「——なら、その願い叶えてあげましょうか?」
血煙と腐臭が漂う都にて、ある時出会った商人が霧吟達の前に姿を見せる。胡座でもしているのか大きさは霧吟の腹部程度までしかなく、身体の線さえ曖昧にする大柄なローブを羽織り、顔はベールで覆われて表情さえ窺えない。だというのに分かる、感じる、察する。それは確実に馬鹿にするように笑みを浮かべていることに。
その不気味な風体は忘れることはない。確実にギンが生前に出会った商人だ。鎌倉時代に生きていたはずなのに、何故百年以上先の未来である江戸時代にまで存命しているのか。
「貴様——」
「あっと、大丈夫ですよ剣士様。私も『魂』を見通せる者。お嬢様の身体を通す必要などありません」
『……ならこのまま話そう。何故貴様がここにいる?』
最も疑問をギンは口にする。すると商人はケラケラと出来立ての人形みたいな軽快な笑い声を上げてベールを剥いでその素顔を見せた。
————顔が見えなかった。
顔があるのは『理解』している。だというのに、その造形を捉えることができない。人間の形をした『何か』がそこにはあったのだ。
「ご覧の通り、私は人ならざる者。『門』の導き手にして守護者。人間の時間では測れない存在なのです」
『門……? 時間では測れない……?』
「だからこそ私なら救える。今この時代を蝕む病原から屍の悲劇……それらすべてを無かったことにできましょう」
『救える? 何の利益があって?』
「私は『門』の導き手。故に『門』へと至る者を招かねればなりません。そして剣士様、あなたは選ばれた。『門』に至る者として」
噛み合うようで噛み合わない会話。ギンの疑問に対して一見して答えてるように見えるが、実際は自分の意見をただ押し通してるだけの会話と形容するには烏滸がましいやり取り。怖気が奔るほど導き手と名乗る彼の言葉には『感情』が込められていない。
「だから助けましょう。だから願いましょう。私の言葉に従い、その手に『鍵』を握るのです」
「断る——」
その心には、真なる救済の思いはカケラもない。そのことに気づいたギンは、錯乱する霧吟を魂の奥底に休ませるとその手にある刀で導き手を切り裂いた。
「貴様からは悪鬼よりも醜い匂いが漂う。戯言に乗るにしても、妖怪みたいに可愛げを取り繕うくらいはしろ」
もう話すことなどない、というように切り裂かれた胴体へと向かってギンは吐き捨てた。
しかし、それでも状況は変わることはない。依然として都は『生きた屍』によって蹂躙され尽くしている。霧吟も疲れ切っており、自分の意識で歩くどころか立ち直ることさえできない。
これからどうすればいい? こんなにも絶望に打ちのめされた少女を胸に抱え、罪を背負い合いながらどこへと行けばいい? とギンは歩き出そうとすると——。
「おや? おやおや? おやおやおや? 断る? 何を仰るのかと思えば…………言ったでしょう。あなたは選ばれたと」
それは目を疑う光景だった。皮膚が爛れ、肉という肉が晒される中、導き手は真っ二つに切り裂かれた胴体のままギンの前へと現れて話しかけてきたのだ。
ならばと、次にギンは首を裂いた。それでも導き手は告げる。「『鍵』に選ばれた」と。
まだだと、続いてギンは口を裂いた。それでも導き手は告げる。「『門』へと至る者に選ばれた」と。
これならと、今度はギンは脳を裂いた。それでも導き手は告げる。「対価を払え」と。
そこでギンの手は止まる。『対価』という言葉。それには聞き覚えがあったからだ。生前、商人と……導き手と刀を受け取る際に交わした言葉の一つ。
その時頂戴された『対価』とは何か。それもギンは覚えている。
————『魂』だ。
「あなたは選ばれた鍵に門に魂は我が主神の手の中にしかし足りない肉体がない何故ない?どうしてお前の肉体がない?どこにもない?『無』にもない?足りない足りない足りないなら足すまでのこと」
肉塊と化した身体は声どころか生命活動さえできないはずなのに、導き手は何事もなく「さあ願え」とどこからか不気味な声を発する。その声に呼び起こされるように霧吟の意識は表へと出てきて、泣き縋るように導き手へと首を垂れた。
『おい、行くなっ!』
「お嬢様願いなさいこの悲劇を無かったことにしたいと」
「……そ、それは——」
『乗るな! こいつの戯言にっ!』
「分かってます……。分かってますけど……。もう、それしかないじゃないですか……!!」
犯した罪は霧吟の心を縛りつけ、垂らされた救いという糸に縋り付く。その先には地獄しかないというのが分かりきっているはずだというのに。
いや、逆だ。分かりきっているからこそ願うのだ。罪と罰の贖罪を。
罪は悲劇を生み出したこと。
罰は地獄へと歩むこと。
贖罪は悲劇を無かったことにすること。
悲痛な覚悟をその胸に、ただの少女は自ら地獄へと足を踏み入れた。
「願います、願わせてください……。私はこの悲劇をなかったことに……夢にしたいです……っ!!」
それは余りにも惨めな懇願だった。奴隷のように深々と頭を下げて霧吟は人ならざる者に願う。
それが余りにも滑稽だったのだろう。人ならざる者はケラケラと絡繰人形のようなぎこちない笑い声で上げて「ならば対価をおくれ」と霧吟へと言った。
「……もちろんです。……捧げます、私の『肉体』を」
後戻りはできない。少女はひたすらに地獄の先を歩き始める。ギンは知っている。その地獄の先には何が待つのか。それは『無』の中で漂い続ける孤独しかない。
ギンと霧吟の出会いのように、運命が微笑めばいつかは出られるかもしれない。しかしそれは何百年、あるいは何千年と孤独の先にしかない。そんな空虚な時間の中で、ただ優しいだけの普通な少女である霧吟が耐え切れるわけがない。そこには『死』よりも悍ましい結末しかないのだ。
お前がその道を歩む必要はない。お前にはまだ未来がある。何が生き遅れだ、生きてさえいれば伴侶は見つかるだろう。お前の人柄ならいつかは本当の理解者も見つかるだろう。こんな老いぼれと違って、一緒に歩める者がいるに違いない。
だから、対価が必要だというのなら儂がいくらでも捧げてやる。魂だろうと、命だろうと、記憶だろうと、未来だろうと、全てを捧げてやる。
……だから、霧吟だけは奪わないでください。
ギンは魂から願い続ける。
——だが、ギンの声はもう誰にも届いていなかった。
「契約は完了した願いは成熟したならば讃えよ唄え我が主神を崇めよその手の中に印はある」
「…………はいっ……!!」
霧吟は人ならざる者と『魔導書』から伝えられた儀式を丁寧に一つずつこなしていく。操り人形のような拙い舞踊をしながら、その地面に円や図や印を記していき、魂のない空虚な声で一定の調子で唱う。
「…………ザイウェソ、うぇかと・けおそ、クスネウェ=ルロム・クセウェラトル。メンハトイ、ザイウェトロスト・ずい、ズルロゴス、■■=■■■■。オラリ・イスゲウォト、ほもる・あたなとす・ないうぇ・ずむくろす、イセキロロセト、クソネオゼベトオス、■■■■■。クソノ、ズウェゼト、クイヘト・けそす・いすげぼと・■■■■■■■■■。ずい・るもい・くあの・どぅずい・クセイエラトル、イシェト、ティイム、くぁおうぇ・くせえらとる・ふぉえ・なごお、■■■■。ハガトウォス・やきろす・ガバ・■■■=■■■■。めうぇと、くそそい・ウゼウォス………………」
果たして何を言っているのか。それは口にしている本人でさえ測りきれない。だが、空気が澱むことは分かる。血が濃いとか、肺が咽狂うとか、息苦しいとか、空気がないといった些細な変化ではない。もっと根本的な変容だ。
「ダルブシ、アドゥラ、ウル、バアクル。あらわれたまえ、■■=■■■■よ。あらわれいでたまえ」
——世界が引き裂かれた。
——大地が空となり、地面が空となる。
——太陽と月が交わり、名状し難き星となる。
霧吟が言葉を終えると同時に、世界は裏表をそのままひっくり返したように様変わりした。周囲は一転して闇よりも深く、深淵よりも暗い世界——『無』へと誘われる。
ここでは光はない。
ここでは音はない。
ここでは匂いはない。
そして命はない。あるのは『魂』の脈動のみ。
だがその中で、一つの物体が姿を見せた。妖しく輝き続ける重たき刀身。それにギンには見覚えがあった。
『儂の、刀……?』
そこでギンは思いだす。先程人ならざる者が「お前は『鍵』に選ばれた」ということを。
——あの刀こそ『鍵』なのだ。
——ギンが持っていた刀が『鍵』としての役割を持っていたのだ。
刀は変容し球体状の肉塊となる。体表は虹色に輝き、艶かしく巨大な触手が蠢いて霧吟の身体を潰すように握りしめた。
《契約だ。お前の願い叶えてやろう》
すると、今一度世界は反転した。再び太陽と月は交差し、地は地に、天は天へと昇る。世界は何事もなかったように縫われ、雲一つない満天の青空を見せる。
霧吟は空に漂いながら世界を見る。そこには何事もなく日常を謳歌し、仕事に明け暮れ、酒を嗜む活気溢れる都があったのだ。
願いの通り、その虹色の異形は意図も容易く民の救済を果たしたのだ。それを見届けた霧吟は万感の思いで「良かった」と心底安心したように呟き————。
《では貰い受ける。お前の身体を》
——呆気なく、少女の肉体は握り潰されて爆ぜた。
『——霧吟っ!』
先に反応を示したのは、起きた出来事に放心するしかないギンではなくアメノウズメであった。『魂』だけが存在できる『無』という概念の世界。そこでなら力を行使できると考えて、ウズメは己が支える死霊達を突貫させるが——。
《……不要な魂が一つあるな》
しかし、それも呆気なく虹色の異形はウズメの攻撃をその血みどろの触手でいなし、その魂を卍搦めに捉えた。
『貴様、妾を誰と…………っ!!』
「矮小な神様なだけでしょう? ただ踊るだけの脳なしの神様。しかし我が主神はご機嫌だ。無能であろうと私自らが丁重に捨ててあげましょう」
《ならば任せよう。こいつには用はない》
そしてこれまた簡単に、人ならざる者共々ウズメは『無』から追放された。
残るはただ一つの魂。ギンだけが『無』の中で漂い続ける。
ここで皆が塵芥のように消えるのかとギンが考えると、途端に血はギンを取り憑くように纏わりついてきた。訳もわからぬまま、血は肉となりギンの魂を包み捏ね上げる。不恰好な四肢が生まれ、そこから更に整えられ、長さが揃った指ができ、順番に削ぎ落とすように親指、薬指と整えていく。
「——がぁああああああ!!?』
それは生命の誕生にしては余りにも冒涜的だ。玩具のような扱いで身体を作り、激痛と共に魂諸共肉体を矯正する。まるで首輪をつけるような戒めを込めた痛みだ。
《これでお前は私と真の契約を結んだ》
そして、本当の意味で霧吟の肉体を持ったギンが誕生した。その身体にある『魂』は既にギンしかおらず、愛くるしい家族であった霧吟の『魂』はもういない。
酷く空虚な心に、火種が一つ降りかかる。それは『怒り』だ。
ギンの心に激情が奔る。魂さえも焼き切るほどの激情がその身を突き動かした。
「お前……お前ぇぇええええええ!!!」
ギンは無刀のまま間合いを詰め、一瞬よりも早く異形を形なき刃で切り裂いた。
生前、無自覚にも『無』へと至ろうと絶え間なく振った剣の腕は、今この瞬間のためだったと確信を持つ。我が手、我が剣。すべてはこの異形を討つためにあったに違いないと。
《契約者よ。お前の刃は危険極まるが、それは外側であればの話。我が手中であれば意味をなさん》
刃は届いた、切り裂きもした。しかしそれだけだった。
激情に身を任せ、挙句には既に異形に蝕まれた魂では、異形を本当の意味で断つことはできなかった。
「うるさい、黙れ!! 何故霧吟を巻き込んだっ!! 欲しいのは儂の『魂』だけであろう!!」
《お前が勝手に死ぬのが悪い。あの日、何故自分の手で死んだ? 『無』さえ切り裂く刃のせいでお前の肉体は『無』からも消えた。おかげで私も手を出さなければいけなくなった。こうして盟友を動かしてな》
「盟友、だと……?」
盟友とは誰のことだ? あの商人のフリをして近づいてきた人ならざる者か。
違う。確かに生前ではギンとの関わりがあったが、そもそもギンが自ら命を絶ったことで盟友を動かしたと言った。それでは因果関係が逆転してしまうのだから人ならざる者が介入する余地はない。あれは最終的に出てきただけで道筋に関係ないのだ。
だとしたら、どこに盟友と呼ばれる存在が介入する余地がある? そもそも何でこのような事態が起きた? 虹色の異形が呼び出されたのは霧吟である以上、その過程に確実に存在するのだ。
ならば翼か? 彼奴が文献を霧吟の手元に置くことで、来るべき都が病に侵された時に促すために。
それは違う。霧吟が文献の知識を試そうとした時に、彼は渋々と受け入れていた。文献が持つ脅威を薄々と勘づいていたのだ。それに霧吟も一緒に既に紐解かれた文献を見て、常に可能性を模索していた。本当に霧吟に見せるなら、そもそも解読済みの物を用意していたに違いない。
ならば何だ? どうして霧吟は文献を、今回の悲劇である『生きた屍』を作ることになった?
それは、それは——。
そもそも都に『原因不明の病』が——。
「まさか、お前——!?」
《左様。人間の病は我が手引きによるもの。『感染する者』はよく動いてくれたことよ》
「……なんで霧吟を巻き込んだっ……。可愛い霧吟を……っ!?」
《何度も言うな。お前が契約を切ろうとしたのが悪い。素直に死ねばこうはならずにすんだ》
——素直に死んでいれば、霧吟を巻き込まずに済んだ?
何を意味するのか見当もつかない。肉体が欲しいだけなら霧吟以外でもいいはずなのに、あえて霧吟を選んだ。そこには必然的な経緯があり、そこに生前のギンの行動が関わっているのだ。ギンは訳も分からぬまま、異形の話を聞き続ける。
《お前は死後、『無』の中で『魂』だけ漂った。契約があったからだ。しかし肉体だけ無かった。その刃で自滅したからだ。おかげでお前を従者として使役することができなかった。物は試しと未来から水色の少女を確保もしたが……ただの肉体ではお前の強靭な魂を接触することさえできなかった。であれば作るしかない、一からお前に適した肉体を》
それは衝撃的な告白だった。異形の言うことに嘘偽りがなければ、霧吟はギンのために作られた存在ということになる。だとしたら少女が宿してしまった『降霊術』という忌むべき体質は生まれつきであるはずなのに、それは意図的な物ということになる。
《『魂』を宿す器を作るのは苦労した。異星の血が混じっては器には値しない。何百年と純粋な人間を扇動して番になるようにした。時には争いもさせて間引きもしたな》
「なら、霧吟の一族の争いは……!?」
《歴史にそういう記述があるなら私の介入かもしれないな。経緯はどうあれ、あの小娘の身体を得るために色々とした》
だとしたら霧吟の命は最初から作られた物ということになる。母親にも理解されず、父親に理解されず、生まれた時から死者の声は否応にも聞こえ、それなのに神楽一族として将来も縛られた少女の人生は仕組まれたとでも言うのか。
それら全てが作り物だったと、こいつは言うのか——。
ふざけるな。あの心は、優しさは、品のなさは、遠慮なしは、紛い物でも作り物でもない。本物の霧吟の心だ。精一杯自分のことを受け止めて、それでも生き続けようと前進する命の輝きだ。それがただ『ギン』という存在を生み出すだけの雛形であるはずがない。
《喜べ。その犠牲の果てに『お前』という存在は確立された》
だというのに、こいつは最初から霧吟の存在などいなかったと言うかのように、ギンという少女の生誕を祝福した。
ならば理由をくれ。お前が納得するだけのくだらない理由をくれ。霧吟の命を犠牲にするだけの価値があったと言える理由をくれ。
なんで儂を求めた。ただのくたびれた爺を欲した。最終的に『無』を切り裂くほどの剣聖へと静寂することを知っていたからか。この身には異形の怪物に求められるほどの『何か』があったとでも言うのだろうか。
それをギンは異形に問い詰めると——。
《偶然だ。偶然、お前が鍵を得て、そのまま選ばれた。それだけだ》
と、アッサリと太々しく大きい図体とは裏腹に、異形はあまりにも矮小で些細な理由を伝えてきた。
ギンは怒りさえも通り越し、悲しみと無力さが湧き出る。何よりも一番湧き出るのは後悔だった。
最初から剣などに魅入られず、ただの民として毎日つまらない日々を終えて生涯を終えればこうなることはなかった。
剣に魅入られたとしても、その生涯を真っ当に終えてさえいれば、霧吟の犠牲が生まれることもなかった。何より『降霊術』に適した少女としてではなく、普通の少女として過ごせたかもしれなかった。彼女が求めていた理解ある家族を手に入れることができたかもしれなかった。
いや、考え直せば色々と今回の事態を防ぐ要因はまだまだあった。
何をカッコつけて『無』の中で罪と罰を受け入れるだ。一思いにその魂ごと死ねばよかったのだ。
それができないなら、そもそも『無』の中で霧吟の声に惹かれて出ようとしたのが間違いだった。大人しく引き篭もって、その魂が消え失せるまで永遠を漂えばよかったのだ。
《これからは我が手足と従ってもらおう、剣聖よ。では、その身の勤めを果たす時まで、暫しの別れだ》
後悔は募りばかり。異形の言葉さえ耳に入らず、その『無』の中で今度こそギンは、己が愛する少女の肉体を持って漂い続ける。
誰の『魂』も聞こえない空虚な世界。無間の闇の中でギンは叫び続ける。誰に届く訳もないのに。届いているというのなら、霧吟が奪われることもなかったくらい分かりきっているのに。
だというのに、僅かな『光』が差し込んできた。『無』の中でほんの小さな微かな温かみが伝わってくる。
「霧吟……っ!」
その光と温もりはどんなに弱かろうと忘れる訳も、見失う訳もない。それは一重に望み続ける霧吟の『魂』が見せたものだ。
光に導かれてギンは『無』の中を無我夢中で走り、そこに無造作に転がる光を無作為に拾い上げる。
そこには残滓となって散りゆく霧吟の『魂』があった。身体が無惨に爆ぜてなお、彼女は最後までその心を声にして叫び続ける。
少女が放つ最後の輝き——。それにギンは耳を、魂を澄ました。
『———————————』
その声は、ギンには聞こえなかった。もう既にギンという肉体となった身では、魂の声を聞く体質は無くなっていたのだから。
…………これで話は終わる。
…………何ともまあ、惨めで滑稽で。
…………つまらない話だ。