専業主婦、園城寺怜のプロ麻雀観戦記   作:すごいぞ!すえはら

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第82話 将来の進路とプロ麻雀開幕戦

 プロ麻雀開幕。

 竜華の春季キャンプ中に、パジャマの枚数が足りなくなり、ふなQにパジャマを買ってきて貰うなどのトラブルはあったものの、概ね順調に、園城寺怜はソファーで膝枕をされながら、開幕戦を迎えることができた。

 

「ふふっ、一緒に麻雀見るの久しぶりや」

 

「せ、せやなー」

 

 竜華は怜に膝枕をしながら、いつになくご機嫌だ。プロ麻雀の世界に行きたいと相談したい怜だったが、竜華が怖すぎて言い出せずズルズルと後回しにしていたら、開幕になってしまった。

 エミネンシア神戸は次の3連戦からの参戦となるので、竜華は今日は一日中家にいてくれるらしい。

 

『全国の麻雀ファンのみなさま、お待たせしましたああああ!! ついに、プロ麻雀トップリーグ開幕だあああああああああ!!!!!!』

 

『実況は私、ふくよかじゃないスーパーアナウンサー福与恒子と——』

 

『す、すこやかじゃない小鍛治健夜でお送りいたします』

 

 福与アナのハイテンションな実況がテレビから聞こえて来ると、本当に開幕したんやなあと怜は実感した。

 

プロ麻雀トップリーグ 開幕戦

先鋒戦 第1半荘 東1局

松山  戒能 良子  100000

恵比寿 花田 煌   100000

佐久  赤土 晴絵  100000

横浜  江口 セーラ 100000

 

戒能 良子   昨年度成績

ドラフト1位  個人戦順位 9位

大生院女子→松山

14勝11敗0H

麻雀界を代表する先鋒。昨季は、鳳凰位に続き名将位も失うことになってしまい、精彩を欠きながらも14勝、底力を見せつけた。

 

花田 煌    昨年度成績

ドラフト1位  個人戦順位 7位

新道寺女子→恵比寿

16勝9敗0H

昨季は最優秀先鋒に輝くなど、充実した一年になった恵比寿のエース。今年は優勝に導くことができるか。

 

赤土 晴絵   昨年度成績

ドラフト1位  個人戦順位 11位

阿知賀→博多→阿知賀(監)→DS石油→ 佐久

15勝20敗0H

雀界きってのイニングイーター。高い対応力に定評のあるベテラン選手。辻垣内智葉とのダブルエース体制で優勝を狙う。

 

江口 セーラ  昨年度成績

ドラフト3位  個人戦順位 23位

千里山→横浜

5勝19敗0H

昨年度は自己最多タイとなる5勝をマーク。高く手を作り大きく勝つ麻雀で、ファンからの人気も高い。

 

 開幕戦の先鋒を務めるまでに、成長したセーラの背中を怜はじっと眺める。誇らしいはずなのに、なぜかこのメンバーの中だと、見劣りするのは気のせいだろうか?

 14勝、16勝、15勝、5勝。プロ麻雀界の格差社会をまざまざと見せつけられる。

 

「これ、セーラ勝てるやろか?」

 

「んーせやなぁ……勝てるとええなー」

 

 竜華の気のない返事が残酷すぎて、誰が凹むのか怜はだいたい察してしまった。

 

「というか、横浜の開幕戦は、ダヴァンじゃないんやな」

 

「ダヴァンさんを第一先鋒で使っても勝てへんから、第二先鋒にぶつけたいって愛宕監督の判断やろ?」

 

「せ、セーラふぁいとや…………」

 

 高校時代の恩師から、露骨に捨て駒を命じられたセーラの気持ちをおもんばかると、怜は居た堪れなくなる。

 怜は、仰向けで膝枕に頭を乗せたままタブレットを起動し掲示板を開いた。

 

 プロ麻雀トップリーグ開幕戦 89

→園城寺怜ちゃん、結婚していた part11

 ウホウホ立直マンを応援するスレ

 今年の新人選手の一軍登録率wwwww

 【悲報】江口セーラさん、生贄になる

 

園城寺怜ちゃん、結婚していた part11

531名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:sak0rmaz

清水谷竜華の清水谷チャンネルの清水谷竜華さん超絶勝ち組だった

 

561名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:yok0ima0

>>531

プロ麻雀トップリーグの守護神

超絶美人の同級生と結婚

わいちゅーばー登録者数6位

長者番付

監督、解説で引退後も安泰

 

580名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:ebirmjzg

>>561

どこにも隙がなくて笑う

 

600名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID :emi6rwaz

>>561

早くタイトルとれ

 

636名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID :emiapdz3

>>600

宮永「いつでも、お待ちしていますよ」

 

660名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID :harmrsan

>>636

咲さん、かわいい!

 

679名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:ebimiwag

指輪の画像の手がほんと綺麗でビビる

シミ1つないのすごい

 

706名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:emi6rwazg

というか、25000点の30000点返しの麻雀で+1083ってどうなってるですかね……

 

723名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:emimrwag

>>706

嘘乙、ほんとは+999やから

 

760名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:emi4m9rw

>>723

得点表示、カンストしたところほんと好き

高校麻雀界の太陽強すぎる

 

769名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:ebi6rwazg

インターハイ個人戦優勝者

宮永 照

園城寺 怜 ←ここ

宮永 咲

宮永 咲

 

786名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:emiimaag

ほんま、生きててよかった

また大会出てくれへんかな

 

801名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:tokichan

園城寺さんは結婚してへんと思うで!

 

810名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:ebi6rwazg

>>801

現実を受け入れろ

 

819名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:emimrzaz

>>801

涙拭けよ

怜ちゃんは清水谷と幸せに暮らしてるから

 

839名前:名無し:20XX/3/2(火)

ななしの雀士の住民 ID:harmrsan

高校時代の同級生と結婚

ありですね

 

 一度小さなアマチュアの大会に出場しただけで、竜華と結婚したことまで、特定されてしまったことに、怜はビビりながらタブレットを閉じた。インターネットの力、怖すぎる。

 

プロ麻雀トップリーグ 開幕戦

先鋒戦 第1半荘 南3局

松山  戒能 良子  123600

恵比寿 花田 煌   117300

佐久  赤土 晴絵  96300

横浜  江口 セーラ 62800

 

 怜は膝枕に頭を乗せたまま、不安になって竜華に問いかけた。

 

「や、やっぱり……大会出たの良くなかったかなあ……すごい写真とか撮られたし」

 

「そんなの気にしなくてええんやで。怜のしたいようにするのが一番やろ? あ、でも次は、ふなQとはぐれたらダメやからな?」

 

「う、うん」

 

 そう言ってから、竜華は怜の頭を撫でた。あまりにも優しすぎるので、怜は少し体を強張らせた。裏があるような気がしてならない。この慈愛に満ちた竜華が、いつ黒清水になるのか探り探り怜は、プロ麻雀の世界に興味があることを切り出した。

 

「やっぱりアマチュアだと……全然強い人おらへんかったわ。プロ麻雀とかやったら本気で麻雀したり出来ると思うんやけど」

 

 怜がそう言うと、竜華の頭を撫でる手がピタッと止まった。嫌な汗が怜の背中に滲む。

 

「んー? 怜は、プロ麻雀の選手になりたいん?」

 

 この竜華の笑顔に、何度騙されてきたかわからない。ここで選択肢を間違えると、地獄のような日々を送らされた上で、竜華の意に沿うような選択肢を選ばされるのである。

 高校時代、大学推薦の話がきたときに、選択肢を間違えて『竜華のお嫁さんになりたいから、大学には進学しない』と6時間ほど喉が枯れるまで言わされた経験が、怜の脳裏にフラッシュバックする。

 怖すぎて声が出なかったので、怜は小さく頷くことにした。

 

「どしたん? 黙ってたらわからへんで?」

 

「う、うん」

 

 小さく頷いただけでは竜華にわかってもらえなかったので、もう言うしかない。怜は覚悟を決めた。

 

「怜はプロ麻雀選手になりたいん?」

 

「なりたい! また、麻雀で真剣勝負してみたいんや!」

 

「そっか、それならドラフトかかるように、応援せなあかんな」

 

「え?」

 

「ドラフトかからへんと、プロ麻雀選手になれへんからなあ」

 

 あっさりとプロ麻雀選手を目指すことを認めてくれた竜華に、怜は驚いた。

 

「え、ええんか?」

 

「最近体の調子もええしなあ。怜の楽しいに貢献することが、うちの生き甲斐やから」

 

「あ、ありがとう」

 

 まさかのホワイト竜華の登場に、怜は驚愕した。監禁生活の最後の最後で和解し、憑き物がとれたように漂白された竜華の顔を眺める。

 

——も、もしかしたら……うちが過剰に怯えてただけなのかもしれへん

 

「小鍛治さんが言ってたんやけど、プロ編入試験って制度があるらしくてそれを受けてみようかなって思ってるんや」

 

「あーなるほどなあ……そんな制度あったなあ。たしかにドラフト経由しないほうがええか……それやったら、タイトル戦の予選で、プロ雀士との対戦経験稼ぐのがええかな」

 

 竜華は唇に手を当てて考え込んだ。どうやら本気で協力してくれるらしい。

 今日のことは、三ノ宮の奇跡として記憶しておこうと怜は心に誓った。

 

「あ、そう言えば小鍛治さんとはどこでその話したんや?」

 

「ん? 神戸の喫茶店やけど。大正時代っぽいところやで」

 

「ああ、あそこか……楽しかった?」

 

「チョコレートパフェとか食べたし、小鍛治さんのプロ時代の話とか聞けて楽しかったで」

 

「へー」

 

 急にご機嫌斜めになった竜華を見て、怜は焦り始める。どこに地雷が、埋まっていたのかわからない。プロ入りの話はあっさり済んだのに意味がわからない。

 

「明日、一緒にそこのカフェ行こっか?」

 

「え、ええけど」

 

「うん、じゃあ予約しとくなー明日は楽しもうね!」

 

 竜華は嬉しそうに、スマートフォンで喫茶店の情報を調べ始めた。

 そもそも、予約が必要な店ではなかった気がするのだが、竜華の機嫌が治ったことに怜は安堵する。

 

「セーラ、負けてるやんな?」

 

「あ、そういえばそうやな」

 

 竜華は、テレビ画面を一切確認することもなく、スマートフォンで、喫茶店のメニューを確認している。

 

「このチョコレートパフェ食べたん?」

 

 竜華にスマートフォンの画面を見せられて、確認すると以前に食べたチョコレートパフェの画像が表示されていた。

 

「せや、結構おいしかったで」

 

「そかそか、あ、イチゴさんのパフェもあるやん!? これ期間限定なんやって!」

 

「じゃ、じゃあ明日行ったらそれにしようかな」

 

 盛り上がる竜華に相槌をうちながら、怜は特に良いところもなく、点棒が減っていく高校時代のチームメイトを応援した。

 なお、怜の応援も虚しくセーラは、点棒が5万点を切ったところで、亦野さんと交代。無事、敗戦雀士となった。

 

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