「ったくよ。弱すぎるぜこいつら」
手応えの無さにファーブニルがため息をついた。
つい今し方、彼はここに着いた所なのだが、到着して早々に彼は2人の敵を見つけていた。
しかし戦力差は著しく、5秒もかからずに彼はそれらを片付けてしまった。
「つまんねえ。雑魚じゃ歯応えがねえぜ」
彼は戦闘好きだが、それは強者相手の戦いだ。
弱い者とのバトルは彼の感性を揺さぶらない。
快晴が広がる青空の下、闘将ファーブニルは前方の目的地を視界に仰いだ。
辺りには新緑の木が生い茂っている。ここはあまり開発が進んでいないらしく、周囲に明確な道と呼べるものは無い。
陽光に照らされた木々が光を反射して煌めきを帯びている。
ここはその名が表す通りの[陽光の森]。太陽の光が森の葉を貫き彩りを与えていた。
「おーっなかなか良い陽気じゃねえか。俺好みのテイストだぜ」
明るい熱さを帯びたこの森に彼は好印象のようだ。
しばし周囲の環境を味わって見渡した後、闘将は懐から端末を取り出した。
「これがねえと特殊エネルギーの場所がわからねえからな。ええと、電源を入れて探査ボタンを押しゃあ使えるんだよな?」
ハルピュイアから説明を受けた内容をおぼろげにだが思い出し、彼は端末を操作する。
数秒の後、すぐにレーダー機能が作動し始めた。この端末はいわばエネルギー探知機だ。
設定した種類のエネルギー反応が近くにあれば、探知して知らせてくれるという優れものである。
「これで即ヒットしてくれりゃあちょろいもんなんだけどよ。とりあえずちょっとこの辺を探してみっか」
彼はレーダー端末を片手に木々の間を縫って歩を進めた。
それから約30分が経過。
しかし戦果はボウズである。
「ちくしょおおお!何で見つからねえんだよっ!」
この手の地道な作業が得意でないファーブニルは上空に向かってウザそうに叫んだ。
レーダーの探査画面には一向にエネルギー反応が出る気配がない。
「あーっむしゃくしゃするぜ!だからこういうまどろっこしい仕事は嫌えなんだ!」
文句を吐くものの、だからといって反応が出るわけでもなく――――。
地道にコツコツ探し続ける他にやりようはないのであった。
それからさらに1時間が経過。
「うぜえ、うぜえウザすぎるぜまったくよっ」
悪態を吐きつつファーブニルは木々の根っこを踏みしめて踏破する。
ここは舗装された道がロクにないため、どこを見渡しても木々、木々、木々ばかり。
歩いて進もうにも木の幹や枝によって阻まれ、その間を縫って行かなければならない。
面倒くさいことこの上ない手間であった。
「ちぃ、ミスったなこりゃ。陽光って単語につい選んじまったが、めちゃ歩きにきいし、めぼしそうな怪しい何かも見つからねえ。ほんとにここにエネルギーがあるのかよ」
彼はこの場所はもしやスカでエネルギーは無いのではないか、と疑念を抱き始める。
ここは4つの怪しい候補地の1つではあるが、目星のブツが無い可能性がないとは言えなかった。
実は外れで始めからそれが無いという可能性ももちろんあるのだ。
それを思うと彼のモチベーションは下がり始める。
「もしかして俺は元から何も無い場所を無意味に探し回ってるんじゃねえか………?」
レーダーの反応は相変わらず微塵もない。めぼしそうな建物も見当たらない。
基地めいたものが無いとするなら、そもそも密猟者がエネルギーを貯蔵しておく場所が存在しないということになる。
「いや待てよ……?それじゃおかしいじゃねえか。隠す場所がないのに獲物を貯蔵出来るわけがねえ」
そう、考えてみればおかしいのだ。もしこの森がエネルギー秘蔵地ならば、その貯蔵スペースが必要不可欠。
ここまで1時間以上探した限りでは、そのような場所は見当たらない。
「って事はマジで外れか……?何もないってこたあ……」
彼は徒労感を抱き失望しそうになる。
と、その時。
足下の地面から何かが姿を現した。
「!」
彼はおっと足を止める。
不意の出現者に、しかし彼は冷静だった。武具のソドム・ゴモラを向けてもいない。
足下の土から現れたのは野生のハリネズミだった。殺気も何も感じられなかったのでわざわざ武器を向ける必要などないと彼は無意識に判断していたのであった。その辺の“勘”に関しては意外に彼は鋭い。
「何だ、ハリネズミかよ。ったく気をつけろよな」
彼は小さなおさわがせ者にやれやれとしつつ、歩を進めようとした。
「いや、待てよ………?今こいつ地面から………」
ちょっとした違和感に彼は気付いた。このハリネズミは今地面の土を掘り起こして出てきたのだ。
この森は一見では何もないように思えるが、土の下ならばどうだろうか?
もしやすると何かが埋まっている可能性も………。
「ワンチャンあるかもしれねえな。いや待て、そもそもレーダーに何の反応もねえんだ。埋まってるならレーダーにかからないはずはねえ」
このレーダー端末は普通の端末ではなく、高度な最高技術が組み込まれた特性機である。よって目的のエネルギー反応を探知する事においては絶対的な精度を誇る。見逃す、などという事はありえない。
しかし、それはあくまで半径50m以内に近付いた場合の話だ。それより遠ければ、いくら端末の精度が高くともレーダーには感知されない。
「ってことはだ。地面の下に実は隠し通路か何かがあって、そこを通っていけば密造基地か何かに繋がってるって可能性もあるか……?」
彼は一つの可能性に行き当たる。この木々の下に広がる土砂。その下に、実は何かが隠されているのではないか………と。
「よし、じゃあそれを探すとすっか。確かこのレーダーはエネルギー探知以外のもんも探せるんだよな」
ハルピュイアの説明によれば、この端末は設定さえすればエネルギー以外の実個体に関しても探知する事が可能だという。
例えば、ある程度の質量を持った金属反応も検知する事ができる。それが例え土の下に埋まっていたとしてもだ。
早速ファーブニルは端末を操作し、探査対象物を一定レベル以上の質量を持つ金属物に設定してみた。
「これで設定は出来たぜ。あとはもう一度この辺を歩いてみっか。これで何も反応がなけりゃ………俺はもう帰っからな!」
むかつきを声に出して吐きつつも、彼は探索行動を再開する。
レヴィアタンによく言われる『あんたは地道な作業をもっとちゃんとすべきよ。そういうコツコツした雑務だって四天王としての大事な責務なんだから』という言葉をしぶしぶだがわきまえて実行していた。
そしてまた30分後。
ついにレーダーが反応を示した。
「うおっ、来やがったぜ!」
待ちに待った探知反応に彼はようやく息を吹き返した。正直もう無いよなあ、と思っていたところなのだ。
彼は反応があったポイントまで歩を進める。すると、そこは何の変哲も無い土であった。
だが、よく見ると土の色が他の場所のものと少し違っているようだ。
「もしかして誰かが上から埋めやがったな……?」
怪しいと睨んだファーブニルは調べてみる事にする。
彼は軽く上空に飛び上がると、拳を地面目がけて振り下ろした。
「おりゃあああっ!」
ド ン !
重い地響きが轟き、拳に殴られた地面が揺れた。
次いで土砂が弾け飛ぶ。
闘将の強烈な打ち下ろしによって衝撃波が起こったのだ。
周囲の砂利や土がその余波を受けて飛散する。
「へえ、どうやら当たりみてえだな」
すっかり土砂が無くなった場所を見てファーブニルが呟いた。
覆っていた土が消えた下には、何とハッチが存在していたのだ。
四辺が2mほどの取っ手付きの扉が、土に埋められるように隠されていた。
「こんな見つけにきいとこにこんなもの隠してやがったとわな。だがこれで苦労の甲斐があったってもんだ」
手がかり、いや特殊エネルギーに繋がりそうな大発見をしたと言っていいだろう。
してやったりな顔を見せたファーブニルは早速ハッチを開けて中へと入っていった。
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第1章:稀少資源ギラテアイトを奪取せよ
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第2章:敵本拠地を急襲せよ
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第3章:エネルゲン水晶発掘所を攻略せよ
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第4章:水没した図書館を攻略せよ
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第5章:スカイビルでの戦い
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第6章:四天王VS暴雪月花
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その他個別に好きな箇所があればこちらへ