共和国の旗の下に   作:旭日提督

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 巧妙な罠!

 惑星ライロスの解放を命じられたアナキン・スカイウォーカー率いる艦隊は、分離主義者の名将キャプテン・マー・トゥーク率いる艦隊に攻撃を仕掛けた!

 しかしアナキンはトゥークの罠に嵌まり、敵艦隊の猛烈な攻撃に晒される。
 敵に近付きすぎたアソーカのファイター中隊を呼び戻し退却準備を進めるも、未だ彼の艦隊は、苦難の渦中から抜け出せずにいた………


ライロスの戦い(Ⅰ)

 ~惑星ライロス軌道上・ヴェネター級艦〈レディーマー〉~

 

 

「右舷から敵ファイター多数! 突っ込んできます!」

 

「シールド出力、35%まで低下! 艦長、このままでは…………!」

 

 スカイウォーカー将軍率いる第13分艦隊、〈レゾリュート〉、〈ディフェンダー〉、そして私の〈レディーマー〉を中核とする艦隊は、分離主義者による惑星ライロスの封鎖線突破を命じられ、敵艦隊と交戦中だ。

 

 だけど――如何せん、敵の数が多い…………! 

 

「トルーパー、〈レゾリュート〉に通信を!」

 

「イエッサー」

 

 このままでは、戦列は総崩れだ。

 更に分が悪いことに、敵艦隊には増援のミュニファンスト4隻が新たに現れた。これで戦力差はざっと3倍。幾らなんでも、正面からじゃ無謀過ぎる! 

 

 そうこうしているうちに、また駆逐艦が一隻沈んだ。だが、敵は一隻たりとも沈んでない。

 私は堪らず、通信回線に向けて叫ぶ。

 

「スカイウォーカー将軍! これは敵の罠です! 一端撤退し作戦を練り直しましょう!」

 

《オリヴァー艦長か! 丁度僕も、同じことを考えていたと―――不味いっ、総員下がれ!!》

 

「し……将軍!?」

 

 唐突に、旗艦〈レゾリュート〉からの通信が切断される。

 ブリッジの外に目を遣ると、敵のファイターにブリッジを破壊され、炎上する旗艦の姿があった。

 

「ちっ――両舷全速! 艦を〈レゾリュート〉の前に出せ!」

 

「しかし! 艦長、それでは……」

 

「いいからやって! 旗艦を失う訳にはいかないの。左舷シールドに全出力を集中! 敵艦隊の砲火は我々で引き受けるぞ!」

 

「イエッサー! シールド出力全開、突撃します!」

 

 敵の砲火に揺られながら、〈レディーマー〉は前進を開始する。

 だが、既に敵の砲火でボロボロになったシールドは瞬く間に消失し、艦体各所に被弾が相次ぐ。

 

「第5から14ブロックで火災発生!」

 

「ダメコン班を向かわせて! まだ沈めないで!!」

 

「駄目です! 第17、21、22ブロックで更に火災! 予備弾薬に誘爆しています!」

 

「左舷16から25区画をパージ! 隔壁閉鎖だ、急げ!」

 

「イエッサー!!」

 

 ……艦内は地獄絵図だ。

 誘爆が相次ぐ区画はやむを得ずパージしたが、まだ息があったトルーパーが居たかもしれない。だけど、これは戦争。そう、仕方ないのよ、エリン。

 

 ―――ごめんなさい。

 

 心の中で、見殺しにしたトルーパーに謝罪する。

 一を捨て、九を生かす。

 この戦争が始まって以来、こんな決断はざらにある。慣れてきたけど、慣れたくないこの感情。

 …………本当に、最悪だ。

 正直、ジュディシアル・フォース時代の海賊退治の方がよっぽど気楽だ。

 

「ブルーリーダー! 退却はまだが! 本艦はそう長く持たないぞ!」

 

《あと少しです! もう少しだけお願いします》

 

「ったく――世話の焼けるお嬢さんなこと。対空砲火をブルー中隊周辺の敵機へ! 退却を援護しなさい」

 

「イエッサー! 対空砲火をブルー中隊へ! ケツのブリキファイターを叩き落とせ!」

 

 あとは、アソーカのブルー中隊さえ着艦すれば収容完了だ。敵の罠に嵌まった彼女の部隊は大きく数を減らしていて、もう見る影もない。

 

 ―――あの娘、折れなきゃいいけど……

 

 今回の経験は、きっと彼女にとって苦いものになるだろう。判断を誤って、多くの兵士を失って―――私も、何度経験したことか。

 指揮官には付き物な経験とはいえ、思い出す度に腸が煮えくり返る。

 

「ブルー中隊、退却! 〈レゾリュート〉に着艦しました!」

 

「よし! 全速力で戦場を離脱する! ハイパードライブ起動」

 

「駄目です! 機関部に火災発生! 格納庫でも誘爆が…………!」

 

 ズドン、と一際大きな衝撃。

 火災で捻られた艦首が大きくひしゃげ、バラバラに砕け散った。

 

 ―――間に合わなかったか……! 

 

「総員、退艦―――!」

 

 言いかけた時点では、もう遅かった。

 

 炎が、目の前に迫る。

 

 ああ、なんて―――呆気ない。

 

 〈レディーマー〉が爆散するまでは、あっという間だった。

 指示を出す暇すら与えられず、何もかもが焔に落ちる。

 

 ―――眼が、熱いなぁ。

 

 

 

 .........................................

 

 ...................................

 

 .............................

 

 ........................

 

 

 

 マスターウィンドウからの、急遽の呼び出し。

 何かと思えば、アナキンがライロスの封鎖線突破に失敗したらしい。

 彼が失敗するなんて、珍しい。

 ライロス戦は最終的には共和国の勝利で終わったと記憶しているけど、細かなところまでは覚えてないや。

 映画本編ならまだしも、100話以上のクローン・ウォーズを隅々まで覚えろってのにも無理がある。大まかなプロット程度はメモ書きに残したけど、そもそも記憶が不確かなんだから、どこまで当てになることか――

 

 だが、私が態々呼ばれるということは、まさかの援軍要請か? ―――今船団護衛中なんですけど。

 

「しかし、君が失敗するなんて珍しいな。敵は相当の手練れか?」

 

《はい。見事に罠に嵌まりました。ファイター中隊は壊滅状態です。更に、クルーザーを一隻失いました。〈レディーマー〉です》

 

「―――」

 

 頭を、鈍器で殴られたような衝撃。

 あの子の艦は、確か―――

 

 

 ――『スカイウォーカー将軍の好物とか? 知りません?』

 

 

 ――『だ、だから、違うんですってばぁ!?』

 

 

 脳裏に、彼女との会話が過る。

 

 戦争さえなければ、普通の女の子として静かに暮らせたであろう、あの娘との一時を。

 

 

 クソッタレ。

 

 やっぱり、錄なもんじゃない、戦争なんて。

 

 こんな戦い、早く終わってしまえばいいのに。

 

 とにかく、あいつだけは絶対に許さない。




■艦艇解説

〈ディフェンダー〉

 ヴェネターⅠ級艦。〈レゾリュート〉〈レディーマー〉の僚艦。ライロスの戦いで大破し、最後はアナキンの策略でマー・トゥークの旗艦に無人状態で特攻し轟沈する。
◎登場エピソード
クローン・ウォーズ ジェダイの遭難
クローン・ウォーズ ライロスの嵐
クローン・ウォーズ 砲火を抜けて
ロード・オブ・シス
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