共和国の旗の下に   作:旭日提督

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ジオノーシス戦後

 ~アクラメーター級艦〈レヴェラー〉艦内~

 

 ジオノーシスを制圧した共和国軍は、整備と補給のためコルサントへの帰路に就いた。救出されたジェダイ達も、クローン達と共にコルサントのジェダイ・テンプルへと戻る。

 デルタ分隊を始めとするクローンの一軍を指揮した私も、彼等と共に聖堂への帰路の途中だ。

 

「ふぅ、緒戦は何とかなったが…………不味いな」

 

 地上戦の最中、私は先頭に立ってクローン達を指揮し、敵陣に突撃した。それはいい。いいんだけど…………

 

 ―――まさかあそこまで、破壊に快楽を覚えようとは。

 

 マスターヨーダからの警告を思い出し、自らを戒める。

 戦いの最中、力任せにドロイドを蹴散らしたあの時感じた愉しさは、ジェダイが持ち合わせてはならないものだ。

 幾らフリーダム不良ジェダイとして名を馳せている私でも、こればっかりは駄目だろう。

 

 ―――だけど、うん…………気持ちよかったなぁ。

 

 とは言いつつも、やはり蹂躙は心地いい。圧倒的な軍事力で敵を蹴散らすのが兵法家の夢とするところなのは古今東西変わらない。

 

 私だって、格好良く無双したいもん。

 

 これが暗黒面のパゥワ~、という奴か。素晴らし…………ゲフンゲフン、いや、指揮官として致命的だ。指揮官たるもの、常に冷静であるべし。ヤン提督の如く気楽に構えているべきだ。

 

 テーブルに置いたティーカップを手に取り、紅茶(ブランデー90%)を啜る。

 

 うん、この手に限る。

 

 悩んだときはまずこれだ。アルコールは全てを解決してくれる。流石は有史以来の人類の友、じんわりと広がる味わいは私の心を解してくれた。

 

 …………しかし、なんで今更暗黒面なのさ。

 

 全く身に覚えは―――ありますねぇ。

 

 ギャンブル、趣味、その他諸々…………本来掟では暗黒面に繋がる執着としてどれも禁じられているものだ。

 

 ―――いや、まさか、それが原因? な訳ないよねぇ……

 

 だが、それは普通の人間なら当たり前に嗜むものばかり。民間人にだって、ジェダイに知られていないだけでフォースセンシティブな人達は山ほどいるだろう。もしこんなんで暗黒面に堕ちるというなら、どんだけ安いんだ暗黒面って話になる。今頃辺りはシスだらけだぞ? 

 

 うん、やはり原因は他にあると見ていい。―――暗黒面に至る道に力への執着というのがあるが、まさか無自覚のうちに力を求めすぎていたか? 密かに進めていた無明三段突き再現計画が裏目に出た? 

 

「考えても仕方ない。まぁ、なるようになるさ」

 

 幾ら考えを巡らせても、正解なんて出てこない。

 面倒臭くなった私は頭を使うのを諦めて、ただ身を委ねる。

 

 うん…………まぁ、別にいいっしょ。

 

 

 

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 ピピッ、ピピッ、ピピッ―――

 

 鳴り止まぬコムリンクの呼び出し音に、目を覚ます。

 どうやら、知らないうちに寝込んでしまったらしい。

 通信相手は―――ペレオン艦長だ。

 

「っ、と…………あー、どうかした? ペレオン艦長」

 

《やっと起きられましたか…………実は、ケノービ将軍が貴女に会いたいと。今シャトルで此方に向かってるそうです》

 

「オビ=ワンが? …………あーわかった。迎え入れて頂戴、ペレオン艦長」

 

《了解です。シャトルに着艦許可を出します》

 

 ペレオン艦長からの通信が切れる。

 

 オビ=ワンかぁ…………十中八九、あのことだろうなぁ……。

 

 身に覚えがありすぎて、彼に問い詰められる未来しか見えない。

 謎のクローン軍団、その視察に彼より早く来ていたなんて知ったんだ。疑いの目で見られても仕方ないよねぇ。

 

 程なくして、ベルが鳴った。

 

 訪問者を知らせる音だ。

 

 私はドアのロックを解除して、眉間に皺を寄せた実年齢より老けて見える訪問者を迎え入れた。

 

「やぁオビ=ワン。元気そうだね。処刑されずに済んだみたいで何よりだ」

 

「それはどうも。そういう君は、あまり元気が無さそうだね」

 

「ったり前さ。政治家共の無為無策で最悪の事態だ。機嫌いい訳ないだろう」

 

 緒戦であるジオノーシスの戦いは乗りきったものの、これから私はジェダイ将軍として銀河各地の戦線に引っ張り出される運命だ。その合間に、オーダー66対策だって進めていかないといけない。

 幸か不幸か、戦力の確保はこれから山のように出るスペースデブリで簡単になりそうだけど…………ああもう、パルパルのクソッタレめ、やることが山積みだ! これじゃあ悠々自適な隠居生活なんて夢のまた夢! アルトだって育てないといけないし……

 

「どいつもこいつも利権ばかり追いやがって、面倒事は全部ジェダイに押し付ければいいとしか思ってない。最悪だよ、クソッタレが」

 

 ここに来て、溜まっていた政治家連中への不満が泥のように流れ出る。

 民主主義だってまともに機能してない、首都なのにごく一部を除いて治安最悪、議会は議会でレームダック。あのパルパルですら今の支持率は高くて4割。酷いときには2割を下回ったことだってある。…………そのまま不信任されればよかったのに。

 

「まぁまぁ、落ち着けシャル。ところで話は変わるが…………君、クローン軍のことを知っていたな?」

 

 オビ=ワンは表情を変え、問い詰めるような口調で詰問する。

 まぁ…………そのことだろうと思っていたよ。

 

「うん、そうだよ?」

 

 さも、それが当然といった風体で返す。

 思い通り、オビ=ワンにとって予想外の回答なのか、彼の表情が一瞬崩れた。

 

「とは言っても…………知ったのはつい最近だけどね。一応、事の仔細はマスターヨーダにも話してあるよ。事が事だけに、簡単にバラす訳にはいかなかったからね」

 

 私は予め用意していた言葉を吐き出し、オビ=ワンの質問に答える。何も嘘は言っていない。

 

「…………ティラナスという男を知っているか」

 

「いや。知らない。ティラミスなら知ってるけど?」

 

 ティラナス…………いや、ダース・ティラナスと呼ぶべきか。暗黒卿となったドゥークー伯爵の、もう一つの名前だ。

 だが、私が知っているこの知識は本来なら知る由もないものだ。下手に話せば、綻びが出る。

 なので私は嘘をついて、悟られないように平静を保った。

 オビ=ワンは何やら考え込んでいる様子だが、これでは埒が開かない。

 とりあえず、彼を納得させよう。

 

「―――クローン達のことで思うところがあるのは私も一緒さ。だからこそ、秘密にする必要があった。君なら分かってくれるだろう?」

 

「…………そうか。わかった、確かにその通りだな。私が君の立場でも、同じ事をしただろう。―――すまない、時間を取らせたね」

 

「いいや。私は旧友の無事を確認できて嬉しいよ、オビ=ワン」

 

「こちらこそ。では失礼する」

 

 オビ=ワンは私の説明でとりあえずは納得したのか、私の部屋を去っていく。

 

 ピーリッ、ピピッ! 

 

 そこへすかさず、コムリンクの音が鳴り響く。―――ペレオン艦長だ。

 

「どうした艦長。今度は何の用?」

 

《はい、間もなくコルサントに到着します。それと―――最高議長閣下からブリュッヒャー将軍宛に、直々の出頭要請が来ています。到着次第、すぐに向かって欲しいと》

 

「オーケー、委細承知。じゃ、着いたらまた起こして頂戴。もうちょい寝てるから」

 

《……分かりました。それでは失礼》

 

 ガチャ。

 

 コムリンクの通信が切断される。

 

 

 ………………

 

 ………………

 

 ………………

 

 

 ――――この畜生がぁ!?

 

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