分離主義勢力は、惑星ジオノーシスに大規模なバトルドロイド工場を建設し、共和国との戦争に備えていた。
しかし、共和国も発見されたカミーノのクローン軍を共和国正規軍として採用することを決定した。
そんな中、ジオノーシスのドロイド工場を発見したジェダイナイト、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカー、元老院議員パドメ・アミダラの3名が捕えられる事件が発生。共和国に対し、この3名の処刑を宣言した。
この事件は共和国と分離主義勢力の亀裂を決定的なものとし、ジェダイ・オーダーは3人の救出を決意。200名に上るジェダイの騎士がジオノーシスへ向かう中、グランドマスター、ヨーダとジェダイナイト、シャルロットの二人はクローン軍を受領するため、カミーノへ向かっていた………
~共和国軍アサルトシップ〈レヴェラー〉~
〈レヴェラー〉は、ロザナ・ヘビー・エンジニアリング社によって建造されたアクラメーター級強襲揚陸艦の初期生産ロットに属する艦だ。
将来の戦争を見越し、クワット・ドライブ・ヤード社が秘密の兵器会社として設立したロザナ社は、クローン・トルーパー達が扱う兵器の製造を一手に引き受け、数々の兵器や軍艦を製造。〈レヴェラー〉も、そんな中の一隻だ。
この艦に与えられた初の任務は、クローン・トルーパーの受領。
惑星クワットにてヨーダとシャルロットの二人を乗せた〈レヴェラー〉は、一路カミーノを目指していた。
「ようこそ、〈レヴェラー〉へ。歓迎します」
シャトルを降りた私達を出迎えたのは、30代ぐらいの金髪の男性将校。制服がCWの茶色のものではなく、ジュディシアル・フォースの紺色の制服なのが、時代の過渡期を窺わせる。ちなみにこの制服は、EP1でクワイ=ガン達をナブーの通商連合船へ運んだ船のクルーが身に付けていたものと同じものだ。
「うむ。しばらく世話になるぞ」
「偉大なジェダイ・マスターに乗艦戴けるとは、光栄です」
マスターヨーダはこの男性将校に挨拶すると、早速船の通路を舐めるように見渡しながら進んでいく。
長い時を生きた偉大なジェダイながら、何処か子供っぽいお茶目さを併せ持つマスターヨーダにとって、初めて見る本格的な軍艦が珍しいからだろうか。
私はマスターヨーダの後に続いて、艦内へ足を進める。
「ところで、貴方。階級は大佐のようですが…………この艦の艦長ですか?」
「はい、申し遅れてすいません。〈レヴェラー〉艦長のギラッド・ペレオン大佐です」
「貴方が…………ギャヴリンの件は聞いています。優秀な将校だと」
「ははっ、昔はそんなこともありましたな」
―――いやはや、これは本当に驚いた。
レジェンズスター・ウォーズの英雄、ペレオン提督と直接会えるなんて。
カノンしか見てない人はピンと来ないかもしれないが、彼はエンドアの戦いの後、崩壊する帝国を建て直し、帝国の残党、インペリアル・レムナントの結成に大きく貢献した英雄だ。
あのスローン提督の副官を務め、ユージャン・ヴォングとの戦いでは一転して新共和国と矛先を並べて戦った彼は、レジェンズのスター・ウォーズでは非フォースセンシティブとして最も活躍した人物の一人、といっても過言ではないと思う。(ちなみに、「反乱者たち」にも少しだけ出ていた…………らしい)
そんな未来の大英雄と直接会うなんて、一ファンとして興奮しない訳がない。
…………つい、話し込んでしまった。
彼の最初の活躍だった惑星ギャヴリンの輸送船団護衛の話から始まり、互いに雑談を重ねていたら、いつの間にかブリッジまで着いていた。
「未来の英雄だなんて、私にはとても…………私はただ、与えられた任務を忠実にこなすだけですよ」
「いやいや、その姿勢こそが素晴らしいのです。権力欲に囚われない貴方の高潔な精神こそ、未来の英雄に相応しい資格だと思いますよ」
「まさか、ジェダイにそこまで買って戴けるとは、光栄の極みですな」
できれば私の秘密艦隊に加わって欲しいところだけど…………難しいだろうなぁ。
彼の忠誠は共和国そのもの、ひいてはパルパル最高議長閣下に向いてるし、何より彼にはスローン大提督の隣が似合う。器の小さい私が御せるような人物じゃない。
「さて―――艦橋に着いたことですし、今後の予定でも話し合いましょう」
「そうじゃな。一番の問題は、トルーパーと兵器の積込にかかる時間じゃな」
「ジオノーシスには既に200人のジェダイが向かっていますが…………バトルドロイドの物量に押し潰される恐れもあります。できるだけ急ぎたいところですね」
〈レヴェラー〉は既にハイパースペースに突入し、カミーノへのジャンプに入っている。あと数日もすれば、カミーノにたどり着けるだろう。
だか、アナキン達の処刑がいつ始まるか分からない以上、できるだけ急いだ方がいい。まぁ、原作では間に合ったんだから大丈夫だと思うけどさ…………
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ブリッジで今後の方針を予め定めた私達は、用意された船室で寛ぐ。戦場に向かうまでの、一時の休息だ。
「―――ところでブリュッヒャーよ。何か隠してることはないかのぅ?」
「うげっ!?」
―――やばっ。
思わず声に出しちゃったじゃん!?
唐突なマスターヨーダからの指摘に、無防備だった私はすっ頓狂な声を上げてしまう。
なんでここで不意打ち!? マスターヨーダ、それは卑怯です!
流石はグランドマスター、私のことはお見通しか。しかもこんな二人きりのタイミングでだなんて、不意打ちにも程がある。
「―――さて、何のことでしょう? アハハ…………」
…………私にできることは、苦し紛れの苦笑いだけだった。
マスターヨーダは、更なる追撃を私にかける。
「惚けるな。マスターケノービから事の仔細は聞いておるぞ。――――其方、クローン軍のことを知っておったな?」
―――後でコロす、ラマ・スー。
ラマみたいな首しやがって。さては漏らしたな?
「マスターケノービから? さて何のことか……」
「ケノービがカミーノを発見したとき、半年前に其方がここを訪れていたと、カミーノアンが言っていたそうじゃ。何か覚えはあるか?」
あいつ、やっぱり私が来たことを漏らしたな。――――いや、私の部隊を発注したことだけが秘密だと解釈されたのか。これは少し、失敗したなぁ。
「―――ええ、ありますとも、マスターヨーダ」
「では何故…………」
「このことは、内密に頼みます」
もう、腹括るっきゃないか。
相手はあのマスターヨーダだ、取り繕ったってどうにかなる相手じゃない。ある程度正直に話した方がいいだろう。
「実はですね、私もこのことを知ったのはつい最近なんですよ」
「―――」
マスターヨーダは、無言で耳を傾けている。
「私のマスター、サイフォ=ディアスが秘密裏に共和国のための軍隊を用意していたこと。これはつい最近になって、マスターの遺品から知ったのです」
私はとにかく、虚実交えて予め用意していたストーリーを語った。
「私はその真偽を確かめるために、遺品のセーバーに記録されていた座標へ向かいました。―――それがカミーノです」
私はここで、持ち歩いていたマスターのセーバー―――その中身をマスターヨーダに見せた。
その部品に彫られていた座標は、確かに惑星カミーノのもの。マスターヨーダは確かにと深く頷く。
―――だけどこれ、自分で彫ったやつなんだけどね。
バレないよう10年前にドロイドを使って彫らせたやつだけど、フォースも何も絡んでないからか、案外あっさりとマスターヨーダは納得した。
「成る程。サイフォ=ディアスの弟子であった其方なら、有り得なくもない話じゃ。しかしどうして、評議会に報告せん?」
マスターヨーダは、私が独断で動いていた理由を尋ねる。
―――それこそ、普通に考えて言えるような代物じゃないでしょ。
「マスター、私は―――オーダーの中に裏切り者がいると踏んでいるのです」
「オーダーの中に?」
私の言葉は、マスターにとって聞き捨てならないものだ。
問い詰めるような視線が、降り注ぐ。
「考えても見てください。マスターがクローン軍を発注したのは10年前。そしてマスターは、その10年前に死んでいる。陰謀があるのは考えるまでもなく明らかです。加えて私はマスターサイフォ=ディアスの弟子だ。いつ狙われてもおかしくない。そんな状態で、易々他のジェダイには言えませんよ。何せマスターに一番近いのは他のジェダイだ。部外より、部内の犯行を疑うのが自然だ」
まぁ、それはそうだ。
マスターがなんかヤバい計画を残してました。弟子の私はそれを偶然見つけました。その計画は、十中八九マスターの暗殺犯が噛んでいます。
―――普通話さないでしょ。
「ふむ。確かにそうじゃな。―――だが、疑心暗鬼は暗黒面への道じゃ。現に、其方の中で暗黒面のフォースが力を伸ばしておる」
「は? 私が? …………いやいやマスターヨーダ、変な冗談は――」
シャルは訝しんだ。
「ほれ、鏡でも見てみるがいい」
ちょっ、な、投げんなぁ!? パンシャンドラムぶっけんぞ老体
マスターヨーダは懐から手鏡を取り出したかと思うと、それを私に向かって放り投げる。鏡はあわや床と激突するところだったが、すんでのところで何とか受け止めることができた。
―――今度やったらお庭にブルーピーコック埋めてやろうか。
鏡を受け取った私は、鏡の中を覗いてみる。
そこにはいつもと変わらぬ麗しきセイバーフェイスが…………
―――え、沖田さん???
いやいや、元から容姿は沖田さん似だし? ―――って違う。沖田さんだ、とにかく沖田さんなのだ。
―――金色の……瞳?
元々私の容姿は一言で言えばアルビノ沖田さん、瞳の色は赤かった筈だ。それが今では―――沖田さんそっくりな薄い金色。いや、灰金色と言った方がいいだろう。
とにかく、瞳の色が灰金で、いっそう沖田さんにしか見えなくなった訳なのだ。
―――やったねシャル! これでまた憧れの沖田さんに近づいたよ!
唐突な出来事に、頭の回線がオーバーロード。バグった答えを連発する。
―――じゃなくて!
スターウォーズ世界では、黄色い瞳は暗黒面に転向した象徴とされている、ムスタファーでのアナキンの描写が原因だ。
―――私、そんな覚えないんだけどなぁ…………
あの時のアナキンと違って、私は別に何かを憎んでるとか、深く絶望してるとか、そんな感情を特別抱いている訳じゃない。至って平静だ。
それが余計に、混乱に拍車をかける。
「シャルよ」
「―――はい、マスターヨーダ」
「身体の変化は、その者が暗黒面に魅入られつつある証拠じゃ。其方に自覚がないというなら尚更危険。くれぐれも、邪な感情は慎むように。己をしっかりと保つのじゃ」
「…………はい、マスター」
マスターヨーダに指摘され、渋々と私は頷く。
う~ん、気を付けろ、気を付けろと言われても…………
一体何すればいいのさ。
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............................
....................
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~惑星ジオノーシス軌道上~
「ジオノーシス軌道上に到着。惑星上に多数のバトルドロイドを確認しました」
土星のようなリングを持つ赤い惑星、ジオノーシス。
今ここで、銀河史上最大の戦いが幕を開けようとしていた。
「よぅし、このまま惑星へ降下する。地上部隊に発進準備を命じよ」
「イエッサー!」
ペレオン艦長の命令で、〈レヴェラー〉の艦底部ハッチから多数のLAAT'iガンシップが出撃していく。
「―――では、私達も参りましょう」
「そうじゃな、ブリュッヒャーよ」
私とマスターヨーダもブリッジを離れ、ハンガーへ向かう。
「将軍、ご武運を」
「ええ。貴方こそ、兵達の"家"を護って下さいね」
去り際にペレオン艦長と一言だけ、言葉を交わす。
無事に帰ってこれるようにとの、
さぁ、戦争の始まりだ。
今までの任務や戦いなんかとは違う、銀河中を巻き込んだ大戦争だ。
「ブリュッヒャーよ、わしは処刑場へ向かう。其方はドロイド工場を破壊するのだ」
「はい、マスターヨーダ」
マスターヨーダは原作通り、処刑場のジェダイ達の救援へ。そして私は、トルーパーを率いてドロイド工場への一番槍を。
ハンガーに着いた私達は、手早くそれぞれの役割分担を完了する。
「デルタ分隊、準備は出来ているか」
「はっ! いつでも行けます、将軍」
「よし分かった―――整列だ、デルタ!」
マスターヨーダと別れた私は、乗艦しているであろうデルタ分隊を呼び出す。カミーノアンに彼等を乗せるよう頼んでいたから、同じ船にいる筈だ。
私の呼び出しの声に凛々しく答えたのは、デルタ分隊の隊長、ボスだ。
私はデルタに整列を命じ、彼等に正対する。
―――これから、戦場へ赴く。私達の任務は、ジオノーシスに一番に上陸し、戦線を構築すること。工場制圧のために重要な一歩を任されたのだ、プレッシャーは大きい。
「ボス! スコーチ! フィクサー! セヴ!」
一人一人の名前を、順々に告げる。
彼等は何も言わずに基本の姿勢で、バイザーの奥から私を真っ直ぐ見つめている。
「これから諸君らにとって、初めての実戦が訪れる。だが恐れるな! 諸君らの忠誠と、10年の努力は必ず諸君らに応えてくれる。――――さぁ行こう、戦場へ。そして必ず、ここへ帰るぞ!!」
「「「「
戦場へ、戦線へ、進め進め。
共和国の旗を掲げ、進撃する。
―――さぁ、クローン戦争の始まりだ。
■艦艇解説
アクラメーターⅠ級汎銀河軍事用アサルト・シップ〈レヴェラー〉
共和国宇宙軍に所属する強襲揚陸艦。それまでの共和国宇宙軍―――ジュディシアル・フォースが運用していたコルベットやフリゲートクラスの宇宙艦艇と比べると破格の攻撃力やシールド強度を誇り、更に16000名の兵士と彼等が運用する各種兵器を搭載できる。後に続くスターデストロイヤーの原型となった艦でもある。
〈レヴェラー〉は最初期艦の一つで、ジュディシアル・フォースから移籍したギラッド・ペレオン大佐指揮の下運用された。