この宙域では共和国軍艦隊が独立星系連合の待ち伏せに遭う事件が多発しており、共和国は一段と警戒を強めていたのだ。
そんな中、任務を終えたデルタ分隊が艦隊に帰還する。
~共和国軍クルーザー〈ヴィンディケーター〉~
「周辺宙域に異常なし。センサーは正常です」
「よし、そのまま警戒を続けろ」
「イエッサー」
艦隊は、エクスパンション・リージョンの領域に属するゴースト星雲に侵入する。今のところ分離主義者の姿はないが、この宙域では味方艦隊への襲撃が相次いでいる。警戒するに越したことはない。
ネモ艦長は部下に警戒態勢の維持を命じる、周辺への注意を喚起する。
「将軍、友軍の信号をキャッチしました」
「何処の部隊だ」
旗艦のブリッジクルーを務めるトルーパーからの報告だ。
「ハッ、シャトルN-5804―――デルタ分隊です」
「デルタか。着艦を許可しろ」
「イエッサー」
どうやら、件の友軍信号はデルタ分隊のものらしい。自艦隊所属の部隊と知ったネモ艦長が、シャトルへの着艦許可を出す。
マイギートーでの任務を終えたデルタ分隊には、一度旗艦に帰還した後遭難した友軍艦の捜索を命じていたんだった。―――駄洒落じゃないぞ?
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「デルタ分隊、帰還致しました」
「よくやった。それで、友軍艦の状態は?」
デルタ分隊の隊長、ボスはブリッジに入り、任務の報告を始める。
この付近で遭難した友軍艦は、ヴェネター級艦〈レナウン〉とアクラメーター級艦〈プロセキューター〉の2隻。どちらも敵艦隊と交戦という報告の後に消息を絶っていたことから、正直生存は絶望的だ。
「ハッ、〈レナウン〉は未発見のままです。遭難宙域の付近には戦闘の痕跡があり、恐らく撃沈されたものかと思慮されます」
「そうか―――残念だ」
「あー、ただし、〈プロセキューター〉は無事です。不可解なことに―――この艦は奴隷商人に襲われていました。分離主義者の攻撃から離脱した後に襲撃されたようです」
「――なに? 奴隷商人だと?」
奴隷商人―――この銀河に巣食う癌細胞だ。共和国の無為無策が彼等の勢力拡大を助長するばかりか、上流階級の中には奴隷を所有する連中もいると聞く。連中は惑星住民や開拓者を拐って奴隷に仕立てるので、今も多くの銀河市民が奴等の恐怖に怯えているのだ。―――まさか、共和国軍にまで手を出してくるとは。
「はい。連中は全て殺すか、生け捕りにしました。〈プロセキューター〉自体は友軍艦に護衛されてカリダ星系に退避してます」
「了解した。よくやった、デルタ分隊。別命あるまで待機とせよ。それと―――私からも勲章を上申しておく。開戦以来、君達は素晴らしい活躍を続けている。これからも頑張ってくれ」
「ありがとうございます、将軍」
報告を終えたボスは、ブリッジから退出して同僚が待つ居室へ向かう。毎度ながら、彼等の活躍には驚かされる。ジオノーシスに始まりマイギートー、そして今回の任務。どれも彼等の貢献が大きい。流石は宇宙のコマンドー、全員メイ○リクス大佐並の筋肉モリモリマッチョマンだからね、これぐらいの活躍はある意味当然なのかもしれない。流石はコマンド(ry
「――アルト、コマンダールキア。どう見る?」
彼の報告を聞いた私は、愛しのパダワンと副官に尋ねる。特にアルトは、一人前になるには実力だけじゃなくて思考力も必要だ。なので、こうして意見を求めることで自発的に考えるよう教育している。
「はい、マスター。…………多分ですけど、それだけ犯罪組織の勢力が大きくなっているってことじゃないかな~、と。共和国にも、分離主義者でもない第三勢力への警戒が必要になってくるんだと思います」
「確かに、その通りだな。…………だが、彼等が一種の独立勢力なのは分離主義危機以前からだ。その中で、奴隷商人が突出して力を強めている理由は何だと思う?」
「え? っと…………例えば、分離主義者が奴隷を兵士にするためとか」
「彼等にはドロイドがあるだろう、アルト」
「あうう…………」
ふむ…………着眼点は悪くないが、まだ足りないかな。敵に打撃を与えるために敵勢力圏の反対派のみならず、犯罪者を支援するという手は古今東西あらゆる戦場で使われてきた手だ。分離主義者も、必要とあらば傭兵や犯罪者だって雇うだろう。実際に、わが共和国軍も航路の優先通行権を得るために悪名高いジャバ・ザ・ハットと交渉しているのだ。だから兵士にするかどうかはともかくとして、分離主義者が奴隷商人を支援するというのはさもありなん、と言ったところか―――。
「しかし将軍、近頃は妙に発展している惑星がありませんか?」
「ああ。――ザイゲリアだな」
惑星ザイゲリア―――アウター・リム・テリトリーに属するこの惑星は、破壊したい星ランキング堂々の一位(私調べ)に輝くという偉業を成し遂げた。理由は―――言わずとも分かるだろう。
「ザイゲリア……確か、昔は奴隷貿易で栄えていた惑星ですよね。それをジェダイが取り締まって、銀河が平和になったと、聖堂の座学で教わりました」
「その通りだ、アルト。いいかい、もしあの星の連中に会ったとしたら、奴等の言うことには耳を貸さないことだ。最初から剣を抜く覚悟で挑め」
「はい、了解ですマスター!」
私はアルトに、ザイゲリアンがどれだけ屑な連中であるか説く。我が弟子には、あんな薄汚い連中に恥辱を尽くされる目には遭って欲しくないからね。かの皇帝ラインハルトなら、あんな星いの一番に爆撃するだろう。ヤン提督も、あの星の爆撃任務を与えられたら内心嬉々とするに違いない。
「確かに、あの星は公開されている惑星GDPだけでも近年の伸び率は異常だ。―――政情不安に乗じて、奴隷帝国の再建を図っているのやもしれん」
「まさか、兄弟達まであの星の餌食になるとは……将軍の気持ちも分かります。ああ反吐が出る」
さて、問題は―――あの星が共和国に敵対するかどうかだ。奴隷貿易そのものも銀河市民の尊厳を奪う許しがたい暴挙だが、〈プロセキューター〉を襲撃した奴隷商人が連中の息がかかった存在だとすると、連中は銀河市民のみならず、わが共和国軍のクローン・トルーパー達にまでその食指を伸ばしてきたという意味だ。クローン・トルーパーを害する行為は、即ち共和国そのものと敵対するという意思表示、一軍の将として見過ごせない事態になる。
「ルキア、万が一のこともある。ザイゲリア占領計画を策定してくれ。私はそれを司令部に上申する」
「イエッサー、直ちに取りかかります」
作戦計画の策定を命じられたルキアは、ブリッジに直結している司令室に向かう。さて、何もなければ、私も彼の仕事を手伝うとするか。
いやぁ、元日本人の感覚からすると、スターウォーズ銀河ってほんと末法過ぎて疲れる…………
何せクローンウォーズ本編では犯罪者だけで一惑星を軍事占領してるんだ、どんだけ放置したらあそこまで増長するんだよ…………あれはあくまでエンターテイメントだったけど、当事者の立場に立たされたら笑えない。
ったく、どいつもこいつも元老院が仕事しないのが悪い。パルパルも表面上は警察費用の増額とかしてくれるけどさ―――そこは本当に感謝だ。だけど警察は警察で、コルサントの治安維持すらままならないポンコツドロイドばっかりだし…………
冗談も程々にしてよね、ほんと。
■艦艇解説
ヴェネターⅠ級アタック・クルーザー
共和国軍がクローン戦争初期に配備した航空戦艦。艦前方に広大なフライトデッキを持ち、アクラメーター級を上回る耐久力と火力を有する主力艦。現実では「スター・デストロイヤー」に分類されるが、クローンウォーズ劇中ではもっぱら「クルーザー」と呼ばれているので、この時代ではまだスターデストロイヤーという類別は登場していない。
Ⅰ級はクローンウォーズ劇中のデザインで、有名な艦にはアナキンの旗艦〈レゾリュート〉やオビ=ワンの旗艦〈ネゴシエーター〉がある。シャルロットの旗艦〈ヴィンディケーター〉もこのⅠ級で、最初期生産艦の一隻である。