「んじゃあどうやってギラなんちゃらエネルギーを探し出すんだ?」
それじゃ地区内のどこにあるか細かな特定が出来ないじゃねーか、とファーブニルがハルピュイアに問う。
「ギラなんちゃらではなくギラテアイトだ。とりあえず現状ではまだ大まかな場所しかわかっていないが、いくつかめぼしい地点はしぼられている」
「我ら残影軍団が隠密を活かして探りを入れたのでな。既に4つの候補地を見つけている」
「フフ、さすがファントムの残影軍団ね。さぼりの戦闘馬鹿と違って役に立つわ」
「何だと!おら…!」
妖将の軽口に今度はファーブニルがつっかかる。
だが当の彼女は涼しい顔をして笑顔で言った。
「じゃ、あとはその4つの候補地を手分けして探せばいいって寸法ね」
「うむ、その通りでござる」
「ただし候補地におけるエネルギー探索においては、配下の部下には任せず我ら四天王が直々に向かうのがいいだろう」
「あん?何でだよ。そのままエネルギーも部下に探させればいいじゃねえか」
抗議を華麗にスルーされた闘将がばつが悪そうに尋ねる。
確かに探索なら頭数が多い方がいいし彼の言う事は理にかなっていた。
「普通に考えれば多くの者達を投入して探した方がいい。だが今回の目的は“特殊エネルギー”の採集だ。このエネルギーは特定の指定レプリロイド限定に効能があるという特性から希少価値が非常に高い」
「故に他の敵対勢力が狙っている可能性があるのでな。部下に任せるのは少々心許ない部分がある」
隠将の言う敵対勢力とは、ネオアルカディア外部の未開の土地に存在している勢力の事である。
ここネオアルカディアは人間とレプリロイドが共存繁栄し、お互いが協力して平和に生活している。
だが都市の“外”はそうではない。
ネオアルカディアのように統治が行き届いた高度な都市ならば人間・レプリロイドの間に秩序が保たれているが、外の世界にはそのような常識が通用しない荒れた地域が未だ多数点在している。秩序が保たれていない場所に住む存在は、共存繁栄を掲げるネオアルカディアからすれば敵対勢力と言える。
今回の対象地区であるライズ地区もその例に漏れず治安の悪い場所だった。
「まあ粗悪な地区、というだけならば何も我らが直々に出向く必要はない。部下のボス級レプリロイドで十分対処できるだろう。だが、こと特殊エネルギーに関しては事情が異なる」
ハルピュイアは指し棒を再び電子画面に向けた。
「これら4つの候補地のどこかにはおそらくエネルギーが“貯蔵されている”はずだ」
「貯蔵?地中に資源として埋まっている、ではなくて?」
「左様。我ら残影軍団の調査によるとライズ地区の者によってギラテアイトが内密に産出され、地下の機密施設に保持して管理下に置かれているとの情報が複数入ってきているでござる」
途中のフレーズに違和感を覚えたレヴィアタンにファントムが説明する。
どうやらライズ地区に巣くう勢力が特殊エネルギーを内密に掘り出しどこかに貯蔵している事は確かなようだ。
ちなみに[内密に]というのはネオアルカディアにエネルギー採掘の許可を申請していないからである。
ライズ地区はネオアルカディアの郊外にある地区だが、都市区域内であり、ネオアルカディアの法の管理下にある。
そのため無許可で特定稀少資源の密漁は法により禁じられていた。しかし遠方の郊外であるが故、ネオアルカディアの管理が行き届いておらず、管制当局の監視の目をすり抜けて採掘されてしまっていたらしい。
「あー、そういやここの地区はまだ謎が多いんだったよな」
「ああ。使途が不透明な施設がいくつかある地区でな。こちらの管理の目が薄い故に施設内で何をしているか把握できていない」
「ふぅん、もしかしたら何か危ない実験や研究をしているかもしれないってわけね」
「我らの調べた限り、その可能性は一定数あるとみて間違いないだろう。故に部下の手に任せておくわけにはいくまい」
現在この地区では大量破壊兵器開発などの危険な企みを企てている事が危惧されていた。そして、そのような重要機密案件を執り行っているという事は、敵対勢力の中でも上官が関わっている可能性が高い。
「なるほど、親玉に強えー奴がいるってわけか。んじゃあ部下にはやらせられねえな」
「確かにそれならスタグロフやカムベアス達じゃ心許ないわ。あちらにある程度レベルの高い奴が控えてるなら私が出ないと駄目ね」
幹部格の者が施設に構えているとなると、配下のボス級レプリクラスではおそらく逆に倒されてしまうだろう。
そのため、ネオアルカディア四天王が直々に候補地に出向いてミッションを行う必要があるのだ。彼ら四天は他のレプリロイド達とは一線を画す存在。知能・戦闘力・美しさ・索敵能力など特別に優れたパラメータを保持している。配下のボス格レプリロイド達と比べてもそれら総合能力の高さは群を抜いていた。特別な4人の精鋭達だからこそ彼らはネオアルカディア四天王と呼ばれ、時に闘い、時に統治し、時には笑顔を民衆に振りまき、人民から慕われている。今回は彼らが直々に出向いた上で、目的物の採集、場合によっては敵勢力との戦闘・奪取が必要になる事案だ。
「確定でござるな。では我ら4人がそれぞれの候補地に出向くとしよう」
「ええ、じゃあ今からそれぞれどこの“施設”に向かうか決めましょ」
「怪しい施設の数は調度キリよく4つらしいじゃねえか。どんな場所だ?」
「地下研究所・紫硝子の城・ライズ空港・陽光の森だ」
四人はしばしどの場所に行きたいか考えた。
数刻の後、一番早く手を上げたのは紅一点のレヴィアタンだった。
「あ、じゃあ私、紫硝子の城で!綺麗そうだし」
「はっ、綺麗かどうかなんてミッションで関係ねえだろ」
「何よ、どうせなら景色も楽しみたいじゃない」
「(そういうとこがスイーツだっての)んじゃ俺は陽光の森にするぜ。明るくて熱いとこのがいい。ジメジメしたとこは嫌えだからな」
「あんただってシチュエーション重視じゃない」
「うるせえな、気分のノリに関わるんだよ」
「では我は地下研究所に出向くとするか。ジメジメした所は落ち着くし過ごしやすい」
「「ファントム…………」」
隠将の発言に2将が何ともいえない様子で見つめた。
「な、なんじゃ、お主ら。ジメジメした所が好きで悪いか……?悪いのか……!?」
「う、ううん、別に。いいんじゃないかしら」
「そ、そうだよな、ファントムらしくていいと思うぜ」
「主ら………」
「ファントム、そう気落ちするな。気持ちはよくわかる」
肩を落とす忍男の肩にすかさず手を回す賢将ハルピュイア。彼も自らの言動(主にキザ発言)で闘将・妖将達には幾度もいじられているためシンパシーを感じるのだ。
「さて……俺は、残ったライズ空港に行くとしよう」
やれやれと息を吐き、ハルピュイアが最後の候補地を選んだ。
これでそれぞれの行き先が決定したため、早速彼らは転送装置へと向かう。
「じゃ、さくっと行って特殊エネルギーを回収してくるとしますか」
「俺は強え奴とやれるのが楽しみだぜ」
「お主は戦闘の事しか頭にないのでござるか」
「まあファーブニルだからな」
「そりゃ戦闘馬鹿ですものw」
「んだと!うるせえぞレヴィ……!」
ちょっと調子に乗ってる軽口に応戦しようとした闘将の言葉が途中で遮られる。
転送装置の転送が開始されたためだ。
4人の将達はそれぞれの行き先へ向けて飛び立っていった。
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第1章:稀少資源ギラテアイトを奪取せよ
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第2章:敵本拠地を急襲せよ
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第3章:エネルゲン水晶発掘所を攻略せよ
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第4章:水没した図書館を攻略せよ
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第5章:スカイビルでの戦い
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第6章:四天王VS暴雪月花
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その他個別に好きな箇所があればこちらへ