四天王の重要任務   作:プレイズ

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第4章:水没した図書館を攻略せよ
水中花①


前回ファントムの活躍により、最初のミッション地であるエネルゲン水晶採掘場が攻略された。

あの採掘所では表向きはエネルゲン水晶を採掘していたが、その実体は稀少資源ギラテアイトを秘密裏に掘り出す工場だったのだ。

労働員達は強制的に連れ込まれ、そこで過酷な労働を強いられていた。

ミュートスレプリロイドであるクロウペリオン率いる実行部隊が彼らを拉致・強制労働させ、ギラテアイト発掘を行わせていたのである。

その事実はこれまで完全に隠蔽されており、外部に漏れる事はなかった。

彼らが元々住んでいたのは小さな集落であり、そこの全員が拉致されるか殺されたため、外部にSOSを伝える事が出来なかった。

連行された施設内で彼らは当初反抗したが、強力な力を持つボス、クロウペリオンに粛正されてしまい、全て鎮圧されてしまった。

そのため、これまで過酷な強制労働に耐え忍ぶしかなかったのだ。

だが、あの日ファントムが採掘場へやって来た事で、状況が一変した。

ネオアルカディア四天王の1人である凄腕の実力者によって、敵の実行部隊は全滅させられたのだ。

そして、つらい日々に耐えてきた労働者達は皆晴れて解放されたのである。

 

+++++++

 

「流石ファントム。首尾よくさくっと解決してきたみたいね」

「ま、おめえにかかれば朝飯前って感じか」

「いや、そうでもないでござるよ。少々彼らに助けられた部分もある」

妖将・闘将の声に隠将が若干否定した。

彼らに助けられた、とはルチャブ達労働者の事である。

「それに彼らは採掘場から産出されたギラテアイトの貯蔵場所も後で教えてくれてな。おかげで手間をかけずに回収が出来た」

「お前の働きのおかげで今回一定量のギラテアイトが手に入った。よくやってくれたなファントム」

ハルピュイアがファントムの成果を評価した。

「だがそのブツの量は微量だったみてえだな。ずっと工場でブツを採掘してたんならもっとあるだろうと思ってたんだが」

「おそらく長期間採掘し続けたために、徐々に地中にある堆積量が減っていったのだろう。採掘を始めた当初はもっと産出量は多かったはずだ」

「そうみたいね。帰還した子達の証言によると、最初の頃はもっとたくさん資源が取れたらしいわ」

あの場所はクロウペリオン達が目をつけた採掘ポイントであり、その目論見通り地中にギラテアイトが一定量埋まっていた。

しかしその周辺を長期間掘り続ければ、当然資源は枯渇してくる。

労働者達から聴取した話によれば、もう地中の資源残存量は残り少なくなっていたようだ。

産出量が減った事で実行部隊は業を煮やし、より労働者達を糾弾した。

「それでさらに上からの圧力が厳しくなり、現場が紛糾するギリギリの状況だったらしいな」

「あと1日遅れていたらヤケになった上官が労働者達を皆殺しにしていたかもしれないわね」

「それを考えりゃ、助けられた奴らにとっちゃお前は救世主かもな」

へへっ、と闘将が快活な笑みを隠将に向ける。

「救世主などと、そんなたいそれたものではござらん」

「ふふ、相変わらず謙遜しいなんだから」

「まったくだぜ。俺だったらぜってー喜ばしいけどよー!」

「お前はもう少し謙遜する事を覚えろ」

「そうよ。あんたは調子に乗りすぎ。もっとわきまえなさい」

賢将・妖将の2人からツッコミされ、ファーブニルがずっこけそうになる。

「けっ、うるせえ…!俺だってガキじゃねえしクールになる時はクールに決めらァ」

「あーはいはい」

「ふ、まあよせ。とにかく先方の役目が果たせてよかったでござるよ」

いつものたわいない喧嘩に隠将が苦笑しつつも頷く。

とりあえずこれで最初のミッション地点は見事クリアしたわけだ。

次は第2ミッション地点である。

「さて、早速だが次のミッションに移ろうと思う」

「今度はどんな場所なんだ?」

「解析の結果、判明したのはこちらだ」

ハルピュイアが指し棒を持って新たな探索地点を指し示す。

そこには水の中に遺跡のような建物が映っていた。

「ここは?」

「どうやら旧時代の図書館の遺跡のようだ」

「図書館?それにしちゃ随分と水浸しじゃねえか」

「昔は陸上にあったのだろうが、歴史を重ねる中で水没してしまったらしい」

「ほう、それで水中に沈んだ形になっているわけか」

ここはかなり古い時代に作られた施設と思われる。

道中には本棚が随所にあり、中に書物が置かれている事から、図書館として使われていた事は間違いないだろう。

「へえ、水没した図書館なんて珍しわね。なら、今回の担い手は決まったようなものだわ」

水で溢れた映像を見て、妖将が微笑んだ。

水中のミッションとくれば彼女の出番である。

「レヴィアタン、やはりお前が行くか」

「うん、水の中なら私に任せなさい」

「ちぇっ、俺が行きてえところだが、水中は流石に動きにきいからな」

闘将も行きたそうにしているが、水に潜るとなると彼からすれば少々やりにくい。

ここは水中行動を得意としている妖将に任せるのが最善と言えた。

「そうか、ならば今回はレヴィに任せるとしよう」

「この図書館には様々な有用データが保管されているらしい。今回はそのデータ回収がミッションになる」

「もしかしたら敵幹部に関する情報が手に入るかもしれねーな」

「わかったわ、じゃあさっそく行ってくるわね」

一任されたレヴィアタンは早速現地に向けて転送装置で向かう事にした。

 

+++++++

 

彼女が舞い降りたのは全体の半分が水没した遺跡。

水の中に浸水した本棚がどこかしこに点在している。

既に本来の施設の機能は失われているように見えた。

ここは旧時代に作られた図書館の遺跡と思われる。

時代の変遷と共に徐々に地盤が沈下し、今のように水の中に水没してしまったようだ。

「何だかもったいないわね。まだまだ使おうと思えば使えそうだけど」

水没した図書館を見渡して彼女は言った。

確かに古い年代物の雰囲気は感じるが、整備すればまだ使えそうに見えなくもない。

「それに、思ったよりも水が綺麗。もっと水質が悪いと思っていたわ」

水面に手を入れた彼女はその水の綺麗さにいささか驚いた。

古い水没遺跡だけに、水が濁っていたりするのではないかと思っていたからだ。

「よかった、汚い水の中を泳いでいくのは好きじゃないもの」

綺麗好きの彼女は懸念していた不安がなくなり気をよくした。

これなら水質環境に不満を抱くことなくミッションに臨めそうだ。

早速彼女は遺跡内を進み始める。

 

「!」

進み始めて早々に、天井から敵が現われた。

2体の雑魚敵が彼女へと飛んで向かってくる。

だが、彼女は落ち着いてフロストジャベリンを薙いだ。

一振りで雑魚敵は倒される。

「やっぱり敵さんもいるわよね」

綺麗な図書館だが、当然敵の実行支配下にある施設なため敵の配下レプリロイドが存在している。

予め理解していたものの、ふうと彼女はため息をついた。

「折角の綺麗な図書館なのに、お邪魔な連中だこと」

どうせならこの珍しい図書館の景観をゆっくり見て回りたかったのだが、これではそういうわけにもいかない。

少々不満を顔に出しつつ、彼女は敵に注意を払いながら図書館の奥へと進んでいく。

 

 

 

しばらく進むと、完全に水没している箇所にさしかかった。

水がかなりの深さにまで達しており、普通に歩いて進む事は不可能だ。

だが彼女は躊躇する事なく水に入っていく。

水中行動が得意なレヴィアタンは水の中の移動を苦にしない。

「さあ、行くわよ」

ヘッドパーツにブーストがかかり、気泡が放出される。

頭部に付いたヘッドパーツがヒレの役割を果たしているのだ。

彼女はその力で可動補助を得ると、巧みに水をかき分けて泳いでいく。

 

「あれは何かしら」

しばらく進むと、底の方に本棚がいくつか存在しているのが見えた。

やはり水没した事で施設の設備もろとも水底に沈んでしまったようだ。

レヴィアタンはそこまで潜っていく。

本棚の所まで来ると、彼女は中がどうなっているか見てみた。

当然ながら、棚の中には書物が入っている。

しかし水の中に浸水している影響で完全に紙がやられてしまい、ボロボロになっていた。

「残念、これじゃもう本としては使えないわ」

折角の貴重な書物がこれでは閲覧できない。

水没した図書館は幻想的ではあるが、本達にとっては紙に毒でしかないのだ。

ため息をついて彼女は本棚に本を戻す。

この様子では水の中の書物は皆同様になっている可能性が高い。

諦めて彼女は先へ行こうとするが、その時ふと彼女の目に一冊の本が止まった。

「あら、これは……?」

本にクリアケースのようなカバーがかけられており、その本だけ他の物とは装丁が違う。

手に取ってみると、少々分厚いカバーのようだ。

彼女はその本の中を開けて中を見てみた。

「……!」

そこには光り輝く物があった。

きらきらとした石がケースに収まる形で入っていたのだ。

一瞬、もしやギラテアイトかと思ったが、どうやら違うらしい。

ギラテアイトであれば彼女が持つ専用レーダーが反応するはずだ。

しかしその手の反応は見られない。

「もしかして、これは何かの宝石かしら」

見たところ明らかに普通の石とは異なる。

魅惑的な色彩を誇るそれは、おそらく宝石の類いと思われた。

それを理解した彼女は目を輝かせる。

「うわぁ……綺麗」

黄色い鮮やかな瞬きを彼女は恍惚に眺めた。

女性からすればこの手の宝石類には興味をそそられる。

どうやらこの図書館は書籍だけではなく、宝石も紛れて貯蔵されているらしい。

これまで投稿された話で好きな話はどれですか?※アンケートの結果で今後の話の展開やキャラの偏りなどに影響が出る事はありません。あくまで皆さんの感想を知りたいために実施するアンケートですので^_^

  • 第1章:稀少資源ギラテアイトを奪取せよ
  • 第2章:敵本拠地を急襲せよ
  • 第3章:エネルゲン水晶発掘所を攻略せよ
  • 第4章:水没した図書館を攻略せよ
  • 第5章:スカイビルでの戦い
  • 第6章:四天王VS暴雪月花
  • その他個別に好きな箇所があればこちらへ

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