ある男性IS操縦者の書簡   作:須藤

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その1

 

■三月三十一日 織斑一夏へのメール

 

【宛先】織斑 一夏

【添付】なし

【件名】テスト

【本文】

テスト

 

 

 

 

 

■四月一日 織斑一夏へのメール

 

【宛先】織斑 一夏

【添付】なし

【件名】Re: Re:

【本文】

>>今、売店だけど、織斑君は買ってきて欲しいものある?

>ウーロン茶頼む

了解

 

 

 

 

 

■四月二日 織斑一夏へのメール

 

【宛先】織斑 一夏

【添付】なし

【件名】Re: Re:

【本文】

>>大変だ

>>一夏の菓子が謎の消失事件に巻き込まれてしまった

>>現場の写真を送る

>思いっきり食ってんじゃねーか

>缶コーヒーは無事だろうな?

飲んでないよ

僕は

 

 

 

 

 

■四月二日 妹への手紙

 

前略 親愛なる妹様

 

小雨の降る中、家族に見送られ旅立ってからはや三日。元気にしているか。変わりはないか。兄がいないさみしさに泣いてはいないか。

いつも通り? それならば大変結構。

いきなりの手紙でおどろいたかもしれないが、特に深い意味はない。

暇つぶしがてら寝泊まりしている宿舎の備品をあさったところ便せんを発見し、そういえばお前が別れ際に「たまには連絡いれなよ」と言っていたなあと思い出して書いてみることにした。

メールや電話での連絡を想定していたかもしれないが、無意味に人の裏をかいて悦にひたるのが兄の性ヘキだから仕方ないね。

ネコもシャクシもデジタルなこのご時世、こうしたアナログな方法もたまには良いのではないだろうか。

 

僕はここ茨城の自衛隊基地で研修を受ける毎日だ。

昨日は座学でISの基礎知識や男性IS操縦者としての注意事項なんかを学んでいたが、今日はなんと自衛隊の訓練機を借りて起動訓練と歩行訓練をやった。

難しくてなかなか上手くいかなかったけど、とても楽しかった。ロボットやパワードスーツは男のロマン。

ISの操縦はともかく、座学の方は女子新入生に大きく遅れをとっているから不安だ。

女子は中学の頃からISの選択授業があるからね。ていうか、合格するような連中は専門の女子中学に通ってるのがほとんどらしい。

 

男子新入生の皆とは仲良くやっている。

特に世界初の男性IS操縦者としてニュースに出てた織斑一夏君はイケメンでフレンドリーで良い奴だ。世の中は不公平だと思う。

思えば彼の事が発覚したことをきっかけに、手始めに同年代の男子中学生を対象に調査が行われ、僕を含めた三人が新たに発見されたわけだ。

あれからそんなに経ってないはずだけど、ひどく昔のことに思える。

僕なんか既に推薦が決まってたのにIS学園に進学することになってしまい、事情が事情とはいえ迷惑な話だった。

まあ、貴重な体験をしていると考えれば、これはこれで人生の糧になるだろう。

でもやっぱり普通の高校が良かった。

 

ちなみに、教官の人(僕らのためにわざわざ山口から出張らしい)に「女性しか動かせないはずのISをどうして僕らが動かせたのか」と聞いてみたけど、まだ原因は不明だそうだ。

「これも全部、篠ノ之束って奴の仕業なのよ」と苦笑いしていたのが印象的だった。たぶん深く追求しない方がいいのだろう。

 

残りの男子二人は大倉君と綱島君だ。

大倉君は大阪出身だけあってバリバリの関西弁。

「勉強が苦手だから高校受験しなくて済んで助かった」と喜んでいたけど、IS学園は世界中からエリートが集まる学校だってことは頭にないらしい。

あまり早く絶望させてもかわいそうなので黙っておいてあげた。

綱島君は背が高くてカメラが趣味らしい。

基地であれこれ撮ろうとして怒られていた。IS学園というほぼ女子校という舞台で彼の趣味はどのような花を咲かせるのだろうか。

 

僕らは明後日まで研修を受け、入学式の前日にIS学園へ移動することになる。

正直なところ不安でしょうがないけど、僕ら四人で力を会わせて乗り切っていこうと思う。

お前も兄の無事を祈ってくれ。

 

                                      草々

 

                      竹ヤリ一本で魔王城に挑む心境の兄より

 

 

 

 

 

■四月五日 妹へのメール

 

【宛先】妹

【添付】なし

【件名】Re: お手紙読みました

【本文】

返事ありがとう

こちらは寮に到着して荷ほどき中だ

父さんも母さんも変わりないようでなにより

お前ももう中学二年か

佳奈ちゃんと同じクラスになれて良かったな

お祝いついでに人生の先輩からアドバイスをしておこう

もし同級生の男子がコーヒーのブラックにやたらとこだわったり、「最近邦楽とか聞かないわー、洋楽しか聞いてないわー」と無駄にアピールしてきても生温かく見守ってやること

あれはちょっとしたハシカのようなもので、しばらくすれば自然に治癒する

かつて兄が発症しかけたときにお前が見せた冷笑は今でもたまに夢に出てくる

人の過ちを正すのは良いことだが、時にはあえて触れてやらないのも大切だ

昔の偉い人は言いました、「ワガママは男の罪だが、それを許さないのは女の罪である」と

ただし邪気眼系に対しては遠慮することはない

あれは人生に多大な悪影響を及ぼす

 

それではまた暇があったら手紙でも書く

お前も返事をくれると嬉しい

 

 

 

 

 

■四月六日 布仏本音へのメール

 

【宛先】布仏 本音

【添付】なし

【件名】Re: てすと

【本文】

>きくりんはキノコ派? タケノコ派?

タケノコ厨はいい加減に負けを認めるべき

既に勝敗は明らかでありこれ以上の争いは無意味である

 

 

 

 

 

■四月六日 谷本癒子へのメール

 

【宛先】谷本 癒子

【添付】なし

【件名】Re: Re: Re: Re: Re: テスト

【本文】

>>>>>届いたかな?

>>>>届いてないよ

>>>あれおかしいな?

>>>もっかい送るね

>>やっぱり駄目みたい

>ていうか届いてるやないかーい!

ていうか目の前にいるんだから普通に話そうか

 

 

 

 

 

■四月六日 妹へのメール

 

【宛先】妹

【添付】なし

【件名】Re:

【本文】

>>流石はIS学園、入学式無しで1時限目からいきなり授業だった

>

>↑とか

>

>>タケノコ派の手先を発見したので宣戦布告をかましておいた

>

>↑とかはどうでもいいので

>

>>なんか一夏がツンデレ幼馴染と再会したり、イギリス貴族なお嬢さまに決闘を申し込まれたりと面白いことになっていたけど、

>

>↑をもっと詳しく

>

やっぱり気になるか

長くてメールだと面倒だから、明日にでも手紙書くよ

 

 

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