「戦場に事の善悪なし。ただひたすらに斬るのみ―――覚悟!」
セーバーを逆手に構え直し、両手で握ってからの突撃。
一撃目突きは、容易く逸らされて弾かれた。
敵は私の突きを弾いたセーバーをそのままに振り下ろし、上段からの一撃を繰り出す。
右足に重心を移し、瞬時に後方へ飛び退く。
敵の攻撃を遣り過ごした私は、次なる一手として敵の左側に飛び込んで、横薙ぎにセーバーを振るう。
敵はそれを宙返りで躱し、そして間髪入れずに牙突。
迫る深紅の剣先に刃を当てて力を逃がし、隙を作る。
敵の刃をいなして自由になったセーバーパイクの、もう片方の刃を起こして不意打ち――外れた。そう上手くはいかないか。
そこに下段からの振り上げが飛来。金色の刃で押し留める。――が、如何せん地力が違う。フォースの差が、小手先の技量ではどうにもならないほど開いているのだ、まともに正面から殺り合っては押し負けるのは此方か。
加えて敵は名の通った大剣豪。…………やはり、所詮は支給品のセーバーパイクでは限界か。
「ほぅ…………」
ソーラ・バルグは、不敵な笑みを浮かべながら、鍔迫り合いを演じる私を見下ろす。
「評判は聞いていたが、戦となるとまるで別物ではないか、シャルロット」
「どうも。何分戦場ですから」
シャルロットは元来、ずぼらな性格の快楽主義者だ。任務はそつなくこなすが、問題行動も多い。それが、オーダーでの彼女の評価だ。事実、ソーラ・バルグが聖堂で目にした彼女の姿は、だいたい眠たそうにしているか、図書館辺りで惰眠を貪るか、休みの日には酒を浴びる。そんな状態の日が多かった。
にもかかわらず、単なる支給品のライトセーバー・パイクでここまで自分と渡り合う彼女の姿は、意外といえば意外だった。
そして―――本来の得物がセーバーパイクでないことも、彼には手に取るように感じられた。
「はあッ!!」
後方に飛び退き、鍔迫り合いから離脱して仕切り直しを図るシャルロットに対し、即座に青白のフォース・ライトニングを放つソーラ・バルグ。
来たか。ならば―――
「
左手を眼前に突き出し、迫る攻撃的なフォースを拒絶する。
展開した掌から盾状に広がったフォースの壁は、自身を害するフォースを防ぐ即席の城塞と化す。――今のところ、形にできたのは私だけの筈だ。
「フォースを"斬った"か。いや、断ったのか。まさか、貴様が斯様な技すら身に付けておったとはな。驚きだぞ」
「それはどうも。けど、煽てたって何も出ませんよ」
彼の称賛を、額面通りに受け流す。
ぶっつけ本番だったけど、上手く行ったのは僥倖だ。
私はセーバーを構え直し、このウィークウェイの剣豪と相対する。
「…………にしては、何故実力を隠す? その程度で俺を斬れるとでも思ったか!?」
台詞を言い終わらないうちに、跳躍からの回転斬り。
純粋なパワーに重力を上乗せしたその一撃は、只でさえ華奢なシャルロットの身に余る。それに加えて、怒りの感情を攻撃力に変換――ダークサイドのフォースを絡めて繰り出されたそれは、並のジェダイなら受け止めることも能わないだろう。
今までの様子見から一転、彼が得意とするヴァーパッドを解放し、暗黒面の力を爆発させた彼を前に、流石のシャルロットも後退りしてしまう。
「いつまで実力を隠す気だ? まさか借り物のセーバーで、俺のヴァーパッドの相手が務まるとは思っていまいな」
「まさか。―――確かに、貴方に対して全力で挑まないのは、些か失礼でしたね」
そんなこと、屁にも思っていませんけど。
まぁ、しかし――借り物のセーバーを慣れないフォームで振り回してるうちは、まともな戦果なぞ望めまい。
しかし―――"元の形"が読まれているならば、単に得物を変えただけでは食いつけまい。やはり、一太刀浴びせるには"アレ"しかない、か……。
金色のライトセーバー・パイクを捨て、懐から一振の鍔付きセーバーを取り出す、
「―――仕切り直しです。行きますよ」
迸るは、赤の刃。
新たに取り出したセーバーを、「平晴眼」の位置に構える。
「やはりな、貴様の得物はシングルブレードのオーソドックスなセーバー。先程から癖が見えておったわ」
「流石ですね。やはり剣豪の目は誤魔化せませんか」
とっくの昔に見破られていたことぐらいは想定内。だが、暗黒面の圧が強過ぎる。まるで蒸れた夏の夜のよう。
「しかし、その色には驚いたぞ。だが、暗黒面の力を感じる訳でもなく、かといって光明面を前面に押し出す訳でもない。―――貴様、何者だ」
「さあ。ジェダイなんて、籍を置いてるだけですし。それと、勘違いしないで頂きたい」
「む…………」
一点だけ、訂正させて貰うぞ。
此の刃の色は…………
「此の色は、私が忠を立てた
逆手に持った刃を、顔面の右側に構える。
同時に、右足に重心を移し、歩法の準備。
「我が秘剣の煌めき、受けるが良い!」
――― 一歩、音越え。
未だ未完成なれど、此処が決め刻。
長く打ち合い続けては、此方の手の内が読まれてしまう。ならば、奇襲効果が最大限に発揮できる今仕掛ける他ない。
――― 二歩、無間。
速く、疾く――!
此の身を授かった宿命か、秘められた才を解き放つ。
本物には成れなくとも、せめて、この一刀は。
――― 三歩、絶劒。
奴の真中に、"ほぼ同時に"赤色の刃を突き立てる。その数、三撃。
取った――――!
両手には、確かな感触。
奴を斬ったという、確かな手応え。
……だが、あまりにも呆気なさ過ぎる。
幾ら我が秘剣、
今の剣さえ、奇襲効果を利用してある程度のダメージを与えれたら僥倖と思って繰り出したものだ。本来なら、その間に離脱して、撤退するつもりだったのだが―――
「ごふ―――ッ!?」
な―――何故!?
倒れるは、彼でなく、私。
貫かれて焼けた肺が、空気を求める度に激痛を伴って悲鳴を上げる。
「些か、直線的過ぎたな。ブリュッヒャー」
ああ―――なんて、無様。
渾身の一撃にも関わらず、かの大剣豪は、さも簡単にいなしてしまう。――これでは、合わせる顔すらない。
―――暗い、月。
倒れる傍ら、ふと視界に、暗くて黒いこの
まるで、屍人のように浮かんでいた。
■人物設定
●シャルロット・フォン・ブリュッヒャー
出身地:カリダ
誕生:47 BBY
種族:人間
性別:女性
身長:158cm
体重:45kg
スリーサイズ:B88/W55/H83
髪の色:白銀
目の色:赤、後に金色
肌の色:白色
セーバーの色:赤
金※ライトセーバー・パイク
特技:機械弄り、艦船設計(コルベット以上の軍艦に限る)
好きな物:甘味、ブランデー
苦手な物:きめ細かい生活、政治家
天敵:パルパティーン
属性:秩序・中庸・人
所属:ジェダイ・オーダー
銀河共和国
共和国グランド・アーミー
第7星間兵団
共和国宇宙軍
オープン・サークル艦隊
第3艦隊
第51分艦隊
師匠:サイフォ=ディアス
弟子:アルト・エーベルヴァイン
絶劒・無明参段
座乗艦:ヴェネターⅠ級〈ヴィンディケーター〉
●ドクターアンバー
出身地:タイソン
誕生:?? BBY
種族:近人間
性別:女性
身長:156cm
体重:43kg
スリーサイズ:B78/W58/H80
髪の色:赤色
目の色:琥珀色
肌の色:薄橙
セーバーの色:―――
特技:薬品製造
好きな物:研究、波瀾万丈なイベント
苦手な物:猫、策略家
天敵:ドゥークー
属性:混沌・善・地
所属:銀河共和国
共和国宇宙軍
師匠:―――
弟子:なし
●アルト・エーベルヴァイン
出身地:コルサント
誕生:36 BBY
種族:人間
性別:女性
身長:154cm
体重:42kg
スリーサイズ:B73/W53/H76
髪の色:金色
目の色:翠緑
肌の色:白
セーバーの色:青色
特技:フィールドワーク
好きな物:きめ細かい生活、シャルロット
苦手な物:ぐうたらな生活、マスターに付く悪い虫
天敵:アンバー
属性:秩序・善・星
所属:ジェダイ・オーダー
銀河共和国
共和国グランド・アーミー
第7星間兵団
共和国宇宙軍
師匠:シャルロット・フォン・ブリュッヒャー