魔女兵器 〜Another Real〜   作:かにみそスープ

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第三章、最終回です。


第15節 〜雌雄〜

「……これで終わりじゃ。爺の昔話はな」

 

 …………あまりにも救いのない最後に俺は絶句するしかなかった。

 

 胸の内で色々な感情が渦巻いて仕方がない。二人が歩んだ日常は本当に楽しそうでこちらも笑顔になったし、霧吟の体質を知った時には悲しくなったりもした。

 

 だけど、それら全てが仕組まれたことだと知って俺も激情が駆り立てられる。話に出てきた『虹色の異形』……話の経緯やギンがこうして『守護者』としている以上、間違いなくハインリッヒが言っていた『あの方』で違いない。もう『あの方』なんて敬った言い方さえ気に食わない。あの異形はそれほどまでに霧吟やギンの全てを踏み躙ったんだ。

 

 許せない、許しちゃいけない。外道の道さえも外した悪辣過ぎる手だ。しかも話の聞く限り、異形が言っていた『水色の少女』……それはアニーなのではないか? そんな目的のために確保した挙句、不要になったからと現実世界で七年近くも『因果の狭間』……ギンが言う『無』の中で幽閉していたというのか。

 

 あまりの自己中さに、方舟基地から南極に辿り着く間に通った『因果の狭間』であったハインリッヒとラファエルの会話を思い出す。

 

 

 

 …………

 ……

 

《真なる上位存在は、人間のような矮小な種族など気にもかけてくれないのです。もう一つの角度から考えますと、人間は『あの方』にとってアリのような存在であり、彼はただ虫眼鏡を使ってアリを燃やすようなことを好む子供なのかもしれません。アリからすればそれは神の戒めであり、その背後に潜む黒い影に平伏すこととなります》

 

《はっ、ははっ……。そう言う話なら納得したわ。人間よ、跪いて私に祈りを捧げなさい——。神によって作られた最初のルールは、子供のようにワガママだものね》

 

 ……

 …………

 

 

 

 本当に『神様』だって言うのか? 神様だから人間なんて塵芥同然のような扱いでどうとでも扱っていいとでも言うのか。子供じみた理屈で動いているのだから許せっていうのか。

 

 ふざけるな——。俺達は……人間は、お前にとって遊び道具でも駒でもない。

 

 スクルドが死んだだけで、あんなに心に埋まらない穴が空いて胸がグチャグチャになる思いをしたんだ。たった一人の幼い命だけでこれだけ苦しいんだ、辛いんだ、切ないんだ。それを何度も何度もアイツは行なっているとしたら、遡れば何人もの人達がこんな思いをしたんだ。もしかしたら一度ならず、何度も抱いたかもしれない。

 

 そんなの……絶対に繰り返すわけにはいかない。誰かの幸せを侵し、未来を略奪するというのなら——。

 

 ——『神様』だって倒してみせる。

 

「……霧吟は最後に何て言ったのかのう。何せ儂のせいで生まれた因果じゃ。恨言……を言うような性格ではないが、きっと儂のことに幻滅したに違いない」

 

 ギンは自虐した笑みを浮かべて、さらに摘みを大量に含んで酒を煽る。もはやそれは月見酒ではなくやけ酒だ。見てて痛々しさを覚える。

 

 ……思えばギンは月を見ていたのは霧吟のことを思っていたからだったのか。古来より月は『死者の国』と呼ばれることは多い。亡き者となった霧吟は、今ではあそこにいるのかもと思いながら懺悔するようにギンは語ったに違いない。もう聞けない少女の最後の言葉に思いを馳せながら。

 

 

 

 

 

 ……いや待てよ。だったらあそこで見た記憶って——。

 

 

 

 

 

「……今ならまだ聞けるかもしれない」

 

 俺がふと呟いた言葉に、ギンは「なんだと?」と驚きの声を上げる。

 

 だって彼女は実際には月ではなく、あそこにいるはずだから。妖刀の……即ち『鍵』の中にあった魂の残滓が霧吟だというのなら、霧吟に触れられる機会がまだあるんだ。

 

 そのことをギンに伝えると……まるで女の子みたいな涙を一瞬だけ浮かべ——すぐに苦虫を潰したような自分の不甲斐なさを嘆く。

 

「……聞きたい、聞きたいさ。だけど儂には『魂』の声は聞けん……」

 

 そう。あくまであそこは『魂』だけが意味を成す世界。今のギンだけでは霧吟の魂を認識することさえできない。

 

「でも俺なら聞ける。俺なら霧吟の声が聞こえるんだ。だったら——!」

 

「……分かっているのか? 霧吟の声を聞きに行くということは、もう一度『魔物』と対峙することを意味する。あの時は偶々『無』の中で儂がいたから助太刀できただけで、今度は儂でも手出しできん」

 

 …………そんなこと最初から分かっている。もうとっくに覚悟は決めたんだ。今まで散々アイツには迷惑を被ってきた。アニーやハインリッヒ、それにソヤと俺。そして霧吟とギンも。ここで一発でもやり返さないと気が済まない。

 

「行くのは俺一人じゃない。霧吟までいかないけど俺も『魂』を宿せる身なんだ。……ギンも一緒に行こう」

 

 思いがけない提案だったのだろう。ギンは面食らった表情をすると、ほんの少しだけ嬉しそうにするが、すぐにそれは泣き崩れそうな少女のか弱い顔となる。

 

「……言うな。頼む、言わないでくれ……」

 

 自分でもどうしようもなく会いたいに違いないのに、ギンは願うように申し出を拒否した。

 

「もう、儂のワガママで……誰かを失いたくないんだ……っ!」

 

 その気持ちは痛いほど分かった。誰かを失うのは弾丸を打ち込まれるよりも重く苦しい。それが自分のせいだと言うのなら尚更だ。

 

「なぜお前は助力しようとする……。頼む、理由をくれ……。本当に納得できるだけの理由を……っ!!」

 

 求める理由は俺だけでなくギン自身にも問いかけている。それは『自分のせい』ではないという無意識的にくる庇護心からだろう。その気持ちも痛いほど分かる。俺だってスクルドが死んだ時に、泣き続けて自分の無力さを肯定しようとどこで思ってしまった。自分で立ち上がれたから良いものの、本来なら折れて逃げても誰も文句は言えない。

 

 ギンも本当なら自力で立ち上がれるほど強い人には違いない。だけどギンは生前と霧吟の時で、二度も『自分のせい』という理由を同時に突きつけられて自分で立ち上がる気力はもう無い。

 

「……似てると思ったから。俺と霧吟が」

 

 だったら誰かが差し出すしかない。ギンだってこのまま終わるのを良しとする訳がない。最初に言った霧吟の声が聞きたい、というのは心の奥底にある本音なんだから。

 

「お前が……霧吟と?」

 

 昔話を聞いて思った。確かに俺は生まれも育ちも普通だし、最初から生まれも育ちも特異な彼女とは類似点なんて一見無い。だけど、それはあくまで外的要因に過ぎない。似ているのは、もっと根本的なところ……内的要因による部分によるものだ。

 

 俺も霧吟も、最後の瞬間、地獄で願ったことは一緒だった。この地獄を夢であった欲しいと願った。

 

 そしてその互いに願いは叶った。だけど向かう結末は違った。

 

 命と身体では比べるのは烏滸がましいかもしれない。だけど、それでも……俺は代償の末に今では女の子でも幸せな日常がある。なのに、霧吟には何もなかった。俺なんかじゃ比べられない不幸を大量に背負っていたのにも関わらず。…………彼女の根本は、底なしに優しいだけの普通の少女だったのに。俺だって普通の少年だったのに、どうしてこんなにも結末が違う。あまりにも残酷すぎる。

 

 そんなの不公平じゃないか。一生懸命の報酬がないなんて。神様が認めても俺は絶対に認めてない。

 

 そのことを全部ギンに伝えると、ギンは戸惑う様子を見せる。瞳には希望と諦観の気持ちが移り変わりし、今にも動き出したくて仕方ないと言いたげだ。しかし霧吟を自分が生んだ因果の犠牲にしたという罪の鎖がギンを縛り続けている。

 

「行ってやれ、ギン……妾もこのために今まで一族を続けさせたのだから」

 

 振り返ると霧夕の身体を借りてギンと話すウズメさんがいた。そして、その手には…………壊れたはずの『妖刀』こと『鍵』が握られている。刃先は一人でに再生し続け、刀身は少しずつ妖しげな光沢を帯び始める。

 

「ウズメ……」

 

「この数百年ほどでお前は大分弱くなったな。まるで女の子みたいに」

 

「……そういうお前も積極的だな。あの頃は何もせずにおったくせに」

 

 確かに俺もそれは気になっていた。ギンの話を聞く限り、異形が出てくるまでウズメさんは都の病や『生きた屍』……恐らく『ゾンビ』や『グール』の件に関して一切の手を出していない。

 

「人も神も変わるさ。妾もあの時、神の身分として静観を決め込んでいた。人間の問題は人間の問題だ。神が介入するのは良くないと思ってな」

 

 ……立場の違いだというのなら仕方ないのかもしれない、と一人納得した時に「神と人の差なんてどこにもないのにな」とウズメさんは後悔に満ちた想いを溢す。

 

「あの日、異形を見て気付いた。あれこそが本当の『神』だと。妾が思っていた神は、あくまで人間より優れた生命に過ぎないと。あの瞬間、真の意味で種族的に上位であるものを知った」

 

「神様が『神様』という上位存在を認めた上に、神様は人間と同じか……」

 

 サモントン総督の孫娘であるラファエルが聞いたら、また卒倒しそうな考えが出てきたな……。

 

「ああ。古来より『雷』は神の裁きとされていたのに、いつぞやの時に『雷』を『電気』という力に変えて文明を発展させた。人は神の力を物にした……この時点で神と人の差なんてそう大きくないんだ」

 

 そういう意味では『海』とか『空』も元々は神様の領域って呼ばれていたんだっけ。だけど船で世界一周して世界の果ては滝壺ではなく、自国に繋がるものだと知って、空を行き宇宙へと行ったことで地球が丸いことを知った……で合ってるんだっけ?

 

「妾は悔いた。あの時、もっと早く介入しておれば少しは違う未来があったかもしれないと……。だから今はこうして霧吟が繋いだ霧守一族を存続させて自衛する手段や式神といった陰陽術を教えておる。……もう失わないように、あわよくば再生した『妖刀』に眠る魂を呼び起こすために……」

 

『そういう考えがウズメ様にはあったのですか……』

 

 ——いや、霧夕さんは知らんかったの!?

 

「お前は奪われたままでいいのか。自分にとって掛け替えの無い大切な存在を」

 

 ギンの瞳は大きく揺れる。振り子のように、揺れるたびに大きく、もっと大きく。その目に決意を宿していく。

 

「進め、男なら。奪われた信念を、誓いを取り返したいのなら……どんなに惨めでも、どんなに辛くても、どんなに意地汚かろうと戦うしかない。戦って戦って……戦い続けて……奪われた全てに報いるしかないんだ」

 

 そう言ってウズメさんは妖刀を押し付けるようにギンへと手渡す。

 

「……だが」

 

「お前が始めたというのなら、自分のケツくらい自分で拭くぐらいはしろ」

 

「……しかし」

 

「お前が始めてないというのなら、その罪と罰は飾り物になるぞ。霧吟の死は……本当に無為な物となるぞ?」

 

 さらにウズメさんは畳み掛けていく。

 

「……お前や霧吟が求めていた家族というものは、そんな薄っぺらい物なのか?」

 

「…………そんなわけ……ない……っ! 儂と霧吟の繋がりは……唯一にして無二の、生涯において最初の最後に得た大切な物なんじゃ……!!」

 

 一つ、大きな落涙が一粒妖刀に落ちた。雫は弾かれ、それと共に妖刀は熱を灯す。

 

「なら、答えは決まったであろう?」

 

 もうギンには迷いはない。覚悟と決意を全て背負い、再生し終えて夥しい妖気を放ち始める『妖刀』を掴んだ。

 そして俺へと視線を投げる。その瞳にはか弱い少女はもういない。時を重ねた者だけが持てる力強さが宿っていた。

 

 ——言葉はいらない。これからは『魂』だけの領域だ。ここでギンが言いたいことが分からないようなら一矢報いることさえできない。

 

 俺も同様に刀を掴む。そして意識を澄ます。思い浮かべるはギンの『魂』諸共縫うように自分の『魂』を繋げ、妖刀に眠る『魂』へと潜ること。

 

 

 

 ——願う。『魂』から願う。

 

 もう一度、霧吟に会いたいと『魂』から願う——。

 

 

 

 —-あぁ、久しく感じた感覚だ。

 

 魂の境界線が曖昧になって、自分とギンが交わり合っていく。だけどもう俺は惑わない、見失わない、この力を必ず使いこなす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——願う、願い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 溶け合う感覚の中、自分の自我を意識するためにあることを心に思い浮かべる。

 

 俺は『男』でもあり『女』でもある。

 逆もそうで『男』でもなければ『女』でもない。

 

 俺はただ『俺』として、自分が守りたいものを守るために戦う。そのために強くなる。

 

 なら俺が守りたいものって——。

 決まりきっている——。

 そんなものは悩むまでもない——。

 

 追憶する。これまであった全てを。

 

 

 

 …………

 ……

 

《しっ——! 声を出すな……!》

 

《……ふぅ。やっと……私はアニー。私のバットを持ってるってことは、私が魔女ということはもう分かってる感じかな?》

 

《ほう? 私を知っているという情報をあっさり漏らすとは……。どうやら自分の正体を隠す気はないようだな……》

 

《どうやら私達ルームメイトになるみたいだね〜〜》

 

《ファスナーは、どの位置だ?》

 

《あぁ……これが本物のレンちゃんね? ふふふ、このプロフィールは本当に面白いわ〜》

 

《ごきげんよう。よろしければ、このハンカチをお使いください》

 

《……イルカ。任務・削除、ドール》

 

《息が苦しい……? んー……ちょっと待って……。普段どんな姿勢で寝てるの?》

 

《ちょっと、そこの女装癖》

 

《つまり、あなたは両親の命令に逆らえない『我儘な子供』ということでしょうか——》

 

《おいおい、何ぼんやり突っ立ってやがるんですか?》

 

《ファビオラ。あまり無礼はダメだよ》

 

《あぁ、——久しぶりに温度を感じたわ。こんばんは、うら若きお嬢さん達》

 

《あんた未だに心の底から、その少女設定を信じ込んで拗らせてるみたいね》

 

《水と炭素、塩と硫黄、ケイ素と鉄……。これほど完璧なまでに成し遂げるとは……》

 

《乙女かあんたは。挨拶と振る舞いが女々しい》

 

《マスターは何かの容器が必要なのでしょうか? 合成できる材料ならありますが》

 

《あ……な、た……な……ぜッ……》

 

《ふんっ。餅は餅屋でバカはバカね》

 

《あなたの番号、もう覚えちゃいました》

 

《その……これでもうアタシ達、秘密を交換した友達だよね?》

 

《白ストッキングのあんたも、悪くないわね》

 

《レンお姉ちゃん……チョコ、なくなった……》

 

《えへへへ〜〜〜♪》

 

《そんなに急いでどうしたのよ? あのメイドカフェにでも行くのかしら?》

 

《Mぅ〜〜ですぅ〜〜わよぉ〜〜〜!!!》

 

《気をつけなさいな、おチビさん……》

 

《さあ、愛しきクズども——正真正銘の変態達よ、覚悟なさいッ!!!》

 

《この先に小道があります。案内しましょうか?》

 

《早く案内してくださいまし〜〜♪》

 

《ぼ、僕の名前はジョンと言います。電気街のお店でアルバイトしてまして》

 

《あのドキュメンタリーの子ペンギンのように一匹で……》

 

《——今日はお洒落で綺麗ね、後輩さん》

 

《ジャカジャカジャカジャカ……ジャンッ! 私の名前はぁ——? 私の名前はぁ——。私の——……》

 

《マサダブルク国防軍、カラカル大隊所属のエミリオ・スウィートライド少尉よ。私達は海防任務を遂行するために来たの》

 

《何者だと聞かれて答えるならば、ヴィラ・ヴァルキューレ准尉と名乗るが》

 

《理由は忘れちゃったけど、あの方向のどこかに行かないと駄目だって感じたの! じゃないと……そうじゃないと、ヤバババだよ!!》

 

《レンちゃん……どうしてジャケットの中が、ロングキャミソールとレギンスだけなの?》

 

《搾りたてのザクロジュースは特産品の1つなの。すっごく美味しいわよ?》

 

《——不思議でしょう? こんにちは》

 

《あはははは! レンちゃん本当に可愛いわね! 心の中で質問したのね? 私が本当にテレパシーできると思って!》

 

《×××どもめッ!!! 国家の補助金で生活している癖に毎日毎日×××みたいな抗議しやがって!!》

 

《…………………………もはや隙が多すぎて、逆に判断にしづらいわ》

 

《も、もういいだろその事は!! 卒業したら……元に戻すから……》

 

《ほほぅ、ようやく今になって携帯を取り戻せたと……? で、それを思い出すまでに幾ら時間をかけた? 楽しんでるようだなぁボンクラァ!!》

 

《はらぺこはらぺこぺこりーな……》

 

 ……

 …………

 

 

 

 これまで紡いできた『日常』を……『普通』を守りたいから。ろくでもない、あるいはくだらない記憶の方が大多数を占めてるが、普通とはそういうものだ。当たり前に満ちた幸せほど大切なものはない。七年戦争の傷跡はそれほどまでにも大きいのだから。

 

 ……振り返って思ったが、ここまで本当に長い時を過ごしたんだな。まだ女の子になってから半年ぐらいしか経っていないのに、ここまで掛け替えない思い出がある。

 

 ……それを守るためなら『超常』と戦うことを、俺は迷いはしない。

 

 それだけは絶対に揺るがない、折れない、曲げない。

 

 それが俺が求めていた強さ。俺がアニーと一緒にSIDに入る時に思った根本にあった信念。戦うことに捉われて『強い』とか『弱い』とかを考えていたが、そもそもとして戦いの本質を忘れては何の意味もないんだ。

 

 これが俺が無くしたもの——。

 そして俺が得た本当の強さ——。

 

 

 

 ——自分より強い相手に勝つには、自分の方が相手より強くなければいけない。

 

 

 

 その答えは『誰にも負けないという強い意志と信念』を持つこと。

 

 

 

 ——この言葉に対する矛盾と意味をよく考えなさい。

 

 

 

 矛盾は『答えがない』ということ。

 意味は『正しくもあり間違っている』ということ。

 

 当たり前だ。戦う理由なんて人それぞれだ。色々と難しく考えすぎてて、みんなみたいにシンプルな答えを出すことができなかった。

 

 無論、そんな簡単な答えが合っているのか? という疑問は湧くだろう。だけどそれを信じ続けてこそ、戦い続けるからこそ、人は強くなれるんだ。

 

 そして、俺の答えが間違っていないことを証明するには——。

 

 

 

『いくぞ——レンッ!!!』

 

 

 

 ここで『勝つ』しかない。

 だからこそ、ここで雌雄を決する——。

 

 

 

 

 

 ギンの声が『魂』から響いてきたことで、身体中の血という血が活性化する。全ての血管が爆発的に循環を促し、筋肉が膨れ上がるようなとても力強い『魂』だ。

 

 これがギンが本来持てる強さ——。

 

 なるほど、溶け合う事で初めてわかる。この強さは明らかに常軌を逸している。ハインリッヒでも手が出せないし、まだ未知数ではあるがセレサより遥か上の次元にいる。

 

 有り体に言って負ける気がしない——。そう、確信できる。

 

 その目を見開いて世界を映す。

 見渡す限りの闇、闇、闇——。『無』という世界がそこにはあった。一歩も踏み出せない気が狂いそうな無限の闇。そんな世界に『光』が灯る。だが決してそれは温かな物ではない。この『光』こそが……この忌むべき『光』こそがアイツだ、あの方だ、魔物だ、神様だ。

 

 今度は意識を研ぎ澄まして『光』の先を見つめる。そして見つけた。世界を覆い尽くすほど強大で、冒涜的な形状をした虹色の異形を。

 異形は天さえも貫く極大な触手を蠢かし、星のような尊大な瞳をこちらへと向けて、深淵のような深みを持つ悍ましい口で告げる。

 

 

 

 

 

《今度こそ逃がさん。我が従者たる錬金術師共々、剣聖を返して————》

 

「『——秘剣ッ!!』」

 

 

 

 

 

 お前の話を聞く気はない。

 お前を目に入れる気はない。

 お前と戯れる気はない。

 

 

 

 

 

 『魂』を捻りこんで、この手に『無』を掴み取る。イメージするのは『刀』——すべてを斬り裂く無限にして夢幻の刃。

 

 蟲よりも小さな欠片を手に、蛇よりも鋭く狙いを澄ます。

 

 雷よりも轟く衝撃が指先を迸り、炎よりも熱い信念が手中に宿る。

 

 音よりも鳴り響く鼓動で、霞よりも鮮やかな虚像を浮かべる。

 

 獣よりも獰猛な闘争心が刀身を創り、岩よりも硬い覚悟で刀を打つ。

 

 恋よりも深い優しさで刀を見定め、風よりも涼やかな心境で刀を冷やす。

 

 そして、その手に刀は出来上がる。

 水よりも澄んだ刃。日光も月光も須く写し返す花のような美しさだ。

 

 そこに血という名の『魂』を流す。爆ぜるように送り込まれる俺とギンの『魂』に呼応するように夢幻の刃は、その刀身を赤く、紅く、赫く染め上げ、二つの『魂』は今一つとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 此処に至るまであらゆる収斂があった。

 

 縁を斬り、運命を斬り、業を斬り——。

 過分を捨て、重さを捨て、疾きを捨て——。

 

 我をも断ち、己を識った——。

 

 随分と長い時間を無為に重ね、無駄に遠回りしたが——。

 

 ————今此処でもう一度『運命』は交じり、断ち切る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『逆刃斬————ッ!!!!』」

 

 

 

 

 一閃。たった一閃。されど一閃。

 

 その一撃は、どんな概念であろうと超越する魔の太刀筋。先駆けの一手は『流星』よりも早く、速く、疾く———。『無』という世界諸共異形の存在を斬り裂いた。

 

 

 

 

 

《なん、だと……っ?》

 

 

 

 

 

 勝負は既に決した。

 

 世界の闇は薄氷のように砕け散り、今度こそ本当の『光』が『無』を照らす。儚くて小さくはあるが、何よりも温かな光だ。霧吟の『魂』が世界へと解き放たれる。

 

 それは——異形が結んだ契約を断った瞬間でもあった。

 

 

 

 

 

「『———宣戦布告だ。覚えておけ』」

 

 役目を終えて砕け散る夢幻の刃の代わりに、残滓となって降り注ぐ霧吟の『魂』を抱き込んで、異形へと臆する事なく告げる。

 

「『———俺は貴様を倒す者だ』」

 

 

 

 

 

 

 異形は俺の言葉を受け取ると、何かを言い残すこともなく潔く『門』を開いてその姿を眩ました。果たして『神様』という存在は、今の言葉をどう受け止めたのか。それこそ神のみぞ知るだろう。

 

 刹那——『門』の奥で確かに俺は見る。幾重にも並ぶ囚われた『魔女』達の姿を——。

 

 

 

 そして、そこには————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『スクルド』と『ミルク』がいた————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ま、待て——っ!!!』」

 

 そこで『門』は閉じられ、『魂』だけの世界に俺と…………まずい、これ以上溶け合うのは危険だ。今度は『魂』が離れるの意識して、俺(儂)の『魂』は分離した。

 

「……いたっ。あそこに…………スクルドが……っ!? それにミルクも……!?」

 

 

 

 ——途端、頭の中で激痛が疾る。鎖で封じ込められた本物の記憶が呼び起こされる。

 

 …………そうだ。

 『OS事件』で俺は……ミルクの『魂』と溶け合う事で危機的な状況をバイジュウと共に打開したんだ。

 

 その後に確か、去り際の前に——。

 

 

 

《無理なんだよ……。この『門』は『夢』を行き来する……。私が君の意識をこれ以上呑み込んだ瞬間、あなたも『夢見る人』となって永劫に抜け出せない世界に囚われることになる》

 

 

 

 あの『門』こそが、ミルクが口にしていた『夢』を行き来する物なんだ————。

 

 

 

『霧吟っ! おい霧吟っ! 儂の声が届いているか!? 聞こえているか!?』

 

 頭痛は瞬時に晴れて、本来の目的を思い出す。そうだ、今此処にいるのは自分の記憶に耽るためじゃない。霧吟の魂を助け出すことが目的だ。

 

 俺はもう一度ギンの『魂』を縫いながら、霧吟の『魂』へと触れる。ここは『因果の狭間』と一緒で、外界とは異なる時間が流れる世界だ。二人が再開するのは数百年という単位で済むはずがない。

 

 果たして、その募った心には何があるのか。恨みや妬みとかのマイナス面な感情だろうか?

 

 ——なわけない。俺なら……俺ならきっと……。

 

 

 

《ギン……? そこに、いるの……?》

 

『ああ、ギンだ——。お前の家族のギンだ!』

 

《……やっと会えた……》

 

 

 

 きっと、万感の想いを込めて再開を喜ぶだろう。霧吟とギンは互いに求め合った本当の家族なんだから。そこに怨恨なんて入る余地はない。

 

 そしてもう一度再開した時、もしも俺なら——。

 

 

 

《大きくなったねぇ……って、元は私の身体だから私が大きくなったのかぁ……》

 

『……お前も年頃だったからな。大きくもなるさ』

 

《うん……やっぱ私って可愛いわ〜……》

 

 ……再開した相手の成長を見て驚いたり喜んだりするだろう。背が大きくなったなとか、カッコいい服着てるな、みたいな他愛のない会話をして。

 

 ——ってか、この人意外と自意識過剰だな!? そりゃ不幸な体質でもポジティブで明るく生活してたのも頷けるわ!!

 

 

 

《…………ごめんね、今まで独りぼっちにしちゃって》

 

 

 

 ……だけど、同時に底抜けに優しい人だ。溢れ零す無償の愛は、霧吟にとってギンがどれほど大切な存在だったかを物語らせる。

 

 

 

『……儂を責めないのか? 儂のせいでお前は……』

 

《そうだね。そういう無責任なところ、無計画なところ、ちょっとは叱りたいよ。だけど、私はこんな恵まれない体質のおかげで、それ以上に恵まれた出会いがあったから……。それだけで十分なんだよ。私の不幸は幸福だったから》

 

『……それでも儂は……』

 

《それ以上は本当に怒る。身体中に漆を塗って報復する》

 

 

 

 地味で強烈な嫌がらせだ。そんなことされたら、ありとあらゆる所が痒くて仕方がない。それを想像したであろうギンは、分かりやすいくらい『うげぇ』と嫌そうな声を漏らして強制的に卑屈な意見を押し留めた。

 

 …………歳の差はあれど、やっぱり霧吟ってギンにとっての母親みたいな存在なんだろうか。最近流行りのバブみ的な関係かと想像すると、途端にちょっとアレな感じになるけど……。

 

 なんか、こうやって無意識的に俺も考えが緩くなってしまうのが……二人が本当の気持ちが繋がった家族だと教えてくれる。

 

 

 

《それよりもギンが元気そうで何よりだよ。貴方もこの永劫の中……色々と従者としての使命を熟されていたんでしょう? 嫌なこととか無かった?》

 

『……あったさ。けど、お前と同じで有り余るほど楽しいこともあったさ。知っているか、現世ではスーパー銭湯という多種多様の風呂場があり、蕎麦を始め料理が美味しくなっておる。ただ不便なことに酒は二十歳からと定められておったりのぉ……。それに新豊州スカイツリーという城よりも遥かに大きく聳える高台があったな……!!』

 

《ははっ……。聞くだけで楽しそうだよ……》

 

 霧吟は子供をあやすようにギンの話した内容を受け止める。

 

 ……そうか。二人はこういう面でも欠如していて互いに求め合っていたんだ。

 

 ギンは生まれてから死ぬまで家族と疎遠だった。だから、どんなに時間を重ねても、そもそも『子供』にすらなれずに年老いてしまった。

 逆に霧吟は生まれてからずっと家族に過剰な期待を乗せられていた。だから、どこまで心が静寂しても『大人』になる成長がなく、こうして今も綺麗な優しさを持って当たれるんだ。

 

 互いにないものを求めてあっていて……そういう埋めあって支え合う関係が、時代も環境も性別も違う二人を本当の家族にしたんだ。

 

《えっと……あなたがレン、ちゃんでしたっけ?》

 

「うん……俺はレンです」

 

《私のギンがお世話になってます。……あなたのおかげで、ギンは色々と大きくなりました》

 

 え? また俺、無意識にハインリッヒみたいに体型変えてたの?

 

《……君もギンと同じ男の子かぁ。きっと仲の良い友達になれたんだろうね……。良かったね、ギン……》

 

『阿呆が……。こんな時でも儂のことを案じよって……』

 

《だってギン人付き合い偏って……っっ!!》

 

 瞬間、霧吟の『魂』が霞んでいくのを感じた。温かな光は徐々に熱を失い、今にもかき消されそうなほどに弱くなっていく。

 

「だ、大丈夫っ!?」

 

《もう時間がない……。契約が解かれたことで止まった時間が動き出した……。だからこそ、契約より放たれた私から伝えたいことがあります……。あなた方が今まで相手してきた異形の正体について……》

 

「異形の正体……?」

 

 そんなのがあるというのか? 台風みたいなもので、『神様』というシステムを持った意思を持つ自然災害的な存在ではないのか?

 

《異形の名は『ヨグ=ソトース』……。本当の意味であらゆる生命の上位に立つ星の外側から来た情報生命体……》

 

 

 

 ——情報生命体? ということは……スターダストやオーシャンと同様の存在とでもいうのか?

 

 

 

「そのヨグ何とかは、宇宙人ということになるのか?」

 

《そういう概念で捉えてはいけない……。人間が絡繰の歯車というなら、あれは絡繰という枠そのもの……。私もこれ以上はヨグ=ソトースの事は測れなかった……》

 

 ますます輝きは失っていき、もう抱擁するように抱き留めなければ霧吟の『魂』という熱は伝わらないほどになっていく。

 

 ……本当にもうないんだ。これで……霧吟とは本当に……。

 

《……最後に、レンちゃんにお願いがあります》

 

「俺にできることなら……なんでもいいよ」

 

 彼女が見捨てられた無辜なる民を放って置けないというのなら、俺も彼女を尊重して最後の言葉ぐらい果たして見せよう。例えどんな困難でも、辱めでも、必ず応えて見せる。

 

 

 

《——今後ともギンを、よろしくお願いします》

 

 

 

 ……だけど返ってきた答えは、あまりにも平凡なお願いで、それが霧吟の本質なんだと改めて実感してしまった。

 

「……俺が今後もよろしくされる側だけどいい?」

 

《ダメです。絶対にギンの力になるように努力と根性で頑張ってください》

 

 意外と手厳しい面もあるな……。しかも根性論ときた。まあ嫌いではないから全然良いけど。

 

《ギン……。もうすぐ私はあなたの顔も声も魂も聞こえなくなります……。だけど決して消えたりしてない。ずっと、ずっっと……レンちゃんの『魂』の中に溶けて、レンちゃんの武器に……力になって貴方を支えるから……》

 

『……ふん。いつまでもお前に縋るほど儂もガキじゃない』

 

《そうだね、お爺ちゃん——。あっ、あと身嗜みとかお風呂とか、本当に女の子になったんだから……って、時間が足りな……あああっ——!?》

 

 

 

 何か伝えようとしていたが、とうとう『魂』の熱はなくなり、俺の『魂』へと溶け込んで惜しくも最後まで届くことはなく、霧吟は消えてしまった。

 

 …………なんか随分と締まらない最後だな。

 

『……お前の言う通り、お前と霧吟は似ておったな。こういう締まらないところが』

 

「…………余計なお世話だよ」

 

 多分、これは意図的なものだ。永遠の別離になるというのに、霧吟は最後まで悲しみを背負わせないように、最後まで自分らしく心の底からギンを普通に心配しながら逝ったんだ。

 

 ……『死』は決して悪いことばかりでもない。そういうことも……彼女は俺に教えてくれたんだ。俺も彼女には頭が上がらない。

 

『…………最後の最後まで人のこと心配しおって。本当に……底抜けに優しい子じゃった……』

 

 …………霧吟の思いを背負い、俺たちの意識は浮上する。

 

 さあ、帰ろう——。温かな日常という『光』を求めて——。

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

「——成し遂げたか」

 

 目覚めて一番、霧夕さんの顔で心配するウズメさんの姿が見えた。

 見えたが……随分と距離が近い。息が吹きかかるほどに近い。頼むから退いてください。

 

「あぁ……。これで儂も本当にただの爺じゃ。……何をすべきかのう?」

 

「一先ず、やりたいことでも探さない? 現世は色々とあるよ?」

 

 中々退いてくれないので、「ふがっ」と野蛮な声を上げながら無理矢理ウズメさん退かしながらギンに聞いてみる。ギンは眉間に皺を寄せて考えながら足元に散らばる破片を見つめる。

 

 ——それは今まで霧吟とギンを縛り付けていた『妖刀』あるいは『鍵』と呼ばれる存在だった物だ。もう妖しい気配はなくなり、今度こそ再生することはない。つまりギンが『守護者』として解放されたことを意味していた。

 

 やがてギンは妙案でも思いついたのか、明るい表情となってその考えを口にする。

 

「うむ! なら霧吟と同じく人助けでもしようか! それぐらいしか儂が知っていることないからの!」

 

 ——そうやって霧吟と同じ考えに行くのが、心で繋がった家族なんだと何度も実感させてくれる。

 

「であれば一宿一晩という言葉で片付けられる問題ではないが、レンちゃんよ。儂はお前に世話になったし、何か恩返しがしたい。この身でできることであれば、なんでもやってやろう」

 

「その身を……持って……なんでも……っ!!?」

 

 合法か!? 合法的にいいのか!! こんな美少女にあんなことやこんなことを——!! 

 

 

 

 …………

 ……

 

《儂の真心を込めて……萌え萌えきゅん♡》

 

《レンちゃんの手、温かいの。お返しに握り返したいが、儂の手は冷たいからの……お礼にマフラー掛けてやろう♡》

 

《その……儂の初めて……その口で受け止めて貰えんかのう……?》

 

 ……

 …………

 

 

 

 ——爺がやっていることを想像したら吐き気がした。ダメだ、見た目が美少女でも中身が男だと考えるだけで、こんなシチュエーションでは萌えはしない。逆に炎上という意味で燃えそうだ。少年ジャソプよりも熱く——。

 

「あっ……だったら、俺と手合わせをお願いしてもいい?」

 

「手合わせ? もう意味はないであろう?」

 

「俺が納得してないんだよ! それに男同士のリベンジマッチ……逃げたら男が廃るって言わない?」

 

「ふっ……ならば、その勝負受けて立つとするかっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——こうして長年続いた霧守一族の役目は完遂された。

 

 ……俺とギンの対決がどうなったか? そんなのはご想像にお任せする。いや、させてください。ちょっと散々だったんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで本日からお前らの訓練をするギンだ! 儂が教えるからには、まずはウサギ跳び5000回を行う!!」

 

「ギン教官! それ現代医学で悪影響という結果が出てます!」

 

「黙れ! いやシャラップ! ティーチャーに、しかも年上に歯向かうものではない!!」

 

「今時レアキャラな年功序列で身分差別の石頭とかいうオンパレードだよ〜〜! しかも慣れない英語を使うサービス付きの〜〜! 助けてレンちゃ〜〜ん!!」

 

「俺に言われても……」

 

 とはいっても、俺の鍛錬は時間さえあれば続いた。更に時間は過ぎて、ギンは正式にSIDの一員となり『教官』という立場になって俺やアニーもまたさらに強くなるための実践訓練を重ねに重ねて、さらに重ねてととにかく続け続ける。

 

 そしてクリスマスでちょっとしたことや、年末年始で『奇妙な運試し』とかあったけど………それはまた別のお話。

 

 こうして俺たちは、ギンや霧夕とウズメさんを加えた新しくも慌ただしい日常のまま2037年は終わりを告げる。

 

 2038年も…………今度はスクルドやミルクも入れて、迎えられる日のために俺は『本当の強さ』のために今日も頑張り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは今回の口紅テストですが……レンちゃん、ギンちゃん共々30点中5点未満ですっ!」

 

「いやいやいや!! どう見ても色同じでしょ!?」

 

「儂にも同じにしか見えんぞっ!!? 愛衣、お前嘘ついておるだろうっ!?」

 

 ——けど女の子としての素質までは鍛えきれんわっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——2038/01/01 00:00。

 

 液晶モニターの時刻が新年を告げる。窓辺から映る街並みは、今日だけは眠らずに新しい年を祝福して、眠りにつくことはない。こんな平穏がいつでも続くと信じて疑わないように。

 

「……ついに運命の刻か」

 

 そう言って窓辺から離れる少年の影が一つあった。モニターの光でしか部屋を照らさないため、顔の造形など取られることなく部屋を後にする。

 

 そして液晶モニターに予め指定された設定の通りに自動的に落ちる。その直前、読み込みの画面で使用者のIDが一瞬だけ表示された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——『John Titor』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 くぅ疲w ……というわけで、なんとか一月中に第三章を終えられて満足です。いや、本当に第二章は体調不良で更新がナメクジで申し訳ないと今でも思います。

 これにて、ついにレンちゃんも立ち直り、ようやく最後の最後になって今までみたいに自然体なレンちゃんを描写できるようになって、本当にひと安心です。意識して少し固いレンちゃんを書くのは見ていて痛々しくて……思わずパンツがガビガビと……。



 さて、ここからは今後の更新内容と予定の報告となります。

 第四章【堕天使】は現在執筆中であり、今からでも始めたくはありますが……その前にひと休憩。ギン達も入れたレンちゃん達の健やかな日をお見せしたいと思います。

 というわけで第四章の前に閑話②【少女と日常】を今後は投稿していきたいと思います。話数は全部で『10個』で基本的に単話完結となるお話です。故にスケジュールもタイトルもしっかりと予定を組んでおり、下記が投稿日となります。

『2/7』第1節〜ラファエル・デックスは静かに暮らさない〜

『2/14』第2節〜はたらく聖女さま!〜

『2/21』第3節〜イルカの奇妙な冒険 スターオーシャン〜

『2/28』第4節〜聖夜の一幕〜

『3/7』第5節〜孤独の酒盛り〜

『3/14』第6節〜いざ、ショッピング!〜

『3/21』第7節〜バイジュウの休日〜

『3/28〜30』第8ー10節 〜御桜川学園祭①ー③〜

『4/1』第四章【堕天使】開幕。



 ……となっておりますので、今後とも長くお付き合いくださいませ。

 これで一度筆を置かせていただきます。いつまでも魔女兵器本編の再開の祈りつつ、お絵かきもSSも精進していきたいと思います。

 それでは……。
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