そこへマイギートーに派遣したデルタ分隊から、敵の暗号文入手の報告が入る。
暗号にエイリアンの言葉が使われていることに気付いた彼女は、あるクローンに連絡を取り、この暗号文の解読作業に取り掛かった………
~コルスカ宙域・艦隊演習宙域~
カリーダ星雲近傍の戦いの後、コルサントに戻った私の艦隊と陸軍は、本格的な編成作業に取り掛かった。
結果、現在私の麾下にある軍はこのような編成になっている。
第7星間兵団
┗本部管理中隊
┗第11機械化連隊:AT-OT×8
AT-TE×24
AT-RT×48
BARCスピーダー×96
┗第71戦車連隊:RX-200アサルト・タンク×12
┗第72戦車連隊:RX-200アサルト・タンク×12
┗第73戦車連隊:RX-200アサルト・タンク×12
┗第7偵察大隊:AT-RT×48
BARCスピーダー×64
┗第7砲兵連隊
┗第301照準支援中隊
┗第101重砲大隊:AV-7対ビークル砲×8
┗第102重砲大隊:AV-7対ビークル砲×8
┗第103重砲大隊:AV-7対ビークル砲×8
┗第104重砲大隊:AV-7対ビークル砲×8
┗第129重砲大隊:SPHA-T×3
┗第130重砲大隊:SPHA-T×3
┗第131重砲大隊:SPHA-T×3
┗第7航空団
┗第201ガンシップ連隊:LAAT/i×16
┗第202ガンシップ連隊:LAAT/i×16
┗第203ガンシップ連隊:LAAT/i×16
┗第204ガンシップ連隊:LAAT/i×16
┗第301ガンシップ連隊:LAAT/c×16
┗第302ガンシップ連隊:LAAT/c×16
┗第81混成旅団
┗第52機械化大隊:AT-OT×2
AT-TE×6
AT-RT×12
BARCスピーダー×36
┗第120教育大隊
┗第342訓練支援中隊
┗第343訓練支援中隊
┗戦技研究教育隊
┗第7精鋭兵団
┗第7エリート・トルーパーズ
┗アルファ分隊(ARC分隊)
┗デルタ分隊(コマンドー分隊)
┗オメガ分隊(ARF分隊)
○第51分艦隊
旗艦:ヴェネター級〈ヴィンディケーター〉
●第51戦隊
ヴェネター級アタック・クルーザー
〈ヴィンディケーター〉
〈ハービンジャー〉
〈アービトレーター〉
アクラメーター級アサルト・シップ
〈デファイアント〉
●第11巡航戦隊
サウザーン級クルーザー
〈アバファー〉
〈ジャクー〉
●第101戦隊
ペルタ級フリゲート
〈コンフォート〉
●第61駆逐艦隊
バーゼル級デストロイヤー
〈D502〉
カンサラー級クルーザー
〈T602〉
〈T725〉
〈T771〉
●第64戦闘飛行隊
V-19トレント・スターファイター×64
クローン・デルタ7Aイーサスプライト級軽インターセプター×64
アルファ3ニンバス級Vウイング・スターファイター×28
…………原作では単に大隊、兵団という呼称だったクローン・トルーパーの軍隊だが、実際に指揮してみると様々な兵種、兵科からなる複数の部隊が所属していたらしい。この辺りは、地球の軍隊とあまり変わらないようだ。思えば、アナキンの部隊だった第501軍団も色々な兵器を使っていたし、実際はもっと複数の部隊に細分化されていたのかもしれない。
そして艦隊だが、「クローン・ウォーズ」では基本的にヴェネター級3隻から編成されていた小艦隊に、複数の護衛艦艇が追加されている。―――さすがに主力艦を丸裸にするのは不味いと思ったのか、共和国はコレリア社に軍艦として優れたサウザーン級やバーゼル級といった中~小型クルーザーを大量発注したらしい。どれも私が密かに基本設計を手掛けたものだ。
更に共和国は保有していた外交船カンサラー級を手当たり次第に武装型のチャージャーC70型に改造、即席の戦力とした。これは軍艦としては非力だが、ヴェネター級のハンガーに係留できるので小型輸送船や汎用艦としては使い勝手がよい。
スターファイター部隊では、原作には存在しなかったクローン兵向けデルタ7が即戦力として配備されている。…………これ、元々ジェダイ向けの機体なんだけど、大丈夫だろうか。
ともあれ、部隊編成はこれで万端、いつでも前線に出撃できる。
「将軍、マイギートーのデルタ分隊から暗号通信です」
「了解した。ホログラムに繋いでくれ」
旗艦〈ヴィンディケーター〉の司令室で慣熟訓練の様子を監督していたところに、ルキアの報告が入る。
通信の送り主は、マイギートー入りしたデルタ分隊の隊長、ボスからだ。
《将軍、至急お耳に入れていただきたい事項があり、報告に参りました》
ホログラム装置を手に持ったボスが、淡々と告げる。
あのデルタが至急報告するような事態…………一体何だろうか。
「話してくれ」
《我々はマイギートーの分離主義者司令部を制圧しました。ですが、謎の暗号文を入手。現場では解読不可能なため、将軍の助力を頂きたい次第です》
「よくやったデルタ。その暗号文を此方に送ってくれ」
《イエッサー、直ちに》
ボスの報告から程なくして、旗艦〈ヴィンディケーター〉に最高レベルで暗号化された通信文が届く。
私はルキアに命じて、その不可解な文章を開封させた。
「これは…………ルキア、どう見る?」
「私には何とも…………ただ、所々にエイリアン種族の固有言語に見られる単語がありますね。この"ネーラ"というのは、確かトワイレックの言葉で"兄弟"という意味だったかと」
敵の暗号文は、全く意味不明な文章だった。
エイリアンの言葉が散りばめられているものの、それぞれの言葉は別のエイリアン種族のもの。読もうにもエイリアン種族の言語に精通していない私達には、せいぜい1割の単語が解れば関の山だ。
加えて、これはそもそも暗号文だ。エイリアン種族の言葉が、そのままの意味で使われているとは限らない。
…………厄介だな。
「ルキア、これを直ちにコルサントの司令部に転送しろ。これだけの暗号だ、解読すれば分離主義者の重要な情報に繋がるやもしれん」
「イエッサー」
やはり私達だけでは、手に負えない案件だ。
私はこれを直ちに共和国軍司令部に報告するとともに、"ある人物"の助力を得ることにした。
「それと、〈トランクィリティ〉に通信を。"彼"の力が必要だ」
思い立ったら即行動。私はマスタールミナーラの旗艦〈トランクィリティ〉に通信を入れた。
《ブリュッヒャー将軍ですか? 今度はどのような用件で?》
〈トランクィリティ〉に通信を繋いで直ぐ、ミリアランの美しいジェダイ・マスターのホログラムが現れた。
いやー、先日のカリーダ星雲のときもそうだったけどさ、ミリアランってなんかミステリアスな雰囲気よねぇ
名前だけに。おまけに美人だし。――ところで、ミリアランの男ってどんな姿なんだろう? 何気に見たことないのよね。
「はい、マスタールミナーラ。実は、貴女のコマンダーを借りたい用件ができまして…………」
《私の副官を……?》
マスタールミナーラは首を傾げ、疑問を呈する。
それもそうだ、幾ら同じジェダイとはいえ、お互いそこまで深い仲という訳でもない。いきなり副官を貸してくれと言われても納得しないだろう。
「ええ、ここだけの話ですが―――」
私は、通信の暗号レベルを一段階上げる。
マスタールミナーラもそれで察したのか、最終的には私の要請を受諾してくれた。
さて、後は"彼"を待つだけだ。
「コマンダー・グリー、只今到着致しました。何なりとご命令を、ブリュッヒャー将軍」
〈ヴィンディケーター〉に着艦したニュー級アタック・シャトルを降り立ったのは、装甲服を緑色にペイントした一人のクローン・コマンダーだ。
彼――コマンダー・グリーは第41精鋭兵団の指揮官として、ジェダイマスター、ルミナーラ・アンドゥリに仕えているトルーパーだ。偶然マスタールミナーラの艦隊と同じ宙域で演習していた私は、異星言語のスペシャリストである彼の助力を得ることに決めた。
「歓迎するよ、コマンダーグリー。早速だが、君には手伝って貰いたい仕事がある。君にしかできない大仕事だ」
「私に……ですか?」
「ああ。君にはマイギートーで我が軍が入手した敵の暗号分隊の解読作業を頼みたい。なんでも暗号には複数の異星言語が使用されているらしくてね。正に君にうってつけの任務だろう」
「イエッサー。直ちに取り掛かります」
「ああ…………よろしく頼むよ。司令部も君の活躍に期待している」
コマンダーグリーは〈ヴィンディケーター〉に乗艦していた情報部のトルーパーに迎えられ、専用の解析室に案内される。
その後ろ姿を、黄金色の瞳が見守っていた―――
俺はクローン・コマンダーのグリー。認識番号はCC-1004。
ジェダイ将軍ルミナーラ・アンドゥリの副官として第41精鋭兵団を率いている俺だが、今日は艦隊編成後の慣熟訓練という訳で比較的暇な日だった。
そんな時だった、ブリュッヒャー将軍に呼び出されたのは。
彼女は俺達クローン・トルーパーの間でも変わり者のジェダイとして知られていて、ジェダイとしては異質だがその軍事手腕は確からしい、と噂になっている。
ジオノーシスのドロイド工場破壊を一個大隊の戦力で成し遂げ、カリーダ星雲では敵艦隊の殲滅に拘らず、戦術目標達成と味方艦隊の被害最小化を両立させた戦略家として評判だ。
おまけに"見た目は"可憐だ。本人は30代目前らしいが、それよりも10歳は若く見える。幾ら造られた兵士といえど、元を正せば人間の男。若い異性のジェダイは兵士達の間で密かに人気があるのだ。―――尤も、ジオノーシスを共に戦ったトルーパーからは「あれは鬼だ。そんな可愛いものじゃない」と口々に否定的な言葉が出たが。
そしてブリュッヒャー将軍の用件とは、敵の暗号文の解読らしい。何でも暗号文に異星言語が使われているとの話で、それで俺にまで話が飛んできたらしい。
早速俺はブリュッヒャー将軍の旗艦で解析作業に取り掛かり、ホログラム通信で司令部と連携しながらこの不可解な敵の機密を暴く仕事に取り掛かった。
「やぁ、コマンダーグリー。作業は順調かな」
「はい将軍。解読作業は間もなく終了するかと。後は司令部の結果待ちです」
粗方作業を終えたところで、件のジェダイ、シャルロット・フォン・ブリュッヒャー将軍が訪ねてきた。
俺は作業の進捗状況を報告し、この若いジェダイ将軍と相対する。
整ったやや童顔な容貌は美しいというより可憐で、確かにこれは将兵にも人気があるな、と俺は勝手に納得した。
上官のアンドゥリ将軍とは、また違った魅力だ。
「そうか。よくやったコマンダーグリー。君のお陰で、共和国は勝利に一歩近付いた」
「はは、止してください。私はできることをやったまでです」
俺はあくまで、将軍に与えられた任務を遂行したに過ぎない。達成感はあるが、まだ仕事は残っている。暗号は完全に解読された訳ではないのだ。
「君はこの件の功労者だ。なぁに、少しぐらい休んだっていいだろう。今はゆっくり休むといい」
将軍は俺の隣に腰掛けると、穏やかな声色で労ってくれた。
将軍の髪から、仄かに甘い香りが漂う。
「しかし、将軍―――」
「いいから、"今は休みなさい"、コマンダーグリー」
将軍の甘い声が、じんわりと体に広がる。
―――まるで、全身が甘い金縛りに遭ったようで心地良い。
ガクン、と、脳が強く揺れたような錯覚。
―――少し、働き過ぎたか。
疲れがどっと押し寄せたような感覚だ。
俺は将軍に見守られるがままに、意識を落とした――