共和国の旗の下に   作:旭日提督

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初めての任務

「任務だ、アルト」

 

 しばらくコルサントで修行三昧だった私達に、評議会から久々の任務が入った。

 内容は、とある星における犯罪組織の調査。

 

 なんでも、危険な毒ガスを手に入れて、それを良からぬことに使おうとしているらしい。

 

 その陰謀を突き止めるのが、今回の任務だった。

 

 ―――ひどく抽象的な内容の任務だが、与えられたからにはやるしかない。

 

 てっきり、アルトの初陣を兼ねるなら最初は当たり障りのない外交交渉だろうと高を括っていたものだから、最初聞いたときは面食らった。…………いや、逆に言えば、それだけの実力があると評議会が認めている証左か。

 

「任務ですか? マスター」

 

 帽子の耳当てを犬耳のように揺らしながら、とてとてと可愛らしい足取りで駆け寄る我が弟子。やはり天使か。

 

「ああ、直ぐに準備だ。一時間後に出発するぞ」

 

「はいっ! 直ぐに準備します!」

 

 目的地すら聞かず、そそくさとアルトは自室に戻ってしまう。…………少しせっかちなのは玉に瑕だが、これも彼女の個性と思うと可愛らしい。

 

「…………さて、私も準備するとしようか」

 

 今回の任務、展開次第では"過激な交渉"になるだろう。…………いや、交渉の必要すらないかもしれない。

 

「R3、第2艦隊に連絡は通じるか?」

 

 アルトが見えなくなるまで見届けた私は、傍らに控える相棒のアストロメク・ドロイドに尋ねた。

 

 ―――現在、私の艦隊戦力は総勢6隻。

 つい最近就役したサウザーン級巡航艦〈ブレーメン〉に加え、バーゼル級駆逐艦〈カルデア〉〈エルム〉、CR70コルベット〈シャスティフォル〉、そして海賊から奪ったゴザンティ級〈スタリオンⅡ〉とGS-100廃品回収船〈メドゥーサ〉―――これが、現有戦力の全てだ。

 このうち〈ブレーメン〉と〈エルム〉〈シャスティフォル〉が第1艦隊としてワイルド・スペースや未知領域の探索を担当し、来るべき日に備え拠点確保に動いている。

 そして〈カルデア〉〈スタリオンⅡ〉〈メドゥーサ〉の3隻は、第2艦隊として私の任務をサポートする役割を負わせていた。

 

 R3に頼んで第2艦隊を呼び出した私は、そのうち〈カルデア〉を、途中で合流するように設定する。

 ―――今回の任務、最初から穏当な解決は望めそうにない。なら、こちらも全力で行かせてもらう。

 

 

 

 ……………………………………………………

 

 

 

「来たか、アルト」

 

「はい、準備は万端です!」

 

 シャトルの駐機エプロンで、アルトと落ち合う。

 何を思ったのか彼女は両手一杯の荷物を引っ提げて、まるで興奮した子供のような目をしていた。

 

「なんだ、その荷物は」

 

「はいっ、日用品と…………後はいろいろ。えへへっ」

 

 時と場を間違えたような彼女の身なりに若干呆れつつも、初めての任務だから仕方ないか、と割りきることにした。

 

「…………いいかいアルト。私達はこれから任務に行くんだ。次からは、不要なものは持たないように」

 

「不要? いいえ、どれもこれも研究には必要なものです! 道中の時間も無駄にしたくありませんから!」

 

 彼女はむっすんと鼻息を立てて、私に真っ正面から抗議した。

 少し怒った彼女もまた、何だかんだで愛嬌があって可愛らしい。

 

「そうか―――そこまで言うなら仕方ない。行くぞアルト。早く荷物を積み込むんだ」

 

「はい、マスター!」

 

 私に認められたことが嬉しかったのか、そそくさと用意されたイータ級シャトルにせっせと荷物を積み込むアルト。

 

 ―――何事もなく、終わればいいがな。

 

 そんな彼女を尻目に、私は最低限の荷物だけを持ってR3と一緒にシャトルへと乗り込んだ。

 

 

 ……………………………………………………

 

 

「ところでマスター、今回の任務、目的地はどこなんですか?」

 

 ここにきて、やっと彼女の口からその質問が飛び出した。

 最初にそこを気にしないのはどうなのだろうかと心配だったが、彼女はお転婆でマイペースなのだ、これも個性だから仕方ないと思うことにした。

 出発から既に丸1日経っているので、あまりにも今更な質問なのだが。

 

「目的地? 目的地は―――イードゥーだよ」

 

 ―――直後、青白いハイパースペースのトンネルを抜け、シャトルは通常空間に復帰する。

 そして、眼前には白い山の惑星、イードゥーの姿。

 情報では、犯罪組織がこの惑星の秘密のアジトに、件の毒ガスを保管しているという。

 アウター・リムに浮かぶこの無人惑星なら、なるほど確かに共和国の目は行き届かないだろう。故に、今回みたいに犯罪組織が好き勝手できるのだ。

 

「だが―――奴らにはしっかり灸を据えてやらんとな」

 

「勿論です、マスター!」

 

 BC兵器の使用なんて、お天道様が見逃してもこのジェダイナイト・シャルロット様は見逃さないぞ。

 我が秘剣の煌めき、受けるが良い! 

 

「…………ところでマスター、隣になんか大きな船がいるんですけど、大丈夫ですか?」

 

 イケイケな台詞から急転直下、不安げな表情を浮かべながら船窓を指すアルト。

 そこには、白銀に塗装された200m級のフリゲートが浮かんでいた。

 

 ―――さて、そろそろ彼女には、打ち明けても良い頃合いだろうか。

 

「うん、アレかい? …………アレなら別に、心配ないよ」

 

 平静を心掛け、いつものペースで、私はアルトに語り掛ける。

 

「アレは駆逐艦カルデア。…………私達の、今回の任務での切り札さ」




駆逐艦カルデアのナンバーはD66です。
元ネタはFGOではなく銀英ですね。
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