魔女兵器 〜Another Real〜   作:かにみそスープ

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第9節 〜一片氷心〜

 バイジュウの中で記憶が重なる。

 それは『ミーム汚染前の世界』と『ミーム汚染後の世界』が重なった記憶であり、それが今急速にバイジュウにある記憶を追体験させる。

 

 それは一つの夢——。

 時の残滓が記した少女の末路——。

 

 少女は走る。波のように押し寄せる恐怖と狂気から離れるために、全身全霊で息も絶えるほどに走り続ける。

 

 身体は動く? まだ動く。

 肺は動く? まだ動く。

 足は動く? まだ動く。

 

 ならばまだ動ける。動き続けて自分の成すべきことを成さないといけない。

 

「少しでも……少しでも時間を……っ!」

 

 少女は自身が手にするライフルとハンドガンの残弾数とマガジンを一瞥して確認する。

 ライフルの残弾数は10発。マガジンはあと一つ。

 ハンドガンの残弾数は5発。マガジンはあと二つ。

 

 通常であれば心許ない程度で済むが、少女の現状ではあまりにも頼りなさすぎる戦力だ。少女の背後には人の形をした化け物——現代で言う『ドール』が追ってきており、それら相手に銃火器など無意味だということを少女は既に知っている。

 

「だけど目眩しくらいなら!!」

 

 少女は走りながらハンドガンを二つの標的へと向ける。それは基地内で設置されている消火器と防災スプリンクラーであり、それらを一撃ずつ撃ち抜いて誤作動させる。

 

 スプリンクラーからは雨のように水が降り注ぎ、消火器からは炭酸ガスと共に、消火の薬剤であるリン酸アンモニウムが刺し穿たれて暴れる蛇のように噴き出る。

 それにより少女は一転して霧にも近い白色の靄に包まれ『ドール』の追跡を撹乱させる。

 

 続いて即座に非常用のシャッターも下ろして通路を絶つことで『ドール』が迫るのを物理的に防ぐ。

 だが、それもほんの少しの時間しか稼げない。『ドール』の力は暴徒が100人集まるよりも凶悪であり、みるみるとシャッターはその強靭な力で形を歪ませて少女の命を奪おうと迫り来る。

 

「落ち着け……落ち着け……っ!!」

 

 少女は壁の配電ケーブルをライフルで無理矢理こじあけて取り出すと、その手にある端末へと繋げてハッキングを開始して基地内のマップと自分の現在地を把握する。

 

「今がここということは……この道を通って……下に降りると……」

 

「よし」と言って少女は端末からケーブルを乱雑に抜き取り、ライフルの最後のマガジンを装填して走り出す。少しでも長く時間を稼ぎ、自身の目的を果たすために。あわよくば自身の部隊が得た情報を少しでも解読して残すために。

 

 走る走る——。

 出口なんてない狂乱の基地を走り続ける——。

 

 身体は動く? まだ動かせる。

 肺は動く? まだ動かせる。

 足は動く? まだ動かせる。

 

 少女は呼吸さえままならないほどに走り続ける。少しでも早く管制室へ辿り着くために、温度管理設定さえ故障して極寒の空気が身体を中から氷柱を刺すように凍てつかせようとも走り続ける。

 

 だが、少女の行先には希望はない。

 視界の果ての果て。そこにはすでに回り込んでいた『ドール』の集団が、少女がいた舞台の仲間であった何人かの生首を乱雑に引き摺りながら少女へと迫り来る。

 

 恐怖で足がすくんだ。一歩踏み出そうと、一つ呼吸をしようにも鉛がつけられたように重くて身体が反応してくれない。

 

 

 

 身体は動く? 動かない。

 肺は動く? 動かない。

 足は動く? 動かない。

 

 

 

 ——心は?

 

 

 

 ——動く。動かす。動かせ。

 

 

 

「——こんなところで……死んでたまるかぁぁああああああああああああああ!!」

 

 

 

 少女はなけなしの覚悟と弾を撃って交戦する。

 例え相手に銃弾が効かないと分かっていても、自分がこれからどんな凄惨な目に遭うかも幻視しておきながらも、それらすべてを呑み込む覚悟をして少女は走り出した。

 

 

 

 瞬間、世界は霞む——。

 

 

 

 瞬間、世界が侵される——。

 

 

 

 ——これは『ミーム汚染前の記憶』だ。

 ——本来の時間軸で起こっていたはずの出来事の顛末。

 

 

 

 ——だが、世界の輪郭がボヤけていく。

 ——世界が徐々に作り変わっていく。

 

 

 

 ここでは——その記憶は存在しない。

 存在するのはもう一つの記憶。『ミーム汚染後の記憶』だけ。

 

 

 

 だけど、そこの記憶には『狭間』があった。

 

 

 

 一人の少女が極寒の世界を這う。何もない白い大地。天を仰げば宇宙の果てまで見渡せるほどの深くて青い空。肺に伝う空気は、呼吸するたびに器官に氷柱でも刺し穿つような激痛に襲われ、その熱を奪っていく。

 体も心も氷よりも冷たくなるほど吹雪の中、見上げた空の果てにはデジャブを感じざる得ない光景を目の当たりにした。

 

 

 

 何故なら——空には————。

 

 

 

『……レンさんの記憶と似た光景?』

 

 

 

 そう、そこには失われた異質物『ロス•ゴールド』が天に座していたのだ。

 20年前の記憶に潜るまでの間にヴィラクスの潜在意識に内包する『レンの記憶』——それも『赤い記憶』を覗き見していたバイジュウからすれば、何故似た様な光景を目にするか疑問でしかなかった。

 

 それも何故『20年前の記憶』に『ロス・ゴールド』が存在する? 失ったのは現代の話であり、誰かに持ち逃げされたというのならこんなところにあるはずがない。

 

 そこでバイジュウは不意にある現象を思い出した。『タイムパラドックス』という現象だ。

 それは一つの考え方であり、時間軸というものは『過去→現在→未来』と一方通行の関係性にあり、過去に起きた事象は今に反映され、今に起きた事象は未来に繋がるというものだ。ここまでは至極当然な話だろう。

 

 問題のその先。例えば『タイムスリップ』といった現象で未来の人物が過去に戻り、実際に起きた事象を変えてしまった場合、一方通行となる時間軸に本来発生しない事象が加えられ未来が変わってしまう。そうなると時間軸上に矛盾が生じてしまう。これが『タイムパラドックス』という現象だ。

 

 だが、この現象には一つの屁理屈ながらも面白い考え方がある。

 そもそも『情報』というのは誰が統治して管理しているのか。過去が変われば未来が変わるのは当然だが、そもそも『時間軸が変わったことを誰が認識している』のか? そこにいる観測者からすればそんなことが起こったことなんて考えるはずもない以上、そもそも『タイムパラドックス』という考え自体が矛盾しているという身も蓋もないことが発生してしまう。

 

 つまりは『時間軸が変わったことを認識している』のは、そもそも『タイムスリップ』という時間遡行した人物以外にはありはしない。

 しかし大前提として『時間軸が変わることさえ時間軸の通りである』ということもあったらどうする?

 

 要は『過去を変えたから未来が変わる』のではなく『未来を変えたかた過去が変わる』という事象もありえなくもないという憶測の爆発的拡大もあるという考え方だ。ここまで行ってしまえば、空想は空想を呼び、妄想は膨らんでしまう。答えのない堂々巡りだ。

 

 つまり『事実は不定形』となってしまうのだ。鶏が先か、卵が先かの考え方まで行ってしまう。

 

 となれば『ロス•ゴールド』が何故ここにあるのかを今のバイジュウが考えるだけ無駄な労力であろう。

 黄金の杯は今ここにある。少女の頭上で天に座す。願いを言えとばかりに輝きを放ちながら。それだけが今ここに確かにあった事実なのだ。

 

 

 

 ——お願いしない。ただ叶えてほしい。

 

 

 

 少女こと『ミルク』の声が氷の大地に歌のように響く。

 その歌声に反応してロス•ゴールドは輝きを増し、確かにミルクの存在を捉えて心に響く声が届いてきた。

 

 

 

 ——バイジュウちゃんを助けてほしい。

 

 ——そのために、お前の運命は翻弄されるだろう。自分自身でさえもう理解できない残酷な運命に身を委ねることになる。その覚悟はいいか?

 

 ——構わない。それで好きな子を助けられるなら。

 

 

 

 ——よかろう。ならば——。

 

 

 

 

 そこで記憶は再び霞む——。

 狭間の記憶は終わりを告げ、世界は鮮明に移り変わる。

 

 

 

『……何、今の記憶は?』

 

 

 

 深海から浮上するかの様な浮遊感が晴れて意識が鮮明になると、そこは再び『スノークイーン基地』の車両保管庫だった。

 バイジュウは自分の頭を振り払うが、どうしていきなりあの記憶が見えたのか、一切の見当がつかない。

 

 いや、考えたいことは募りに募っているが今はそんなことは後回しだ。記憶を覗いてる目的を決して忘れてはならない。今この状況で最優先なのはミルクの動向なのだ。

 

「……なにか、一瞬走馬灯でも見たような……」

 

 バイジュウが見た記憶をミルクはどこかで覚えているのだろう。奇妙な違和感を当人でも感じていたようだが、彼女はすぐさま頭を振ると「今はそんなことを気にしてる場合じゃない」とバイジュウと似た結論を出して歩き出した。

 

 目指すは最新部の管制室。そこで深海で採取した『アレ』のサンプルを解析して、できる限りの情報を残す。そして本人は知る由もないが、倉庫で保護しておいたバイジュウの安全を保証できるほどに時間を稼ぐ。それがミルクにできる最善の手段だ。

 

 だけど——ミルクの行動を阻むのは『ドール』だけでない。

 

 

 

「くそっ……こいつも追ってきた!」

 

 

 

 保管庫の奥から津波が押し寄せるような、あるいは木々の波が轟くような重音と共に先程電気制御室で対峙した『影』が迫ってきていた。

 

 ミルクはすぐさま銃身と身体のバランスを活かして傷だらけでも最大限の動き距離を取り、自身の武器を確認する。

 それは重なった記憶の時と同じ弾数だ。ライフルの残弾数は10発。マガジンはあと一つ。ハンドガンの残弾数は5発。マガジンはあと二つ。

 

 しかも『影』は銃弾なんて物は効きはしない。ミルクからすれば再度会いたくはない相手だ。

 さっきはどうしてか霧散して隙が生まれたが、そんなものは奇跡に等しい。二度とはないだろうとミルクは考えており、手持ちの武器では打開策の糸口すら掴めない状況にある。

 

 

 

『だけど……その奇跡はここにいるから!』

 

 

 

 だがその隙を生んだのは観測者のバイジュウ自身だ。ここにバイジュウがいる限り、それは何度だって起こる。何度だってミルクを守ってあげられる。

 

 ミルクがヤケクソ紛いでライフルを発砲しようとする直前、バイジュウはその間に割り込んで『影』を再び切り裂こうとする。

 だが、学習でもしたのだろう。今度の『影』には明確な質量があり、バイジュウの刃は途中で止まり、その状態のままミルクに向かって殺意を剥き出しにして

 

「……急に切り口ができた? ……今なら!!」

 

 しかし質量があるというのなら、それはミルクにとっては嬉しい誤算だ。即座に何かを感じ取ったミルクは一種の確信を持ってライフルに引き金を引く。

 弾丸はバイジュウを無視してミルクに襲い掛かろうとする悍ましい異形の手に向かい、今度は命中して手の形を崩壊させて『影』を怯ませた。

 

「畜生が……っ! もうマガジンないってのに……」

 

 だが、それでも怯むだけだ。見る限りではダメージらしいダメージを負っておらず、弾丸で倒し切るのは不可能だ。

 悪態をつきながらも早急にミルクは空となったマガジンを取り外し、最後となるマガジンを手早く装填する。これで手持ちの武装は虎の子の最後のライフルとマガジン二つのハンドガンだけだ。起死回生の一手どころか、反撃の糸口すら掴めてない状況での武装の消費は精神的な体力を著しく削り取っていく。

 

《演算再開——。対象補足。現在50%まで解析》

 

『弱点は!?』

 

《首です。首に情報が収束しています》

 

 ならばバイジュウが動いて助けるしかない。元よりこの『影』の相手はバイジュウが請け負うべき敵なのだから。

 

 流石に半分まで行けば、ある程度は役に立つ情報をモルガンから得られることもあり、バイジュウは刃を『影』から引き抜いて弱点となる首を観察する。

 見た限りでは何の変哲もない首の形をしただけの影だ。他の部位とはそんな大きな差は感じないが、バイジュウだけが視認する『魂』を辿れば話は別だ。

 

 確かに首には魔力が固まっている。人間で言うならば心臓のような役割を果たしており『影』全体に魔力を巡らせている。その濃度は尋常ではなく、魔力自体が『影』を形成してると言っていいほどにだ。

 

 

 

 ——あそこさえ切り落とせば、今度こそ『影』は完全に無力化できる。

 

 

 

 幸いにも『影』はバイジュウに敵対する意識は依然として向けてはいない。だが狙いを定めること自体は簡単なのだが、どうやら安易と攻撃を許すほど優しくもない。

 バイジュウが双剣で首を刈り取ろうとすると、即座に反応して首の魔力を爆発的に増やして自衛してしまう。それでは刃など通るはずもなく、それを何度か繰り返してバイジュウはある結論に達した。

 

 

 

 ——キョウリョク キボウ。

 

 

 

 バイジュウの声は届かずとも、その攻撃だけは記憶の欠落でも与えるかのように刻むことができる。それは『影』にでもそうだし、記憶にある背景なども同様だ。

 

 ならばそれを利用してバイジュウは双剣で文字を彫り込んだのだ。時間の猶予など少なく、簡潔でわかりやすく、ミルクのすぐそばにある壁へと協力の申し出を伝えたのだ。

 

 それを見てミルクは仰天と驚愕を表情に出す。

 俄には信じ難い状況。壁に突如として文字が彫り込まれたのだから当然だ。

 だが聡明な彼女なら瞬時に理解する。それがどういう意図と意味があるのかを。

 

 

 

「そこに……いるんだね?」

 

『——うん! いるよ……ここに私が!!』

 

 

 

 その声は決して届くことはない。戦闘の最中で文字を書くなんて悠長なことはできはしない。バイジュウはただ返事として一閃を文字の上に重ねて行った。

 

 それをミルクは確かに理解してくれた。小さく「ありがとう」というと、息を深く整えて『影』の追撃をかわすと、指で『OK』のサインを出した。

 

「私が囮になるしかないから、その間にこいつをどうにかしてよね!」

 

 ミルクは笑う。その笑顔はバイジュウにしか向けない親しみを込めた眩しくて綺麗な物だ。

 その笑顔を見てバイジュウは確信した。私とミルクは、例えお互いが見えなくても分かりあうことができると。

 

 駆け出す。ミルクが率先として囮になりながらも、間合いを測って車両保管庫を大きく回って武器になりそうな物を探す。

 剥き出しになったパイプ管。廃材となって転がる何かしらのレバー。固定具として余ったL字金具。どれも打撃武器として扱うには心許ない取り合わせにミルクは内心舌打ちをしながらも、発砲を繰り返してライフルの弾丸を使い切った。

 

 その間にバイジュウは可能な限り斬撃を繰り返す。単調な攻撃は先ほど防がれた。ならば工夫を重ねて死に物狂いでも刃を通す。

 まずはモルガンを投擲武器として使用したが、気づかれてかわされてしまう。続けてラプラスの機能である『引力』を利用してモルガンを引き戻し、その反動で狙おうとするが、それさえも『影』は気づいて俊敏に交わしてミルクを執拗に狙い続ける。

 

 もちろんそれを安易に受けるミルクではないし、そのまま指を加えるバイジュウであるはずもない。

 二人は意思疎通など難しい状況なのにも関わらず、ミルクが渾身の力で廃材を散らかすと、それに阻まれて『影』は動きを止める。

 

《予測演算70%達成。行動パターンを推測可能》

 

『同期開始!』

 

 その隙に乗じてバイジュウはさらにモルガンの機能を行使して、脳内でシミュレーションを共有。行動を予測して擬似的な『未来予知』を行い始める。

 先程はどんな不意を打とうとしてもかわされた。だったら不意打ちではなく正攻法で変えるまで。魔力が『影』の形を成しているというのなた、根こそぎ剥ぎ取って魔力を『影』の回復に割かせるようにすればいいだけ。そうすれば首元に質量を持たせるのはともかく、魔力を爆発させて刃を弾くことはできなくなる。

 

 まずはミルクの安全を確保するために邪魔な腕から切り飛ばす——。

 

 ラプラスは『引力』と『斥力』を操って『重力の力場』を生み出す武器だ。ならば全ての攻撃や移動に『落下』という性質を付与すれば、落下による『重力加速度』に従って、徐々に目にも止まらぬ速さと威力が付与されて、やがては人の力では到底到達できない領域にまで踏み込むだろう。

 

 もちろんその分、バイジュウへと掛かる負担は大きくなる。

 だが肉体的な面は『記憶』の世界故に支障は出ない。ここは問題ない。

 では反射神経的な問題は? 無論これも問題ない。バイジュウの思考能力はセラエノによって進化しており、加速する世界の中であろうと情報にノイズなど掛かることなく確かに処理して行動することができる。

 

 つまり今のバイジュウなら加速する世界であろうとも平然と動けてしまう。フィジカルをフルバーストさせても怪我など起こるはずもなく、一閃一閃を踏み込むたびに斬撃は殺人的な加速力を重複させて『影』の部位を落としていく。

 

 

 

 15G——。腕を切断——。次。

 20G——。足を切断——。次。

 30G——。胴体を切断——。次。

 

 

 

 予測したシミュレーションで敵の動きを先読みすることができ、ここまでは何の問題もなく削ぐことができた。

 残るは頭と首の二つ。だがその二つは魔力の核に近しいこともあって、今までの攻撃でも通すのは骨が掛かる。届くにはまだ倍以上足りない。

 

 

 

 だけど、それなら機会を窺えば良い。

 魔力の核は確かに金城にして鉄壁。難攻にして不落だ。ちょっとそっとの小手先では刃を通すことはできはしない。

 

 それでも決して隙がないわけではないのだ——。

 

 

 

「こいつ、また生え変わって——!!」

 

 

 

 そう、この瞬間だ。霧散した部位を再生しようとする瞬間に魔力も一時的に弱くなる。こうなれば首の魔力は他の部位と大差はない。これまでの力で一気に切り落とすことができる。

 

 バイジュウはすかさず落下速度を刀身に維持したまま懐へと飛び込んだ。

 目にした時には既に遅い。この間合いなら確実に首を刈り取り、その魔力を吹き飛ばすことができる。

 

 

 

《演算完了——。対象と酷似するパターンあり。名称固定》

 

 

 うるさい。今は黙っていて。

 今ここで、ようやくこいつの息の根を止めることができるんだ。

 

 ミルクを傷つけ、ミルクを殺そうとするこいつを——!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《名称——『ミルク』》

 

『えっ————?』

 

 

 

 無慈悲な機械音声が告げると同時、バイジュウはその『影』の首を的確に刎ねた。


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