大江戸騒動記~棟平屋の軌跡~   作:社畜だったきなこ餅

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何とこのたび、とりなんこつさんが本作の三次創作を書いて下さりました!
今度は手の込んだ自作自演ではない、真っ当な三次創作です!
https://syosetu.org/novel/262615/

めっちゃ豪華な内容となってますので、是非読んでください!


求.上様と副将軍に目をつけられた儂が仕事人の必殺から逃れる方法・後

 

 

 天下泰平って言うけど最早嘘なんじゃなかろうかと思い始めた江戸時代、意識を失う直前に中村様に託して気を失った儂は今どうなっているかと言うと。

 

 

「オオダンナサーン、御無事デヨカッタデース!」

 

「ぬお、シーラ!ちょっ」

 

 

 支店に詰めてた医者、そして店員らの尽力によって一命をとりとめて布団から身を起こしたところを。

 医療所に勤めている妾の一人である、オランダ美女のシーラに抱き着かれて柔らかな女体を堪能しておった。

 

 

「ワタシ、シンパイデシンパイデ胸ガハリサケソウデシタ!」

 

「そうかそうか、心配をかけてほんにすまんのう」

 

 

 涙ながらに縋りつき訴えてくる美女、これだけで最早ご褒美である。

 生存本能から藤兵衛棒もたぎりはじめておるし、ここは一発と思いその豊満な乳房や張りのある尻へと手を伸ばし……。

 

 

「うぉっほん!」

 

 

 わざとらしい咳払い、そちらに目を向けてみればそこには。

 ちりめん問屋の御隠居一行がいらっしゃいました、え? シーラと一緒に来たと?

 

 

「これは失礼しました……うっかりしておりました」

 

「藤の旦那もうっかりする事があるのですなぁ!」

 

「ほっほっほ、これはさしずめ……うっかり助兵衛と言ったところですかな」

 

 

 バツの悪さにへへへなどと笑いながら汗をぬぐえば、うっかり八兵衛と御隠居の小粋な発言で何とも言えない空気が入れ替えられる。

 そして何やら内密の話がありそうなので、控えていた医者と心配そうに傍らに座っていたシーラを退出させ。

 

 ご隠居一行と、布団から身を起こした姿勢で向き合う。

 

 

「この度は災難でしたなぁ、棟平殿」

 

「いやまさかアソコまでやらかしてくるとは、儂も思うておりませんでした」

 

「その口ぶり、やはりお心当たりはあるようで……鳴海屋とかですかな?」

 

 

 好々爺とした口調と表情でズバリと切り込んでくるご隠居、やっぱこの爺さんこええよ!

 これはもう腹括って違和感含め、御隠居に丸投げしてしまうか。餅は餅屋って言うしの。

 

 

「鳴海屋とヤクザ者の権蔵もそうですが……あやつらに忍の手の者を動かす伝手など早々ないでしょう、そうなれば」

 

「裏で糸引く者がいる、そう仰りたいんですな?」

 

「ええ、鳴海屋はがめつくはありますが小心者です。そんな男がここまで大胆な手を打てるなら、棟平屋を凌ぐ大店になっていた事でしょう」

 

 

 それに急にうちの店に敵対行為と取れる、支店店主の家内と倅を人質にし始めたのも引っ掛かるし……ん?

 待て、そういえば新右衛門どこ行きおった?

 

 

「……ところでご隠居、新右衛門は見ましたかな?」

 

「いえ、儂らは見ておりませぬが……町人らの話によれば、中地獄の鬼も逃げ出す形相で店の用心棒を引き連れて出かけたそうですよ」

 

 

 え、まさか新右衛門カチコミに行ったの?

 しかもご隠居の言葉によると儂が倒れてすぐらしい、おいおい新右衛門無茶するでないぞ……。

 

 とか思っていたら、勢いよく襖が開きそこに控えていたのは新右衛門(返り血付き)であった。

 お前帰ってくるの早いな!?

 

 ……え? そもそも儂倒れてから丸一日経ってるの?

 

 

「大旦那様、この度は傍仕えの仕事も全うできずこの不始末。なんとお詫びすれば良いか……」

 

「ええわいええわい、儂はこの通りぴんぴんしとるしな。それより新右衛門、部下まで引き連れていったようじゃが首尾はどうじゃった? それに怪我はしとらんか?」

 

「はっ、軽傷者は複数名出ましたが命に別状はございませぬ」

 

 

 ならばいい……いや隣で黙ってじっと考え込んでるご隠居は怖いが、とりあえず身内に被害が無ければそれでええんじゃ。

 久兵衛の家内と倅も無事救出できたそうじゃしな、しかし鳴海屋に正面からカチコミかけたのかの? え? 町人らの情報網駆使して、監禁してた鳴海屋の蔵割り出して強襲した?

 し、仕事が早いのう……。

 

 

「頼りになる側近のようですなぁ、藤兵衛殿が無事な姿を見られて安心した事ですし儂らもお暇させてもらいますかの」

 

「儂には勿体ないレベルの者達です……お構いできなくて申し訳ございません」

 

 

 れべる?と儂の言葉にご隠居が不思議そうにしながらも、ほっほっほと上機嫌そうに笑いながら退出していくご隠居に付き添って出ていく側近達。

 ……いやぁぶっちゃけ生きた心地しなんだわ、うん。

 

 そう言えば中村様に仕事頼んだ形になっとるけど、儂大丈夫じゃろか?

 仕事人の事知っている体になって、口封じされない?

 

 

「旦那様、幾つかお耳に入れたい事がございます」

 

「新右衛門、お主も怪我してるようじゃから早く医者に診てもらえ……話とはなんじゃ?」

 

「はい、この度の一件。裏で手を引いているは妙光尼でございます」

 

 

 うっそだろお前、マジかよ。

 なんか胡散臭いとは思っておったが……。

 

 

「根拠は?」

 

「久兵衛殿の家内と倅を監禁していた蔵の責任者が吐きました」

 

「お、おう」

 

 

 なぁ新右衛門。お前の顔についてる返り血もしかして尋問した時についたヤツ? えぇい目を逸らすな、語るに落ちとるではないか。

 救出後こちらに帰ってくる途中、中村様の使いと名乗る男とも情報交換したそうじゃが……。

 

 

「……マジ? 尼さんが大名白川家の乗っ取りの絵図描いて、殿様毒殺を姪である奥方と共謀して領内の村娘を売り飛ばし」

 

「はい」

 

「忍びの手の者使って町人に先祖の声と偽って寺に寄進させ、更に人身売買と阿片取引の計画を練って鳴海屋とヤクザ者動かして」

 

「はい」

 

「更に、南町奉行所の筆頭与力間村様は妙光尼の甥で……阿片やら人さらいやら人身売買ももみ消しており」

 

「はい」

 

「妙光尼と白川家奥方は伯母と姪の関係で、奥方と南町奉行所筆頭同心間村様は姉弟の関係。一族つるんで悪行三昧」

 

「はい」

 

「この前保護した太一には種違いの姉が居て、太一の父と夫婦になる前に母親は側室で殿の子を産んでおり姉は大名のお姫様である。故に一家は命を狙われた……と」

 

「はい」

 

 

 新右衛門たちが尋問して得た情報、中村様達が搔き集めた情報をすり合わせて見えてきた構図。

 それらに儂は激しい頭痛に苛まれ、心からの感情をぶちまけた。

 

 

「…………ばぁぁぁっかじゃねぇの!?」

 

「大旦那様のお怒り、ごもっともであるかと」

 

 

 大旦那様は力なき者達が虐げられる事を良しとしませぬから、とか新右衛門が言っておるがそれ以前の問題じゃい!!

 だけどコレが、中村様との情報のすり合わせで導き出されたという事は…………。

 

 

「まぁ悪党共の命は長くないじゃろなぁ……」

 

 

 何故かって?

 そんな絵に描いた悪党、文字通りの必殺の仕事人達が見逃すわけないじゃろ。

 

 

 しかも、太一の姉であるお菊と言う娘は貧乏旗本三男坊の徳田新之助がめ組で匿ってるって?

 そう言えばさっき、ちりめん問屋のご隠居も鳴海屋やらヤクザ者について確認するように聞いてきておったし……。

 オーバーキルもええとこじゃな、うん。 全部忘れて布団に寝転がるとしようかの。

 

 そう言えば新右衛門、お主割と血の気が多い割に諸悪の根源には殴り込もうとせんのじゃな。

 え? 幼き頃からの伝手を頼り信頼のおけるところに、仕事の依頼を出したって?

 お、お前……おさよの第一子である長女が生まれる前どころか、祝言挙げる前からの付き合いなのにそんな伝手あったの!?

 

 

「聞かれなかったもので」

 

「新右衛門、お前たまにそう言うところあるよな?!」

 

 

 棟平屋の支店にて、呑気ながらも切羽詰まった儂の声が響くのであった。




本当はここに上様視点、御隠居視点、主水視点を追加してエピソード終える予定だったんですが。
上様視点だけで文章量がかなり増えたため、これ分けた方がええな!という判断のもとこうなりました。
次回で今度こそ、悪党どもに裁きが下ります。
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