彼女はジェダイ・オーダーから2週間の休養を言い渡され、療養に努めていた。
そんな折、ある調査を進めようと決心したシャルロットは、知己の賞金稼ぎとの連絡を試みた。
探し物は面倒くさい
~惑星コルサント、ジェダイ聖堂~
「人探し、ですか?」
きょとん、と首を傾げるアンバー先生。
そんなに私の台詞が珍しかったのか、"貴女にしてはらしくない頼みですねぇ"なんて溢す。
「ええ。ちょっとばかり顔見知りの賞金稼ぎを雇いたかったのですが、連絡先も何も分からず仕舞いで……」
いつか会った賞金稼ぎのあの二人に、頼みたい仕事ができた。
だけど、肝心の通信方法が知らない。ホロネットのサイトからアクセスしたら、私に足がついてしまう。なので、私以外の誰かを介して、連絡する方法が欲しかった。
「なるほど。でしたら知り合いの探偵さんにでも頼んでみましょう! こう見えてわたし、意外と顔も広いんですよ?」
「探偵?」
これはまた、意外な答えだ。
アンバー先生の手札の多さには毎回驚かされる。
「ええ。昔ちょっとご縁がありまして。コクトーさんっていう方なんですけど、ちょっと連絡取ってみますね」
やけに聞き覚えのある、フランスの詩人みたいな響きの名前。ここでその名前が出てくるか。
ともあれ、先生のお陰でこの問題は何とかなりそうだ。
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~惑星コルサント、ココ・タウン~
聖堂を抜けた私達は、アンバー先生が手配したという探偵との会合のため、ココ・タウンの一角に所在するデックス・ダイナーというレストランに足を運んだ。
聞いた話によればこの店の店主はオビ=ワンの友人らしく、パルパティーンの息がかかってないことは確実だ。なので情報漏洩防止の観点からも、私はこの店を会合場所に指定した。
「いらっしゃい、ジェダイの客とは珍しいな」
店に入った私達を出迎えたのは、ベサリスクの店長だ。今は昼の喧騒が落ち着いた頃らしく、店の中は思ったよりも静かだった。
「オビ=ワンから、ここはいい店だと聞いていまして。一度足を運びたかったんです」
「おお、あのオビ=ワンの友達か! 道理で……なるほど。あそこの探偵さんを呼びつけたのはあんたか」
「お察しの通りです。迷惑はかけません、しばらくお邪魔いたします」
「ああ、俺もあんたの仕事の邪魔なんかしないよ。まぁ寛いでいけ」
店主に案内されるがままに、奥のボックス席に案内される。
「そういえば貴方、私がよくジェダイだと気付きましたね」
今は私服の筈なのに。
欺瞞の意味も込めて、アンバー先生から貰った群青の着物を纏っていたが、一瞬で看破された。伊達にオビ=ワンの友人をやってる訳ではない、ということらしい。
「雰囲気が、な。あんたは少々変わってるが、見る人が見りゃ気付くぜ。それに、連れの嬢ちゃんはもろに雰囲気出てるしな」
「なあっ!?」
ベサリスクの店主は視線を変えて、アルトを指してそう言った。
ローブで顔を隠していた彼女だが、変装が見破られてわなわなと顔を赤くしている光景が目に入る。
「ま、そういうこった。んであんた、名前は」
「申し遅れました。ナイトのシャルロットです。此方はアルト、私の弟子です」
私とアルトは店主に一礼し、名前を名乗る。
「俺は店長のデクスターだ。あんたとはいい関係を築きたいもんだな。…………もう一方の嬢ちゃんはジェダイじゃないみたいだが……」
「あらあら、お気付きでしたか。私はただのお手伝いさんですよー」
「ほう…………まぁ、深くは聞かねぇ。注文なら、そこのドロイドに頼む」
一通り挨拶を交わした店主は、奥の厨房へと戻っていく。
まさか、アンバー先生のことまで見抜くなんて。やはりこの店主、只者じゃないらしい。
「――――流石はオビ=ワンさんのご友人です。私のこともお見通しとは」
「ははっ、上には上がいる、って事ですね」
「ククッ、ざまぁみろです腹黒割烹着。マスターは手籠めにできても、エイリアンには通じないみたいですね」
「ちょーっ、アルトさーん!?」
アルトはあの一件以来、アンバー先生への当たりは柔らかくなった。かといってライバル意識は相応にまだ強いらしく、アンバー先生が形勢不利と分かれば挑発するのもしょっちゅうだ。
こうしてアルトやアンバー先生と談笑しながら、案内されたボックス席に腰掛ける。
そこには既に、全身を黒でコーディネートした黒髪眼鏡の地味な男が腰掛けていた。
―――間違いない。彼だ。
まだ名乗ってはいないものの、容姿から見て、彼がアンバー先生の知り合いの探偵に違いない。
「久し振りです、ドクターアンバー。今度はどんな厄介事ですか」
「およよー、感動の再会だというのに開口一番それですか、コクトーさん」
私は悲しいです、と目尻を袖で隠しながら大袈裟に演技するアンバー先生。演技臭いのは生来の性格とはいえ、やはりどうにも胡散臭い。
「貴女に限って、そんなことは無いでしょう。それよりも、どういう風の吹き回しですかドクターアンバー。また何かよからぬことを企んでるんじゃないでしょうね」
「コクトーさんったら、人を何だと思ってるんですか! こんなにかわいい美少女をいじめるなんて。そんなにわたしをいじめるなら、あの恥ずかしい絶倫伝説、ここでバラしちゃうんですからね」
「なあっ!? ドクターアンバー!?」
アンバー先生のからかいで、急に顔を真っ赤にする彼。どうもただならぬ関係らしいが、一体何があったのか。
それはともかく、アンバー先生は自重というものを覚えて下さい。
「コホン! えー、そこの妖怪狐は放っときまして……=ああ、自己紹介がまだでしたね。僕はフォーミュラ・コクトー、彼女から紹介されてるとは思いますが、ただの探偵です」
「ああーっ! 無視しないでくださーい!」
「この度はお世話になります。私はジェダイナイトのシャルロット、んで彼女は弟子のアルト。ま、見ての通りオーダーでは鼻つまみ者ですよ」
「それはまた、大変そうで」
「マスター!? 素行不良はマスターだけですよ!?」
私も巻き込まないで下さい、と上目遣いで怒るアルト。かわいい。
なんか雑音が聞こえる気がするけど、幻聴だろうか。
赤髪の腹黒割烹着なんていない、いいね?
さて、コクトーさんを待たせるのも悪いし、早速本題に入るとしよう
「それで、依頼の内容ですが―――アシュタレトとジェーン、この二人組の賞金稼ぎに連絡を取りたい」
「賞金稼ぎ? ははっ、こりゃまたジェダイの厄介事ですか。一応尋ねますが、何を頼むんです? まさかドゥークーの首とかじゃないでしょう」
冗談めかして言うコクトー。確かに、ジェダイが賞金稼ぎとつるむなんて、世間一般のイメージからしたら胡散臭い。こうして探りたくなるのも頷ける。
だが、生憎と今回はそんな物騒な仕事の依頼じゃない。
「いやぁ、そんな血生臭いものじゃないですよ。ちょっと調べ物で手を借りたくて―――――――彼女達には、オバ・ダイアの月に行ってもらいたいんです」
今回から新章突入です。
クローンウォーズ編は三章構成の予定になりまして、この「ザ・ロストミッション」は中編になります。原作ではCWS6のタイトルですね。
コクトーさんの元ネタはお馴染み型月作品「空の境界」から、黒桐幹也です。声繋がりで遠野志貴の要素も若干入っています。裏設定ですがアンバー先生とはただならぬ関係(意味深)だったとか。今はツンギレな奥さんがいるようです。