救国軍事会議の首魁、シャルロット・フォン・ブリュッヒャー将軍率いる銀河共和国軍残存勢力は、ワイルド・スペースにほど近いムーンフラワー星雲において謎の人工天体を観測する。
その天体に秘められた政治的野心を察知した彼女は、これを更なる自軍の糧とするべく迅速な略奪戦を決意したのだった………
~ワイルド・スペース ヘリオス宙域 平面座標U-16 ムーンフラワー星雲 ~
「敵要塞、発砲!」
「全艦、一斉回頭。敵要塞に正対し全火力を叩き込め」
帝国軍の無人宇宙要塞───〈アイ・オブ・パルパティーン〉の進行方向へのジャンプアウトに成功した救国軍事会議艦隊は、敵の動きを阻害するべくその進路を塞ぐように布陣する。
頭を押さえられてハイパードライブによる戦域からの離脱という選択肢を奪われた要塞の中央制御コンピューターは、すかさず眼前の敵艦隊の殲滅を選択した。
しかし、たかだかドレッドノートクラスの宇宙要塞に搭載できる火器の数は限られている。
たとえ惑星の制圧や小艦隊の撃滅には十分な火力を持っていたとしても、1,000隻単位の
〈アイ・オブ・パルパティーン〉が反撃を試みんと一条のターボレーザーを放つその間、救国軍事会議は数百のターボレーザーを以てその返礼とした。
「敵要塞のシールド消失を確認。いけます」
「集中砲火だ。敵表層の迎撃武装を狙え」
瞬時に多量のエネルギー負荷を受けた影響か、〈アイ・オブ・パルパティーン〉を守るシールドジェネレーターが異常を来たす。
アイに装備されていたシールドは惑星シールドにも採用されている極めて強力なものであったが、一度に惑星を三回滅ぼしても尚余りある数百を超えるデストロイヤー級以上の主力艦群の一斉砲火は流石に想定を遥かに超えていたようだ。
敵要塞のシールドは数度の斉射を耐えた後ボロ雑巾のように千切れ去り、無数の蒼いターボレーザーの閃光が無防備な要塞表面の岩盤を灼いた。
「敵要塞の正面火力、12%低下」
「出鼻は順調だな。出撃可能なファイター隊を全て出せ。敵要塞表面を爆撃させろ」
「イエッサー」
鶴翼に布陣し要塞の前半分を焦がし続ける救国軍事会議艦隊から、無数の矮小な熱源反応が飛び立つ。
それを観測した要塞は自らに積載されたTIEファイターを発進させ対処した。
無人制御されたその防空戦闘機隊は果敢にターボレーザーの砲火の雨を掻い潜りながら不埒にも自らの住処を焼き尽くさんと迫るボマーの編隊に肉薄するが、彼等の周りを固めている護衛機隊の熱烈な歓迎を受けた。
「味方スターファイター隊、敵迎撃編隊をインターセプト。現時点てはボマー隊に損害はありません」
「ふむ…………現時点では計画通りだな。参謀長、両翼の戦線を押し上げさせろ。コバーン提督とキリアン提督に伝えてくれ」
「承知しました」
戦闘経過が概ね自身の思い描いた通りに推移していると読んだブリュッヒャー上級大将は、より敵要塞へ火力を集中させるべく陣形の両翼にあたる艦隊を前進させ更なる戦果拡大を試みた。
右翼のコバーン艦隊は軽快艦艇中心の艦隊編成を生かして機動力を頼みとした回避運動に励みつつ要塞正面へと前進し、左翼のキリアン艦隊は巡洋戦艦級を前面に押し出して盾としつつ着実に敵要塞へと接近する。
「敵要塞よりミサイル多数、接近です」
「弾種は?」
「ハッ! 熱源反応から察するに…………ブースターを装備したST2 mk.3型震盪ミサイルと推定されます!」
「震盪ミサイルだと? …………チッ、迎撃しろ。敵ミサイルの発射位置の特定はまだか」
「現在解析中になります。…………出ました! 敵ミサイルランチャーをマークアップ。ホログラムに反映します」
「各艦は敵ミサイルランチャーの周辺を重点的に攻撃しろ。右翼艦隊は敵要塞左舷側グリッドη、左翼艦隊は右舷側グリッドγに集中砲火だ」
救国軍事会議艦隊が要塞に接近したことにより、今度は〈アイ・オブ・パルパティーン〉の震盪ミサイルを始めとする無数の実弾兵装の射程圏内に入ったようだ。
事前の制圧射撃で相当数の敵砲台を破壊していた筈なのだが、未だに無視し得ない数の武装が健在なまま火力を発揮し続けている。
艦隊を預るブリュッヒャー上級大将は、敵要塞から発射されたミサイルの弾頭が艦艇のシールドに多大な悪影響を与える震盪ミサイルであったことに驚愕し警戒感を顕にしたが、すかさずこれを重要攻撃目標と捉えて敵要塞への爆撃計画に若干の修正を施した。
通常、プロトン粒子を充填した震盪ミサイルは静止目標やシールドに多大なダメージを与える武器として知られているが、その実態は爆弾に近く有効射程は1kmにも届かないことが殆どである。
故に超近接戦闘や敵爆撃機隊に取り付かれでもしない限りは受けることのない攻撃であり、未だ敵要塞と充分な間合いを確保している現段階では救国軍事会議側にとって想定外の攻撃といえた。
しかしどうやら、敵要塞はその巨体を生かしてファイターにも匹敵するほどの大型ブースターを接続した震盪ミサイルの発射管を複数有しているようだ。
やや強引な手法で元来の欠点を克服した震盪弾は、一発の着弾が艦艇にとって致命的な損害と成りかねない尋常ならざる威力を秘めた高速対艦ミサイルと化した。
その一群は、明確な殺意を救国軍事会議の紅白に彩られた艨艟へ叩き込まんと群青の真空を切り裂きながら飛翔する。
上級大将がこれに対して警戒感を引き上げるのは、当然の仕草といえた。
「我がコルベット3隻が離脱。第122クルーザー戦隊が後退を求めています」
「損傷艦は主力艦の背後に退避するよう徹底させろ。爆撃編隊は震盪ミサイルランチャーを最優先で潰せ」
「了解」
今しがた飛来した長距離震盪ミサイルの一群を始めとする〈アイ・オブ・パルパティーン〉の反撃は確かに手痛いものではあった。救国軍事会議艦隊側にも幾らかの落伍艦が生じ、耐久力に乏しいコルベットやフリゲートといった軽快艦艇の隊列に虫食いのような穴が開く。
しかし、敵要塞からしてみればそもそもの目標が数千にも上るが故に、反撃の砲火は上級大将が想像していたもの以上に極めて分散したものとなった。
敵要塞の中央制御コンピューターは大型の主力艦や自身に接近する軽快艦艇、ファイター部隊の脅威判定を即座に計算し集中攻撃を試みていたのだが、自身が搭載する火器に対して優先して迎撃するべき敵対反応が多過ぎるのだ。
故に対空砲火や対艦ミサイルの目標はそれぞれ別の敵艦に向けられてしまい、救国軍事会議に更なる付け入る隙を与えてしまう。
艦隊主力が長距離震盪ミサイル群の対処に忙殺されていた間、散発的な対空砲火を易々と潜り抜けた爆撃機隊は艦砲射撃を遥かに上回る精度で的確な攻撃を繰り返し、要塞地表に残る敵の迎撃武装を減らしていく。
「我がファイター隊の損耗率、4%を越えました」
「敵要塞表層の攻撃目標は6割を撃破。更なる攻撃目標を策定中です」
「順調だな。ファイター隊には無理に要塞内部へ侵入する必要はないとだけ伝えておけ。深入りは禁物だからな」
「はっ!」
戦況を監督する上級大将はオペレーターの報告を満足気に耳に入れると、思い出したかのように席を立った。
「さて…………そろそろ頃合いか。全艦隊に告げる。これより敵要塞に対する強襲制圧戦に移行する。各艦は直ちにガンシップ隊を発艦させろ」
「了解。ガンシップ隊発艦! 友軍艦隊の射線に注意せよ」
〈アイ・オブ・パルパティーン〉に対する爆撃が充分な段階に及んだと判断したブリュッヒャー上級大将は、宙間戦闘から陸戦部隊を伴った制圧戦への移行を指示する。
ヴェネター級艦やセキューター級艦、インペレーター級艦といった艦隊の中核を成すデストロイヤー級主力艦群からは一斉にLAAT/i低空強襲トランスポートやニュー級アタック・シャトルを始めとするガンシップ隊が続々と発艦し、見事なコンバットボックスを組みながら敵要塞へと肉薄した。
その腹に抱えられた数千人に上る共和国グランド・アーミーのトルーパー達は、久方振りの地上戦に心を躍らせながら火力を発揮する瞬間を今か今かと待ち望んでいる。
「此れより作戦は第二段階に移行する。全艦隊の統率は現時刻を以て左翼集団のキリアン中将に一任、揚陸部隊主力は私の到着までドラッヘ将軍の指揮に従うように。…………では参謀長、後は任せたぞ。私もこれから下に降りる」
「左様ですか。お気を付けて」
上級大将は艦隊指揮をガスコン参謀長に一任し、足早に艦橋を後にする。
今次作戦では、敵要塞の迅速な制圧を期すために彼女を始めとした数少ないジェダイ経験者を揚陸部隊に含め局所的な突破力の向上を図っている。
故に上級大将は艦隊の指揮権を手放し次席指揮官のキリアン中将に任せ、旗艦〈リットリオ〉の壇上から引き払って足早にブリッジを後にした。
彼女が急ぎ向かった先の格納庫内は既に伽藍洞の様相を呈しており、搭載するファイター隊に加えてガンシップやシャトルも根こそぎ動員された中で1機だけ整然と駐機された待機状態のニュー級アタック・シャトルの姿は一際目立つ。
この機体は他でもないブリュッヒャー上級大将のために誂えられた規格外の特別機仕様であり、通常スペックの同型機と比べて防御力や指揮通信機能が幾らか強化された部隊指揮官向けの機体だ。
それを示すかのようにこのシャトルには本来なら派生型のロー級輸送シャトルにしか取り付けられていない筈の大型垂直翼が装備されており、他の機体とは外観を異にしている。
「お待ちしておりましたよシャルさん。他の部隊はもう発進済みです。後はわたし達だけですね」
「ええ。では、直ぐに機体を出して下さい。仕上げに掛かります」
「ではでは、仰せのままに。出しますよ〜」
シャトルの操縦席に乗り込んた上級大将に向けて、既に搭乗していた彼女の副官を務めているアンバー大佐が挨拶代わりとばかりに現状を解説する。
彼女の言では、既に強襲揚陸部隊は全て母艦を発った後のようで、それを裏付けるように伽藍洞の格納庫内には僅かな整備兵の姿しか認められず、空調や機械の奏でる重低音だけが虚しく静かに響き渡る。
《シャトル164153、発艦を許可する。誘導表示に従い離艦されたし》
「了解しました。シャトル164153発進します」
ゴウンと一際大きな稼働音を響かせながら、ハンガーベイのシャッターが開け放たれる。
管制塔との簡潔な連絡を済ませた彼女達の搭乗するニュー級アタック・シャトルは、リパルサークラフトの生み出す浮遊感に身を任せながら着陸脚を格納し、ガイドビーコンの示す誘導路につくと同時にスロットルを吹かしてイオン・エンジンから放たれるロケット噴射の勢いで一息に艦外へと押し出された。
「…………あれか」
〈リットリオ〉の格納庫を蹴って宇宙空間に飛び出したシャトルは、軽やかな機体制御で機首を〈アイ・オブ・パルパティーン〉に向けるとイオン・エンジンの出力を全開にまで上げて加速し、先行する揚陸部隊に追いつかんと飛翔する。
急ぎシャトルを発艦させた上級大将は、その機内から真空の銀河間空間に浮かぶ敵要塞の姿を睨んだ。
「敵要塞の全長は約19km、楕円形の小惑星を改造したものと思われます。外装の防御火器は幾らか沈黙したみたいですが、どうやらまだ残っているようですねぇ。先行したガンシップ隊に幾らか被害が出ているみたいです」
「やはり爆撃だけでは簡単に片が付きませんか。アンバー先生、接舷時には特に気を配るように。それと、敵要塞内部のスキャンも続けてお願いしますね」
「承知しました。どうぞ任されて下さいまし」
飛行中も尚貪欲に敵要塞の情報を収集するべく、アンバーは操縦桿を握る傍ら欠かさずに分析を続ける。
その甲斐もあってか先鋒の揚陸部隊が敵要塞に到着したのと同じくして、より詳細な敵要塞内部のエネルギー反応に関する分析結果が出力された。
「解析の結果がでました。どうやら敵要塞の制御AIは艦の中枢、反応炉に近い重要防護区間にあるようです。ただ、制御系統が集中している艦橋ブロックは艦首側にあるみたいなので、艦自体を手早く掌握するなら此方から抑えるのも手かと」
「なるほど…………つまり、あの敵要塞左前上方に見えるインペレーター級の艦橋のような構造物はただのシールド発生装置ないしは通信アレイとしての役割しかないと」
「そうなりますねぇ。どちらにせよ、あれがダミーブリッジなのは間違いないかと」
ブリュッヒャー上級大将は、アンバー大佐の報告を受けて今しがた敵要塞の外観を観察する。
要塞の艦首側上方、即ち艦艇であれば上甲板と表現するべき面の左前方には、インペレーター級スター・デストロイヤーのそれにも似た艦橋構造物が聳えている。
その外見からてっきり彼女はそれを敵要塞の艦橋───即ち司令塔だと判断していたのだが、どうやらそれは敵の欺瞞であったようだ。
大佐の解析によると敵要塞全体を掌握している制御AIは艦の重要防護区間奥深くに隠されており、更に艦橋自体も艦首側正面と全く別の場所に配置されているらしい。
「では、あの艦橋に用はありませんね。部隊を二分して、本物の艦橋と動力区間の制圧に向けましょう。先行したドラッヘ将軍の部隊は艦首側に向かうよう指示してください」
「承知しました。ではでは、そのように」
ブリュッヒャー上級大将は、既に敵要塞内部に橋頭堡を築きつつあるドラッヘ将軍麾下の精鋭部隊、ムーニリンスト10を中核とした新生第212突撃大隊を要塞艦橋部分へと向けつつ、自身の子飼いともいえる第7星間兵団主力には引き続きハンガーベイの確保を命じる。
程なくして、彼女達を乗せたシャトルは制圧された〈アイ・オブ・パルパティーン〉のハンガーベイに着艦し、着陸脚を展開して敵要塞の無機質な灰色の空間に根を下ろすかのようにタラップを展開する。
自らの指揮官の到着を悟った純白の装甲服を纏った兵士達は、それを出迎えるべく整列してシャトルに向けて正対した。
「…………どうやら、敵の抵抗は散発的なようだな」
「はい。そのようで」
タラップの硬い鉄製の床面を踏みながら、敵要塞格納庫内の様子を一瞥した上級大将が独り言ちる。
傍らに控える赤髪の副官もまた、唯々諾々と彼女の言葉を肯定した。
「お待ちしておりました、閣下」
そこへ足早に駆け寄るのは、白一色に包まれたトルーパー達のなかで些か異質な赤いポールドロンとベルトケープを追加装備し、バイザー付きのフェーズⅡクローン・トルーパー・アーマーに身を包んだクローンの士官だ。
「貴官は?」
「ハッ! 第27
彼はどうやら、この場に残る共和国グランド・アーミーの最高責任者を命じられている士官らしい。
眼前のトルーパーの身分を確認した上級大将は、手始めとばかりに彼へ状況の説明を求めた。
「よろしい。ではコマンダー、現状を報告しろ」
「ハッ! 現在我が軍は、敵要塞内部の大凡12%を掌握しております。このハンガーベイの周辺に敵影はなく、敵守備隊やブービートラップの類も工兵隊を動員して確認致しましたが見当たりませんでした」
「
「イエッサー!」
強襲揚陸にあたってさしたる妨害を受けなかったというクローン・コマンダーの報告を耳にした上級大将は、満足気に口角を釣り上げた。
部隊の上陸にあたって何ら水際抑止の対策が練られていなかったという事実は、この要塞の警戒態勢が思いの外不十分であるという事実を如実に物語っている。
であれば、この要塞自体を掌握するのも後は時間の問題、正に鎧袖一触だという印象を抱いた彼女は自軍の作戦計画が些か敵を過大評価していたのではないかと勘案した。
そもそも、相手は帝国正規軍ではなくたかが一軍閥や政治家の私兵のような存在だ。一般的な惑星政府や地方軍閥に対しては有効な軍備でも、充分な練度を備えた正規軍の大規模宇宙艦隊の前では赤子にも等しい。
ただ、上級大将がそう思案する中でコマンダーが放ったある一言は、彼女の警戒心を再び引き上げさせるのに充分過ぎる程の重要案件だった。
「それと将軍。一つお耳に入れておきたいことが」
「どうした、コマンダー」
コマンダーの声色からそれが良くない報せだと察した彼女は、楽観的な思考を一先ず脇に追いやって彼の注進に耳を傾ける。
此処は既に敵地なのだ。悪い報せほど迅速に把握しておくべきだろうと天性の勘が警鐘を鳴らす。
「敵要塞深部に潜入させた偵察ユニットの幾らかが連絡を絶ちました。彼等の生体反応は未だ健在なのですが、どうやらある地点に纏めて集められているようです」
「ふむ…………興味深いな」
コマンダーからデータパットを受け取った上級大将は、通信が途絶えたという部隊員が集められているというある一室の在処を把握する。
その地点は要塞制御AIが位置していると考えられた重要防護区間にほど近い場所に位置しており、仮に虜囚が逸走したとすればそれによる破壊工作が生じた場合些か防御上不都合だ。
そうした懸念がある以上、コマンダーが把握した未知の空間は単純に捕虜を捕らえたとするならば不自然さを感じさせる場所に位置している。
「恐らく敵の守備隊に発見され捕虜になったものと推察されます。彼等からの情報では特異な敵性存在の配備は報告されておりませんでしたが、如何なさいますか」
コマンダーは眼前の上官から指示を得るべく追加の背景情報を併せて報告するが、一方の彼女は思考に耽り沈黙したままだ。
彼は怪訝な様子でヘルメットを傾けたものの、暫く待つと再起動するかのように上級大将の視線が唐突に彼を捉える。
「───事はそう単純ではなさそうだ、コマンダー」
「はい?」
状況から連絡を絶った部隊が単純に虜囚の身に堕ちたものだと考えていたコマンダーは、彼女の予想外な一言に当惑する。
その一方でブリュッヒャー上級大将は今しがた手渡されたデータパットに記された情報を元に、想定される懸念事項を誡める。
「見ろ。我が軍の兵士が集められたという一角は敵の動力炉に程近く、ついでに制御AIも位置する区画だ。単純に虜囚を留め置くには防御が厚過ぎるとは思わないか」
「───確かに、仰る通りで。では、この区画は一体…………」
彼女の口から発せられる推論は、自らを含めた部隊にとって好ましくない事態の存在を予感させた。
上級大将は、自軍の兵士が何らかの措置の対象とされているのではないかと懸念していたのだ。
元来、この施設は権力者の私的な軍備と推定されているのに加えて極めて人口密度に乏しい銀河系外縁を隠れるように航行していたのだ。そこで
自軍の兵士が何らかの人体実験の対象となっている懸念を抱いた彼女は、すかさず部隊の再編と進軍を命じる。
「さぁな。ただ、どうにも