四天王の重要任務   作:プレイズ

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急襲③

「ふう……な、何とかやったな」

「あ、ああ。肝を冷やしたぜ」

驚異が去って2人の幹部が胸をなで下ろす。

ボコラルスが土のトーテムポールを繰り出している間に、もう1人の男デコメンドが罠を仕掛けていた。

彼の固有能力は物体を一定範囲でデリートする力。

つまり物を消してしまう事が出来るのである。

ただし生物に対しては適用出来ず、あくまで対象は無機物に限定される。

だが、上手く使えば強力な武器となる能力だ。

「奴の真下部分の床素材を全て消してやった。もちろん土台のコンクリート素材も全てな」

「つまりあいつはこのビルの底まで落ちたってわけだ」

にたりと2人の幹部が不敵に笑った。

デコメンドの能力でファーブニルの足場から下を“1階部分まで”全てデリートしたのだ。

このビルは10階建てであり、このフロアは10階にある。

闘将の身体はその遙か下まで落ちたという事だ。

「ボコラルスが目立つ技で奴の注意を引き、その間に俺が足場を消して罠に嵌めるという連携技」

「久しぶりに決まったなデコメンド。俺達はまさに相性抜群の能力だぜ」

「くく、我らは最強の凸凹コンビだからな」

「へへっ、ならその名の通りにデコボコにしてやるぜーー!!」

「!?」

「!?」

不意にいないはずの漢の声が聞こえ、彼らは驚いた。

穴の底の方から沸き立つような声が木霊する。

下を見ると、赤い装甲の姿が見えた。

かなりのスピードでジャンプしてくる。

「うわっ!?」

瞬く間に眼前に闘将が現われ、2人は仰け反った。

それを飛び越して彼はダンと勢いよく着地した。

「ば、馬鹿な…!貴様はさっき墜落させたはず」

「へへっ、ちょっと落とした程度じゃ俺はやられねえぜ」

彼らの双眸を目で見据え、ファーブニルが笑う。

「ざっと5階分くらいか?途中で壁に手をかけてよ。そこで止めて、後はジャンプして上がってきたってわけだ」

「なに……!」

「いくら途中で落下を止めようと、止めた手には相当な衝撃があったはずだ…!それにそこからジャンプでこの短時間に這い上がってくるなど、、!」

驚きに動揺を隠せないボコラルスとデコメンド。

そんな2名に闘将が言う。

「だからあれくらいじゃ死なねえって」

俺の身体は頑丈に出来てるからよ、と。

「それに俺は身体能力が高えからな。1度のジャンプで並のレプリロイドの3倍は飛べる。だからここへ戻ってくるのも壁に手をかけながら3回程度のジャンプで済んだぜ」

「なに……!」

「ば、化け物め」

「へへっ、言い残す事はそれだけか?」

ボキボキっと手を鳴らして彼の拳が組まれる。

これからやる事は敵を仕留める仕上げだ。

 

「いや、まだだ!」

咄嗟にボコラルスが空中に飛び上がり、果敢にファーブニルへと迫った。

大人しくやられるくらいなら先手必勝しようという考えらしい。

だが、飛んで火に入る夏の虫とばかりに闘将は笑った。

眼前へと接近してくる彼に、ファーブニルはそのまま拳をお見舞いしようとする。

「させるか!クロスフラーーッシュ!!」

「!」

しかし強烈なパンチが繰り出される寸前、目の前の男から光が弾けた。

突発的なフラッシュが炸裂し、激しい光が発せられたのだ。

相手が攻撃に意識を向けた、その開いた目に浴びせる目くらましである。

「ぐお…!ま、眩しいなァおい……!」

もろに間近で激しい光を浴び、さしものファーブニルも動きを止めざるを得ない。

闘将のフィニッシュにカウンターで光の目潰しを当てる、という咄嗟の策が功を奏していた。

効いているのを確認したボコラルスは勝機を取り戻す。

「よし!」

動きの止まったファーブニルの後ろに素早く回り込むと、彼は間髪入れずに打撃技を放った。

パンチの連打を赤い装甲の背中に打ち込んで痛打する。

「おらおらおらおらおら!!」

ドガガガガ!

凄まじい乱れ拳が闘将の背に浴びせられた。

強力な打撃が呻るように波を打つ。

今が好機と見た彼はラッシュを繰り出して一気に片を付けようとした。

そして、相棒のデコメンドもそれに続いた。

間合いを詰めて横合いから鉄パイプで殴りかかったのだ。

鈍器がファーブニルの頭目がけてフルスイングされる。

ゴギィ!という鈍い音がして、闘将の側頭部に振り下ろしが命中した。

手応えを感じた彼は口元をにやりとさせる。

「くく、これは効いただろう?」

「………」

俯いたファーブニルがランチャーを落とした。

ガシャリ、と音を立てて彼の手から武器が離れる。

頭を垂れた闘将に、2人は狡猾な笑みを見せた。

 

 

「今ので相当ダメージを負ったようだな。武器まで落とすとは」

「失神でもしたか?無理もあるまい。頭部にフルスイングを当てたからなぁ」

鉄パイプの先を眺めてデコメンドがにやつく。

彼の持つ獲物は硬質の固さがあり、まともに威力を持って打ち込まれれば喰らった相手はもんどり打つほどの痛みを受ける。

ましてそれを頭部に受ければ尚更だ。

さしもの闘将も膝を突いて無言になっていた。

「………」

「くく、どうやら形勢逆転のようだ」

「そうだな。へへっ、好き勝手やってくれた分今度はたっぷりお返しさせてもらうぜ」

舌を出して彼は武器を舐めた。

今から倍返しで打撃を加えて痛めつけるつもりのようだ。

「……ぃてぇ」

「ん…?」

ふと、闘将の口から僅かに声が漏れた。

「ぃってぇなぁ……」

「ほう、まだ意識があったのか」

「今ので意識を刈られないとは流石にやるな。だが」

おそらく彼は相当なダメージを喰らっており、立っているのもやっとなはずだ。

そう見て取った彼らは、余裕の様子を崩さない。

「くく、その状態で我ら2人を相手に何が出来るというのだ?」

「今からたっぷりリンチしてやるから覚悟しなぁ」

「………」

無言で俯いたままの彼に、2人は狡猾な笑みを深める。

抵抗する力ももう残ってはいない。

そう見なしたデコメンドは獲物の鉄パイプを振り上げると、再び闘将に向けて振り下ろした。

バシッ!という大きな音が響き渡る。

「……!」

だが、彼の目は驚愕に見開かれる事になった。

獲物が受け止められていたからだ。

大きな手によって完全に掴まれ、攻撃が防がれてしまった。

「な、なに……!」

「…よお、やってくれたじゃねえか」

本気のスイングをしっかりとした力で受け止められ、デコメンドは動揺する。

意識が朦朧としている者に出来る芸当ではない。

そして、闘将の瞳はやつれるどころか、むしろ活き活きとして活気づいている。

「ちょっと慢心しすぎてたぜ。さっきのはいい打ち込みだった」

「な、馬鹿な……!」

「後ろのおめえもな」

「ぐ……!」

振り返って笑みを向けられ、ボコラルスがひるむ。

先程背中を本気でサンドバッグにしたつもりだったが、彼の顔を見る限りは効いている様子があまりない。

今し方無言で俯いていたのは、ダメージで痛んだからというよりは、気持ちの切り替えという面が大きかったらしい。

それをボコラルスは闘将の表情から“理解”した。

「そういやてめえらは幹部だったな。あんまし舐めすぎるのは無礼だった」

意識を改める様に言うファーブニル。

先程の彼は三下を適当に片付ける程度のつもりで不用意に殴りに行っていた。

そこをカウンターで目くらましを受ける形となり、結果的に少々反撃を許してしまった。

その緩みを正す意味で、彼は笑みを浮かべる。

「悪かったな。手を抜いちまってよ」

「ぐ、、!ダ、ダメージの影響はないのか…?」

「そ、そんなわけあるか。あれだけラッシュを打ち込んだんだぞ。立ってるのもふらふらのはずだ」

「悪いけどよ。あのくらいじゃ俺は消耗しねえ」

にっ、と笑んで闘将が言う。

彼はその強靱な肉体と身体能力により、四天王の中でも防御力が非常に高い。

その分体力も多いため、多少の暴漢による打撃程度では大したダメージを負わないのだ。

デコメンド達にとっての連打や会心の一撃も、闘将にとってはそれほどの負荷とはならない。

2人がいくら幹部クラスとはいえ、四天王であるファーブニルと彼らの基本値はそれだけ異なっているのである。

「くそっ…!効いていないというのか!?」

「ば、化け物めえ……!」

「へへっ、んじゃそろそろ始めるか」

バシッ!と両の手を付き合わせて彼が告げた。

「さっきはすまなかった。今度はちょっと力入れてやらせてもらうぜ」

「や、やめろォ…!」

「あ、あきらめるなボコラルス!もう一度フラッシュを――!」

「もうそんな暇は与えねえッ!!」

次の瞬間、2人は視界に歪みを感じた。

目の前の視界がぶれるような、唐突な揺らぎ。

まるで時がゆっくりと流れるような感覚と共に、顔に何かが沈み込むのを彼らは認識した。

そして、そのまま意識が刈り取られた。

 

ドンッ!

 

ドゴォ!

 

強烈な打撃音が響き渡り、周囲に木霊する。

ファーブニルの傍にいたはずの2人の姿は一瞬にして奥の壁まで飛ばされた。

壁にひびが割れてめり込む形で、彼らは埋まってしまう。

闘将の80%パンチを顔面に食らったのだ。

あまりの速さ、重さに拳を目で捉える事すら叶わず――。

“一撃”で意識が刈り取られ、彼らはKOされていた。

 

「よし、これで片付いたな」

全ての幹部の戦闘不能を確認し、ファーブニルがにかっと笑った。

1人でまとめて幹部3人を相手にするも、彼は問題なく処理して倒してしまう。

彼は防御力が高いのと同様に攻撃力も高い。

その身の強靱さはただ固いだけでなく強力なパワーも秘めているからだ。

そして身体能力の高さに加え、彼には戦いに対するスピリットもあった。

そこそこの強さの集団が相手だろうと戦闘狂の彼にとっては全く無問題、むしろ燃える材料である。

より強い強者と戦いたいという渇望が彼のエネルギー源でもあるからだ。それでこそ、彼は闘将なのである。

「さあて、んじゃこいつらを回収して本部に戻るとすっか」

倒した幹部を眺め、彼は帰還準備に入る。

デコメンド達3人は全員ネオアルカディア本部へ連れ帰って捕虜とする予定だ。

彼らにはまだこれから色々と取り調べをしなければならない。

幹部格である彼らは、ギラテアイトの密売に関わる機密事項を当然知っているからだ。

ファーブニルが彼らを“殺さなかった”のもそれが理由である。

彼らから情報を聞き出して、ギラテアイトの密売流通ルートのさらなる解明、そしてギラテアイトの新たな情報等を知るのが目的だ。

 

「ん……何だこりゃ?」

伸びている幹部の回収をしようとした彼は、ふと眼下に異物を確認した。

円卓のデスクの上に、一台の小型モニターが置かれている。

一見すると会議室に常備されている会議用の端末のようだ。

その端末は電源が切れているようだが、一台だけそこに置かれているのが彼には不自然に感じられた。

「ただの小型モニターみてえだが……くせえな」

ファーブニルはこのモニターに何かの不信感を抱く。

野生の鼻が利く彼は、見逃しがちなアイテム等も察知して見つける事が出来る。

どうやらこの“ただの小型端末”にも何かの臭いを感じたらしい。

「よし、これもついでに持って帰るとすっか」

そうと決めた彼は端末を小脇に抱えて持ち帰る事にした。

そして両肩と背中に次々と気絶した幹部達をしょっていく。

彼のがたいであれば、このように重量物を抱えてもある程度平気で稼働する事が可能だ。

3人を一度に乗せ抱えて、彼は転送装置を起動させた。

そして、数秒後に彼の身体は本部へと転送されていった。

これまで投稿された話で好きな話はどれですか?※アンケートの結果で今後の話の展開やキャラの偏りなどに影響が出る事はありません。あくまで皆さんの感想を知りたいために実施するアンケートですので^_^

  • 第1章:稀少資源ギラテアイトを奪取せよ
  • 第2章:敵本拠地を急襲せよ
  • 第3章:エネルゲン水晶発掘所を攻略せよ
  • 第4章:水没した図書館を攻略せよ
  • 第5章:スカイビルでの戦い
  • 第6章:四天王VS暴雪月花
  • その他個別に好きな箇所があればこちらへ
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