魔女兵器 〜Another Real〜   作:かにみそスープ

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第7節 〜求めよ、さらば与えられん〜

「ウリエル様。これもう取っても大丈夫ですか」

 

「いいよ〜〜。邪魔だもんね」

 

「着脱式ッ!?」

 

『ヴィラクス』と呼ばれた白髪の少女は、その頭部に生えた異形の黒い角をオモチャのように取り外して「ふぅ」と一仕事終えたぜ、と言わんばかりに息をついた。……あの、まだ何も始まってないんですけど。

 

「実際邪魔ですし、重いですし、使いにくいし……。付けるだけ無駄ですよ?」

 

「え〜〜……。その翼も……?」

 

「はい。こう、パキッと取れますよ」

 

 今度はヴィラクスは「えいっ」と少し力んで腰から翼を引きちぎった。特に物騒な音もせずに、プラモデルの関節部が折れるような軽い音だけが鳴り「どうですか?」と、その赤い翼を見せつけてきた。

 

「作り物…………じゃないね」

 

 手に取って確認してみるが、角は骨が詰まった頑強な物であり、握り潰す程度の握力ではヒビすら入らない。翼も高級な羽毛枕に入れるような肌触りであり、この翼を枕や布団にして眠りたいほどに温かくて気持ちがいい。この温かさだって火の熱みたいなものではなく、生物特有の深みの温もりがある感じであり、それが作り物ではないことを尚更感じさせてくれる。

 

「さて、話を戻そうか。ヴィラクスは『魔導書』に触れたことで『魔女』になってしまった……。『魔導書』はヴィラクスを主人として認めたらしく、特に何かの影響を良くも悪くも与えてない」

 

「一応は『魔導書』に限らず本全般に触れれば、その本に触れた者の『記憶』や『感情』の一部が共有されるぐらいはあるんですけどね」

 

「ああ、そうだった」とウリエルは金髪を軽く靡かせながら頷くが、聞き流すことのできないことをサラッと言っていた。

 

 ——本全般に触れれば、その本に触れた者の『記憶』や『感情』が一部が共有される。

 

 ならば気になるのは、そのはぐらかしている『一部』がどこまでの範囲なのか。それについて俺はシンプルに「どこまで共有できるの?」と聞いてしまう。

 

「試しにヴィラクスの『魔導書』に触れば分かるわよ。いいでしょう?」

 

「はい。どうぞ」

 

 ラファエルの催促にヴィラクスは素直に応じて、特に何かを警戒する様子もなく『魔導書』を俺に差し出してきた。あの『OS事件』を起こした元凶であるはずの『魔導書』をいとも簡単に。

 

 ……多少の疑念は湧いてくるが、ヴィラクスが何か企んでいる感じもない。その動作は手慣れてもいるし、きっと今までも何人かこうして見せてきたんだろう。ラファエルが勧めた上に警戒している様子もないし、本当に『魔導書』自体には何の問題もないのだろう。

 

 俺は信頼しきって、その辞書並みに厚みのある『魔導書』に触ると、途端に脳内に電流が流れたような衝撃と共に『記憶』が鮮明に掘り出されていき————。

 

「————ぇ」

 

 浮かんだ『記憶』の光景に絶句するしかなかった。

 

 

 

 …………

 ……

 

《こ、これが女の子の…………やっぱり男と違うよな……》

 

《……男と女で違うって聞くけど、どんな感じなんだろう……》

 

《…………いやいや!! ダメダメ!! 絶対ダメ!!》

 

 ……

 ……

 

《ふふっ……。この闇夜のスナイパーである俺様に敵うわけがなかろうに……》

 

《あ、あの……。その……俺と付き合ってください!》

 

《はぁ、はぁっ…………。ぅっ……!》

 

 ……

 …………

 

 

 

「——ぁぁぁぁあああああああああああああああ!! イケない記憶がぁぁああああ!! 全て蘇ってくるぅぅううううううう!!!!」

 

 

 い、意識して思い出してはいけないことが次々と出てきたっ!? 

 

 これは俺が女の子になってから間もないことで…………風呂でつい、その…………あの……。青少年なら誰もが興味を持つ物をマジマジと見ちゃった時の……!!

 

 それに男の時にまだ青くて夢みがちな恥ずかしいセリフを言っていた時の物、思春期特有の無敵感で中学生の時に好きな女の子に告白して玉砕した記憶まで出てきてっ……!!

 

 

 

 それにそれに……!! この記憶は……っ!!

 

 

 

「……? あれ? この記憶って……。んー? レンちゃん女の子のはずなのに男性器が——」

 

「わー!! わーー!! それ以上は言わないでくださいっ!!!」

 

 それは俺が男の時に秘事をしてた時の白い記憶なんですっ!! 女の子が覗いていいものじゃないっ!!

 

「…………ふーん。やっぱりアンタ変態なのね」

 

「健全なだけですっ!!」

 

「まあまあラファエル。レンくんをイジメすぎると嫌われるぞ? 男の子なら誰だってしたい時はあるんだ」

 

「そうだ! 男なら…………って」

 

 …………なんでガブリエルが俺のこと『男』って、さも当然のように認識してるの? いくら俺の性別を知っている人が多いとはいえ、ガブリエルには言ってはいない。だとすればラファエルが教えたのかと勘繰るが、あのグリーンお嬢様がそんなことを教えるとは考えにくい。実際、ガブリエルの発言にラファエル自身も少々驚いている様子を見せているし。

 

「あの……俺、一応は女の子なんですけど……」

 

「いや、君は男だろう? 可愛らしい見た目をしてるが、私の目は誤魔化せないさ」

 

 これまた当然であるように、確信を持ってガブリエルは俺のことを『男』と断言した。それに対して冷や汗を流しているのが自分でも分かる。バイジュウの時からそうだけど、何で俺ってこんなに分かりやすい面があるの?

 

「へぇ〜〜。君、男だったんだ〜〜」

 

「なるほど。確かにそれなら色々と頷けますね」

 

「あぁ〜〜! 通りでレンちゃんの記憶に……あれ? でも、女の子だよね? んー?」

 

 ガブリエルの言葉に、ウリエル、モリス、ヴィラクスは各々の反応を見せる。ウリエルとモリスは特に驚いた様子も見せずに納得し、ヴィラクスは更なる疑問が渦巻いて、マイペースに自分の思考へと耽る。

 

「いやいや! 本当に女の子ですわよっ!?」

 

「今更わざとらしく女々しくなるな。それにガブリエルにそういう類は通じないわよ。これでも私の教育係だった男…………ムカつくけど、私の知識や観察眼はアイツ譲りなの」

 

 せめてもの抵抗も、ラファエルによって虚しく砕け散った。

 

 しかしガブリエルがラファエルの教育係……。確かにガブリエル自身が「ラファエルを育てた」と言っていたけど、兄貴的な面じゃなかったわけね。

 

「……いつから気づいてたの?」

 

「最初から。君のこと『くん付け』で呼んでいるじゃないか、レンくん」

 

 …………そういえば最初からガブリエルは俺のことを『レンくん』って呼んでたな。最初からお見通しなんて、ラファエルと初めて会った時に『女装癖』と呼ばれたことを思い出してしまう。それが本当にガブリエルがラファエルの従兄弟なんだと改めて実感してしまい…………ふとあることを思い浮かべた。

 

「……やっぱり、男が女の子してるのは気持ち悪いとかって思います?」

 

 何故か少しドギマギしながら聴いてしまう。それは女性的な感性からくる男性に対する興味的な物だが、俺個人的としては気のせいだと思いたいものだ。何せ認めたら俺は……その……アレなんで。

 

「思わないさ。私は可愛いモノなら何でも好きだからね。…………それが男でも」

 

「……え?」

 

「好ましいよ、君の在り方は特にね。立場とか何を抜きにしてもお付き合いしたいほどさ」

 

「「はぁ!!?」」

 

 突然のカミングアウトに、俺だけでなくラファエルも驚いてしまう。てか、男でもお付き合いしたいって……!?

 

「アンタ、いつからそんな趣味になったのよっ!?」

 

「そう怒らないでくれ、ラファエル。別に性的な意味じゃない。人間的な意味合いとしてだ。別に取って食おうだなんて微塵も思っていない」

 

 なんだ、そういうことか……。安心したような、ガッカリしたような……。いやいや、なんでガッカリする必要あるんだよ。男なんだから安心しろよ。

 

「それにラファエルの初恋だからね、無粋な真似もしないさ」

 

「はぁっ!? いや、はぁっ!? 誰が誰のことを好きだって!?」

 

「ラファエルがレンくんのことを好き。ガブリエルとしてではなく、1人の兄として祝福しよう」

 

「兄貴面するなっ!!」

 

「これでも私は、お前が「新豊州から出ていきたい」とか言わない理由が分かって安心したんだよ。夜遊び好きになったのかと本当に心配してたからな……」

 

「夜遊びなんかするわけないでしょ! 夜更かしは肌にとって悪いのよ!?」

 

「にしては、俺が思ってるよりかは肌のノリが悪いぞ。定期的にレンくんと遅くまで何かしてるだろう。目の周囲が妙に重くなってるし……視力を使うなるとゲームあたりだろう?」

 

「ち、ちがいますっ! これだから『お兄様』は!!」

 

 …………今驚くべきことが耳に入ってきたんだけど。『お兄様』なんて、そんな絵に描いた妹系お嬢様みたいなことを言わなかった? あのラスボス系偏屈グリーンお嬢様が? 

 

 しかもラファエルが俺のことを好き? ……いや、流石にないだろう。

 今までのことを思い浮かべてみたが、付き合いとして存外も存外だ。アニーの方が親しく話してるし、俺なんか「変態、女装癖、ロリコン」だけに留まらず他にも多種多様な罵倒をされている。確かに世の中には『ツンデレ』という属性は現実にも少なからずあるとはいえ、このお嬢様はそういう人種じゃないと思う。自分にはとことん素直なタイプだ。じゃなければ、サモントンでの問題発言は起きはしない。

 

 ……………でも、ソヤが前になんか言っていたっけ。ラファエルの匂いはどうのこうのって。はて、どんなことを口にしていたか。

 

「はいっ! そこまでですよ、お二人とも。今はウリエル様が説明中なんです。喧嘩なら人目のつかない所にしてくださいね」

 

「だってガブリエルが虐めるだもん!」

 

 ……ラファエルの口から「だもん」が出るとは思わなかった。

 

「虐めてない。ラファエルの代わりに素直に言ってるだけだ。何度も言うが、お前はもう少し素直になれ」

 

「素直ですぅー! 私は昔から素直ですぅー!」

 

「……私もいつまでも優しくありません。それ以上喋るようでしたら、武力行使も行いますよ」

 

「「……すいません」」

 

 喧騒冷め止まぬガブリエルとラファエルに対して、再びモリスは静かな怒りを見せつけて2人を黙らせた。それは長年の付き合いから来る一種の信頼感でもあり、俺では察せられないほどモリスに対して2人は必要以上に迅速に頭を下げていた。

 

 ……というかさっきのラファエル、なんというか……年相応というか、今までの傲慢な態度じゃなくなっていたな。もしかしてラファエルって幼い頃は割と素直な子で、ガブリエルの前だとその一面が出てしまう感じでもあるのだろうか。

 

「ウリエル様、お話を続けて大丈夫ですよ」

 

「あぁ、うん……。えっと……そうだ。まあ、そんな感じでヴィラクスは『魔導書』に触れた者の見られたくない記憶を共有できるんだ」

 

「見られたくない記憶ね……」

 

 まあ、万人が自分のしている姿を見られたくはないわな。

 

「だけど、それ以上の効力は『魔導書』は見せてくれないんだ。実験をして理解を深めようとしても、サモントンは異質物研究に関しては遅れをとっていて実験に必要な十全な施設がない。……そこで『方舟計画』さ。新豊州と協力して『魔導書』の力をどこまで制御できるのか、っていうのを調べてるためにね」

 

「こちらも最初は拒否したんだけどな。あまりにも得体の知れない『魔導書』……リスクを考慮したら前向きにはならんし、『方舟計画』には元老院も立ち会う以上、下手にそれを見せるわけにいかん。それにこちらには『魔導書』を解析して得することもない。だから交換条件を出した」

 

「元老院の目を欺きつつ、互いの利益となるよう、SIDが求める異質物を『方舟計画』提供しようと。…………それが『剛和星晶』だ。教皇庁に手を回してEX級から解除するのには苦労したとお祖父様が言っていたよ」

 

 今回はそんな経緯があって『方舟計画』が始動していたのか……。最初の実験はSIDの実益と元老院を欺くための物で、今から行う『魔導書』の実験こそがサモントン側がしたい物だと。

 

「……こんなところかな、『魔導書』については。これ以上は実験しないとサモントン側でも分からない」

 

 そう言ってウリエルは話を終えた。ヴィラクスもその手にある『魔導書』を実験フロアにある台座の上に置こうと向かうが、即座にガブリエルが「まあ待て」と割り込んで抑える。

 

「どうしたの、ガブリエル兄さん。実験には兄さんも同意してたでしょ」

 

「そうだが、我々は今日から明日の昼までなら新豊州に滞在できる。元老院がまだ見ている可能性も考慮すれば、もう少しだけ後回しにしても大丈夫だろう。レンくんだって疲れが溜まっているはずだしな」

 

「一理あるけど先延ばしにする理由にはならないでしょ。何か他の訳でもあるんじゃない?」

 

「……ラファエルにとって、これで最後かも知れないだろ。……だから、せめて思い出作りくらいさせてもいいだろう」

 

「ガブリエル……」

 

 ガブリエルの申し出にラファエルは何とも言えない表情を浮かべる。嬉しいような、悲しいような、余計なことをすんな……それら全てが入り混じった複雑な表情だ。

 

「そうだけどさ……。デックスたる者、覚悟の準備はできてるでしょ」

 

「……そうね。『Noblesse oblige』——。貴族たる者、そんな感情で動かないように……」

 

 ウリエルからの言葉にラファエルは、いつか聴いた単語を口にして再度決意を固める。

 

 

 

 

 

 ——『Noblesse oblige』(ノブレス・オブリージュ)。

 

 

 

 

 

 その言葉について俺はある程度知っている。簡単に言えば『貴族の義務』であり、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴うことを指しており、つまりは『社会の模範となるように振る舞おう』という意思表示だ。

 

 それは心理的な自負、自尊を促すものだが、同時に外側の社会的な圧力を受けているとも言える。もちろん無碍にしたところで法的な処罰は発生しないが、社会的な批判や、それに対する人格や倫理を攻撃されることもありうる。

 

 だから貴族は傅く者のために、常に正しくあらねばならない。民の模倣として常に先頭に立つ者でなければならない。そこに個人的な意思を介入させてはならない。例えそれが耐え難い物であろうと。それを行うこと自体が最も正しいのだから。

 

 ……それが『Noblesse oblige』だ。某F91が付くロボットアニメが口にする『貴族主義』の思想形態みたいな物であり、今はその思想がラファエルを縛り付けている。

 

 

 

 

 

「そうだな。『Noblesse oblige』……デックスにとって大事な思想だ。上に立つ者は相応の義務と責務を全うしなければならない。…………けれどそれを下の者に示すからこそ、下の者は上の者に傅くんだ。……ではここで問題だ、ウリエル。今ここで一番権威を持ってるのは誰だ?」

 

「……ズルいよ、兄さん」

 

「そう。『執行代表』であり、ミカエルに次ぐ権威者である私ことガブリエルだ。私が今やる必要ないと言った以上、実験も一度お休みだ」

 

 うわっ、強引な言いくるめしてきたな。そんな自分勝手なことをしたら白い目で見られるから、常に模範的で有れと定めるんじゃないのか?

 

「……ガブリエル様。そのワガママは貴族として相応しくありません。元教育係として見過ごすことはしませんよ」

 

「分かってるって。その代わり、サモントンに戻ったら手配とか色々全部俺一人でやるから……これもノブオジュだ」

 

「思想をいい加減にして略さないでくださいよ……」

 

 ガブリエルの言い分にモリスは若干呆れながらも「そこまで意地張ったらしょうがないですね」と懐かしげに呟くと、優しい笑みをラファエルに見せて言った。

 

「ラファエル様。そういうことですので、一度休憩です。レン殿下もお疲れではありますし……後悔のないように」

 

「………………そういうことなら分かったわ」

 

「ウリエル様は行かれますか?」

 

「僕はいいや。新豊州に興味なんてないし。ヴィラクスはどうする?」

 

「でしたら行かせてください。私も会いたい友人がいますので」

 

「了解。モリスはどうするの?」

 

「ガブリエル様とウリエル様をお守りする役目がありますので待機させていただきます」

 

「だってさ、ガブリエル兄さん」

 

「……別に一人でいいんだけどな。方舟基地には何もないんだし。それにモリスだって連日勤めてるだろう? 今日ぐらい羽休めしておいで」

 

「…………そういうのでしたらそうしましょう」

 

 ……どうやら一度長い休憩が入るようだ。俺としては疲労も溜まっているし、ありがたいことだ。

 

 それにラファエルと過ごす最後の一日……。なるべく後悔のないようにしておきたい。ラファエルと親しい人達をできる限り呼んで、今日だけでも最高に楽しく過ごすようにしよう。

 

 となるとアニー……は一緒に来れないか。最近副官補佐としての技術も身につけて裏方の実力もつけたから、マリルと一緒にここでやらなきゃいけないことがあるし。であればボディーガードも兼用してソヤは一緒に連れて……。

 

「…………ソヤ、どうしたの?」

 

 と、目線をソヤに合わせたところで気づく。今の今まで沈黙を貫き、その表情には今まで見たことのないくらい真剣な物だ。鼻先をしきりに動かしては、より一層眉間に皺を寄せて何かを考え、珍しくこちらの視線には一切気づいてない様子だ。

 

「ソヤ?」

 

「——え? ど、どうしたんですの? あはは……」

 

 再度声をかけて、ようやくソヤは俺に気づいた。本当に微塵もこちらには気づいてなかったようで、先程までの真剣な表情を誤魔化すように愛想笑いを浮かべて、下手なりに有耶無耶にしようとする。

 

「俺はどうもないけど……ソヤはどうかしたの?」

 

「…………えっと、その…………匂うんです」

 

「匂う——?」

 

 脈絡のない言葉。それがどういう意味を持つのか、ソヤ自身も把握できていないようで「そういうしかないんです」としどろもどろに話を続ける。

 

「正体不明の未だ嗅いだことのないゲロ以下の激臭……。この世のものとは思えぬ匂いがプンプンとフロア全体を覆っておりまして……。他の者の臭いさえ覆うほどドギツイのですわ……」

 

「それ、加齢臭とかじゃなくて?」

 

「そんなチャチな物ではありませんわ。あえて口にするならば……混沌が這い寄って来るような……そんな不快極まる物です」

 

 …………言っている意味が本当に分からない。ソヤがこんなことを言うなんて初めてだ。何かの予兆でもソヤなりに感じているのだろうか? ガブリエルに対して注意とかも言っていたし。

 

「ま、まあ……今は特に危険な感じはしませんし、一度は置いときましょう。それでレンさんはどうなさいますか? ラファエルさんと一緒にどこかに行きますか?」

 

 ソヤの言うことに俺は当然頷き、ソヤも「ではご一緒させていただきますわ♡」といつも通りの雰囲気で言った。

 

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