共和国の旗の下に   作:旭日提督

75 / 125
 コルサント戦場と化す!

 コア・ワールドとコロニーズにおける戦いを制した共和国は、アウター・リム包囲作戦を発動し分離主義者の主要拠点に一斉攻撃を仕掛けていた。
 しかしその最中、コルサントに通じるネクサス・ルートの情報を握ったドロイド軍最高司令官グリーヴァス将軍は共和国軍の隙を突き、コルサント上空に大艦隊を率いて現れた。
 決死の防衛を試みる共和国軍とジェダイを嘲笑うかのように、グリーヴァスは易々とパルパティーン最高議長を誘拐し、旗艦〈インヴィジブル・ハンド〉に凱旋した………



コルサントの戦い

 時に、銀河歴紀元前19年──19.48 BBY。現行の銀河標準歴である宇宙歴においては紀元981年*1にあたるこの年。共和国軍はデュロ、コメナー、バルモラといったコア・ワールドやコロニーズの主要な戦場で次々と分離主義者を相手に大きな勝利を納めていた。

 この戦いで大損害を負った独立星系連合軍は戦力を銀河の外縁部分、ミッド・リムやアウター・リムなどに集中させ、グリーヴァス将軍の指揮の下戦線の整理縮小と軍の再建を図った。

 

 一方共和国軍はこの機会を逃すまいとアウター・リム包囲作戦を発動。統合作戦本部長シャルロット・フォン・ブリュッヒャー指揮の下サルーカマイ、フェルーシア、マイギートー、ケイト・ニモーディアといった分離主義者の主要な拠点への攻略作戦を開始する。

 宇宙軍とグランド・アーミー。この二つの軍の有機的作戦運用を企画した統合作戦本部の存在は作戦遂行の上で極めて有効に働き、共和国軍は各戦線において充分な艦隊戦力と地上軍を投入することに成功する。特にサルーカマイにおける戦果は華々しく、分離主義者の名将にして暗黒面に転向した元ジェダイ、ソーラ・バルクの首を討ち取ることに成功した。

 

 この一連の大攻勢は結果的に見ると成功を納め、共和国軍は独立星系連合軍主力に痛打を与えるとともに、銀河各地で未だ大きな勢力を有していた分離主義勢力を分断・孤立化させるという成果を得た。

 

 しかし、ここで分離主義者は一世一代の賭けに出る。

 

 グリーヴァス将軍が入手した『銀河外縁部から航行危険宙域を通過して首都惑星コルサントへ通じる秘密航路』、即ちネクサス・ルートを辿り、独立星系連合宇宙軍艦隊主力は大挙してコルサントに来襲。戦局の挽回を図るべくコルサント防衛艦隊の撃滅と銀河共和国最高議長シーヴ・パルパティーンの誘拐を図る。アウター・リム包囲作戦に戦力の大部分を回していた共和国軍の護りは当然手薄になっており、グリーヴァスの急襲に対処できずパルパティーンをまんまと奪い去られてしまう。

 

 統合作戦本部長シャルロット・フォン・ブリュッヒャーは急遽各戦線の余剰な艦隊とオープン・サークル艦隊主力を召集し、分離主義者の迎撃を試みた。

 上空は離脱を図る独立星系連合軍艦隊とそれを阻止せんとする共和国軍艦隊で溢れ返り、地上はスターファイターとドロイド、クローン兵が入り乱れる地獄の戦場が顕現するコルサント。

 

 三年の長きに渡って続いたクローン戦争、その最大の戦いであるコルサントの戦いが始まったのだ。

 

 

 ~コア・ワールド コルスカ宙域 惑星コルサント 共和国軍事作戦センター~

 

 

 共和国宇宙軍とグランド・アーミー。この二つを指揮する統合作戦本部が置かれたこの共和国軍事作戦センター。銀河共和国の軍令を一手に司るこの要塞は、建設以来最大の危機を迎えていた。

 コルサントの地上に大挙して押し寄せた独立星系連合のドロイド軍は、当初の目的である銀河共和国最高議長シーヴ・パルパティーンの誘拐を果たすや否やこのセンターに向けて転進。共和国軍の指揮系統を麻痺させ、更なる戦果拡大を狙っているのは誰の目にも明らかだった。

 共和国軍はセンターの目前にARCトルーパー、ARC-77キャプテン・フォードーを指揮官とする最終防衛ラインを構築し死守を図っていたが、最早劣勢を覆すだけの力は残されていなかった。

 

「はぁぁぁっ、そりゃッ!! …………っち、敵が多いですね。無事か! キャプテンフォードー」

 

「はい、何とか。ですが防衛ラインが抜かれるのは時間の問題です!」

 

 統合作戦本部に続く最終防衛ラインを死守するフォードー率いる大隊とジェダイナイト、ティーガー・ドラッヘ将軍の部隊は果敢に戦果を拡大するも、想定を遥かに上回るドロイド軍の物量の前にじわじわと後退を余儀なくされる。

 既に制空権は喪って久しく、応援のファイターは他戦線のドロイドファイターに阻まれて届く気配は無し。地上にはB1、B2バトルドロイドの群れはおろかデストロイヤー・ドロイドまでもが溢れる戦場においては、幾ら剣戟と照準に優れようとも焼け石に水に過ぎなかった。

 

「一つ、二つ、三つ! まだまだっ!!」

 

「ポイントB4まで後退だ! 急げ!」

 

「そこだっ、にゃー!!」

 

 斬れども撃てども、次々と現れるバトルドロイド。ジェダイナイトのドラッヘは白兵戦に勝る自らを囮にしつつ敵陣の中心で大立ち回りを演じ、その隙にフォードーが戦線を立て直す。この繰り返しで遅滞防御に努めてきた両者であったが、流石に疲労の色は隠しきれない。ドラッヘは尚も攻撃的な笑みを絶やさずに通常のライトセーバー、薙刀型のセーバー、果てにはテンプルガードのライトセーバー・パイクまで持ち出して手当たり次第にドロイドを斬って回るが、各地の戦線を転々としてきた配下のクローン達は最早限界に近かった。

 

「ぐあっ!」

 

「クソッ、衛生兵ッ!!」

 

「駄目だ、間に合わん! 下がれ!」

 

 炎上するウォーカーの陰、コンテナの隙間。ありとあらゆる遮蔽物に身を隠しつつ果敢にドロイド軍に立ち向かうトルーパー。だが、容赦の無い火力が彼等の頭上に降り注ぐ。HMPドロイド・ガンシップから放たれたロケットはコンテナの陣地を焼き尽くし、オクトゥプタラ・トライ=ドロイドから連射されるレーザーはウォーカーを容赦なく貫き、NR-N99パースエイダー級ドロイド・エンフォーサーの火力はありとあらゆる人工物を灰塵に還していく。

 

 圧倒的な火力に晒され続けたクローン兵は勇敢にも戦いを続けるが、抵抗も最早これまでか、と次第に士気に陰りが生じるのも無理はない。仲間が一人、また一人と倒れる度に、彼等の手先は鈍ってゆく。

 

「将軍! もう限界です! センターへの退却を!!」

 

「まだだ、つっ! 奴は来る! 皆の者、もう少しの辛抱だ! あと一息、持ち応えよ!!」

 

 累積する自軍の損害、圧倒的に優勢な敵軍。フォードーは堪らずにドラッヘに向けてセンター内での籠城戦を進言するが、彼女は尚も踏み留まる。

 彼女には確信があったのだ。あの年若き本部長は必ず打開の策を用意していると。

 

「───っ、将軍! あれを……!」

 

 果たして、その信頼は果たされた。

 

 天を翔る48機のARC-170スターファイターとアルファ3ニンバス級Vウイング・スターファイター。見事な編隊機動を描くその翼から放たれる蒼い光条は傍若無人に暴れ回るHMPドロイド・ガンシップの命運を断ち、瞬く間にハイエナ級ボマーと可変翼自動推進式バトル・ドロイドの小隊を絡め取る。

 

「増援だ! 増援が来たぞ!」

 

「イヤッフゥー! いいぞもっとやっちまえ!!」

 

「突撃ぃー! 野郎共、倍返しの時間だ!」

 

「ゴーゴーゴー!!」

 

共和国魂(Republic Spirits)を見せてやれ!」

 

 盤返しの如く一瞬で入れ替わる航空優勢。その活躍に鼓舞されたクローン兵の士気は鰻登りに膨れ上がり、今まで受けた辛酸を返さんとばかりにブラスターの引き金を力強く引き続ける。

 

「敵のガンシップガ来マス!」

 

「ナンダト! ──ウワァ!?」

 

 更に飛来するLAAT/iガンシップのレーザーとロケットは地上のバトル・ドロイドを手当たり次第に焼き尽くし、クローン兵に痛打を浴びせ続けてきたNR-N99パースエイダー級ドロイド・エンフォーサーやオクトゥプタラ・トライ=ドロイドに引導を渡す。

 

「敵ガ盛リ返シタゾ!」

 

「退却、退却ゥ~」

 

「待テ。命令ハセンターの攻リ」

 

 ザシュッ。

 

 乱舞するファイターに紛れ、戦線に降り立つ華奢な影。

 

 迸る一条の赤い刃が、退却するバトル・ドロイドを督戦するスーパー・タクティカル・ドロイドの首を断った。

 

「よくもまぁ、ここまで好き放題やってくれましたね。───ご無事ですか? ドラッヘ将軍」

 

「ええ、私は見ての通りです。が──些か遅いのではありませんか? ()()()()殿()

 

 深緑の軍服を翻し、深紅の光刃を振りかざすは共和国軍の軍令を一手に担う統合作戦本部長、シャルロット・フォン・ブリュッヒャー。

 彼女の無事を問うその言葉に対し、ドラッヘは嫌味を含んでにたりと不敵な笑みを返した。

 

「申し訳ありません。何分、司令部設備の撤退に手間取ったもので」

 

「ははっ、それは仕方ありませんね。暴れるしか脳のない私には分かりかねるが、さぞ大変だったことでしょう」

 

「ええ、それは勿論。敵に資料の一つも渡す訳にはいかないので」

 

 淡々と事のあらましを告げるシャルロット。今の今まで、彼女を含めた統合作戦本部の人間は防衛戦全体の指揮をしつつ重要資料の持ち出しと廃棄作業を平行して行い、司令部機能を移転させるべく駆け回っていた。その作業が終了したのがつい先刻。センターの破棄を完了した彼女達は、撤退戦の仕上げとして軍事作戦センターを護り通したフォードーの部隊とドラッヘを回収するべく、センターの目前に陣取る分離主義者ドロイド軍に対する一時的な攻勢を仕掛けたのだ。

 

「……時間がありません。貴女も急ぎガンシップに。このセンターは放棄します」

 

「む、了解した…………。皆の者聞け! 我等は此よりここを退く! 各々手頃なガンシップに乗り込めー!!」

 

 軍事作戦センターの放棄を聞いたドラッヘは、配下の部隊に向けて撤退を指示する。

 彼女の指示を受けた生き残りのクローン兵達はARC-170とVウイングの援護を受けつつ、急ぎガンシップの袂まで走る。この隙にも態勢を建て直したバトル・ドロイドの群がクローンを逃がすまいと殺到するが、ドラッヘとブリュッヒャーは最後まで立ちはだかり、自らもガンシップに乗り込むまでの間にドロイドの残骸を幾重にも積み重ねた。

 

 果たして撤退作業は遂に成され、統合作戦本部を護っていた大隊の残存兵力を率いるドラッヘとブリュッヒャーの二人はコルサントの成層圏にて待機するヴェネターⅠ級スター・デストロイヤー〈インテグリティ〉の袂に辿り着いた。

 

 しかし、戦いの炎は未だ各地で燃え盛る。

 

 当然彼女達には休息の時など恵まれる筈もなく、共和国軍総司令部を兼ねた〈インテグリティ〉の壇上に立ったシャルロットは、コルサントからの離脱を図るグリーヴァス将軍の旗艦〈インヴィジブル・ハンド〉を追撃するべく全軍を挙げての総攻撃を指示する。

 

 ここにコルサントの戦いは新たな局面を迎え、戦いの主軸は地表から宇宙へと移り変わる。

 

 彼女が司令部を〈インテグリティ〉に移したのと時を同じくして、アナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービが座乗するヴェネターⅡ級スター・デストロイヤー〈ヴィジランス〉を旗艦とするオープン・サークル艦隊主力が戦線に到着。程無くして、奪われたシーヴ・パルパティーン最高議長を奪還するべく、〈ヴィジランス〉から2機のイータ2アクティス級軽インターセプターが飛び立った。

*1
銀河共和国の時代においては、1,000 BBYのルーサンの改革を基点とした歴法を採用していた。本作においては、この歴を独自設定で「宇宙歴」と称している。




 いよいよ時系列はTCWからEP3に突入です。いやークローンウォーズは長かった( ) 原作に沿うならここから新章なのですが、表題が『シスの復讐』ではなく『フォール・オブ・ザ・リパブリック』であるが故に、「クローヴィスの台頭」が本章の冒頭になっています。

 スターウォーズの歴法については銀河標準歴(或いはコルサント標準歴)というものがありますが、此方は時代と共に基点となる年が変わるので、本作においては原作のABY、BBY表記は「銀河歴」、ルーサンの改革を基点とする銀河共和国の時代の歴はオリジナルの呼称を設定して「宇宙歴」と呼び分けることにしました。(ちなみに銀河帝国は当然「帝国歴」ですw)


 また、近々番外編の投稿を予定しているのですが、ここでリクエストを募ろうかと思います。ちょっとしたエピソードでこんな話が見たいというのがありましたら遠慮なく書き込んでいただいて構いません。一応コラボ希望も受けつけようと思います。書き込みは以下の活躍報告にてお願いします。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=265992&uid=132178


■艦艇解説

〈インテグリティ〉

 共和国宇宙軍オープン・サークル艦隊に属するヴェネターⅠ級艦。
 通常のヴェネター級とは異なり、上面のフライトデッキが暗い灰色に塗装されているのが特徴。
◎登場エピソード
Millennium Falcon
Labyrinth of Evil


 次回予告

 統合作戦本部の機能をヴェネター級艦〈インテグリティ〉に移し、グリーヴァスを討たんとするシャルロット。奪われた最高議長シーヴ・パルパティーンの救出にアナキン・スカイウォーカーらが向かう中、彼女はかつてない規模の大艦隊の指揮に苦戦しつつも独立星系連合軍艦隊を撃滅すべく邁進する。

 次回、第69話「天上戦争」
 銀河の歴史が、また1ページ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。