見つめ、彼女の真っ直ぐな視線に少し照れながらも質問を投げた。

 

「どうして君達はその……エンリまでみんな黒い色眼鏡(?)を掛けてるの?」

 

 エンリとゴブリン達はみんな黒い眼鏡を付けていた。

 来てからずっと気になっていたのだ。しかしなかなか言い出すことが出来なかった。

 

「ああ、これはヘロヘロ様からのプレゼントだよ。サングラスって言うんだって。付けると太陽が眩しくないの。」

 

「カッコいいでしょう? ンフィーの兄さん。外での作業が捗るんですぜ!」

 

「そ、そうなんだ。」

 

 ムキムキマッチョな男達を背後に従え、サングラスを付けて佇むエンリはどう見てもどこかの組織のボスにしか見えない。

 

(これなら八本指――王国最大の犯罪組織も逃げ出すんじゃないかな? うん、やっぱりモモンガ様たちの対応をするのは君で間違いないと思うよ。)

 

 武力的な意味でも威圧的な意味でも、現在この村で最強なのは間違いなくエンリだ。

 モモンガ様たちの相手の件も、もしかしたら村長さんはこの姿を見て譲っただけかもしれない。

 しかしそれを告げることは出来なかった。だって怖いし。

 

「ンフィーの分もあるよ? 付ける?」

 

「あるんだ……。じゃあせっかくだから貰おうかな。」

 

 ンフィーレアは諦めて渡されたサングラスを着用した。

 しかしその姿は細い体と長い前髪のせいで、全くと言っていいほど似合っていなかった。

 

 

 

 

 

■■■■■■

 

 

 

 

 

 村の外で一塊となってナニかを行っている3人がいた。

 

「ああぁ! モモンガ様ぁ! わ、私もう限界です!!」

 

「お、お姉ちゃんボクも! ボクももう駄目!!」

 

「んんんっ! 頑張れ2人とも! もう少し、もう少しだ!!」

 

 ナザリック地下大墳墓の支配者であるモモンガ、そしてダークエルフの双子であるアウラとマーレである。

 3人はそろって中腰になりながら、まるで割れ物を扱うかのような繊細さで腰の位置を調整していた。

 

「そ、そんな……これ以上なんてっ……!!」

 

「お、おねえちゃ~ん!!」

 

「よ、よし2人とも、そろそろイくぞ! さぁ一緒に!!!

 

 3人はおっかなビックリしながら手に力を入れる。大事なナニかを握りしめて。

 

「「「せーの!!」」」

 

 3人はそう言いながら千切れないよう絶妙な力加減で握っていた蔓を引っ張った。

 

「「「んああああああ~~~~!!!」」」

 

 すると地面から大きな芋が飛び出してきた。

 

「うわっ! すごいお芋ですモモンガ様!!」

 

「や、やったねお姉ちゃん!」

 

「おお、すごいのを掘り当てたな!」

 

 3人は現在、芋を掘っていたのだ。

 

「いやぁ、上手くヌけてよかったなアウラ。」

 

「はい!」

 

「マーレもご苦労だった。」

 

「あ、ありがとうございます。モモンガさま。」

 

 褒められた2人がエヘヘと喜ぶ。

 そんな2人をモモンガは優しいパパのような瞳で見る。

 

(フフ、来て正解だったな。ヘロヘロさんが急に『農業をやりましょう! 時代は野外プレイですよ!!』とか言い出した時は意味が分からなかったけど。アウラもこんなに喜んでるし。)

 

 農作業を習い畑を作ったのは朝方だ。

 だがまだ数時間しか経っていないにも拘らず、モモンガ達はすでに何度も収穫を行っていた。

 

 これはドルイドのクラスを修めているマーレのおかげだ。

 ドルイドとは森を始めとする自然に関する力を持つ祭司。

 今回はその魔法の中にある、植物の成長を早めるものを使っての促成栽培だ。

 ただし促進している間は常に魔力を消費し続けるので、そろそろ切り上げたほうが良いだろう。

 

「モモンガ様、次はどうします?」

 

「そうだな、今日はこの辺にしておこう。ソリュシャンと協力して帰る支度をしておいてくれるか?」

 

 はーい。と言いつつ2人は収穫物を1箇所に集める為に離れていく。

 

(やってみると農業もなかなか楽しいな。それに飲食出来るようになったから、帰ったら収穫したものを料理して食べれるし。楽しみだなぁ。)

 

「お疲れ様ですパパンガさん。どうです、上手くいきましたか?」

 

 そんなモモンガに、少し離れて3人を見守っていたヘロヘロが話しかける。

 

「あっ、ヘロヘロさん。おかげでアウラもだいぶ気が楽になったみたいです。あとその呼び方は止めてください。」

 

「そうですか、それは良かった。でもどうみても休日のパパさんでしたよ。」

 

 ただしすでに5股してる上に先の2人も近い将来に食べちゃいそう(意味深)なパパさんだ。

 

「それでンフィーレア君はどうだったんですか?」

 

「結局は弟子って形で確保しました。報告書にもありましたけど、あの子のタレントは危険ですからね。」

 

「どんなマジックアイテムでも使えるって、ならギルマス専用の武器も使えるんですよね。」

 

 つまりアインズ・ウール・ゴウンのギルド武器も使えるということだ。

 下手をすればギルドの乗っ取りすら可能なため、とても放っておく訳には行かない。

 

「話が本当ならそうでしょうね。それがポーション程度で確保できるなら安いものです。それと今住んでるエ・ランテルって街がやばいらしくて、この村に引っ越してくるとも言ってました。」

 

「あ~、確かアンデッドが何千体も溢れたんでしたっけ? そりゃ住みたくないですよね……」

 

「実際は恐怖公がズーラーノーン――犯罪組織が作っていた低レベルのアンデッドを放置したせい……つまり半分はボクたちのせいですけどね!」

 

 最初の調査で分かったことだが、エ・ランテルではズーラーノーンが5年もかけてアンデッドを溜め込んでいた。その首謀者達は恐怖公が捕まえて捕虜にしたが、しかしレベル10以下のアンデッドは放置してしまったのだ。

 

「あくまでボクの想像ですけど、きっと恐怖公は被害が出るなんて思わなかったんでしょうね。」

 

 その証拠にスケリトル・ドラゴンのようなレベル10超えはしっかり退治されている。

 それにズーラーノーン自体はいなくなったのだから、アンデッドが溜め込まれた穴はすぐに見つかると思ったはずだ。あとは穴から油でも流し込んで火をつければ簡単に一網打尽にできる。

 

 しかし悲しいかな、実際は溢れるまで誰も気づかなかったようだ。

 

「おかげで街の上層部は責任の押し付けあいで大変らしいですよ?」

 

「それはそれは。ぐだぐだになってそうですね……」

 

 ほんとは全てズーラーノーンのせいなのだが、そいつらは恐怖公が秘密裏に確保してしまった。

 結果、残ったのは()()()()したと勘違いされた大量の雑魚アンデッド。

 そしてそれらが居た穴はどうして放置していたのか、という責任問題だ。

 

「まぁ都市の経営なんて俺らは一生関わらないでしょうから放っときましょう。それよりも農業って意外と難しいですね。最初は何度もヌくのに失敗しちゃいましたよ。」

 

「ボクら力がありすぎてすぐ蔓が千切れちゃいますから。いきなり完璧に出来る方が珍しいですよ。まぁ失敗を繰り返してデータを積み上げるのも大切ってことで。」

 

 ヘロヘロはそう言いつつ首に巻いた白いタオルで汗を拭う振りをする。

 今回こうしてモモンガをココに誘ったのはヘロヘロだ。

 

 最初はモモンガが救った村だと聞いていたので、てっきり異形種もOKだと勘違いして素のまま来てしまい驚かれた。

 それでも最終的に村の人たちには受け入れられ、モモンガに告げていた目的、アウラの気分転換は無事に成し遂げることが出来た。

 

 しかしヘロヘロにはもう2つ考えていたことがあった。

 一つは先程言ったンフィーレアという少年の確保。

 そしもう一つは農業によるユグドラシル金貨の獲得である。

 

 鉱物を金貨に替えることには成功した。

 最初は掘りすぎて鉱山が崩れてしまった。だが使った道具やゴーレムはなんとか回収出来た。

 さらに近くに別の鉱山、それもオリハルコンが掘れる山があった為、現在はそっちに場所を移して作業を進めている。

 

(まぁ失敗は成功の母っていうし。それにボクの経験からすれば一度で上手くいく方が怖いからなぁ。)

 

 もし組んだプログラムをテストしてバグが出なかったらどう思うだろうか?

 一般人なら『すごーい! 完璧なプログラムなんですね!』なんて喜ぶだろう。

 しかしプログラマーは違う。

 ああ、見つけきれないほどやばいバグが潜んでるんだな……と思うのだ。

 

 むしろ失敗しない方が不安になる、それがプログラマーという職業だった。

 

(だから最初に失敗しちゃった鉱山のことはモモンガさんに言う必要はないよね! 掘りすぎて地上部分が全部崩落しちゃったみたいだけど。でも死人は出なかったみたいだし、次の鉱山は上手くいってるからセーフ!!)

 

 しかし鉱物は掘れる箇所が限定されてしまう。そこで目をつけたのが農作物だ。

 鉱物と同じようにエクスチェンジ・ボックスでユグドラシル金貨に変わるが、こちらは畑を広げれば幾らでも収穫量を増やすことが出来る。

 ただしナザリックには農作業の経験者が居なかったので、こうしてカルネ村まで習いに来たのだ。

 

「ボクとしては収穫まで漕ぎつけたので成功です。あとは帰ったら墳墓の6階層にも畑を作りましょう。それからもうこの辺も全部畑にしちゃっていいですよね?」

 

「別にいいんじゃないですか? 村の人達は誰も使ってない土地だって言ってましたし。でも税とか大丈夫なんでしょうか?」

 

「なんか収穫期に徴税官が来るらしいですけど、その前にマーレの魔法で成長を早めて収穫しましょう。そうすれば税を払えなんて言われないはずですよ。」

 

「じゃあ問題ないですね。とりあえずしばらくはアンデッドをフル稼働させておきますね。」

 

 モモンガの指示をうけ、連れてこられたアンデッド――20体のデス・ナイトが担いでいた鍬を振り下ろす。デス・ナイトたちは崇高な主からの命令に喜び、ウキウキしながら土を耕していく。

 

「ところで話は変わりますけど、チンチンのムラムラは大丈夫ですか? さすがにこんなところで、コンニ☆チンチン! なんて嫌ですよ? こんなふうに。」

 

 ヘロヘロは両手を腰に当てるとさらに3本目の触手を股間から生やし、ソレを強調するように後ろに仰け反った。さらに生やした触腕を波のようにプルプルと揺らす。

 

「ちょっ何やってるんですかw」

 

「えー、誰も見てないし別にいいじゃないですかw」

 

 そんな事を話しながら2人は残った芋を引き抜いていく。

 

「ムラムラならもう大丈夫ですよ。最近やっとコツを掴みましたから。それに夜はアルベドたちのおかげでしっかり解消出来てますし。」

 

「はっはっはっ。もう完全にリア充ですねモモンガさん。異世界でハーレムなんて、ペロロンチーノさんがいたら殴られてますよ? レミリアさんにお礼言わないと。」

 

 モモンガがハーレムを築くことに成ったのはチンチンが生えたからだ。

 そしてモモンガにチンチンを生やしたのはレミリア。つまり彼女こそモモンガハーレムの立役者と言える。

 

「いやそれはちょっと。言ったら逆ギレしてチンチン取り上げられちゃいそうなんで。」

 

「……言われてみれば確かに。レミリアさんならもう一つぐらい流れ星の指輪(シューティングスター)を隠し持っててもおかしくないですね。」

 

「ですよねー。」

 

 成り行きとはいえ、すでにモモンガは5人の女性に手を出してしまっている。

 いまさら夜の相手が出来なくなりました、なんて言ったらどうなるのか?

 

(プレイアデスの3人は大人しく引いてくれそうな気がするんだけどな。)

 

 しかしアルベドとシャルティアは分からない。

 

(アウラを遠慮なくボコボコにしてたし、もしかしたら俺もヤられるかもしれないな……)

 

 そう考えると絶対にチンチンを失うわけにはいかない。チンチンこそが生命線だ。

 

「最近、廊下ですれ違うとレミリアさんが睨んできて怖いんですよ。」

 

「ただの嫉妬でしょうから放っとけば収まるんじゃないですか? さすがに寝取りは自重すると思いますよ。まぁアイテム使って何かやってくるかもしれませんけど。」

 

「出来ればもうちょっと考えて行動してほしいんですけどね。課金アイテムはもう補給出来ないんですから。」

 

 学歴だけ見れば、モモンガは小卒。対してレミリアは大卒であり、さらに現役の高校教師だ。本来ならもっとも教養があるはずなのだ。

 

「『体育教師が数学や理科なんて分かるわけないでしょ! 私の専門は女の子と性知識よ!!』 ですからね。」

 

「ボクが言うのもなんですけど、役に立ちそうで役に立ちませんよね……」

 

「レミリアさんが微妙に役に立たないのは昔からですよ……」

 

 保健体育といえば思いつくのはアウラとマーレの性教育だが、しかし間違ってもあんな性癖の人に任せるわけには行かない。しかし専門の科目が駄目とくれば、一体何を任せればいいのか。

 

「まぁあまり気にしなくていいと思いますよ。最近はレミリアさんも大人しいですし。」

 

「敵(?)に洗脳系のワールドアイテム持ちがいるって分かりましたから。さすがのレミリアさんでも考えなしに外出はしないですよね。」

 

「はっはっは、そうですよね! じゃあボクらもとっとと帰りましょう。」

 

 もはやココでの目的は全て達成した。あとは育てた芋を全て引き抜くだけである。

 

「あとちょっとキモいんで仰け反ったまま股間の触手で芋を引き抜くの止めてくれません?」

 

「おっと、しつれい。ではお尻から生やしましょうか。」

 

「ちがう。そうじゃない。」

 

 そんな2人の周りではデス・ナイトたちが黙々と畑を広げていた。

 

 どこまでも、どこまでも……

 

 ――村から見える範囲が全て畑に変わったのはこれからたった3日後のことだった。




王様「村が襲われた? かわいそうだから減税したるわ」
村人「あの、生き残りって数十人だけなんですけど……」

王様「他の支援は無いんですまんな。あっ、戦争も来なくていいぞ。」
村人「あの、生き残りってほとんど女子供老人だから元々出れない……」

遅れて来た上に装備は適当な戦士団→きっと嫌々出撃させたんやろなぁ
見回りしてたはずがアンデッド溢れ→ふざけんな、しっかり仕事しろ

事情を知らない人から見れば多分こんな感じになるんじゃないかなって。
とくに2つ目はズラノが秘密裏にナザリック送りされてるんで責任問題不可避。

どっちにしろ遅れてくる&カジッちゃんに5年も気づかない、なんて駄目そうですけどね!
という訳で日常回&一般人から見た王国の現状でした。
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