荒れ狂う光の奔流に巻き込まれないように機体を精一杯動かし、敵の大技を回避する。
「っぶねー」
あまりの威力にひやひやしながらも敵からは目を離さずにおく。今の一撃は敵、ウイングガンダムゼロのツインバスターライフルから放たれたものだ。
「避けられたか、だが!」
そう対戦者が言い、操縦してウイングに取り出させたものは、ガンダム試作2号機が装備している核ミサイル。
「嘘だろ!」
放たれたその巨大な威力を持った弾頭はこちらに一直線に向かってくる。だが弾速はそこまで速くない。これならば回避も余裕…と見てたら相手はなんと、その核をツインバスターライフルで撃ち抜いたのだ。
ほんの少し先で起こる大きすぎる爆炎の球体。
機体が巻き込まれぬように上昇させる。なんとか爆炎が止み、敵を探すと…
「もらったああああ!」
そう叫ぶ声が聞こえ、アラートが鳴り響く。
敵機は真上。俺の更に上からビームサーベルを逆手に持ち、そのまま急降下してくる。
「馬鹿かよ」
そう呟き、機体を操作させる。
一直線に落下してくる敵をギリギリで真横に避け、回し蹴りを胴体に食らわせる。
為す術なく吹き飛んだ敵に全ブースターを吹かせ追撃をかける。両手にナイフを持ち、まずはメインカメラを破壊、バックパックを破壊し機動力を奪い、両腕をナイフで切り落とす。
「あのまま射撃戦しとけばよかったんだよ」
なぜか格闘戦を挑んできた相手にそう言い残し、胸元に刃を突き立てた。
「お疲れ様」
相変わらず無表情でそう迎えられ、俺はジムクゥエルファキオを宮樹に渡す。
「なあ宮樹」
ここ最近、俺達は近所のバトルシステムがあり対戦自由のホビーショップにずっと行っている。宮樹曰く、倒したい相手がいるから強くなってほしいとかなんとか。
成果が出てるかはわからないが、ようやく操縦にも慣れてきた。
そう、慣れてきて思ったことは、
「この機体、もうちょっとどうにかならねーの?」
そう。宮樹が俺に渡した機体、ジムクゥエルファキオは各所にブースターを増設したおかげで機動力は抜群なのだが、如何せん武装が貧弱なのだ。ナイフが2本とサーベル2本。たったそれだけしかない。せめてバルカンの一つでもつけろよ、とこっちは言いたい。
「そろそろそう言うと思った」
そう言って宮樹が取り出したのは、
「これ、なんだ?」
小型のシールドだった。
なんだ、これでどうしろと。
「このシールドには、裏にサーベルを一本格納し、そのまま即座に展開可能。さらに展開しなくとも先端は打突にも使える。ベースは陸戦型ガンダムのシールド」
いつもとは違う早口、興奮した口調、若干声も上擦っている。
宮樹がこれほどまでに喋ったのを初めて聞いた。
ガンダムのこととなるとここまで喋るのか。
しかし、結局射撃武装はなしか。
「あ、ありがとう」
とりあえず礼は言っておく。
まあ、あるのとないのじゃ、あるほうがいいだろうしな。
「なあ、宮樹。少しは慣れてきたんだが。そろそろ教えてくれないか?誰を倒したいんだ?」
聞いたのは、宮樹の家に居候させてもらってから少し経った時だが、まだ誰だかを聞いていない。
「まだ貴方じゃ勝てない」
先程とは打って変わって落ち着いた口調。やはりこちらの方が宮樹、という印象が強い。まあ、慣れのせいだろうが。
「手厳しいな、おい。とりあえず今日は終わりにしようぜ」
少し腹も減ったしな。
「わかった」
そう宮樹が言ったのを聞き終え、俺達はホビーショップを後にした。
帰り道、特に会話もなく歩き続けるがやはり距離が近い。どうやら宮樹は人との距離に無頓着なようだ。
「そう、貴方じゃまだ勝てない。二代目メイジンには…」
あまりにも小さく紡がれたその言葉は、俺の耳に届くことなく霧散した。