『エスタージュ(S-tage)』(「セカンドステージ;役者と監督のその後」) 作:坂村因
文化勲章(1937年2月11日の勅令第9号「文化勲章令」により制定)は、そんじょそこらに転がってる言葉の響きだけは立派な賞とは次元が違う。なんというか、なんかこう、とにかく半端ない代物だ。
科学技術や芸術などが対象であり、受章者の内訳を見ると前者に相当する科学者が目立つ。後者、芸術方面では、小説家や画家などの名が並び、芸能では古典の偉人が数名のみ。
そして、薬師寺真波に授与の話が出た時、全国のファンたちは「きたあああっ!」となったわけだ。
なので、本人が辞退したというニュースは、ファンたちをとても落胆させたことだろう。
応援している有名人、好きな著名人が高く評価されるというのは嬉しいことだ。それを本人が辞退したとあっては悔しく思うのがファン心理というもの。
逝去から40年以上経ったとはいえ、大河ドラマの題材に選ばれることは当時のファンにとって喜ばしいニュースだ。
武将などが題材にされることが多い中、女優が選ばれるのは異例。ゆえに、その喜びも大きい。
(でも、具体的にどういう形にするんだろう…)
雪は頬杖の拳を口元に寄せて考え込む。
「海辺のカフェテリア」を見た時の環さんとけいちゃんのやりとりから、薬師寺真美の「描き方」で皆が揃えてくるのはわかる。
あの「ヘタクソ」と言われてしまう気持ち悪い演技だ。
大河ドラマの完成度がそれでいいはずがない。
でも、「キネマのうた」そのものがファンを喜ばせることを主眼とするなら、見る者が「ああ、薬師寺真波の演技だ」とすぐにわかる演技には大きな大きな意味がある。
(そのための薬師寺真美ってことか…。なるほど…)
役者の世界のあらゆるところに浸み込んでいる廉価版の「描き方」ではなく、薬師寺真美本人と犬井監督の指導による高品質な「描き方」なら…。
いやいやっ! 待て待て。
けいちゃんはどうなる?
描かれる様子を目にすることが吐き気につながるんだ。品質の問題じゃないんだ。環さんでさえ捉えられなかった何かを、けいちゃんが持つ破格の感受性は捉えてしまうんだ。
「シーン10、5テイク目というのは、どれくらい深刻ですか?」
雪は重苦しく質問を二人に投げた。
答えを返してきたのは環さん。
「ありえないほど深刻だよ(マネージャーと思ってたのに。やっぱり墨字くんの弟子だねえ)」
うん、追いついた。追いついたはいいが……。
私、なんの役にも立たない…。
「景ちゃんをよく知る二人がこの感じってことは、お手上げってこと?」
「……。そういうことになる…」
「方程式とか、そんなまどろっこしい緩衝材じゃなくて、最初から気をつけさせとけば違ったかも知れないのに…」
「…結果論だが、ちょっとは違ったかもな。難解な、てのが一応保険だったんだが…」
「ま、保険にはなってるね」
「あいつはまだ経験が足りない。成長できる機会があれば利用しないと間に合わない」
「で、見誤っちゃった、と」
「今回欲しかったのは第一に絶対的な知名度だ。欲張らずに、絞るべきだったんだな…」
「ふーん」
「すまなかったな。1人だけ心当たりがある。明後日の撮影までになんとかしてみる」
あれ? あれれ?
また、わからなくなった。ついていけなくなった。
墨字さんと環さんは、いったいなんの話をしてるの…?
まあ、役に立たない私がもう追いつく必要はないのかもしれないけど……。
スターズの社長室。
約束の時刻ぴったりに掛かってきたその電話の内容に、星アリサは安堵していた。
「ええ。……いえ、そんな」
(あと3日間。アリサちゃんの期待以上の結果になるかもしれないわ)
「ありがとうございます。…感謝します。…真美さん」
アリサの目尻から、小さく涙が零れた。
第10話「勲章」/おわり
以上が、私なりのアクタージュ「scene133」となります。
アクタージュ「scene118.鬼の巣」の顔合わせの場面において、「1話目だけでこの顔ぶれ…」「第1週1話目のキャストを中心に」「全体キャストの一部」とあります。
そこに新名夏がいるのを見つけました。
この発見は大きい、使える!
と私は喜んだわけです。
「scene133」にてようやく私の仕掛けの一端を見せることが出来ました。
この顔合わせには、1話目に出番がある人も無い人も混じっています。
原作者の意図では「出番が無いのに来てる人」に、私の裁量で出番を用意できるわけです。
そして雪の有能さも少しですが書くことが出来ました。
今後、雪には色々と活躍してもらう予定です。
この顔合わせには、1話目に出番がある人も無い人も混じっています。
原作者の意図では「出番が無いのに来てる人」に、私の裁量で出番を用意できるわけです。
そして雪の有能さも少しですが書くことが出来ました。
今後、雪には色々と活躍してもらう予定です。