アウター・リムの惑星ハイポリに新たなドロイド工場を発見した共和国は、討伐にジェダイマスター、キ=アディ=ムンディ率いる艦隊を派遣。しかしこれは、分離主義者の罠だったのだ!
分離主義者の策略により窮地に陥った彼等を救うため、最も近い宙域にいたシャルロットは、病み上がりの身に鞭打ちながら新たな任務を遂行しなければならなかった―――
~アウター・リム・テリトリー、惑星ハイポリ軌道上~
「全艦、ジャンプアウト確認。予定航路との誤差は0.0026%。惑星ハイポリ軌道上です」
「先行部隊、アークワイテンズ級艦3、進出します」
急遽ハイポリへの救援任務を承ったわが艦隊は、強行軍で同星系へ進出。壊滅した進行軍同様、機雷源の前にその身を晒すことになった。惑星の軌道上には、それらの餌食になったであろうアクラメーター級やカンサラー級の残骸がそこかしこに転がっている。
増援のアークワイテンズ級艦〈グナーデン・シュトース〉〈シュトゥルムヴィント〉〈グレイハウンド〉の3隻が進むその宙域は、不気味な静寂に支配されていた。
「…………嫌な景色だな。まるで船の墓場だ」
「ええ。ああは成りたくないものだな、艦隊。―――全艦、セクター0-1から3-5に集中砲火。艦隊の進路を抉じ開けるぞ」
「イエッサー」
しかし、一見静かなこの海は船の天敵、機雷の宝庫だ。
幾ら私でも、機雷源があると分かって突撃するほど馬鹿じゃない。隸下の艦艇に正面宙域へ攻撃を命じ、機雷を物理的に破壊する。
「ナイト・ドラッヘ、先行部隊の指揮は任せました。確実に救援部隊を届けてください。じきに私も参ります」
《了解! 第226巡航戦隊、出陣します。我が戦隊にお任せあれ!》
私が乗る旗艦の眼前を、救援部隊を載せた3隻のアークワイテンズ級が突撃し、〈ヴィンディケーター〉を始めとする艦隊主力が強引に切り開いた航路を進む。
その艦隊を指揮するのは、同僚のジェダイナイト・ティーガ・ドラッヘ将軍だ。
別名「ジェダイ軽クルーザー」とも呼ばれるアークワイテンズ級艦は、その名の通りジェダイ将軍を乗せながらレーザーを乱射し、残存する機雷を掃討しながら惑星地表に降下する。
…………名前で何となく察するかもしれないが、この将軍は某八華さんのそっくりさんだ。
銀色の長髪をたなびかせたこの将軍さんは、溢れる闘志を隠そうともせずにきっと敵陣へ突撃するだろう。見ただけで分かる程の戦闘狂だ、惑星上の分離主義者には御愁傷様としか言えない。
それはそうとして、やっぱり奈○様ボイスは素敵よね。
「アルト、ネモ艦長。艦隊の指揮は任せた。私は彼女達に続いて地上に降りる。敵の侵攻艦隊も近くに居る筈だ、くれぐれも、無理はしないように」
「分かっているよ。税金で造られた大事な艦隊だからね、無茶はしないさ」
「了解です、マスター。そういうマスターこそ、無理は禁物ですよ? つい先日倒れたばっかりなんですから」
「大丈夫よアルト。ちゃんとドクターに治してもらったんだし、この通り元気だから」
「でも…………ええ、分かりました。マスター、どうかご無事で。ちゃんと帰ってきて下さいよ」
やっぱりアルトは心配性だ。私が離れるというだけで、不安そうな眼差しを送ってくる。私がついこないだぶっ倒れたのだから仕方ないとはいえ、これも軍事目標達成の為だ。多少の不調は我慢しないといけない。
「分かった分かった、大丈夫だから。…………よし、デルタ! 来い。新しい任務だ」
「了解です。何なりとご命令を、将軍」
「我々もハイポリに降下する。ガンシップを手配してくれ」
「イエッサー。すぐに準備します」
「コマンダー・ルキア、貴官も一緒に来い。伊達にARCになった訳ではないだろう?」
「ハハッ、まさか。望むところです」
我が身を案じるアルトを宥め透かし、ネモ艦長に指揮を引き継いだ私はデルタ分隊を呼び出して、隊長のボスにガンシップを手配させる。更に復帰したルキアには、デルタ分隊と一緒に行動するように命令する。ARC課程帰りの力、見せて貰おうか! なんてね。
既にナイト・ドラッヘの先行部隊が惑星上に降下している筈だ。そろそろ残存する友軍のバイタルサインが明らかになっても良い頃だが…………
「将軍! 先行部隊の偵察結果がデータリンクに載りました。こちらをご覧下さい」
ささっとスコーチが呈示したデータプレートには、現在の惑星上での戦況が表示されている。一見しただけで友軍が総崩れなことを理解させられるのには充分なほど、ドロイド軍を示す光点が多い。地表を埋め尽くす勢いだ。
「不味いな。敵の数が多すぎる。かといって、まともに相手をしている暇はない、か。デルタ分隊! 速攻で行きますよ!」
「イエッサー! いつも通りですね、将軍」
「久々の実戦だ、腕が鳴るぜ」
「了解です。急ぎましょう、将軍」
デルタ分隊の面々とルキアが各々の言葉を返し、格納庫に急ぐ。
そして格納庫まで辿り着いた私達は彼等の為に調整された緑色のLAAT/iに乗り込んで、一目散に地上へと降下する。
~惑星ハイポリ地表・共和国軍艦残骸~
黄土色の空が見下ろす、果てのない茶色の荒野。
そんな中、盛大に砂埃を巻き上げながら爆走する、一機のガンシップ。
機首に恐ろしいランコアの口を描き、翼を青く染めたかの機体は、一直線にある座標を目指す。
道中にある邪魔なB2スーパー・バトル・ドロイドの中隊を爆撃し、レーザーと爆弾で道なき道を強引に切り開いた彼等は遂に、目的の残骸まで突入。無理矢理外壁を突き破って艦内を飛行するガンシップは、その腹から十数名のトルーパーを産み出した。
彼等の名は、ムーニリンスト10。
隊長を務めるキャプテンARC-77"フォードー"以下3名のARCトルーパーと、7名の熟練トルーパーからなるこの部隊は、驚くべき速さで展開を終え、救援対象のジェダイ将軍を襲う敵に向けて制圧射撃を実施する。
「我等にフォースの加護ぞあり! いざ出陣! 殺せぇー!」
最後に降りるは、薙刀程もある長い柄のセーバーを構えたドラッヘ将軍。穂先に生えた金色の光刃を敵に向けてぶつけながら、薙刀型のセーバーを振り回す。
「ちっ…………増援か! 小癪な!!」
「あはははははは! その程度か? 噂に聞くほどでもないな、グリーヴァス!!」
「ぬかせ! 小娘が!!」
敵―――ドロイド軍の恐るべき将軍、グリーヴァスは、獲物のジェダイを仕留め損ねた怒りをこの新参者に向けてぶつける。
彼はついさっき殺したジェダイから奪ったライトセーバーを構え、独特な4本腕を回転させながらドラッヘに迫る。
「はあぁぁぁ……せりゃッ!」
互いにセーバーの火花を散らしながら、剣戟を交えるドラッヘとグリーヴァス。彼女が敵のライトセーバーを振り払い、一瞬の隙が出来たことを、同伴者のエリート兵士は見逃さない。
「今だ! 畳み掛けろ!」
「イエッサー! 野郎共、撃ちまくれ!」
圧倒的な、ブラスターによる制圧射撃。
このジェダイ将軍が作った隙に、キャプテン・フォードーは援護を命令。グリーヴァスにブラスターの雨を浴びせる。
「むうううう! おのれ……」
「我が敷くは不敗の戦陣! 見たかグリーヴァス! 天は貴様を見放したぞ」
止めに乗ってきたLAAT/iを呼び寄せ、彼の頭上を塞ぐドラッヘ。
一転して瞬く間に有利な戦況を整えた彼女を前に、流石の恐るべきサイボーグ将軍も千日手。そう思われた矢先だった。
「ふはははは! 甘かったなジェダイ! 逃げるが勝ちよ!!」
「なあっ、ま、待てっ、にゃー!?」
すかさず身体を変形させたグリーヴァスは、Gもかくやの6足歩行でカサカサと戦場を離脱。戦いに無理矢理終止符を打った。
「ちっ、逃がしたか―――キャプテン、生存者を収容しろ」
「イエッサー。将軍、こちらへ」
追撃が不可能と察したドラッヘは、すかさず本来の目的である生存者の救助に取り掛かり、フォードーに彼等の収容を命じる。
「君は―――ナイト・ドラッヘか。助かった」
「いえ。間に合って何よりです、マスタームンディ、マスターセキュラ」
「お怪我は大丈夫ですか? ガンシップまで運びます」
「私は大丈夫です。それより、重症で動けない兵士達の方を」
「マスターセキュラ、僭越ながら、貴女は重症です。動くことも儘ならない筈。トルーパー! 彼女をガンシップまでお連れしろ」
「イエッサー。ご命令通りに」
生存者―――ジェダイマスター、キ=アディ=ムンディとアイラ・セキュラは、ドラッヘとムーニリンスト10の兵士達に介抱されながらガンシップに乗り込み、九死に一生を得た形となった。
―――此方はこれでよし、と。後は、ナイト・ブリッヒャーの部隊ですね。
自らの任務を完遂させたドラッヘは、同僚の変わり者の身を案じる。
―――グリーヴァスクラスの戦士が投入されたこの戦場、一筋縄ではいかない筈だ。くれぐれも、どうか油断なさらぬよう…………
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~アクラメーター級艦〈アレスター〉~
「第7ブロックが破られた!」
「クソッ、第22区画もだ。……41小隊! 直ぐに23区画へ向かってくれ!」
《駄目だ! こちらも手一杯だ!》
「艦の修理はまだ終わらないのか!!」
「あと15分はかかる! それまで何とか持ち堪えてくれ!」
惑星ハイポリに侵攻した共和国軍艦のうち、唯一機能を維持していたアクラメーターⅠ級艦〈アレスター〉の艦内では、艦長のトールボット中佐以下生存したクルー達による必死の防衛戦を行っていた。
しかし、彼等の決死の戦いも甲斐なく、次々と防衛線が破られていく。
―――万事休すか。
クルー達に、そんな諦めの気配が漂い始めた、その時だった。
ガシャッーン!
艦が揺れ、ドロイドの反応が消える。
「な、何事――!」
遂に艦の限界を迎えたか。そう思ったトールボット艦長だったが、次の瞬間にはそれが間違いだったと思い知らされる。
《こちらデルタ分隊。救援に参りました、トールボット艦長。お久しぶりです》
デルタ分隊。
彼等〈アレスター〉の乗組員達が、かつて助太刀したクローン・コマンドー部隊。その彼等が、今度は逆に自分達を助けに来たのだ。
これで士気が上がらない訳がない。
〈アレスター〉のクルー達は疲れた身体に活を入れ、生還へ向けて動き出した。
「――救援、感謝する、デルタ分隊」
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「さて――とは言ったものの、どうしたもんですかねぇ……」
ナイト・ドラッヘの部隊とは別方向の生命反応目掛けて突っ込んだ私達。その大元の揚陸艦に乗り込んだデルタ分隊は艦内各所でブリキ野郎共の掃討に当たってもらった。それは良い。良いんだけど…………
眼前に立つ、ウィークウェイのこの男。こいつだけは、私で何とかしないといけない。
「―――ナイト・ブリッヒャーか。久しいな。最後に会ったのはいつ以来だ」
「さぁ? 覚えてませんね。何分斬り合いには不要ですので」
彼の身体から放たれる、フォースの奔流。
明らかに並のジェダイを軽く凌駕するそれを前に、セーバーを握る手にも汗が滲む。
「ほぅ? …………俺を斬れるとでも思うのか? メイス・ウィンドゥすら凌駕するこの俺を!!」
一気に爆発する、ダークサイドのフォースの濁流。
彼はそれを的確に制御して、剣先に載せてくる。
分離主義者―――暗黒面に堕ちた偉大な剣豪、ソーラ・バルク。かのマスターヨーダやメイス・ウィンドウに勝るとまで言われた最強格の彼相手に生き残るのは至難だが、やるしかない。
セーバーパイクを片側だけ起動し、平正眼に構えて対峙する。
「戦場に事の善悪なし。ただひたすらに斬るのみ―――覚悟!」
敵は―――斬る。
例えそれが、どれほど強大な相手であっても。
共和国の敵ならば、斬らねばなるまい。
ブォン…………ッ!!
戦いの火蓋を斬って落とす、最初の刃が振り下ろされた。
■艦艇解説
〈グナーデン・シュトース〉
〈シュトゥルムヴィント〉
〈グレイハウンド〉
第226巡航戦隊に属するアークワイテンズ級艦。〈グナーデン・シュトース〉はジェダイ将軍ティーガ・ドラッヘの旗艦でもある。艦名の由来はそれぞれ〈グナーデン・シュトース〉がアルクェイドの技名、〈シュトゥルムヴィント〉がゲーム「鋼鉄の咆哮」に登場する超兵器、〈グレイハウンド〉は史実の英駆逐艦から。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈アレスター〉
トールボット艦長指揮下のアクラメーターⅠ級艦。デルタ分隊が同級〈プロセキューター〉の救援に赴いた際、援軍として駆けつけた艦。ハイポリ侵攻作戦で大破する。
◎登場エピソード
スター・ウォーズ:リパブリック・コマンド
■人物解説
ティーガ・ドラッヘ
某八華のランサーのそっくりさん。戦闘狂の美人さん。奈○様ヴォイス。階級はナイト。クローン・トルーパーの特殊部隊ムーニリンスト10を従えている。
名前の由来は長尾景"虎"と越後の"竜"から。