惑星サーリッシュに侵攻したジェダイ・マスター、オビ=ワン・ケノービ率いる第212突撃大隊は、分離主義勢力の巧妙な罠に嵌まり窮地に陥った!
ジェダイナイト、シャルロット・フォン・ブリュッヒャーは病み上がりの身であるものの、彼等の救援任務を託されたのだった―――
~コロニーズ カリダ星系 惑星カリダ軌道上 宇宙ステーション ”ヴァロア ”~
サーリッシュへの進出を命じられた私は、艦隊と合流するため惑星カリダの軌道上に建設された宇宙ステーション〈ヴァロア〉へ運ばれた。
ステーションの窓から、緑と青に彩られた惑星カリダを見下ろす。
温帯~熱帯気候に属するこの森の惑星は、記録によれば私の生まれ故郷らしい。だが、物心ついた頃にはライトセーバーを握っていた私にとって、感慨深いものは何もない。強いて言うならば、地球より緑の割合が多いなと感じるぐらいだ。
ふと、眼前を一隻のスター・デストロイヤーが横切っていく。
現行の主力艦であるヴェネター級に似た中央が抉れた楔型の艦型ながら、聳える艦橋は一つ。そしてファイターの発進デッキは艦上部ではなく艦首側。―――ヴァリアント級アタック・クルーザーだ。
―――あれか。新しい旗艦は。
新旗艦の到着を見届けた私は、足早に宇宙港へ足を運ぶ。どうやら目的の艦は11番桟橋に停泊したようだ。
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新たな旗艦となるヴァリアント級のブリッジに乗り込んだ私とアルト、そしてアンバー先生。私達を出迎えたのは、二列に整列したデルタ分隊を含むクローン・トルーパー達だ。彼等の回廊を越えた先には、宇宙軍中佐の階級章を身に付けた青髪の女性士官の姿がある。恐らく艦長だろう。
「お待ちしておりました、ブリュッヒャー将軍。〈ユリシーズ〉艦長のエレイシアです。如何ですか? 本艦の乗り心地は」
「いやぁ、良い艦だ。是非とも戦うところが見てみたいものですね」
出迎えたエレイシア艦隊と挨拶を交わし、早速提督の席に立つ。普段ならもう少しゆっくりしたいものだが、生憎作戦を控えた今は時間がない。私はエレイシア艦長に、艦の出港を急がせた。
「艦長、出港まではあとどのくらいかかる?」
「準備なら既に終わっています。貴女達を迎えに来ただけですから、作戦行動には問題ありませんよ」
「分かった。着任早々で済まないが、事態は一刻を争う。エレイシア艦長、直ちに艦を出してくれ」
「了解です。メインエンジン点火! 〈ユリシーズ〉出港です!」
滑るように、桟橋から身を離す〈ユリシーズ〉。4基のメインエンジンには順々に青い炎が灯り、軌道上で待つ僚艦の元へ向かう。
―――しかしまぁ、よりによって艦名が〈ユリシーズ〉とは、感慨深いものだ。
戦艦〈ユリシーズ〉。…………銀英伝のファンとして、この名を授かった艦が新たな旗艦となったことには縁を感じずにはいられない。かの提督の旗艦のように、幸運であればよいのだが―――
私達を乗せた〈ユリシーズ〉は、ステーションからやや離れた位置に停泊していた艦隊と合流する。その中には、かつての旗艦〈ヴィンディケーター〉の姿もあった。
《お帰り、ブリュッヒャー将軍。再会の挨拶といきたいところだけど、今はそれどころじゃないのが残念だよ》
「同感です。新しい艦隊の底力、見せて貰いますよ? 私が不在の間も訓練に励んでいたのでしょう?」
《ご心配なく。僕が鍛えた艦隊だよ、きっと次の戦いでも大活躍さ》
〈ヴィンディケーター〉のネモ艦長から、再会を祝した通信だ。
見れば、艦隊の陣容もかなり変わっているみたい。スター・デストロイヤーだけでも、新たに2隻はいるようだ。
新たな艦隊の要目に、軽く目を通してみる。
アウター・リム第3艦隊
総旗艦:〈ユリシーズ〉
○第41分艦隊
旗艦:ヴァリアント級艦〈ユリシーズ〉
●第41戦隊
ヴァリアント級アタック・クルーザー
〈ユリシーズ〉
ラディアント級アタック・クルーザー
〈ラディアント〉
〈レゾリューション〉
●第161戦隊
アクラメーターⅠ級アサルト・シップ
〈デファイアント〉
アクラメーターⅡ級アサルト・シップ
〈ジオノーシス〉
〈エンフォーサー・ワン〉
●第193巡航戦隊
アークワイテンズ級軽クルーザー
〈フォーゴフシャー〉
〈アンカーヘッド〉
〈ポルス・アナクセス〉
●第330補給戦隊
改ペルタ級補給艦
〈タタール〉
●第225駆逐戦隊
バーゼル級デストロイヤー
〈D780〉
〈D1130〉
〈D1251〉
〈D1272〉
カンサラー級クルーザー
〈T870〉
○第51分艦隊
旗艦:ヴェネター級艦〈ヴィンディケーター〉
●第51戦隊
ヴェネター級アタック・クルーザー
〈ヴィンディケーター〉
〈ハービンジャー〉
〈アービトレーター〉
●第11巡航戦隊
サウザーン級クルーザー
〈アバファー〉
〈ジャクー〉
〈オク=トー〉
●第101戦隊
ペルタ級フリゲート
〈コンフォート〉
●第61駆逐艦隊
カンサラー級クルーザー
〈T602〉
〈T725〉
〈T768〉
DP20コルベット
〈T1380〉
〈T1396〉
〈T1401〉
〈T1445〉
―――目につく変化は、艦隊規模が2倍近く膨れ上がったことだろう。
新造艦の配備と省力化によってクルーザーやコルベットの配備数が増加し、主力艦の数も2倍になった。
最大の変化は、ヴァリアント級とラディアント級、2種の新型スター・デストロイヤーが配備された点だ。
全長1600mのヴァリアント級はヴェネター級の拡大改良型として建造が進められていた艦で、最大艦載機搭載数はヴェネター級の192機に対し252機にまで増加。ターボレーザーや装甲も増強され、正にヴェネターの発展型に相応しい性能を持っている。ぶっちゃけ正面戦闘に限ったらインペリアルより強いんじゃないかな。
そして見慣れない艦種のラディアント級は、ヴェネターを純粋な戦艦に再設計したような艦だ。全長1200mの艦体には連絡用のシャトルぐらいしか格納できず、ヴェネターならファイターの発進口だった艦上部の軸線上にはいかつい重ターボレーザーがこれでもかと並んでいる。ついでに装甲やシールドもヴェネターより強固だ。
この新たなスター・デストロイヤーは、ヴェネター級艦の後継艦開発計画『ネクスト・ヴェネター』計画に基づいてクワットが送り出した新鋭艦だ。この計画の産物として、他には宇宙空母能力に特化した独特な形状で有名なセキューター級バトルクルーザー、ヴァリアント級をさらに拡大発展させたプロテクター級バトルクルーザー等が開発されている。そういえば、インペレーターの話は往々にして聞かない。開発計画はこれとは別口なのだろうか。
「さて…………どうしたものか。エレイシア艦長、敵の艦隊配置は掴めているか?」
「いえ……ケノービ将軍からの通信は既に途絶しています。最後に確認できたのは、ルクレハルク級艦1、レキューザント級艦1、ミュニファスント級艦3だそうです」
「なるほど。最低限、その程度の戦力は展開しているという事か」
どうやら、情報では敵の主力艦は6隻程度。アクラメーターを抜いたらこちらと同数だ。しかし、ただでさえ頑丈なルクレハルクが居る。ミュニファスントも、ヴェネターに比べたら小柄だが火力が高い。決して侮れない相手だ。
加えて、この数は"最低限"である。実際には何処まで増えていることやら……
「敵の数が仮に2倍と想定すると…………不味いな。此方が明らかに劣勢だ」
私はホログラムを用いて、図上演習でシミュレートを始める。確かに艦隊は増強されたが、火力が高い戦艦が敵艦隊に複数含まれていると忽ち此方が劣勢になる。加えて新編された
「シャルさん、今回はあくまで救出任務です。馬鹿正直に敵主力とぶつかる必要はないのでは?」
「ええ、分かっていますとも。ただ――軌道封鎖というのは厄介ですね」
状況から察するに、敵は間違いなく主力艦隊で軌道封鎖を実行している。封鎖下の友軍を救出するには。何らかの方法でそれを破らなければならない。あのアナキンでさえライロスで一度しくじってるんだ。対策を誤れば、敵に更なる戦果を献上する羽目になる。
「――これしかないな。アルト、ファイター隊を纏めてくれ。ジャンプ直後からパーティーになるぞ」
「はい? ――了解です、マスター!」
すっかりファイター隊の重鎮としての位置を確立したアルトはその指揮官に任じ、私は各艦に事前に予定の艦隊行動を記したプログラムを送信する。
「ブリュッヒャー将軍、各艦のハイパードライブ、準備完了です」
「よし、そのまま跳ぶぞ。目的地は―――サーリッシュ軌道上だ」
艦隊の各艦が、急加速して虚空へと呑み込まれていく。ハイパードライブを起動したのだ。
蒼白いハイパースペースを抜けた先は、死が蔓延る戦場だ。
私の指揮が、鈍っていなければいいのだが……
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~エクスパンション・リージョン 惑星サーリッシュ軌道上 プロヴィデンス級ドレッドノート ”ヴィクトリー・スクリーム ”
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灰色に荒れ果てた岩の惑星サーリッシュの軌道上。
そこには、地上でもがく共和国グランド・アーミーの逃げ道を塞ぐように独立星系連合宇宙軍の艦隊が展開していた。
ルクレハルク級バトルシップ 1隻
プロヴィデンス級"ドレッドノート" 1隻
レキューザント級ライト・デストロイヤー 1隻
ミュニファスント級スター・フリゲート 3隻
これらの艦船を主力に、ゴザンティなど雑多な護衛艦で構成されたサーリッシュ封鎖艦隊を率いるのは、分離主義者のニモーディアン提督キャプテン、マー・トゥーク。
彼は共和国による援軍を予期し、惑星を背にして艦隊を展開させていた。
「提督! ナニカガハイパースペースカラ出テキマス!」
旗艦であるプロヴィデンス級のブリッジクルーを務める1体のB1バトル・ドロイドが報告する。
「なにかとは何だ! 敵か!?」
曖昧な報告をしたドロイドをトゥークは叱責し、正確な報告を求める。
直後、彼等の眼前に艦隊を紅白に彩った共和国軍の艦艇が続々と出現した。
「敵デス! ドレッドノート1、クルーザー5、護衛艦多数!!」
「多いな。それだけ敵も本気ということか」
トゥークは現れた共和国軍艦の多さから、敵である共和国宇宙軍がこの艦隊にかける期待の高さを察する。
彼は現れた共和国艦隊を一瞥すると、あることに気付いた。
「あれは───〈ヴィンディケーター〉か………!、あの艦はブリュッヒャーの旗艦だ! あいつはスカイウォーカーに並ぶやり手の指揮官だぞ、気を付けろ!!」
敵艦隊の中央に位置する、いまや珍しい戦隊旗艦塗装として艦橋を赤く染めたヴェネター級。その艦に掘られたハイ・ギャラクティックの艦名を拡大した彼は、その艦がシャルロットのかつての旗艦だと察する。
かつてアナキンに辛酸を舐めさせられた彼は、アナキンと同じく名将として知られる彼女の登場に警戒心を露にした。
「全艦、砲撃用意! ファイター隊も全機発進だ、急げ!」
「「「ラジャラジャ」」」
トゥークの指示に従って、ドロイド達は着々と戦闘準備を進めていく。
こうして、惑星サーリッシュをめぐる戦いは新たな局面を迎えた。
■人物解説
エレイシア
共和国宇宙軍中佐の階級にある女性士官。青い長髪を後ろで束ねた髪型の女性。丸眼鏡がチャームポイント。新鋭戦艦〈ユリシーズ〉の艦長を務める。
元ネタは「月姫」のシエル先輩。
■艦艇解説
〈ユリシーズ〉
ヴァリアント級艦。ジェダイ将軍シャルロット・フォン・ブリュッヒャーの新たな旗艦として配備され、第3艦隊と第41分艦隊の旗艦も兼ねる。艦長はエレイシア中佐。艦名は銀河英雄伝説後半のヤンの旗艦〈ユリシーズ〉に因む。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈ラディアント〉
ラディアント級艦。ヴェネター級の艦載機運用能力を全廃し、火力と装甲に特化した純粋な戦艦。
元ネタは下記URLの二次創作艦から。
https://swfanon.fandom.com/wiki/Radiant_Class_Star_Destroyer
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈レゾリューション〉
ラディアント級艦。アナキンの旗艦〈レゾリュート〉と艦名が似ているが、関係ない。艦名の由来は英R級戦艦の一隻から。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈ジオノーシス〉
アクラメーターⅡ級艦。〈デファイアント〉の僚艦としてシャルの麾下に配備された。艦名の由来は第一次ジオノーシスの戦いから。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈エンフォーサー・ワン〉
アクラメーターⅡ級艦。〈デファイアント〉の僚艦としてシャルの麾下に配備された。艦名はゲーム「Empire at War」でアクラメーター級に適用されるランダムネーム。
◎登場エピソード
Star Wars:Empire at War