大江戸騒動記~棟平屋の軌跡~   作:社畜だったきなこ餅

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今回は時代劇とは少し括りが違うネタをお届けします。
感想であれだけ望まれたらもう、やるしかないじゃない!!(責任転嫁する人間のクズ)


求.バカ殿と有名なお殿様の家老に叱られない方法

 

 

天下泰平?ヤツが死んだなんて嘘じゃ仮に死んでおったとしても、とっとと墓場から掘り起こして死霊術の素材にせい。

 

まぁそんなことはさておいて、ちょっとばかりの騒動はあったがそれも無被害で切り抜ける事に成功したし、平和が一番じゃのう。

簀巻きにされた?それはそれ、これはこれじゃ。

 

 

「そう言えば新右衛門や、中村様のところも念願の子宝を授かっておったが……祝いの品は送ってあるかのう?」

 

「はっ、全て万事問題なく」

 

「良かったわい、いやほんとに幸せになってほしいもんじゃよ」

 

 

初孫が生まれるか生まれないかというタイミングで、懐妊しておった中村様の奥方であるりつ殿も出産したからのう。

一時は子か母かを選ばねばならないほど危うかったそうじゃが、選りすぐりの医療チーム派遣で無事上手くいったそうじゃ。

 

八丁堀の旦那は何の因果か、子に恵まれそうになるたびに悲劇に襲われる宿命じゃったからのう……せめてこの時空では幸せになってもらいたいものじゃわい。

 

そんな具合に在りし日の前世で見た遣る瀬無い結末に想いを馳せていると、新右衛門が佇まいを直して此方へ向き直りよった。

 

 

「時に大旦那様、昨日上奏させて頂きました計画。承認頂けますでしょうか?」

 

「警備専門の部署の大幅拡張なぁ……儂もソレは大賛成なんじゃが、余り大々的にやるとお上に睨まれそうで恐ろしいんじゃよな」

 

「危惧されるところは重々承知しております」

 

 

先日の盗賊連中の案件を機に新右衛門、大規模な警備部門立ち上げをことあるごとに提案してくるんじゃよなぁ。

いや新右衛門が危惧するところはわかるんじゃよな、自分の子を持った事もあってこやつの守護らねば精神が高まるのも理解できるし。

 

しかしこう、組織的に動ける暴力集団って一歩間違うとお役人にしばき倒されそうで怖いのが正直な所なのじゃよ。

 

 

「ですがご安心下され大旦那様、計画を一から見直し武装は一切用いませぬ形で編成しますとも」

 

「ソレはそれでお主らの身が心配なんじゃが……」

 

「心配ご無用でございます、先般の襲撃において試験的に運用したところ無手で傘下の店も襲おうとしていた輩を全て無傷でせんめ……捕縛に成功しております」

 

「おう待てぃ、今物騒な事言い掛けんかったか?!」

 

 

新右衛門が屏を越えて屋敷に入り込んだ輩を、昇〇拳みたいな技で半殺しにしたのは儂も見たが……お前部下にまでやべーもん仕込んだの?!

 

 

「全ては大旦那様の教えがあってこそです、習得と熟達に時間を要した事こそ不覚でありますが……故にこそ教えとして体系化する事が出来ました」

 

「新右衛門お前……昔からそうじゃったが、暴力の化身過ぎない?」

 

「護法神とお褒めいただくとは恐悦至極」

 

 

震える声で誇らしげに語る新右衛門にツッコミを入れると、シレっと奇麗に返される。

ほ、ほめたワケじゃないんだからね!

 

大きく深呼吸しメリットとデメリットを冷静に俯瞰して考える。

ぶっちゃけコレから更に規模拡大する事を考えると、自前で防衛できる戦力が多い方がいいのは間違いない。食い扶持なんて幾らでも回して食わせてやれるしの。

 

 

「ん、いやちょいマテ。閃いた」

 

「はっ」

 

 

その時儂に電流走る、いや待て脳内平賀源内そのエレキテルを仕舞え。

 

思考のノイズを一旦隅っこに追い遣り、新右衛門を手で制すると儂は思考する。

今の時代でも浪人や食うに困る旗本が用心棒をやっておるし、長屋に住む男衆が五人組を編成して自衛するという文化は存在しておる。

宿場町なんぞは兄弟分がやっとるように、そこら辺りを縄張りにしとるヤクザ者が警備員みたいな事しとるしな。

 

コレ、新たな事業としてありなんじゃね?

 

 

「よしわかった承認じゃ、採用する人員の試験や育成は全てお主に任せるぞ新右衛門」

 

「ははぁっ!」

 

 

なんなら結構暇して人材資源として余剰となっとる、武士階級を取り込んで警備会社的なモノやるのも楽しそうじゃの。

そうなった場合、今度は無手で戦わねばならん事に苦情が出そうじゃがそん時はそん時じゃ。

 

一つ問題ごとが片付いて満足した儂は、少し温くなったお茶が入った湯呑を手に取ってその中身を口に含み。

 

 

「たた、大変です大旦那様! 志村の殿様から緊急の文が!」

 

「ぶぅーーーーーーーーーーーっ?!」

 

 

大慌てで部屋に駆け込んできた傍付き護衛二号こと、三郎太の悲鳴にも似た叫びにお茶を噴き出した。

 

 

「どれだけ逼迫しても平静を保てと常日頃言っているだろう三郎太、訓練が足りないか?」

 

「ひぃっ?! と、とにかく文を!」

 

 

咳き込む儂の背中を摩る新右衛門が地獄の底から響いてきたような声で三郎太を詰めるのを聞きながら、儂は息を整えて文を受け取る。

……うん、確かに間違いなく儂が好き放題やっとる町も治めている志村藩の花押が押されておる……。

 

ちなみに儂が綱渡りしながら高めた医療術で救ったのは志村藩の現在のお殿様の御父上であったりする。

 

 

「…………マジかぁ」

 

 

文はそれはもう見事な達筆で書かれ、その雅さはお公家様の文かと思うほど。

しかし中身は非常に切実なものが書かれていた、要約すると。

 

 

『献上してもらった玩具ではしゃいでたせいで爺に怒られる、言い訳手伝って』

 

 

である、身もふたもない。

若かりし頃のやんちゃの縁もあり新右衛門も志村のお殿様は旧知の仲である故か、儂の顔を見て何が書かれてるのか察した様子を見せておる。

 

 

「新右衛門、支度をするぞ」

 

「承知致しました」

 

 

はてさてあのお殿様……愛をこめてバカ殿様と呼ばれてるアイツ、今度は何やらかしたのかなぁ?!

 

 

 

 

 

そんなこんなでやってきた儂&新右衛門、目的地は立派な天守閣のある志村藩のお城である。

 

 

「なぁ新右衛門や」

 

「はい大旦那様」

 

「儂の目か頭がどうかしているのでなければ、人力飛翔機械が城の壁にめりこんでね?」

 

「めりこんでいますな」

 

 

儂と新右衛門の視線の先には、竹やら何やらで可能な限り軽量化して作られた足漕ぎ式ヘリコプター。

街の職人共と何故か顔を出していた発明家仕事人の順之助が……悪乗りと徹夜で作り上げた逸品。

その名も人力飛翔機械、の残骸が見事なまでに城にめり込んでおった。

 

 

「なぁ新右衛門、確かお主どのぐらいの高さまでいったんじゃったっけ?」

 

「自分は二間に届くか届かないほどでしたな」

 

「いつ聞いても化け物じゃよなお主の体力、しかし殿様も中々ハッスルしたようじゃのう」

 

 

二間……大体3.6m足漕ぎで飛ぶとか新右衛門も大概化け物じゃね?

しかしあの残骸の高さ的に、少なくとも1m以上は殿様も飛んだみたいじゃのアレ……。

 

 

「お待ちしておりました、こちらへ」

 

 

遠い目をしながら新右衛門と一緒に残骸を見ていると、こちらに気付いたのかやってきた某マーシーそっくりな側用人に案内されて城の中に儂らは通される。

初めて見た時はめっちゃテンション上がったが、見慣れた今となっては顔馴染な感じである。

 

そんなこんなで通された、コントバラエティ愛好家なら一度は足を踏み入れてみたいあのお部屋。

なお儂は何度もやってきておる、いつもは割とテンション上がるけど今回ばかりはそれどころじゃない。

 

 

「おお、棟平屋!来てくれたか!」

 

 

今先ほどまで家老であるクワマンにガン詰めされていたのか、白粉を塗った顔面を更に青白くさせた殿様。

某動物番組で園長もやっていたお殿様、通称バカ殿が笑顔を浮かべて儂を迎える。

 

儂知ってる、あの笑顔は丁度良いスケープゴートがやってきたって考えてる顔じゃ。

 

 

「む、藤兵衛殿か……丁度良い、貴方にも言いたいことがあります」

 

 

そしてじろりとこちらへ視線を向けたクワマンが、わざとらしい咳払いと共に儂をターゲッティング。

この家老のじーさん、儂がやんちゃしてた時からの付き合いだから扱いが一般通過商人じゃなくてバカ殿とつるんで悪さするクソガキ扱いなんじゃよな。

 

あ、新右衛門のヤツさりげなく離れて背景に同化してやがる!

この前三郎太もやっておったけど、あの技術伝授したの新右衛門じゃったの?!

 

 

「は、はは、どうやら思ったより高く飛んでしまったみたいですなぁ」

 

「何が高く飛んでしまったですか!」

 

 

冷や汗を浮かべながら空々しく嘯くと、クワマンじーさん怒りが爆発。

 

 

「そうじゃぞ棟平屋、折角空を飛んで華麗に女湯を覗こうとしたのに失敗したではないか」

 

「殿は黙ってなさい! というかそんな事しようとしたんかアンタは!」

 

 

ついでにバカ殿が家老の言葉に乗っかってくるが、即座に返す刃で切り伏せられるバカ殿。ぐうの音も出ず轟沈。

 

その後儂とバカ殿は仲良く、がっつり家老に絞られるのであった。

新右衛門? やつはマーシーと仲良く茶菓子喰いながら談笑してたよ。

 

 

 

「……のう殿様、コレ儂来る必要あった?」

 

「だっふんだ」

 

「あ、コイツ都合悪くなって誤魔化しやがった!!」

 




志村さん……貴方のいないバラエティはさみしすぎるよぅ(´;ω;`)
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