エミネンシア神戸。
たこ焼き、通天閣、エミネンシアと呼ばれるほど、関西で圧倒的な人気を誇るプロ麻雀トップリーグの人気雀団である。
そんな黒と黄色のチームタオルがトレードマークの人気チームに、今年指名を受けた期待の新人がプロ初出場、初先鋒をする。
そう、千里山女子高校の生き恥こと二条泉さんである。
そんな泉の初出場となる試合が始まるのを、怜は今か今かとテレビ画面の前で、待ち構えていた。
「レッツゴー泉、ゴーゴー泉。夢抱き羽ばたけよ〜♪鋭い和了を魅せてくれ♪さあ、君がヒロインだ♪二条泉〜♪」
二条泉さんの応援歌を歌いながら、怜はご機嫌で二条の名前が刺繍されたエミネンシアのチームジャンパーと、チームタオルを身につけて、試合が始まるのを待つ。
このグッズ達は、エミネンシア神戸のオフィシャルネット通販で、ゲットした逸品だ。竜華や加治木さんのグッズは売り切れていて買えなかったが、二条泉さんのグッズは買い放題だった。
クソザコなので、一軍の試合に出てこない可能性が怜の脳裏をよぎったが、その場合は本人にクーリングオフすれば良いことに思い至り、安心して購入した次第である。
プロ麻雀トップリーグ
先鋒戦 第一半荘 〜開始前〜
東 神戸 二条 泉 100,000
南 横浜 弘世 菫 100,000
西 恵比寿 花田 煌 100,000
北 大宮 愛宕 絹恵 100,000
二条 泉 ROOKIE
ドラフト4位 個人戦順位 NEW
千里山→明明大→神戸
0勝0敗0H
六大学麻雀で抜群の安定感を魅せた明明大学のエース。今日プロ初登板、初先鋒。
弘世 菫 昨年度成績
ドラフト2位 個人戦順位 39位
白糸台→家慶大→横浜
4勝17敗0H
身長176cmの恵まれた体格から繰り出される、センス豊かな麻雀が売りの横浜の先鋒。
花田 煌 昨年度成績
ドラフト1位 個人戦順位 7位
新道寺女子→恵比寿
16勝9敗0H
昨年度は最優秀先鋒に輝いた。今の麻雀界を代表する先鋒。
愛宕 絹恵 昨年度成績
ドラフト5位 個人戦順位 60位
姫松→大宮
3勝11敗3H
堅実な打ち回しでチームを勝利に導く、眼鏡がトレードマークの雀士。佐久フェレッターズ愛宕洋榎の実妹。
二条泉の名前がテレビ画面に大きく表示されて、ほんまにプロになったんやなあと怜は感慨を抱いた。
少し緊張した面持ちで、慣れないスーツを身に纏い卓についている泉に、怜はエールを送る。
「花田ちゃんしか良い選手おらんで! チャンスや! ここで勝つんや泉!」
恵比寿の花田ちゃんを除けば、相手関係は比較的楽である。開幕戦のセーラのような卓に放り込まれては、なすすべなくトビ終了まで見えるが、今日の卓なら大丈夫だろう。
「それにしても……思っていたよりも早く出番が回ってきたやんな」
エミネンシア神戸は今年度先鋒ローテーションに、椿野、加治木、銘狩の布陣を敷いて臨んだが、先鋒が大炎上を繰り返し、開幕戦から6連敗。先鋒の平均得点収支は、マイナス3万点を下回った。
わずか1週間で、神戸の先鋒ローテーションは崩壊。
今日までエミネンシアは15試合して、先鋒区間で0勝12敗。合計得失点マイナス40万オーバーという、とてつもない負債を抱えている。
先鋒問題を解決しようと、神戸首脳陣は奮起。セットアッパーの野依さんを先鋒に配置転換し大炎上させたり、調整のため中継ぎで使った加治木さんが、副将区間でマイナス8万点を記録したりと、やることなすこと全て裏目を引き、神戸ファンは絶望に打ちひしがれた。
そんな悲惨な紆余曲折を経て、登板したのが期待のドラフト4位ルーキー、二条泉さんである。
神戸ファンの諦めを一身に背負い、彼女の戦いの幕が開ける。
【絶望】プロ麻雀トップリーグ実況 11
233名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:tokichan
泉! いてこましたれ! 猛虎魂みせつけろ! 花田ちゃんに勝つんや!!!
261名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi9rmaz
>>233
二軍で炎上してるようじゃ無理やろ
298名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi0rraw
>>233
どんな状況でも応援し続ける神戸ファンの鑑
311名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi6r0mz
二条ってそんなあかんの?
320名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emijrwag
>>311
ネット麻雀最強の雀士やぞ
名前:にじょう いずみ 9段
R2863
平均順位 1.53 位
和了率 40.13%
放銃率 0.06%
副露率 39.36%
立直率 7.98%
355名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emimrza9
ネット麻雀強いのに、二軍だと全然活躍しないのほんと草
386名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:heaimazg
ネット麻雀はオカルトないからね、しょうがないね
405名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi6rwg3
荒川また先鋒に戻さへんの?
421名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:ebimrza0
>>405
のよりん炎上して、中継ぎを先鋒に配置転換するの駄目だと確信したんやろ
469名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:tokichan
遅れてやってきた怪物、二条泉さんが10勝するで!
496名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi6rwg3
>>469
おは清水谷
511名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:ebi1m1p6
>>469
エミカス、ポジり倒してて草
まずお前のとこは、先鋒で10勝できるか心配したほうがええで
ネット掲示板での泉への評判はあまり良くないようだったが、自分のネット麻雀のアカウントが泉のアカウントだと認識されていることに怜は安心した。
洗牌の音がテレビ画面から聞こえてきて、各選手に配牌が配られる。
「お、いきなり一向聴やん! ドラもあるし……泉、いけるで!」
いきなり絶好の配牌。ダブルリーチこそ出来なかったものの、泉は3巡目でリーチをかけて攻勢に出ることができた。
三筒、六筒の綺麗な両面待ちの手だ。
少し安心した表情の泉の顔から、卓上にカメラが切り替わると、怜の視界にとてつもない未来が視えた。
二条泉さん、一発倍満ツモである。
流石に都合が良すぎると、何度も確認した怜だったが、特に誰かが鳴いたりする気配はなく、泉が予定通りの六筒をツモもってくる。
平和、リーチ、一発、門前自摸、ドラ4。
裏ドラを確認する、泉の手が震えている。雀頭に裏ドラが乗ったのを見て、自分の運の良さに慄いているらしい。
『は、8000オールです』
クソザコらしい、泉の自信なさげな小さな点数申告のあとに、三科アナの実況がテレビ画面から聴こえてくる。
『エミネンシア神戸、二条選手! プロ初先鋒の第一局で素晴らしい和了です! 小鍛治さん、これは運を引き寄せましたか?』
『えーそうですね……絶対に勝ちたい、そんな気迫が伝わってくるような和了でした。気合入ってますね』
三科アナと小鍛治さんに、褒められているところ悪いが、怜から見るとビビりまくっているにしか見えない。
手とかブルブル震えてるし……プロ初試合とは言っても、泉のこの緊張具合は明らかにおかしい。クソザコの名に相応しいザコメンタルである。
「ま、まあ何はともあれ先制や! ゴーゴー泉! 勝て勝て泉!」
899名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:tokichan
泉! いけるやん!
勝利を呼ぶ女になるんや!
916名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:hea6rwag
かなり守備硬いな、悪い時は配牌からオリてる
931名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi0m0mi
花田にジワジワつめられてるけど
二条もしかしていけるんか?
976名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:tokichan
明明大学の大エース、二条泉を信じるんや!
26名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:ebim6pmjz
福路も活躍してるし
もしかして、明明大学ってすごい?
41名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:hea6r6rwa
>>26
今のプロ麻雀界は
明明、伊稲、新道寺、千里山で回ってる
81名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:ebi6wrzj6
>>41
新道寺女子1強定期
164名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi91pjg
>>41
二条泉とかいう、千里山から明明大という最強の経歴を持つ女
180名前:名無し:20XX/3/25(木)
ななしの雀士の住民 ID:emi96drm
>>41
新道寺女子の出身者だけのチーム作ったら、絶対に優勝できるという風潮
一理ある
プロ麻雀トップリーグ
先鋒戦 第一半荘 〜終了〜
神戸 二条 泉 121,300
恵比寿 花田 煌 114,900
横浜 弘世 菫 92,600
大宮 愛宕 絹恵 71,200
タブレットから目を離し、テレビ画面を見ると泉がかなり険しい顔つきをしながらエネルギーバーをモグモグしていた。チョコレート味がお気に入りらしい。
「絶対、最下位とると思ったんやけどなかなかやるやん」
炎上して戦犯顔を全国の麻雀ファンのみなさまにお披露目することになるだろうなと、怜は予想していた。
予想が良い方にハズレてしまい、ちょっと拍子抜けである。
「せっかく放銃しまくった時に、歌う用の応援歌も作っておいたのになあ……」
99%罵声で作った応援歌を歌う機会が訪れなかったことを、怜はちょっぴり残念に思った。泉には活躍して欲しいが、せっかく作ったのだから、歌いたいものである。
そんなことを怜が考えていると、三科アナと小鍛治さんの軽快なトークが、お茶の間に届けられる。
『先鋒戦、前半を振り返っていかがでしたか?』
『えーそうですね……二条さんの親倍満和了から始まった試合でしたが、思った以上に堅実で……花田さんが追いかける展開になりましたね。弘世さんも虎視眈々と狙っているような印象を受けます』
『大宮の愛宕選手はいかがでしょう?』
『え? それ、言わないと駄目かな?』
『い、いえ…………プロ麻雀中継先鋒戦、第一半荘が終了しました。ハーフタイム後の闘牌を引き続きお楽しみください』