修正しました。
「しかし、どこなんだよここ」
ふと目を覚ますと俺は見知らぬ場所にいた。
元々は自室でガンダムのゲームをしていたはずだった。
突然眠気に襲われて寝落ちし、目が覚めたら公園のベンチで寝ていたんだ。
「どういうことなんだよ…」
とりあえず文句をこぼしながらも市街地のほうへと足を運ぶ。歩きながら自分の身体を探ってみる。
あるのは携帯だけ。あとは…財布もなしか。
少し歩くと商店街が見えた。人が多いそこを苦労しながら歩いていると、一つだけ歓声が起きている場所が起こっていた。
「あれは…ゲルググに、ジン?」
少し背伸びをしてその場所を見てみると六角形の台から青白い光がのびている。その中ではゲルググとジンという機体が戦っていた。煌めく閃光、断続する爆発音。
「なんだこれ、新しいアーケードゲームか?」
まさか俺が知らないガンダムゲームがあるとは…。
しばらくその光景に見とれていると、ジンのマシンガンがゲルググを捉え、それに怯んだ隙にジンが重斬刀でゲルググを真っ二つにした。機体の爆発に巻き込まれないよう、律儀に距離を取るジン。その僅か後、ゲルググは爆散した。
辺りに一層強い歓声が起きる。
ジンを操っていたのは、女の子だった。
可愛いな、あの子…。
俺がそんな不埒な事を考えていると、周りの歓声を掻き消す程の音量の怒声が響いた。
「おい、てめぇ…イカサマしたろ!」
そんな不穏な言葉を放ったのは、ゲルググを使っていた青年だった。髪は茶色、ピアスを開け、派手な服を着ている。
いかにもという風貌だ。
「するわけない」
青年に反発したのはジンを操っていた少女。
透き通るような声で臆することなく発せられた言葉に、青年は更に苛立ちを覚えたようだ。今にも掴みかかろうかという雰囲気をだしている。
周りの奴らもあの青年の風貌を見て若干腰がひけている。
仕方ねぇな、ったく。
「やめろよ、あんた」
「あ?」
唐突に発せられた外野からの言葉に青年はこちらに視線を向けてくる。それほどの威圧感は、ない。
歩を進めて青年の元へと向かう。
「その子、イカサマなんかしてないって言ってるだろ、負け惜しみはよせよ」
女の子は驚いたようは表情を僅かに見せたあと、俺の方を向いて無表情に戻る。
男は図星だったのか青筋を立てている。
「誰だか知らねーが…喧嘩売るとはいい度胸だなぁ、おい。この俺様によ」
「俺だってあんたの事知らねーよ。いいからどっか行け」
「そうはいくかよ、負けたまま下がれるかってんだ。勝負しろよ、クソガキ」
完全にキレてんな、これ。
どうするか、俺はこのゲームのやり方もわかんねーし。
そう暫く悩んでいると、女の子が俺の袖をくいくい、と引っ張った。
「これ、使って」
そう呟いたかのような声量で言われ、差し出されたのはジムクゥエルだ。ジムクゥエルの…
「なんだこれ、ガン…プラ?」
そう、ガンプラだった。バックパックはガンダムMK-IIのもので黒く塗装され、部分部分は赤いもののジムクゥエルだ。
「くれるのか?これ」
そう目の前の頭一つ分くらい違う女の子に問うと、
「今、代わりその子しかないから」
と素っ気なく言われた。
まあ、貰えるものは貰っておくけど。
ガンプラなんか初めて触ったな。
「さ、早くガンプラバトルをやろうぜ、ガキ。ギッタンギッタンに打ちのめしてやるよ」
今、この男…なんて言ったんだ?
ガンプラ…バトル?
「え、あ、ちょ、ちょっと待て!」
「今更逃げるなんて言うなよ…俺様は今頭にきてんだ」
そう言いつつ男は六角形の台へと向かっていく。
少女に引っ張られ、俺もなにがなんだかわからないままに台の前へと連れて来られた。
「これ、使って」
と、更に言われて差し出されたのはスマートフォンのような機械。女の子に教えてもらいその機械を台の上にセットし、ガンプラを置く。
聞き取りづらい英語が流れた後、俺の目の前に球体が二つ現れた。女の子に手を取られ、その球体に俺の手が添えられる。その行為に少しドキッとしながらも球体を握った。
「それで操作して、貴方ならできる」
何故だか、その時少しだけだけど。
彼女にそう言われ、
やれると思った自分がいた。
出撃みたいだな。こういう時はやっぱ…
「式野詩桜、えーっと…」
「ジムクゥエルファキオ」
「よし、式野詩桜、ジムクゥエルファキオ、行きます!」
少しの振動を感じながら、ジムクゥエルファキオが宙に踊り出た。