四天王の重要任務   作:プレイズ

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新たなるエネルギー③

室内に激しい衝撃音が鳴り響いた。

参加者達に動揺が走る。

見ると奥の壁には大きな穴が開いていた。

「何事だ!」

レクトル・ディンマの副会長が机を叩いて叫んだ。

いったい何が起きたというのか。

会議室の入り口ドアは特に壊れた様子はない。

そして部屋の窓も一枚も割れてはいなかった。

つまり外部からの攻撃ではないということだ。

「くくく、ふざけた会議だったな」

参加者達の中から1人の男が笑いながら前に進み出た。

その手にはショットガンが握られている。

どうやらこの男が銃弾を撃ったらしい。

「ムラトゥス!お前何を……!」

「ステアラー会長。あんたには失望したぜ」

驚きに目を見張るステアラーに男は侮蔑の意志を向けた。

彼はレクトル・ディンマの組員だった。

「しっかり交渉決裂させると思ってたんだがなあ。まさかネオアルカディアの上層部と仲良く手を組むとは。こいつらがこれまで俺達をどれだけ迫害してきたかわかっているのか?」

「何を言うんだ……!それは過去の話だ!現体制は我々レクトルを蔑ろにはしない。その姿勢を感じたからこそ私はこの会議に出席したし、今回の契約を結んだのだ」

銃を構えるムラトゥスに向けてステアラーが憤る。

だが彼が納得する様子はない。

「現体制は生まれ変わっただと?それでイレギュラー化して死んでいった俺達同胞が報われるとでも?」

憤怒の表情でムラトゥスが言う。

「それでこれまでの所業をチャラにしてくださいってか?ふざけるな!!!」

 

ドオン!!

 

再びランチャーからエネルギー弾が放たれた。

それは真っ直ぐにハルピュイアの元へと飛んだ。

だが彼はソニックブレードを薙いで弾を弾く。

起動を変えられたエネルギー弾が壁に当たり弾けた。

再び壁に大穴が開く。

「褒められたやり方ではないな」

強行の刃を向けられた賢将は、だが取り乱す事なく言葉を向けた。

「このような手荒なやり方ではあなたはイレギュラーと変わらん。武力を持って言う事をきかせようというのは到底賛同出来ない手段だ」

「うるさいぞ!お前はネオアルカディアの現トップだろう?ならば俺達に過去してきた数々の弾圧行為の責任を負うべきだ」

「確かに過去の体制があなた方に取ってきた対応は酷いもの。だからこそ、それはこれから我々が償わせていただきたい」

ハルピュイアはムラトゥスを非難するだけではなく、一定の理解を示した。

過去の体制……バイルが都市を牛耳って統治していた時期はもちろんの事、それ以前のコピーエックスが指揮を取っていた時も、レクトルに対しては真っ当な人権が認められていなかった。

一般的なエネルギー源が身体に適合しない彼らは通常のレプリロイドの範疇から外れた"日陰者"として忌み嫌われてきたのだ。

本来ユートピアであるはずのネオアルカディアから彼らは長年迫害されてきた。

 

当時ハルピュイアは幹部としてその統治に関わっていた。彼自身もその迫害を容認してきた事実がある。

以前の彼は力なき者を格下と侮り蔑視してきた。レクトルに対しても、エネルギーをろくに身体に適応できない取るに足らない者達として見下していた。

だが同じく見下していたゼロとの度重なる戦いの中で、彼の心境にも徐々に変化があった。

侮っていたゼロに幾度もしてやられて敗北を喫した事で、彼は簡単に他者を蔑む事を改めるようになっていった。

そして、それは一度死んで再修復された後により顕著になった。

かつての記憶を蓄積して保持したメモリーチップはちゃんと生きており、それを元に彼は復活を果たしている。

記憶のチップをロードした時、彼は過去の自身の差別意識を悔い改める事になった。

その償いから、彼はこうしてレクトル救済の会議を開催して自身も参加しているのである。

「ちぃ……わかったような口をききやがって…!」

気勢を外されたムラトゥスは歯ぎしりするように叫んだ。

こちらの実力行使・非難に対しては向こうがもっと見下して高圧的に出てくるものだと考えていたからだ。

だが同時に理解も示され、怒りの矛を突き刺すやり場を失ってしまう。

「そうです、私からも謝罪させてください」

それまで黙っていたシエルが立ち上がった。

彼女は男が銃弾を放った行為を見ても取り乱したりせず、冷静に黙って見ていた。

これまでにレジスタンスとして幾度も危険と隣り合わせで暮らしてきた彼女からすれば、銃弾が飛び交う光景は日常だったからである。

「これまでにネオアルカディアがあなた達レクトル・ディンマにとってきた扱いは許されるものではありません。こちらが今更態度を改めてもそう簡単には納得できなくて当然でしょう」

ですが、とシエルは続ける。

「私達はもうあなた達を迫害したりしない。ここでシステマ・シエルの開発者である私と最高権限者のハルピュイアが約束します」

ムラトゥスの目を真っ直ぐに見つめてシエルが意志を伝える。

ネオアルカディアの中枢を担う2人に誠意を示され、彼は動揺を露わにした。

しかし彼の心には尚憎悪が燻っていた。

ムラトゥスからすれば、言葉づらだけで理解を示されても返って半端にあしらわれているように感じてしまう。

それは返って彼の態度を頑なにさせてしまった。

「あー、うぜえ。どれだけ口で都合のいい事を言おうと所詮はネオアルカディアの手先連中。とりあってられねえなあ!」

彼は右手をすっと頭上に掲げた。

そしてパチンと指を鳴らす。

「さあ頼むぜ、助っ人の軍勢さんよお」

 

バリイン!!

 

バリイン!!

 

バリイイイン!!!

 

「!?」

「な、何だ…!」

「う、うわああああ!」

いきなり外の窓ガラスが割れた。

それも1つではなく全ての窓が。

何者かが外から砲撃を打ち込んだのだ。

「これは…!まさか襲撃か……!?」

「こ、この会議の情報が漏れていたのか…!?」

「へっへっへ」

パニックになる参加者を尻目にムラトゥスが笑う。

「参加者である俺には今日この場にネオアルカディアのトップが来る事がわかってたからなあ。“始末”するにはまさに絶好の機会ってわけだ。適任な連中に協力を依頼させてもらったぜ」

「お前、まさか」

「ムラトゥス、貴様……!」

彼は不敵な表情でレクトル・ディンマの組員達を嘲笑う。

今日このスカイビルでトップ会談が開かれる事を知っていた彼は、ネオアルカディア上層部を殺すために予め別組織に襲撃の依頼を打診していたのだ。

まさか内部の者が内通して襲撃者に依頼をかけていたとは思わず、レクトルの面々は面食らった。

「ムラトゥス、何故こんな事を……!」

「さっき言った通りだ。あんたら上が許してもなあ、俺は過去に俺達を迫害したこいつらネオアルカディアを許さねえ。そして今更こいつらが謝罪した所で絶対に許さねえ。この悪辣極まる連中に対しては――ただ“抹殺”あるのみだ」

困惑と憤りが混じったステアラーの非難に彼は悪びれた様子もなく答えた。

既に彼は復讐魔と化しており、元からネオアルカディアと和解などするつもりがない。

所属しているレクトル・ディンマがその協議に臨むなど彼は到底認められるわけもなく、ぶち壊しにするための襲撃を企てたのだ。彼単体では雀の涙で無力に等しいため、相応の力を持った組織に依頼する形で。

 

ドオン!

 

ドオン!

 

「うわあああ!」

割れた窓の奥からさらに砲弾が打ち込まれる。

会議室の壁や床が着弾の衝撃で弾けた。

直撃すれば大怪我、もしくは命を落とすレベルの危険な攻撃だ。

「ムラトゥス!貴様我々まで巻き込む気か…!」

「あんたらはネオアルカディアと和議を結ぶなんざふぬけた事しやがったからよお。だから奴らと同罪さ。ここでまとめて死んでもらう」

「な、何だとお…!?」

 

「クククク、獲物はこいつらか」

窓の外から声が向けられる。

レクトルの参加者達がそちらを見ると、大きな羽を持ったレプリロイドが空中に浮いた状態でこちらを凝視していた。さらにその後ろには複数の配下と思しき飛行型レプリロイド達が同じく宙に浮いて控えている。

「あ、あの連中は何だ……!」

「俺が呼んだ助っ人さんさあ」

「我は暴雪月花の1人ライオヌル様に仕える1番部下、飛翔の貴公子ケツァールだ」

敵集団の中心に陣取っている男が口を開いた。

緑と赤のコントラストが鮮やかな体躯が空に栄えている。

鳥形のレプリロイドである彼は、その見事な羽を優雅に羽ばたかせてホバリングをしている。

「暴雪月花……ライオヌルだと?」

男が呟いた単語にハルピュイアが眉根を寄せた。

その名には覚えがあるからだ。

以前ファーブニルが持ち帰って来たデータ端末に保存されていた敵幹部の1人と一致する。

「ククク、そこにいる男は賢将ハルピュイアだな?俺の脳内メモリーにあるチップがそう認識している」

「そうだ。それよりも、貴様今暴雪月花のライオヌルに仕えていると言ったか」

「いかにも。我が崇高なる暴君ライオヌル様は我が主。それがどうした?」

「今我々はお前達の組織をマークしていてな。調度いい、貴様を捕らえて情報を引き出してやろう」

ケツァールの素性を把握したハルピュイアが不敵に笑む。

彼はケツァールをここで倒すのではなく捕虜として捕らえ、情報を吐かせるつもりにしたようだ。

「ハッハッハ!片腹痛し!この私を捕らえようなど!」

だが賢将の言い様に対して彼は嘲笑する。

「我はかのライオヌル様の一番部下ぞ?その私を捕らえる?クヒャーッハッハッ!」

彼はハルピュイアに向けて高らかに嘲笑う。

自分の戦闘力に対し、かなりの自信があるようだ。

「なら試してみるか?」

「いいぞよ?好きにかかってくるがよい――ぐあっ!?」

突然、ケツァールの台詞が遮られた。

同時に彼から呻き声があがる。

見ると彼の左上腕部から煙が上がっていた。

どうやらケツァールの真横から誰かが彼を攻撃したらしい。

「な、何奴……!」

「随分と主に対して無礼な物言いをしてくれたな」

ケツァールから100m程離れた宙に、1体のレプリロイドが鎮座していた。

彼と同じく飛行形態で空に滞空している。

「私は四天王ハルピュイア様のご命令でこのビルを警護しているアステファルコンだ。主に代わって貴様を粛正する」

これまで投稿された話で好きな話はどれですか?※アンケートの結果で今後の話の展開やキャラの偏りなどに影響が出る事はありません。あくまで皆さんの感想を知りたいために実施するアンケートですので^_^

  • 第1章:稀少資源ギラテアイトを奪取せよ
  • 第2章:敵本拠地を急襲せよ
  • 第3章:エネルゲン水晶発掘所を攻略せよ
  • 第4章:水没した図書館を攻略せよ
  • 第5章:スカイビルでの戦い
  • 第6章:四天王VS暴雪月花
  • その他個別に好きな箇所があればこちらへ
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