ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)  リメイクver   作:蜜柑ブタ

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マトリエル編、前。



風間が護衛の仕事でネルフに。



シンジとレイの交流は、いじれなかったのでそのままコピーペーストしました。



第十二話  風間、ネルフにて

 

 浅間山で使徒サンダルフォンが見つかり、火山国の日本への影響を考えて浅間山ごと破壊されまいと命を懸けて陣をしいた。

 ところがゴジラは、轟天号に乗るゴードンの機転で無理やり蛹から出てこなくてはならなくなって火山から飛び出してきたサンダルフォンを機龍フィアと共に殲滅すると、特に暴れることなく潔く海に返ってしまった。

 気を張ったのが馬鹿らしくなるゴジラの気紛れもうそうだが、浅間山を防衛するために出撃していた改良を重ねていたスーパーX2のファイヤーミラーが今のゴジラの熱線に耐えられず何機かを撃ち落された。

 量産型のこのスーパーX2には、地球防衛軍所属の技術開発部でツムグのDNAコンピュータのその他兵器への搭載を推していた開発チームが、ツムグのことを理解しないで搭載した小型のツムグのDNAコンピュータがあり、破壊されるたびにツムグに大きな影響があり、そのせいでツムグが暴走寸前になる事件を引き起こしてしまった。

 開発チームと、DNAコンピュータを応用する開発を許可した上層部の大失態であった。

 DNAコンピュータのその他兵器への応用の開発は凍結。開発チームも解散となり、兵器開発の大幅な見直し、更に技術開発部の評判が悪くなってしまったり、ツムグの処遇について反対派が増えたりと混乱が広がった。

 

 それから何週間もの間、使徒は出現せず、ゴジラも第三新東京に現れることなく、ふとすると緊張感がなくなりそうな平穏な日々が過ぎていっていた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 シンジは、なぜ今自分はこういう状況になったのだろうと考えていた。

 天気は快晴。セカンドインパクトの影響で年中夏の日本であるが、今日は実に良い風か吹いている。

 地球防衛軍の基地の庭。正確には違うのかもしれないが、柔らかい芝生の広い敷地がある。

 シートを敷いて、大きな日よけ傘で紫外線と直射日光を避け、バスケットを開けて、そこに入れていた水筒とキュウリと人参と果物の三種類のサンドイッチを広げている。肉類は一切使ってない。ただしバターなどの乳製品はパンに水分が沁みないようにするために使っている。

 シンジの隣には、両手でサンドイッチを持ってもくもくとサンドイッチを食べている綾波レイがいる。

 実は野菜と果物のサンドイッチをリクエストしたのは、レイである。

 ついでにこの庭(たぶん)で一緒に食べようと言い出したのもレイだ。

 昼の食堂で出す日替わりランチのサンドイッチセットを作っていた時、レイから急に言われたのだ。

 基地に庭があるから、お昼の仕事が終わったらそこでシンジが作ったサンドイッチが食べたいと。

 そして肉類は食べられないから肉は無しでと。(あとで理由を聞いたら血の味がするからだそうだ)

 いきなりのことに固まったシンジの返事を待たず、違う仕事に行ってしまったレイに理由を聞くことができず、シンジは、混乱しながらリクエストされた肉なしの野菜と果物のサンドイッチを作り、お弁当を詰めるバスケットにお茶を入れた水筒も用意した。シートと日よけ傘は、レイが用意し(どこから持ってきたんだ?)、そして現在に至る。

 シンジは、緊張のあまりサンドイッチが喉を通らず途方に暮れていた。

 しかしこのままではいけないと、せめて理由だけでもと精いっぱい頑張った。

「あ…、あのさ…。」

「なに?」

 レイは、相変わらず淡々としているが、少し前のように人形のようなものではなく、呑気さを感じさせる。

「な…なんで、僕のこと……、じゃなくて…、えっと……お昼…。」

 頑張るけど中々言葉にならない。

「これ、美味しい。」

「えっ?」

「だって、碇君、料理が上手だって聞いたから…。それに今日のサンドイッチセット美味しそうだったから。」

「えっ? えっ? つまり、僕の作ったサンドイッチが食べたかったから?」

 言われたことを理解できず知らず知らず間抜けな顔になってしまったシンジが聞くと、レイは、こくりと頷いた。

 ここの食堂は、一週間の交代で食堂の職員のまかないを作るのが義務付けられている。義務化された理由は、プロの調理師がなんらかの理由で仕事に来れなかったり、もしも非常時でサバイバル状態に陥った時に腹を壊さず飢えをしのぐための術として簡単ではあるが適切な調理ができるように訓練するためである。ゴジラに始まり、怪獣との死闘を繰り広げてきた地球防衛軍と被災地で食事事情で苦労した一般人達の体験から決められたことであった。

 新人でまだ学生の身であるうえに、特殊な理由で基地に身を置くシンジも漏れずその義務を負わされる。

 自炊経験が幸いし、初めて他人のために作ったシンジのまかない料理は好評で、シンジは他人のために料理を作る楽しさを覚えて食堂で働くことに幸せを感じ、初めはタダで基地においてもらうことに負い目を感じて頼み込んだことだったが、今はここ(M機関の食堂)に来て本当に良かったと思っている。おかげでシンジの調理の腕は食堂で働くプロの調理師に匹敵するほどまでに上達された。

 なのだが、まさか、同い年の、それもとっても綺麗で可愛い女の子に料理をリクエストされて、更に一緒に食べようと誘われるなんてシンジは、夢にも思わなかった。

 だが理由を聞いてみれば、実はシンジの料理が美味しいと聞いたから食べてみたかったのと、今日の日替わりランチメニューのサンドイッチが美味しそうだったからだったということが分かり、シンジは、そのまま横に倒れそうになるほど脱力した。(レイの方に倒れてない)

 レイはまだシンジのまかないを食べたことがないが、来週はシンジの担当なので食べれたのに…。予定表のカレンダーにもしっかりそのことが記されているのに我慢できなかったのか?

 しかし…、しかしである。

 二人は、多感なお年頃の少女と少年だ。こんなどう考えても勘違いするシュチュエーションになるような形で頼まなくたっていいだろうに。

 残念なことにレイは、その出生と育った環境によりそういう知識がまったくと言っていいほどないので、全然気付いてない。だから無意識にこんなことになってしまったのだ。

 シンジは、レイが普通の人間よりそういう常識的な部分が欠けているのを聞いていたし、食堂で一緒に働いていてもレイが食べるこという行為がただ体を維持するための義務としか認識してないなどの問題に直面したりしていて食事の大切さを食堂のおばちゃん達と一緒に教えたのは記憶に新しい。

 体は大きいけれど、これではまるで自分より年下の子供を相手にしているようだとシンジは思った。

 そのことをすっかり忘れて二人きりでお昼を食べようと誘われて、レイを普通に異性として意識して健全な男の子として反応してしまったのことに、シンジは脱力し、罪悪感と共に恥ずかしくて思わず体操座りになって顔を隠した。

「碇君、首と耳も赤い。熱があるの?」

「ちが…。ううっ…。」

 シンジは、レイに淡々と指摘されて、ますます恥ずかしくなって、半泣きなった。

 

 

 

「がんばれ、少年! 近いうちに報われるから!」

 

 庭を見ることができる、基地の建物の隙間から、椎堂ツムグが、こっそり覗いていて、聞こえない音量でシンジを応援した。

 

「その子だっておまえのことちゃんと意識はしてる。ただまだ自覚がないだけだ。性に目覚めてないだけだ。頭は良いからそう遠くない未来に報われるって! ……ん?」

 

 シンジを応援していたツムグだったが、ふいに何かに気が付き、後ろを向いて、宙を見上げた。

 そして不愉快そうに眉を寄せた。

 

「……おいおい。どうなってんだ? あいつ…、意外に粘着質だな。絶対、尾崎には近づけさせないぞ。」

 

 ツムグは、誰かに向かってそう言うと、その場から姿を消した。

 ツムグが去った後、レイがシンジの腹の虫の音を聞いて、シンジお手製のサンドイッチを食べさせようとシンジの気も知らず、そして可愛くて綺麗な女の子が思いっきり近寄ったら普通の男の子がどんな気持ちになるかも知らずに、サンドイッチを片手に迫ってシンジを余計に赤面させてゆでダコみたいにさせるのだった。

 完全に混乱してるシンジをよそに、レイは、食事というのはかつて自分が住んでいた殺風景なマンションの一室でひとりで食べるより、今日のようないい天気の日に誰かと一緒に食べる方が美味しいのだということを理解し、シンジにまた頼もうと呑気に無邪気に考えていた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 ネルフ本部の一角にて。

 

 

 黒いつなぎのジャンプスーツにプロテクターという特徴的な地球防衛軍のミュータント部隊の戦闘服を纏った青年がいた。

 名を、風間カツノリ。

 風間は、頭を狙って高く蹴り上げられた細く白い足を左腕で防いで、変なモノを見る目で少女を見た。

「なんのつもりだ?」

「黙って蹴られなさいよ!」

「急所(頭)狙っておいてよくも言えるな?」

「はあ!」

「ふんっ。」

「キャア!」

 受け止められた足を素早く降ろし、顔を狙ってパンチを繰り出すが、その手首を逆に掴まれ、そのまま背中に腕を回され回り込まれて床に取り押さえられた。

「ぐっ、くっ…!? なんて力…、これがミュータント…!?」

「おい、責任者。ってか、保護者はいねーのか?」

「アスカ! ちょっと、その手を離しなさい!」

「コイツが先に手を出してきたんだ。離せばまた襲ってくる。」

 駆けつけたミサトに風間が苛立ちながら言った。

「アスカ…、どうしてそんなことを? まさか八つ当たり?」

「うるさい!」

「はあ…、チルドレンってのは、教育がなってねぇな。」

「なんですって! いっ…!?」

 怒るアスカの腕を捻り上げ、風間はため息を吐いた。

「いくら軍人とはいえ、いきなり共同戦線相手の組織の人間に襲いかかるか? お前の行動ひとつでせっかくの共同戦線が破られて敵対する可能性も考えないか?」

「……っ、今まで散々コッチのこと蔑ろにしておいて、よくも言えるわよ!」

「それは否定できないな。」

 風間はそう返すと、アスカを離した。

 アスカは腕をさすりながらギッと風間を睨むが、風間はどこ吹く風だ。それを見てカッとなるアスカをミサトが宥める。

「お願い抑えて、アスカ。」

「でも、ミサト!」

「ここで貴女が問題を起こして、地球防衛軍との共同戦線が打ち切られたら、ネルフは終わりよ。そうなればどれだけの人間が路頭に迷うか…。」

「えっ?」

 アスカは、思わずミサトを見た。

 風間は、その間にさっさとその場から離れた。

 風間がここに来たのは、ネルフに回している資金の使い道をハッキリさせるための監査官の護衛のためだ。あと何人か仲間が来ている。

 ところで、アスカとの一連の流れを見られていたわけだが。

「容赦ないっすね。」

「子供だとかどーとかじゃない。仮にも軍位を持った軍人だからな。」

「はは…手厳しいな。風間少尉は。」

 などと話をしながら通路の向こうへ行ってしまった。

「共同戦線が切れたら、ネルフが終わるってどういうことよ?」

「言葉のままよ。今や国連からの資金は、地球防衛軍によって管理されているの。その気になれば資金を全部打ち切ってネルフを潰すなんて造作でもないわ。」

「なんでそんな状態に!?」

「司令のミスよ…。」

「えっ?」

「早い話が共同戦線の書類をよく読まずに二つ返事で承諾しちゃった結果ね。その結果…、喉笛(資金)を咬まれた状態になっちゃったわけ。……エヴァでの戦績が良ければ回して貰える資金も変わっていたでしょうけど。」

「なにそれ…。それじゃあチルドレンのせいだっていうの!?」

「そこまでは言ってないわ。作戦本部の責任よ。そして何より司令の早とちりが原因だから。」

「でもさっき戦績が良ければって!」

「…高望みはするのは良くないんだけど……。」

「やっぱりあたし達が悪いって言いたいんじゃない!」

「アスカ!」

 アスカは、ミサトを振り払い、走って行ってしまった。

 

 

 

 

「……あの子には悪いけど、状況が良くなることはこの先ないしな。」

 ツムグは、通路の分かれ道に身を隠しながら走り去っていったアスカを見ていた。

「さてと…、初号機、初号機。」

 そう呟きながら暗い道の先へと進んでいった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 風間がネルフに来たのは、地球防衛軍からネルフに行くよう命令された監査官の護衛のためだ。

 護衛にあたっているのは風間だけではない。風間の仲間のM機関所属のミュータント兵士も何人もいる。

 風間は、その護衛として派遣されたミュータント兵士達の指揮を執る立場である。

 護衛対象の監査官は、ネルフ総司令官ゲンドウと副司令の冬月がいる指令室に籠っている。でかくてごっつい旅行用カバンに書類を詰めていたのだから、ねっちねち責めているに違いない。

 監査官の身に何かあってもすぐ対応できるよう仲間を配置し、風間はネルフ本部を見て回っていた。

 いまやほぼ全ての権限を失い、ゴジラを誘き寄せるためのエサ扱い状態のネルフだが、マッピングなど情報を頭に叩き込んで置くに越したことはない。もしも使徒が侵入した場合の対応に即座に備えられるから、これも仕事の一環だ。

 ネルフ本部のマッピングは勿論だが、風間は無駄に広大で入り組んでいるネルフ本部の中で、ある物を探していた。

 

 探し物は、エヴァンゲリオンである。

 

 尾崎と音無からエヴァンゲリオンが使徒から作られたもので、幼い子供の親を材料にしている疑いがあること。そして尾崎がシンジの心にダイブした時に仕入れた情報からサードインパクトとジンルイホカンケイカクなる謎の災厄の鍵である可能性があるため、その真実を確かめるためである。

 しかし、さっきからずっと歩き回っているのだが、一向にエヴァンゲリオンのところに辿り着けずにいる。

 決して方向音痴ではない。むしろ持ち前の特殊能力もあって一度通った場所はまるでゲームや本に挟む栞のように頭に記録している。

 権限を奪われる前に機密としていたのでそう簡単には見つからないようにしているのだろう。世界最高峰の技術力と情報網を持っていたネルフがミュータントの特殊能力で機密が暴かれるのを防ぐ対策をしていても不思議ではない。

 M機関の設立は、ミュータントの社会的地位の保証と同時に、犯罪に走るミュータントを無力化させる技術を編み出すことになるのだ。

 ネルフにもしっかり、その技術が使われていることに、風間は、舌打ちした。

 

「あら? お仕事はいいのかしら? M機関の方。」

 

 プシュッと音が鳴って、通路沿いにあった扉の一つから白衣をまとった金髪の女性が出てきた。

 その容姿を見て、風間はすぐにこの女性が誰なのか思い出した。確か地球防衛軍がまとめたネルフの要人リストで一番重要な存在だと明記されていた…。

「赤木リツコ…。」

「まあ、私のことをご存知なの? 光栄だわ。」

 リツコは、悪戯っぽく微笑んだ。その美しく妖艶な表情に、風間は思わずたじろいた。

 年頃は、ミサトと同じぐらいなのだが、随分と雰囲気が違う。同じ女なのにこうも差が出るのかと風間は無意識に感心した。

「何か困った事でも? 私でよければ力になりますわよ。」

「……エヴァンゲリオンは、どこにある?」

 大人の女性の雰囲気が前面に出ているリツコが年下の風間にそう言うと、風間は、遠慮なく言った。

 するとリツコの雰囲気が変わった。表情も硬くなり、風間に向ける眼差しが鋭くなった。

「理由を聞かせてもらえるかしら?」

「確認したいことがある。見せてもらえるだけでいい。」

「…分かったわ。案内するからついてきて。」

 リツコは、背中を向けて歩き出し、風間はその後を追った。

 

 

 

 リツコと風間が通路の先へ進んでいった後、二人の後方にある通路の曲がり角から、そ~っと椎堂ツムグが顔を出した。

 

「風間くんは、仕事ついでの調査か…。尾崎みたいにお人好しじゃないから適任かも。あの方向…、赤木博士が見せるのは、参号機か…。零は暴走した後のまま放置だし、初号機は………、あっ! 忘れてた、俺の目的は、初号機だった! 俺の馬鹿! 機龍フィアのDNAコンピュータの接続で頭がボケたかな? まっ、いっか。急ご。」

 などと独り言を口走り地団太を踏んで、大急ぎで違う方向へ走って行った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 リツコに案内されたエヴァンゲリオンの格納庫のハンガーにかかっている黒っぽいエヴァンゲリオン参号機の頭部を、風間は見上げた。エヴァンゲリオンは、LCLに漬かっているので頭部と肩の部分しか見えない。エヴァンゲリオンの全長は80メートルもあるので見えてる部分だけで十分すぎるほどでかい。

「これがエヴァンゲリオン・参号機よ。」

「さんごうき…。」

 見た目は、黒っぽい色を抜けば、角がない初号機といった感じだ。口の形や頭の造形は、初号機によく似ている。

 だが、形だけは似ていも、何か根本的な部分が初号機とは全く違うと風間は思った。

「もしかして他の機体を希望してたかしら?」

「いや、十分だ。エヴァンゲリオンを一度しっかり見ておきたかっただけだからな。」

「そう…。そういえば、あなた達は、第三使徒襲撃の時、初号機によじ登ってたわね。」

「パイロットを保護しろと命令されたからだ。」

「そう。あの子は元気?」

「それを聞いてどうする?」

「ただ気になっただけよ。…あんな方法で無理やり乗せたから。」

「…ふぅん。自覚はあったのか。」

 シンジに初号機に乗るよう誘導したことに少なからず罪悪感を持っているのを感じ取った風間は、目を細めてリツコの横顔を見た。

「レイのことも保護してるんでしょ? あの子、免疫が弱いから定期的な処方が必要だったんだけど、地球防衛軍の医療技術なら問題ないわね。」

「単刀直入に聞かせてもらうぞ。」

 レイのことで少し感傷にふけるリツコに、風間がきつい口調で言った。

「エヴァンゲリオンは、使徒なのか?」

 風間の言葉に、リツコは答えなかった。それを風間は肯定と受け取った。

「…なるほどな。じゃあ、俺はそろそろ仕事に戻る。俺の要求に応えてくれたことには、感謝するぞ。」

「これぐらいなんでもないことよ。ねえ、言うこと聞いてあげたんだし、お礼に私の我儘聞いてもらえるかしら?」

「……なんだ?」

 急にニコニコ笑いだすリツコに、風間は思わず一歩後ずさった。

 

 数秒後、『いでぇ!』っという風間の短い悲鳴があがった。

 

 

 

 

 風間と別れたリツコは、それはそれはご機嫌な様子で研究室に戻ってきた。

 戻ってきて数刻せず、研究室の扉が開き、オペレーターのマヤが現れた。

「あの先輩、頼まれてた書類が……、あの、随分ご機嫌ですね? 何かあったんですか?」

「ええ。いい退屈しのぎができたの。ウフフフ。」

 リツコは、マヤから書類を受け取り、マヤが退室した後、白衣のポケットから、シャーレに入った毛髪を宙に持ち上げて顔を和ませた。

 この毛髪は、風間の髪の毛である。

「ウフっ、ミュータントの細胞に触れる機会が巡ってこなかったから大収穫だわ。それもピチピチの若いイケメン現役ミュータント兵士。最高だわ…!」

 リツコは、風間の髪の毛が入ったシャーレに頬ずりしそうなほど顔を緩ませて興奮していた。

 

 

 

「風間…、どんまい。」

 研究所の外の扉の横に立ってるツムグが、両手を合わせて風間を憐れんだ。

 ツムグは、この数秒後にまた目的を忘れていたことを思い出して、大慌てで移動したのだった。

 

 

 

 尾崎と音無の協力者として秘密裏にエヴァンゲリオンの視察をして、監査官の護衛の仕事に戻った風間。

 地球防衛軍の基地で異変を感じとって駆けつけてきた椎堂ツムグ。

 それぞれがそれぞれの理由で奔走している間に、異変そのものが動いていた。

 ネルフの中枢であるMAGIをリツコに悟られず支配し、本部全体に仕掛けられている対ミュータントの仕掛けを巧妙に操り、風間らに気付かれず行動した。

 ソレは、怪獣王の細胞を持つ椎堂ツムグの本能と直感をも騙すため、ネルフ本部の地下深くに隠された己に近いモノを利用した。

 そうすることで椎堂ツムグから自分の身を守るために…。

 ツムグが感じ取った異変の元凶は、自分が手引きして招き入れた反乱異分子がネルフの電力系統を落とす瞬間が来た時、最後の仕上げだと笑みを浮かべ、自分が収容されているドッグから抜け出し、地上を目指した。

 

 第三新東京のネルフ本部の真上では、ザトウムシのような形をした使徒、マトリエルが現れていた。

 

 

 

 

 

 




前回のサンダルフォン防衛作戦で、ほっとかれたことにアスカ、ストレスMAX。
つい風間に当たり散らすがあっさり撃退されてしまう。

共同戦線の約束には、簡単な罠が仕掛けれており、国連の全面協力を得ている地球防衛軍がネルフへの資金を操れるようなっていたということにしました。
地球防衛軍を内部から食い荒らすつもりが、すでに喉笛を咬まれていたというね……。

そういえば、これ書いた当初、シンジとレイはともかく、勢いで風間とリツコにフラグ立てたような記憶がある。


次回、マトリエル戦かな。

リメイク後のラスボスはどっちにする?

  • リメイク前と同じ初号機の意志
  • 初号機と共に蘇ったユイ
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