~カリダ星系・宇宙ステーション〈ヴァーラー〉~
銀河系の政治経済の中心地、コア・ワールドの外縁に位置するコロニーズの領域は、その名が示す通り宇宙開拓の歴史において最も早い時期に植民地化された星々が属する領域である。
共和国の首都惑星コルサントの近傍に位置する惑星カリダも、そんなコロニーズの領域に属する惑星の一つである。
そしてこのカリダには、クローン戦争開戦以来、共和国軍の重要な軍事宇宙ステーション〈ヴァーラー〉が設置されていた……
「ではマスターブリュッヒャー、敵はカミーノを襲うと見て間違いないと」
「ええ。わが艦隊が掴んだ情報と、情報部の暗号解析の結果から見れば、確実です」
―――コルスカ宙域で演習を終えた私の艦隊は、暗号の解析結果を持ち帰るためにカリダ星系のヴァーラー宇宙ステーションへ向かった。そこで情報部や司令部の人間と合流した私は、お互いの解析結果を突き合わせる。
結果は、ビンゴ。
これで分離主義者の狙いが一つ解明された。
「しかし、敵の目的が判明したからとはいえ、油断はできませんな。投入される敵戦力は依然として不明なままです。どのような戦術を用いるのかも判然としません」
だが、まだ予断は許されない状況下にある。
ユラーレン提督が指摘した通り、敵の狙いがわかったからといって戦術や戦力が判明した訳ではないのだ。
「では提督、こうしましょう。レックスをリシの前哨基地へ視察に向かわせます。マレボランスの件も片付いたことだし、丁度良いかと」
まだ髪が黒い頃のユラーレン提督に続いて発言したのは、我らがナイト様のアナキンだ。
彼はよくユラーレン提督と組んでいるから、今回の会議でも共に出席している。
「賛成だ。あそこが人知れず陥落してたら、共和国軍はおしまいだからね。視察を通して、基地の警備態勢の見直しもできるだろう」
ネモ艦長の提案だ。小さいながらも、的確に意見を述べる姿は流石キャプテンといった所以か。かわいい。
「212大隊のコーディも同行させたらどうかな? 階級の高い彼が意見すれば、基地の態勢強化の声も幾分かは通りやすくなるかもしれないぞ」
今度は、オビ=ワンの発言だ。
コーディとレックス、リシ・ムーン…………ああそうか、今は丁度あの時期かぁ。敵の狙いがカミーノだっていうから、てっきり本編のカミーノの戦いだと勘違いしてた。だとしたら、基地には丁度ドミノ分隊の彼等が赴任してる頃なのかな? ―――できたら、彼等には生き残って欲しかったけど…………
《……では、方針は決まりじゃな。マスターケノービ、ナイトスカイウォーカー、部下にリシ・ムーンの前哨基地視察を任せよ。問題点があれば、逐一改善するのじゃ》
《カミーノは今や共和国の重要な戦略拠点だ。ここの陥落は何としてでも避けなければならん。分かるな、スカイウォーカー》
「承知しています、マスターウィンドウ。マスターヨーダ、直ちに部隊を向かわせます」
「了解しました」
《うむ、任せたぞ》
コルサントのジェダイ・テンプルからホログラムで参加していたマスター二人が、会議を締める。
相変わらず、アナキンは評議会に対してはぶっきらぼうだ。私でもうざったく感じるんだから、反骨精神旺盛な彼から見たら評議会なんて目の上のたんこぶみたいなものなんだろう。――もうちょっと優しくしてやればいいのに。
「……方針は決まったようですな。オリヴァー艦長、待機中の全艦に出港用意を命じてくれ」
「了解です、提督」
会議も既に終わったためか、ユラーレン提督は副官に艦隊の出港準備を命じる。――ていうか、副官いたんだ。本編にこんな人居なかったよなー? 確か。やはり、創作と現実は別ということか。
あと、提督の副官がすっごい美人なんだけど。
……事案起こさないでよ?
「ユラーレン提督、僕はちょっと用事がある。先に艦隊に戻っててくれ」
「分かりました、スカイウォーカー将軍。準備を進めさせておきます」
アナキンはユラーレンに帰るよう促して、すたすたと私に近寄ってくる。
え、用件あるのって私?
「マスターブリュッヒャー、ちょっと頼みたいことがあるんだが、いいかな?」
CV浪○ヴォイスのイケメンムーヴ、これを素でやるんですから流石は銀幕ヒーロー。なるほどお姫様もメロメロになる訳だ。
「どうした? 君から頼み事とは珍しい。できることなら力になるよ?」
いやぁ、罪な男ですわ。まぁ、私には可愛い弟子がいるんですけどね!
ちなみにアソーカはアルトと一緒にお留守番みたい。彼女に会えるのはもうちと先かな?
「実は、最近義手の調子が悪くてね。君なら直せるんじゃないかと思って」
「アナキン、それぐらいなら聖堂の技師に任せればいいだろう。あまり彼女を煩わせるな」
…………が、ここで茶々を入れるオビ=ワン。
流石、模範ジェダイ。私達フリーダム党とは言うことが違う。
「いやいや、これぐらい簡単ですよ。私は全然大丈夫ですとも。どれ、見せてごらん。
「流石はマスターブリュッヒャー、やはり持つべきは友人だな」
ここぞとばかりに、オビ=ワンに仲を見せつけるアナキン。残念オビ=ワン、ここでは我ら「デルタ7魔改造しろ同盟」*1が優勢なのだよ。こと機械に関しては―――妥協しない。
さぁて、原作主人公の義手に携われるなんて、これはまたとない機会だぞぉ、張り切っちゃおー!
「ふむふむ、なるほど…………うーん、関節に砂が入り込んでるなぁ。カバーを変えたら何とかなるか。よし、お姉さんに任せなさい! 我が出張工房へレッツゴーだ」
「まさか、旗艦にパーツ持ち込んでるのか!? …………これは僕も見習うべきか」
とりあえず簡単に義手の状態を診断して―――うん、これなら〈ヴィンディケーター〉に持ち込んでる部品で何とかなりそうだ。どうせならサ○コガンも付けたいけど…………また今度かな?
「…………アナキン、程々にしておくんだぞ」
「将軍、変なもの持ち込んでないよな……?」
そして何故か、意気投合するオビ=ワンとネモ艦長。
キャプテンが取られた!?
......................................
................................
.........................
.................
「いやぁ、助かったよ。マスターブリュッヒャー」
「これぐらい、私には何てことないよ。何かあったらまた言ってくれ」
とりあえず、アナキンの義手改良プロジェクトは一端の終わりを迎えた。
主な改良点は駆動系とカバーの交換。改造具合は控えめだが、前より動きやすいだろうし砂も入りにくいだろう。
私としてはこの程度の改造で終わるのは甚だ不本意なのだが、彼も任務があることだし仕方ない。今日のところはここまでだ。
クルーザーを降りるアナキンを、艦外のタラップまで送る。
―――あれ? 彼女。確か、ユラーレン提督の副官?
すると、宇宙港の側から女の子が歩いてくる。
共和国軍の制服を纏った彼女は、記憶が正しければ会議でユラーレン提督と一緒にいた子だ。
「オリヴァー艦長? まさか、わざわざ迎えに?」
「はい、スカイウォーカー将軍。ユラーレン提督が待ちかねてますよ」
どうやら、アナキンを迎えにきたらしい。帰るのが遅かったから、ユラーレン提督が寄越したのかな? だとしたらちょっと不味かったかなぁ。できるだけ早く済ませたつもりだったけど、ついつい夢中になっちゃったから……
「ええと、君は……」
そういえば私、彼女の詳細なプロフィール聞いてなかったじゃん。会議では主要メンバーって訳でもなかったし。
「ブリュッヒャー将軍? 噂は以前から伺ってました。〈レディーマー〉艦長のエリン・オリヴァー中佐といいます。今後ともよろしくお願いしますね、将軍」
どうやらこの茶髪ショートの美人さん、高く見積もっても大学生ぐらいにしか見えないのにクルーザーの艦長らしい。
この見た目で艦長とは、やはり人は外見で判断するもんじゃないな。
ま、私も人のことは言えないか。
「うん、よろしくオリヴァー中佐。スカイウォーカー将軍のことは任せたぞ」
「了解です! さ、行きましょ、将軍」
「あ、ああ。じゃあ、また何かあったら世話になるよ、マスターブリュッヒャー」
「ええ。では、フォースと共にあらんことを。健闘を祈ってますよ」
迎えにきたオリヴァー艦長にアナキンを任せ、艦内に戻る。私は私で、今度はアルトの訓練相手をしないといけない。
少しアナキン(の義手)で遊び過ぎたからな、彼女にも構わないと拗ねられる。
さて、今日の訓練メニューは何だっけなぁ……