俺だ。青空だ。俺はいつものように店を開いて営業を始めたのだが、珍しい変装をした男が店内に入ってきた。その男はサッサとカウンターの席に座って急いでメニュー表を見ていた。……はぁ。
「……いらっしゃいませ。ご注文は?」
「ブレンドコーヒーで」
「かしこまりました……ブレンドコーヒー豆だけですね」
「ちょっとッ!?酷くないか蓮ッ!」
「ならもっと分かりやすい変装をしろ朔也」
変装を解いてサングラスを外すと、その人物はやはり朔也だった。朔也とは大体3ヶ月ぐらいに1回程度に連絡するのだが……この先輩は俺の最初の客だったりもする……だが。
「幸せライフを送っている奴にはこれぐらいの苦味で十分だ。安心しろ……今回は特別無料だ。高級豆を使ってるからよ」
「こいつ……マジでコーヒー豆しか出してねぇ……」
「はぁ……みんな不幸になんねぇかな……」
「お前闇過ぎだろ。ほら、このコーヒー豆返すし、ちゃんとブレンドコーヒー入れてくれ」
「かしこまりました……」
そう言って、俺はコーヒーを入れ始める。実は朔也も結婚している……相手は友里さんで3年前に友里さんと付き合い始めて、その1年後に結婚をした。そして、今は子供も産まれて朔也は立派な父親なのだ。
「お待たせしました。ブレンドコーヒーです」
「ありがと。……にしても蓮が辞めてから5年かぁ……」
「……」
「俺も気がつけば結婚して父親だし……」
「朔也。時と場所を選ぶんだな……最悪、その甘ったるい新婚生活ばかり話す口には粉末状のコーヒー豆をくれてやろう」
「分かったって。……でも、うちの奥さんも可愛いし、娘の明香里だって可愛いんだぞッ!」
「よーし、口を開け……このコーヒー豆をぶち込んでやる」
朔也は結婚してからと言うもの、最近は仕事の話より、家庭の話が多くなった。……まぁ、お世話になった先輩が幸せになる事はいいのだが……来る度自慢してきやがって……
──ちりんちりん
すると、またいつものように黒髪の眼鏡をかけたポニーテールの女性がお店にやって来た。その女性はいつものようにカウンターに座ってカプチーノを頼むと本を読み始めた。そして、俺がカプチーノを作り始めると、朔也がその女性に声をかけようとしていた。
「……ねぇ、もしかしてなんだけど」
「……何?邪魔しないで」
「あ、はい……」
その女性はまるで今話しかけたらどうなるか分かってるだろうなと言い聞かせるように朔也を睨みつけていた。睨まれた朔也はと言うと、それが分かったのかすぐに黙って冷や汗をかきながらコーヒーを飲んでいた。
「はぁ……朔也いくらなんでもナンパは駄目だろ」
「なッ!?ちょっ、違うッ!」
「……」
「友里さんに怒られても知らねぇぞ」
「い、今はマジで洒落にならないからこれ以上言わないでくれッ!頼むッ!」
朔也は何故か物凄い勢いで焦り始めた。まるで自分の職場の同僚が話を聞いている見たいな……そんな反応をしていた。……ま、俺が悪い訳じゃないしな……
「なら、この店の1番高い奴頼んだら黙ってやるよ」
「……今は小遣い制なんだ」
「……ならギリギリ頼める奴で許してやる……プリンでいいか?ワンコインだぞ」
「じゃ、プリンで……」
そう言って、俺は朝作ったプリンを朔也の前に置く。すると朔也は1度ため息をついて俺に注意し始めた。
「なぁ、蓮」
「……なんだ?」
「お前、今から忙しくなるぞ」
「……今も忙しいんだが」
「そうじゃない。昔の事は忘れられないって意味だよ」
「…………」
そう言って、朔也はサッサとプリンを食べて店を出た。その後すぐにその隣にいた女性もまるで後を追うように会計をして店を出て行った。……全く……そんな事がある訳ないのにな……
藤尭朔也〈好感度50%〉
青空の先輩であり、友里さんと結婚。今は生後5ヶ月の娘がおり、立派な父親である。ただ、店を出た後家に帰ると友里さんに怒られたらしい……
次回その女性の履歴書……
完結した後……どうしよ?
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調BADEND
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響BADEND
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後日談(˙꒳˙ )
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未来日記
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新小説:俺の幼なじみ(響)はヤンデレです