荒野の一角に物々しい工場があった。
澄んだ夜の空気もその周辺だけは排気ガスで淀んでおり、環境に悪影響を及ぼしている。
施設から放たれる電灯の明かりが闇夜を消し去るように輝いていた。
屋内では、大勢の採掘員がツルハシで土砂を掘っている。
地中深くに埋まっている資源を掘り出す作業を彼らは皆行っているのだ。
ここはエネルゲン水晶発掘所。
レプリロイド達にとってのエネルギー源となる資源を発掘する施設である。
「はぁはぁ」
「ぜえぜえ」
「ひーひー」
苦しそうに息を吐いて何人かの労働者がツルハシを置いた。
既に丸3日間働きづめで休憩も一度も取らせてもらえていない。
レプリロイドである彼らは人間と比べて体力の消耗度合いが少ないため、何十時間と続けて労働をする事が可能なためだ。
しかし、そうはいってもエネルギーが無限に続くわけではない。
途中で専用器具と接続してエネルギーをチャージする必要がある。
そうしなければエネルギー不足で機能停止に陥ってしまうのである。
「つ、つかれた……」
作業を止めた労働者は、後方にあるエネルゲンチャージャーに向かった。
装置のコード類を手に取り、自分の身体の腕にある端子蓋を開ける。
その部位には接続端子があり、チャージャーと接続出来るようになっていた。
コードを自分の身体に繋ぐと、彼らは装置を起動させてチャージを開始する。
ブウウウン
装置が立ち上がり、充填がスタートした。
ようやく“一息”つき、労働者達は息を吐く。
「くあ~~~生き返るぜえ」
ほとばしる汗をぬぐって彼らは天井を仰いだ。
壁面には岩肌が続き、途中からは工場のコンクリートが覆っている。
ここは鉱石を内包した岩肌が豊富な場所だった。
そこに目を付けたある企業が一角に工場を建設し、資源の採掘を開始したのが半年前の事である。
ここは表向きはエネルゲン水晶の採掘所という事になっている。
しかし、実際はエネルゲン水晶など掘ってはいない。
ここで採掘されているのは稀少資源“ギラテアイト”であった。
「おい!!いつまで休んでいる!!」
「ひっ!?」
チャージ中の労働者らに向けて、不意に怒声が飛んだ。
彼らの視界の先には大柄な男が機嫌の悪そうな顔で立っている。
「チャージに10分もいらないだろう!早く持ち場に戻れ!!」
「は、はいっ!」
慌てて返事をし、全員が装置との接続を切ってコードを外した。
まだ数分しかチャージが出来ていない。
これでは微力ほどしか回復が完了しなかった。
だが、このチーフはそれ以上のエネルギー補給を許さない。
最低限の回復でより長時間の労働を強いているのだ。
「ぐ、ま、まだ全然エネルギーが足りてねえぞ……」
「仕方ないよ、チーフに逆らったら待っているのは死だもの」
「くそっ、何で毎日毎日あたい達がこんな目に……!」
渋々持ち場に戻り、彼らは嘆き節を言い合う。
もちろんチーフには聞こえない場所でだ。
「もう何日になる?俺達がここで強制労働させられ始めてから…」
「3ヶ月、4ヶ月……軽く半年は超えてるわよ!!」
「もう気力も体力も限界だ…!!いくらレプリロイドとはいえエネルギーは無尽蔵じゃねえんだぞ!!」
先程のようにチャージ休息もろくに取らせてもらえない状態がこの数ヶ月間続いていた。
本当は逆らって反旗をひるがえしたいが、それは既に2度行っている。
しかし、チーフ率いる“支配部隊”が立ちはだかり、反逆者達を鎮圧したのだ。
部下のパンテオン兵達を駆使して抑え込み、さらに抜けた強さを持つチーフ、クロウペリオンが幾人もの労働者達を屠ってきた。
この半年の間に労働者達の人数は元いた数の半分にまで減っていた。
「このままじゃ死ぬまで働かされちまう」
「遅かれ早かれそうなるのは避けられないだろうな…」
「もう嫌だよぉ……」
残った者達の精神は既にかなり疲弊していた。
彼らは元はこの付近の荒野に集落を作って住んでいた住人である。
ここはネオアルカディアからは離れた郊外にあり、田舎だが平穏で暮らしやすい地区だった。
しかしある日、突然クロウペリオン率いる部隊が現われ、彼らの集落を襲ったのだ。
襲撃により一気に彼らの住処は無茶苦茶に壊された。
抵抗もむなしく、少なくない者達が餌食となって死んだ。
数人を殺した敵は、残った者達に向けて言った。
殺されたくなければ我々に従えと。
そして彼らはこの工場へと連行され、そこで強制労働させられる事になったのだ。
「あれからずっとここで働かされてきた……もうこんな生活を続けたくない」
「これ以上酷使されたらもう精神の限界だ。。。」
「ねえ、このまま殺されるなら、いっそ死んじゃわないかい?」
「「「「えっ!?」」」」
1人の女性労働者が彼らにこう告げた。
「どうせ逆らっても鎮圧されちまう……。この先ずっと死ぬまで働かされるくらいなら、自ら死を選ぶ方が――」
「ば、馬鹿野郎!希望を捨てるな…!!」
「そ、そうだよルチャブ…!死ぬなんて言わないで」
「そうだぞ、自死なんて愚かな真似はやめろ。このまま耐えていけば、いつかどこかから救世主が来るかもしれない。それを信じて耐えるんだ」
「救世主?誰だいそりゃ……」
冷めたような目で彼女はうんざりした。
「そんな都合のいい存在なんてこの世にいやしないよ。私にゃ神に対する信仰心なんてものはないんでね」
「……だが、そうでも思わねえとやってられねえのさ」
「皆、あきらめないで。希望を持とうよ……」
「お、おい…!!口を閉じろ!チーフがこっちに来るぞ」
1人の労働者が声を潜めて皆に言った。
奥に居たチーフ、クロウペリオンがしかめっ面でこちらへと歩いてくる。
彼らは慌てて黙り、採掘作業に集中した。
「貴様ら、今何を話していた」
「!? い、いえ、別に何も――」
「しらばっくれるな!!!」
チーフが激高して怒鳴り散らした。
労働者達が気圧されて萎縮する。
「どうやらまた“反逆”を企てているようだな」
「え!?いや、そんな事は話していません…!」
「嘘をついても無駄だ。このクロウペリオン様の地獄耳は誤魔化せん」
くっく、と彼は愉悦を帯びた顔を向けた。
そして、爪を“一振り”した。
ザシュリ!!
「きゃああっ!」
目の前に居た女性労働者が切り裂かれた。
鋭利な刃が容赦なく彼女の胴体をえぐったのだ。
「マ、マリン!?」
「ひ、ひぃい…!!」
彼女の身体は深々と刻み込まれ、一撃で致命傷を負った。
倒れたそのまま意識がシャットダウンし、事切れてしまった。
まさに数秒の出来事。
塵を払うように屠られた仲間に、他の者達は戦慄した。
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第1章:稀少資源ギラテアイトを奪取せよ
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第2章:敵本拠地を急襲せよ
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第3章:エネルゲン水晶発掘所を攻略せよ
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第4章:水没した図書館を攻略せよ
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第5章:スカイビルでの戦い
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第6章:四天王VS暴雪月花
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その他個別に好きな箇所があればこちらへ