惑星ローラ・サユーに囚われたジェダイ・マスター、イーヴン・ピールとターキン提督の救出任務を帯びたアナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービ、アソーカ・タノらの回収任務を遂行すべく、ジェダイ・マスター、プロ=クーン率いる連合艦隊に参加することになったシャルロットは、一部の艦艇を率いて急ぎローラ・サユーへと舵を切った………
~アウター・リム・テリトリー 惑星ローラ・サユー軌道上 ヴァリアント級スター・デストロイヤー ”ユリシーズ ”~
アウター・リム・テリトリー、ベルドロン宙域に属する惑星ローラ・サユー。紫色のひび割れた地表から絶えず金色の溶岩が吹き出す崩壊惑星として知られているこの星には、ジェダイ専用の刑務所シタデルが所在している。
しかし、分離主義者の手に落ちたシタデルは、今や難攻不落の捕虜収容施設と化し、多くの共和国軍人やジェダイが凄惨な拷問を受けていた…………
「全艦、ハイパースペースからの離脱を確認。ローラ・サユー軌道上です」
宇宙を切り裂く、紅白の艦隊。
シタデルに派遣された救出部隊を回収すべく現れた共和国宇宙軍のクルーザーだ。
クルーザーはハイパースペースを出るや否やファイター隊を発進させ、戦闘準備を整える。
「前方に敵艦隊確認。ルクレハルク級1、プロヴィデンス級1、レキューザント級4、ミュニファスント級6、小型艦多数、補給艦2。ローラ・サユー守備隊です」
「各砲座、砲撃用意! 準備でき次第撃ち方始め!」
「コバーン提督、右翼の敵は引き受けます。貴官は左翼の敵艦隊を!」
《心得た。此方は任せてくれ》
共和国艦隊は二手に別れ、左右から独立星系連合艦隊に対し圧力を仕掛ける。
艦隊の指揮を任されているのは共和国宇宙軍准将コバーン、そして宇宙軍中将にしてジェダイ・ナイトの階級を持つ将軍シャルロット・フォン・ブリュッヒャーだ。
「……思った以上に敵艦隊の数が多いな。マスタープロ、如何なさいますか」
《此方には時間がない。我々回収部隊は直ぐに出撃する。できるだけ敵の防衛線に風穴を開けてくれ》
「と言われましても、ガチンコじゃあ良くて互角ですよ、これ。まぁいいでしょう。何とかやってみます」
分離主義者の刑務所シタデルに潜入したアナキンとオビ=ワンを中心とした救出部隊。彼等の目的は、シタデルに囚われたジェダイ・マスター、イーヴン・ピールとターキン提督の救出。彼等は首都コルサントに通じる秘密のハイパースペースレーン「ネクサス・ルート」の情報を握っており、その戦略的価値は計り知れない。
そのため、万が一独力での脱出が不可能になったとき、彼等を回収するためにわざわざ即席の連合艦隊までが編成され、ローラ・サユー近海に待機していた。
アナキン達からの救援信号を受信したわが艦隊は、予定通りその真髄を発揮するとき、という訳だ。
今回の即席連合艦隊の旗艦であるヴェネターⅠ級艦〈トライアンフ〉より、総司令官であるマスタープロ=クーンからの指示が届く。彼は他のジェダイと共に地表へ降下し、アナキン達を回収する予定だ。私はいつも通り、艦隊に残ってその指揮を任されている。
どうも私は、下手に地上や敵施設に送り込むよりも艦隊を指揮させた方が使えるというのが評議会と軍の評価らしい。まぁ、それはそれで正鵠を射ていると私も思うが。地上で暴れるならまだしも、敵施設への潜入なんてどう頑張っても殲滅任務に変わる未来しか見えない。
そして、此方が保有する戦力はこの通りだ。
○第41分艦隊
●第41戦隊
ヴァリアント級アタック・クルーザー
〈ユリシーズ〉
ヴェネターⅠ級アタック・クルーザー
〈ハービンジャー〉
●第193巡航戦隊
アークワイテンズ級軽クルーザー
〈フォーゴフシャー〉
〈アンカーヘッド〉
〈ポルス・アナクセス〉
○第8分艦隊
●第8戦隊
ヴェネターⅡ級アタック・クルーザー
〈イラストリアス〉
〈インドミタブル〉
○第104分艦隊
●第104戦隊
ヴェネターⅠ級アタック・クルーザー
〈トライアンフ〉
アークワイテンズ級軽クルーザー
〈ハンド・オブ・ジャスティス〉
カンサラー級クルーザー 1隻
○第133分艦隊
●第133戦隊
ヴィクトリーⅠ級スター・デストロイヤー
〈ヴィクトリー〉
〈ウォーリア〉
〈グローリー〉
●第368駆逐戦隊
バーゼル級デストロイヤー 4隻
アウター・リム第3艦隊から分派された
私はコバーン提督が率いる半数の艦隊を敵左翼にぶつけ、残り半数を引き受けた。なにぶん今回の派遣が急だったが故に、艦隊構成を見ての通り各艦隊から手頃な艦が引き抜かれた形だ。そのため、護衛艦も満足に配置できていない。…………これは少し、ちとまずいな。
ちなみに第3艦隊の残りはアルトとネモ艦長に預けて別任務に当たってもらっている。
《敵の数が多すぎる。風穴を空けるには時間がかかりそうです》
《そんな時間はない。ブリュッヒャー、我々はシタデルに向かう。援護を頼む》
「了解です。――全艦、敵艦隊中央に一斉射撃。マスタープロが降下するまででいい、敵を怯ませろ」
「イエッサー。目標、セクター0-2から1-5。集中砲火だ!」
マスタープロの降下を援護するために、私は敵艦隊中央への牽制射撃を指示した。
この砲撃により一時的に中央の敵ファイター隊が一掃され、ローラ・サユーへの道が開く。
《各自編隊を組め! 一気に行くぞ!》
艦隊が築いたトンネルへ、マスタープロが乗ったガンシップと護衛のデルタ7が突っ切るように飛んで行く。
彼等が降下したタイミングでその穴は埋められてしまい、再び戦場に敵のドロイドファイターが溢れ出した。
「敵ファイター、来ます!」
どうやら、敵さんも遂に本腰を入れ始めたか。
ハイエナ級、ヴァルチャー級、そして新型ファイターのドロイド・トライ=ファイターからなる戦爆連合が艦隊に迫りつつある。
「近接防御を厳となせ! 敵を近づけるな」
「イエッサー。局所防衛レーザー、セクター51から67の敵機に照準!」
《パープル4、防衛行動に入る!》
《インディゴ2、交戦!》
エレイシア艦長が対空戦闘を命じ、敵機に弾幕が集中する。続いて直俺のファイター隊も敵ドロイドファイターとの戦闘に突入した。
「敵機、〈ハービンジャー〉に殺到しています」
「直俺機を〈ハービンジャー〉に向けろ。敵の攻撃を分散する。〈イラストリアス〉〈インドミタブル〉の両艦はポイントβ-4まで前進せよ」
《イエッサー。パープル中隊全機、続け!》
《うんにゃ、了解! 〈イラストリアス〉両舷全速しまーす!》
パープルリーダーと〈イラストリアス〉艦長のマリ・ロールウェーブ中佐からそれぞれ通信だ。
彼等は私の命令に従い、ファイターと艦を所定の位置まで移動させ敵の攻撃を引き付けた。
「〈フォーゴフシャー〉轟沈! 識別シグナルロスト!」
「本艦を前進させる。穴は空けたままにするな」
「了解です。第3戦速、前進します」
互いの砲火は苛烈を極め、耐久力の低い小型艦から徐々に脱落していく。
既に此方は駆逐艦1、クルーザー1を喪失し、敵もコルベット3を喪っている。
《ブリュッヒャー将軍、このままじゃ埒が空かないよ。殴り合ってるだけじゃジリ貧じゃない?》
敵ファイターとフリゲートを相手取っているマリ中佐からも催促が届く。
プロ将軍が戻るまで支えればいいとはいえ、些か膠着し過ぎか。堅実に戦うだけでは、やはり足りないな。
「分かっていますよ中佐。此方からも一手を打ちます。――〈ウォーリア〉のドドンナ中佐を呼び出せ」
「イエッサー。〈ウォーリア〉に通信を繋ぎます」
クローン士官が、通信回線の接続完了を報告する。
程なくして、ホログラムには髭を蓄えた初老の男性士官の姿が映し出された。
《何用ですか、ブリュッヒャー将軍》
「ドドンナ中佐、貴官の艦隊にはこれから主力艦突撃を行って貰いたい。地上の回収部隊が戻る前に、敵艦隊の陣形を崩す」
どのみち、地上部隊を回収するタイミングで敵に動揺を与えなければ撤退もままならない。戦力が磨り減る前に一度仕掛ける。
《了解しました。本艦を含めた3隻は敵左翼のフリゲート集団に吶喊します》
ドドンナ中佐の敬礼と同時に、彼のホログラムが消失した。私は艦隊の戦術ネットワークへ即座に作戦計画をアップロードし、情報を各艦と共有する。
ドドンナ中佐―――彼がこの即席艦隊にいたのは、正に僥倖といえる。
ヴィクトリー級各艦は砲撃を続けながら前進し、敵艦隊の一角を切り崩さんと突撃する。
敵は此方の急な動きに混乱したのか、咄嗟にファイター隊をドドンナ中佐の艦隊に差し向けたようだ。
しかし、それゆ易々許すほど優しくはないぞ。
「ファイター隊各機、反転した敵機を追撃せよ。逃がすな」
《イエッサー。全機、反撃だ!!》
クローン・パイロット達が駆るファイター隊は後ろ姿を曝した敵ドロイド・ファイター隊に囓りつき、一撃離脱を繰り返して翻弄する。
その隙にドドンナ中佐の艦隊が敵左翼に集中砲火を加え、ミュニファスント級2隻を一挙に討ち取った。
80門の震盪ミサイル発射管と10基のクワッド・ターボレーザー・キャノン、40基のダブル・ターボレーザー砲塔を全力稼働させたヴィクトリー級艦の破壊力は凄まじく、敵左翼は忽ち総崩れに陥った。
「よし、畳み掛けろ! 全艦、敵デストロイヤーに集中砲火!」
「了解です。全砲門、斉射!」
《データリンク砲撃、開始ーっ!》
此方もドドンナ中佐に負けじと、落伍した〈ハービンジャー〉を除くクルーザー3隻で一斉砲撃を開始する。
始めに目標に指定されたレキューザント級は一斉射で吹き飛び、ついでにミュニファスント級1隻も道連れにした。
《―――遅れてすまない。地上部隊の回収は完了だ。各艦、ハイパースペースへの離脱準備に入ってくれ》
「了解です、マスタープロ。全艦、斉射しつつ後退。然るのちに現宙域を反転せよ」
ついに、プロ将軍とアナキン達を載せたガンシップが地上から飛来した。
彼等を載せたガンシップは旗艦〈トライアンフ〉に着艦し、艦隊は撤退準備を始める。
「ティン将軍、ガリア将軍、此方で誘導します。着艦コースに乗って下さい」
《すまない、助かった》
《ありがとう、そっちに向かうわ》
ついでに、プロ将軍のガンシップを護衛していたマスターサシー・ティンとマスターアディ・ガリアのデルタ7を開始するべく着艦誘導に入る。
現状ファイターを収容できる艦で一番彼等に近いのが〈ユリシーズ〉なので、回収役を買って出た形だ。
「〈ハービンジャー〉より生存者の離艦確認。〈アンカーヘッド〉及び〈ポルス・アナクセス〉に収容完了です」
「よーし、此方も撤退行動に移る。全艦、反転180度。ハイパードライブ起動、さっさと逃げるぞ!」
目的を果たした艦隊は、燃え盛る敵艦隊を背にして続々とハイパースペースに突入する。
〈ユリシーズ〉にも時折敵の砲撃が命中するが、構わずに後退して青白いハイパースペースへと身を隠した。
■人物解説
マリ・ロールウェーブ
共和国宇宙軍中佐の階級にある女性士官。奔放な性格で、独特な口調で話す。ヴェネターⅡ級艦〈イラストリアス〉の艦長。
元ネタはエヴァンゲリオン新劇場版の真希波・マリ・イラストリアス。艦名繋がりネタです。ロールウェーブはもう一つの由来である夕雲型駆逐艦巻波から。
■艦艇解説
ヴィクトリーⅠ級スター・デストロイヤー
全長:900m
全幅:564m
全高:289m
武装:クワッド・ターボレーザー・キャノン10基
ダブル・ターボレーザ砲塔40基
強襲用震盪ミサイル発射管80門
トラクター・ビーム発射装置10基
惑星防衛や強襲、地上部隊支援、艦対艦戦闘などの用途のために開発された新型戦艦。全長900mとヴェネター級や後のインペリアル級と比べて小柄ながら高い火力を誇るが、欠点として亜光速巡航速度が低く、ヴェネター級やコルベットなどの高速艦艇との連携にはやや難がある。
〈ヴィクトリー〉
ヴィクトリー級のネームシップ。ドドンナ中佐の指揮下に配属される。艦名の意味は「勝利」。艦名は史実においてトラファルガー海戦時に初代ネルソン子爵ホレーショ・ネルソン提督が旗艦とした104門級1等戦列艦に由来。
◎登場エピソード
本作オリジナル
※筆者が確認する限り、ヴィクトリーⅠ・Ⅱ両級に〈ヴィクトリー〉という艦名は確認できなかったため、出展はオリジナルとしています
〈グローリー〉
ヴィクトリーⅠ級艦。ドドンナ中佐の指揮下に配属される。艦名は「栄光」「誉れ」の意、由来は英コロッサス級航空母艦又はカノーパス級戦艦の一隻から。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈ウォーリア〉
ヴィクトリーⅠ級艦。ドドンナ中佐の指揮下に配属される。艦名は「闘志」を意味する。由来は英装甲艦ウォーリア又はコロッサス級航空母艦の一隻から。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈イラストリアス〉
第8戦隊の旗艦を務めるヴェネターⅡ級艦。初出は外伝短編「Crone wars;After」。宇宙軍中佐マリ・ロールウェーブ艦長の指揮下にある。艦名は「傑出した」「高名な」の意。由来は英イラストリアス級航空母艦のネームシップ、又はインヴィンシブル級航空母艦の2番艦から。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈インドミタブル〉
ヴェネターⅡ艦の一隻。〈イラストリアス〉の僚艦で、第8戦隊に所属する。艦名の意味は「不屈」。由来はイラストリアス級航空母艦4番艦又はインヴィンシブル級巡洋戦艦2番艦から。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈トライアンフ〉
第104戦隊に属するヴェネターⅠ級艦。ジェダイマスター、プロ=クーンの旗艦。原作クローンウォーズでは無名艦であったが、本作ではオリジナルの艦名が設定されている。艦名の意味は「勝利」「凱旋」など。由来は英スウィフトシュア級戦艦又はコロッサス級航空母艦の一隻から。
〈フォーゴフシャー〉
アークワイテンズ級艦の一隻。第41分艦隊第193巡航戦隊に所属。ローラ・サユーの戦いで轟沈する。艦名の由来は惑星カリダに所在する砂漠から。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈アンカーヘッド〉
アークワイテンズ級艦の一隻。第41分艦隊第193巡航戦隊に所属。艦名の由来は惑星タトゥイーンの都市の一つから。
◎登場エピソード
本作オリジナル
〈ポルス・アナクセス〉
アークワイテンズ級艦の一隻。第41分艦隊第193巡航戦隊に所属。艦名の由来は惑星アナクセスの首都から。
◎登場エピソード
本作オリジナル