こんな頭がおかしな話に温かい感想が多くて嬉ションしそうです。
それとタイトルに黄金とありますがラナー王女は関係ありません。
最後の試合に決着が付いた。
武王は敗れ、闘技場には新たな王者が誕生した。
『皆様、今一度、挑戦者にエールを! 闘技場の新たなる王者、9代目武王の誕生です!!』
『まさかこんな展開になるとは。すごく嫌な勝ち方でしたが、それでも勝ちは勝ちですね。』
試合が終わり、ゴ・ギンと呼ばれたトロールがゆっくり起き上がる。
対して勝った挑戦者、聖騎士ヤリステーノは私のバフが切れた瞬間、まるで糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
『闘技場の歴史に残る一戦でした。ところで今回の戦いで挑戦者が新しい武王となったわけですが、もし二つ名が付くとすればどうなると思いますか?』
『そうですね、恐らく「最低王」、もしくは「ヤリ捨て王」でしょうか。……いや、やはりここは最後の攻撃から取って「珍王」でどうでしょう?』
観客は大いに喜び、闘技場は歓喜に包まれている。そんな時である。
「お二人ともちょっとよろしいですか?」
「「えっ」」
最前線で歓声を上げていた私たちは急に声をかけられ、同時に後ろへと振り返った。
「失礼、少し聞きたいことがございまして。」
そこにいたのは顔の半分を髪で隠した女性騎士だ。
思わず上から下までじっくり見てみれば中々の美人だった。
おっぱいは鎧を着ているせいでちょっと判断がつかないが、少なくとも貧乳ということは無いだろう。
しかもその鎧も他の騎士より確実に高価な物のように見える。恐らく高い地位にいるのではなかろうか。
「なんでしょう?」
私の代わりに咲夜が答える。
「さきほど闘技場専属の
そんなに魔法使ったっけ? ……あっ。
「なにか心当たりがありませんか?」
「「知らない。」」
女騎士の問に2人揃って真摯に答える。
えっ、咲夜が掛けてたバフ? なんのことですかね??
だってバレなければイカサマじゃないって、復刻されたジョ○ョのバービーさんが言ってたし。
あと私のバフは魔法じゃないからセーフ!!
「貴方もなにも知らないわよね?」
「はい、私はなにも知りません。」
念の為に隣の女の子に魅了の魔眼を上書きし、私たちのことを答えられないようにする。
それから私たちは急いで帰る支度を整えた。
とにかくギリギリの戦いだったが勝ったのだ。ならばもはや長居は不要である。
「帰りますのでこれで失礼しますね。」
「えっ、ちょっと……」
私たちは女騎士に別れを告げ、そそくさとこの場を後にした。
■■■■■■
「残念ですが、ここで換金することは出来ません。」
ニコニコ笑顔で受付に行った私たちを待っていたのは係員の冷たい言葉だった。
「ほんとうに申し訳ありません。」
受付の人が心から申し訳無さそうに頭を下げる。
しかし話を聞いてみるとそれもしょうがないと思えた。
だって私たちが勝った額は金貨200万枚だ。流石にここにありませんと言われれば納得するしか無い。むしろ置いてあったほうがびっくりである。
問題はその後に訪れた銀行だった。換金を求める私たちに対して、『確認を取る』だの『私の一存では』だの、何時まで待っても話が進まない。
しかも黙って聞いていれば相手は徐々に調子に乗り出し、挙げ句には換金に1ヶ月はかかるなどと言い出す始末。
もはや出来るだけこの件を引き延ばそうとしているのは明白であり、そこにはどうにかして支払いを有耶無耶にしたいという意思が透けて見えていた。
しかしそんな事は許されない。どんな理由であれ賭け金1万枚をオッズ200倍で受けたのだ。ならば何がなんでも払ってもらう。そう、絶対に。
「分かったわ。そちらがそういう態度を取るなら、こちらも好きにさせてもらいます。」
そんな訳で埒が明かないと判断した私は直接的な手段で換金することにした。
「準備は?」
「抜かり無く。」
いったん馬車まで戻ると私たちは魔法とアイテムを使って透明化。
それから改めて銀行に入ると、金庫へ続いていると思われる道――警備が厳重な方――を進む。
通路の途中には全身にマジックアイテムを装備した騎士が複数待機しており、さらに分厚い円形の扉が3回もあった。
咲夜に魔法で調べさせたところ、扉には複数の魔法が掛かっており、手順を踏まずに触れば何かしらの魔法が発動する可能性が高いということだった。
「少々お待ちを。」
しかし私たちにとってその程度の障害は問題にならない。
特に咲夜は時間と空間に特化したレベル100の魔力系魔法詠唱者だ。攻撃系の魔法はほとんどないが、こういう移動系にはめっぽう強い。
私たちは進むだけ進むと透明化を解除し、待機していた騎士をあっさりと全員昏倒させる。
そして咲夜が扉の
「<
すると壁は一度波が起こったように揺れ、その中に透明な、咲夜と指定した人物だけが通れる秘密の抜け道が出来た。
私たちは出来たばかりの抜け道を通ることで扉には指一本触れることなく先へ進む。あとはこれを2回繰り返すだけ。
それで何の問題もなく金庫の中へとたどり付いた。
「ここがあの女のハウスね。」
「あの女?」
私はギャルゲネタ発言へ律儀に相槌を入れる咲夜をスルーし周囲をぐるっと見渡す。
明かりの類は全く見当たらなかった。恐らく外から何らかの操作が必要なのだろう。
しかしここに居る者はみんな暗視能力を持っているため問題は無い。
そこは驚くほど広く、無数の財貨が綺麗に整頓された状態で置かれていた。
特に目を引くのは中央に飾られている品だ。
「へぇ、いい趣味してるわね。」
それは黄金で出来たチンチン。
太さは直径10cm、長さはおよそ30cmもあるだろうか。それはまさに巨珍といった出で立ちだ。
「これは……マジックアイテム!?」
私に続いて咲夜が驚きの声を上げる。
よく見ればそれは内側から光を放っているようにも見える。それはつまり魔法が込められているということ。
一体何のためにこんなものを作ったのか? もしかして最終試合に出てたゴ・ギンというトロールから型をとったのかな? それで銀行に寄付してしょうがなくココに飾られてるとか?
そう考えるとこの国も業が深い。深くない??
「持って帰っていいかな?」
「止めたほうがよろしいかと。もしかしたら
……ちっ! だが中古品の可能性を指摘されれば持って帰るのは諦めざるを得ない。それによく考えれば私にはもう七色のチンチンがあるのだ。いまさら金色のチンチン程度は必要ない。
「シャドウデーモン、出てきなさい。」
「はっ!」
と私が声をかければ、返事をしながら影から10体の悪魔、シャドウデーモンがウニョウニョと飛び出してくる。
「この袋に限界まで白金貨を詰めろ。できるだけ新しいものを選ぶように。」
「かしこまりました。」
私はアイテムボックスから袋を取り出し、姿を見せたシャドウデーモンへ白金貨を詰め込むように指示する。
つまり白金貨1枚の重ささえ分かっていれば、あとは袋に限界まで詰めるだけでいい。そうすれば一々数えなくても枚数が分かるということである。
さらに空の袋は複数個、カロリックストーンを作るためくっそ重い鉱石を持ち帰るのに使っていたものが沢山あるので、いちいち満ぱんになる度に<
個人的にはここにある全てを持って帰っても良い気がするが、しかし流石にそれは止めておいた。やってしまうと自分の中の枷――自重など――が外れそうで怖かったからだ。なので回収は闘技場の勝ち分のみで止めておく。
それから私が部屋の中央で優雅に佇んでいると、デーモンたちはすごい勢いで白金貨を袋に仕舞っていった。1袋、2袋、3袋……あっという間に袋が一杯になっていき、驚くほど短い時間で作業が完了した。
「終わりました。」
「ご苦労。あとはこれをっと……」
私はシャドウデーモンが差し出す袋を回収すると、
これでなぜ金貨が無くなっているのかすぐ理解出来るだろう。
「よし、これで換金は終了ね。じゃあ帰りましょうか。」
■■■■■■
そうして咲夜の魔法により私たちは馬車へと戻ってきた。
だがしかし、馬車に乗り込もうとする私に一人の女の子の姿が目についた。
よく見れば、そこに居たのは第2試合で意味のない白濁液を全身に浴びていた魔法少女のアルシェちゃんだった。
それが両手と膝を地面につき四つん這いになって涙をこらえている。なにこれ? 誘ってるのかな? 無茶苦茶にしてくださいってこと? もう押し倒してもいいよね?
と私はそう思ったのだが、しかしこっそり聞き耳を立ててみれば、「借金……期限……ごめんなさい……クーデリカ、ウレイリカ……」などという怪しい単語が聞こえてくる。まさか借金系の魔法少女調教物!??
「如何なさいますか?」
「連れてきて。」
「かしこまりました。」
気になった私は咲夜に頼んでアルシェを馬車の中へと引き込んだ。こんなカワイイ子をこのままにしておくなんて私には出きない。ほんとだよ?
「あの、私……」
「試合に出てたおねーちゃんだー!」
咲夜に連れられて馬車に入ってきたアルシェに対し、私は幻術で9歳ぐらいの幼女――フラン――になってることを利用して正面から抱きつく。
くぅー、いい匂い! 年ごろの女の子の甘い匂いと戦いの汗が混じった香りは、私の心のチンチンをニョキニョキと勃起させていく。
「どうしたのー?」
質問しながら更に強くアルシェに抱きつき、顔を胸に埋めて左右にスリスリ。ん~、この感じはCに届かないぐらいかな? しかし私の勘によればまだ成長の余地は有るように思える。
そうして馬車の中で話を聞いてみれば、なんでも急に銀行の業務が停止になったらしい。
そのせいで金券版――この国での小切手のようなもの――の交換が出来ず困っていたとのこと。
なんということだろう。私たちにあんな対応をとった挙げ句に業務すら満足にこなせないとは。
公人の自覚がないのではなかろうか?
(いや、これどう考えても私たちのせいですよね。)
私の発言に咲夜がツッコミを入れるが、私には何も聞こえない。
「そう、それは何があったのかしらね。」
そのまま相槌は咲夜にまかせ、私はアルシェの胸へと顔を押し付ける。
さらに見つけ出した乳首の位置に併せて鼻先でのグリグリを開始。
「それで今日中に金貨が手に入らないと困るわけね?」
「んんっ! そう……ですっ! はぁっ……」
そうしてスリスリとグリグリを繰り返せば、アルシェの声には甘いものが混じってきた。
年頃の少女が快楽に戸惑っている姿はどうにも情欲を掻き立てる。いいぞ~。
「ふーん、お姉ちゃん大変なんだー。」
だんだん我慢できなくなってきた私は両手を添えておっぱいを揉む。
そのまま幼女が戯れてる様を演じながら未成熟な果実をモミモミしていると、徐々にアルシェの乳首が存在を主張してくる。キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
「どうするフラン?」
すると唐突に咲夜が私に話を振ってきた。恐らくこの辺にしておいた方がいいということだろう。もしかしたら若干、嫉妬も入っているのかもしれないが。しょうがないにゃぁ。
「うーん、じゃあ私たちが換金して上げる。
「しょうがないわねぇ。」
まぁたまには人助けもいいだろう。
咲夜は驚くアルシェから金券版の額を聞き出すと、回収に使っていた袋から同じだけの白金貨を取り出してアルシェの手へと握らせた。
「じゃあ私たちはもう行くから。お姉ちゃんも頑張ってね!」
「えっ、あの……」
そうして驚くアルシェを降ろし、私たちは馬車を出発させる。
整備された道を進む馬車の小窓から外を見れば、すでに暗くなり始めた空にはちらほらと星が輝いていた。
それはこの私の心、恐らく吸血鬼になったせいで人間(カワイイ女は例外)に情が湧かなくなった、にも綺麗だという素直な感情を湧き立たせる。
「暇になったらまた遊びに来ましょう。」
「はい。レミリア様が望むのでしたら何時でも。」
それにしても、この世界の空はすごい。
しばらく馬車を走らせ周囲の明かりが少なくなってくると空の星は更に数をまして輝き出した。
その星空を見ながら私は考える、一緒にこの世界にきた2人ならどんな事を思うのだろうか。
魔王のくせに意外とロマンチックなモモンガなら『宝石箱みたいだ』なんて事を言うだろうか。
ヘロヘロなら『あれ全部メイドだったら絶頂しちゃいますよ~、でもチンチンが足りなくなっちゃいますね~』なんて言うかもしれない。
「帝国、楽しい国だったわ。」
賭けでの大勝、胸の谷間からアイテムを出す、幼女になって女の子に悪戯と、リアルでやりたいと思っていたことが色々出来た。おまけに最後は人助けで締められたのでとても気分がいい。
すぐに帰るのはもったいないと思った私は満足するまで馬車を走らせ、十分に星空を堪能してからナザリックへと転移した。
「おかえりなさい、レミリアさん。」
「えっ……」
ナザリックの自室のドアを開けると、そこにはこのギルドの長。髑髏の魔王様がまるで全てを振り切ったかのような堂々とした姿で椅子になったシャルティアに座っていた。
さらに斜め後ろに控えているメイドが一人。恐らくユリ・アルファだろう。
……なにこれ? 私の頭が混乱する。吸血鬼である私は精神作用は無効のはずだ。なのに時間が経つほど混乱は深まるばかり。
どうして私の部屋に勝手に入っているのか? 何かあったのか? ていうか部下とはいえユリの頭をチンチンケースに使うのは流石に酷いのでは? それとも、もしかしてそんな事が気にならないほどの緊急事態なのだろうか? あと椅子のシャルティアはぁはぁうるせぇ。
混乱した私はそんな事をつらつらと考えつつモモンガに質問しようとするが、しかしそれよりモモンガが口を開くほうが早かった。
「チンチンとパンドラの件です。まさか忘れていたなんて言いませんよね?」
「……あっ。」
それを聞いて私は今日出かけていた理由を思い出す。もう完全に忘れていた。だってすごく楽しかったんだもん。
「何か言い残す事はありますか?」
モモンガは私に最終勧告を告げてくる。
その姿からは魔王としての貫禄が溢れ出ており、背景にチュパチュパ音とハァハァ声が響いていなければ私ですらビビってしまっただろう。
しかし私は同時に思い出した。
それはぶくぶく茶釜が『男(弟)には特攻だぞ☆』と言っていた魔法の言葉。
投げかければ全ての男性は恥ずかしさとともに下を向いて黙り込む。
そう、一言で全てを許される。まさにこういう時の為の言葉だ。
「昨日はお楽しみでしたね!!」
「<
モモンガの魔法によって私の二つのオッパイが急拡張する。
メロンのようだったそれはスイカになり、かぼちゃへと変化し
――ついに内側から弾け飛んだ。
「レミリア様ぁ!!!!」
咲夜の悲鳴が聞こえてくる。しかし私は薄れゆく意識の中で別の事を考えていた。
茶釜――これ、魔王には効かないじゃん……
■■■■■■
氷のように静かで冷たい部屋があった。
バハルス帝国の帝城、その中にある皇帝の執務室だ。
普段なら熱気が漂い、国の重要な政策について話し合いが行われる場所であるが、しかしこの日は逆に静かで重苦しい雰囲気に包まれていた。
そんな部屋の中でもっとも豪華な椅子に腰掛けるのは今代の皇帝である。
数々の粛清を断行したことで鮮血帝の異名を持つ皇帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスは部屋の者たちをゆっくりと見渡す。
そこには今回の件で集められた大勢の者たちの姿があった。
集められた者たちは大きく2つに分けられる。
片方はジルクニフの後ろに立っている者。今回の件の調査を行っていた内政官達。
そしてもう片方は前方で顔を真っ青にして伏している者。闘技場と銀行、そしてその守備に関わる者たちである。
ジルクニフは呼び出した全員が揃ったことを確認し口を開く。
「では順番に報告を聞こう。」
「1つ、なぜ200倍なんてトチ狂ったオッズを付けたのか?」
「2つ、なぜ金貨1万枚なんて賭け金を受けたのか?」
「3つ、関係していると思われる女2人の行方は?」
「そして4つ、なにより」
「――なぜ、払う前に止めなかった!!!」
バンッ! と執務室に大きな音が響いた。それは皇帝が右手を目の前のテーブルへと叩きつけた音だ。
その姿に周囲の者たちは――伏していた者たちは更に――顔を青ざめる。
鮮血帝という名で知られるこの皇帝は滅多に声を荒げたりしない。
今まではどんなときだって氷のような冷たさで淡々と処分を下してきた。
それが声を荒げ、怒りをテーブルに叩きつけている。つまり今回の件はそれほど腹に据えかねてるということだ。
「金貨200万枚! 金貨200万枚だぞ!! 分かっているのか!? これがどれほどの損失か!!!」
その言葉に周囲の者、特に財務の関係者が一斉に嫌な顔をする。
それもそうだろう、金貨200万枚とは国という大きな枠から見ても無視することは出来ないほどの膨大な額だ。
仮に騎士の給料を平均月金貨4枚だとすれば、約4万人を1年間も養えるだけの額が丸々無くなったことになるのだ。これで笑っているような頭の軽い者はこの部屋には居ないし、もし居たとしても即座に目の前の鮮血帝によって首を刎ねられ居なくなるだろう。
「ということで全員、私がどれほど頭に来ているかは理解できたな? では報告を聞こう。ロウネ。」
「はっ! では現在分かったことを報告させて頂きます。」
鮮血帝にロウネと呼ばれた男、皇帝の秘書官であるロウネ・ヴァミリネンが前に出る。
「まずはオッズと賭け金からですが、関係者から聞き取りを行った結果、伝統だということが分かりました。」
「伝統だと?」
そんなのあったか? と記憶を思い出そうとするが、しかしジルクニフが思い出すよりもロウネの説明のほうが早かった。
「はい陛下。始まりは帝国暦30年の頃です。今回と同じような催し――公開処刑――がありました。その時に帝国の歴史を知らしめるという意味でオッズに帝国の建国年数が使われたそうで。あとは同じような催し物が起こる際にそれに倣い、何時からか伝統になったそうです。」
「ではなにか? 今年が帝国暦200年だからオッズも200倍にしたと?」
「そのようでございます。」
なんだそれは。とジルクニフは思うが、今はそれを言っても話が進まない。しょうがなく顎をしゃくって先を促す。
「それから賭け金の方です。まず最初に報告しておかなければならないのは、今までは賭け金の制限はしていなかったということです。」
「これは怠慢というわけではなく、そもそもが大量の金貨を持ち込もうとした場合は目立ちます。そしてそんな事をするのは貴族か大商人のどちらかでしたので、闘技場に入る際に専門の人員が付いて対応――賭けを止める――ことになっていたようです。」
「さらに調べた結果、過去に何度か今回以上の金額が賭けられたことがございました。例としては貴族同士の代理闘争などです。なので今回の賭けについてもそちらと勘違いして受けたのではないかと思われます。」
「そうか、ではそんな詰まらない伝統と勘違いでこれほどの損失を出したのだな。」
そう言いつつもジルクニフは頭の中の一部では仕方ないかと考えていた。
闘技場は皇室の直轄であり、昔からそのままということは代々の皇室が認めていたということ。
普通なら目をつけられる可能性を考え、わざわざ進言などしようと思わないだろう。
むろん、それはそれとして関係者共には責任をとってもらうが。
「最後に今回の件を引き起こしたと思われる者たち、そして支払った者ですが……どちらもおりませんでした。」
「ん?」
どういうことだ? と目で問いかければ、それを理解したロウネが報告を続ける。
「緊急事態ということで帝国魔法省の方々の手を借り、魔法まで含めた調査を行いました。しかしパチュリーとフラン、この2人については帝国の名簿および入国記録のどちらにも記載が無く。さらに銀行で支払いをした者はおりませんでした。」
「どういうことだ?」
「はっ、それがその……結論から申しますと、先の2人は不法入国。そして金貨の方は直に金庫から持ち出されたのではないかと……」
「はぁ?」
ジルクニフは驚きの声を上げる。それはこれが本当なら由々しき事態だからだ。
「つまり何か、今回の犯人は帝国魔法省が技術の粋を集めて作った銀行の金庫へ勝手に出入りし、さらに気づかれること無く金貨を持ち出したということか?」
「あくまで現状の調査から考えた場合ですが、おそらくは。」
なんだそれは。それが本当なら奴らはこの国のどこだろうと自由に入り込めることになってしまう。それは断じて許していいことではない。
「しかしご安心下さい。先代の皇帝の遺産、『黄金のチンチン像』は無事でございます。」
「そんな事は聞いていない!!!」
さらっと告げられたどうでもいい報告を聞き、ジルクニフは思わず声を荒げる。
黄金のチンチン像……前皇帝が酒で酔って作るのを命じてしまったという負の遺産だ。
個人的にはとっとと崩して金貨に変えてしまいたいのだが、ご丁寧に魔法化まで行われているためそれも出来ない。
本来なら帝城内の国庫に保管しておくべきなのだが、ぶっちゃけ見たくなかったので無理矢理に銀行に押し付けた品である。
ちなみに効果は単純な筋力の上昇だ。何のためにこんな魔法を込めたのか? 持って殴れとでもいうのか?? チンチンで???
「つまり現状では大事な部分は何も分かっていないということだな?」
「大事な部分……チンチンだけに、ですね。」
「おい。今ふざけた発言をしたものをつまみ出せ。」
不用意な発言を行った内政官の一人が、騎士によって部屋から外へ放り投げられる。
その光景を見ながらジルクニフは思考する。
あまりにも分からないことだらけだ。
その2人はどこから来たのか? なぜ武王は負けたのか? どうやって金庫に入り込んだのか?
今回の件はこれらを1つずつ紐解かなければ全体像は見えてこないだろう。
しかし解けるのか、と言われれば恐らく無理だという予感がする。
更にこの損失をどこから補填すればいいのか?
もし補填出来ないとすれば催し物等の費用を下げるしか無いだろうが、しかしその場合は関係する全ての計画の見直しが必要になる。
その手間を考えるだけで頭が痛くなりそうだった。
しかし今はできる限りのことをやるしかない。
「とりあえずオッズに帝国歴を使う伝統は廃止。それと賭け金に制限を設けろ。どれぐらいが妥当かはお前たちで考えろ。それからフランとパチュリーという女の2人組を指名手配しておけ。懸賞金付きでだ。この件は帝室の威信などと言ってる場合ではない。」
「はっ、すぐに似顔絵付きの指名書を作り、各所に配布いたします。」
今やれることはこれぐらいだろうか。
そうしてこれ以上に出来ることがないか考えていると、再びロウネが口を開いた。
「陛下、銀行の件ですが進展がございました。今来ました<
「ほう! 確かか? しかしどうやって他の物と区別したのだ?」
それを聞いたジルクニフの顔が今日はじめて笑顔へと変わった。
無理そうな事件が急に進展したのだ。喜ぶなというのは無理な相談だ。
「はい、実は今回盗まれた物の中の1/3は再鋳造する予定の物でした。つまり鋳造に失敗した金貨です。見るものが見ればはっきりと分かる違いがございまして。使われた際に不審に思ったのか、店の店主が通報してきたとのことです。」
「なるほど。これほど大胆に盗みを働いておきながら最後に墓穴を掘ったな。おまけにこの帝国で使っただと?」
どれだけコチラを舐めているのか。
ジルクニフの顔から再び笑顔が消える。
あと残ったのはどんな手段を使ってでも情報を吐かせる、そんな漆黒の意思を宿したような表情だった。
その顔をみて部屋の全員が理解する。もし使った者が素直に話に応じなければ、ありとあらゆる拷問が行われることになるだろうことを。
「それでその使った者の名前は? 調べは付いているのか?」
「はい、すでに名前も分かっております。その者は……」
「アルシェ・イーブ・リイル・フルトという娘です。」
その日、貴族位を剥奪された家の娘が銀行強盗で捕まったという噂が帝都中を駆け巡った。
アルシェ「これでしばらく時間が稼げる!」
帝国騎士「それ盗まれた金貨だから。たいーほ!!」
アルシェ「えっ……」
ぶくぶく茶釜「昨日は(オナニーで)お楽しみでしたね。」
ペロロンチーノ「orz」
アルシェちゃんが捕まりました。でも大丈夫、正直に話せば酷いことにはならないよ!(たぶん
・オマケ@ボツにしたオチパターン。
「それと最後に闘技場の司会と実況から質問が来ております。」
「なんだ? 司会と実況だと……?」
ジルクニフは一体どういうことだ、という思いを懐きながらロウネに対して先を促す。
「はい、それが……9代目武王の二つ名は『珍王』でよろしいですか?、と」
「勝手にしろ!!!」
ジルクニフは手に持っていた書類を握りつぶし、そのまま床へと投げつけた。