四天王の重要任務   作:プレイズ

8 / 33
闘将の任務②--怒りの咆哮--

あれから30分が経った。

地面の土砂の下に隠されていた非常口ハッチ。先刻、その取っ手を持ち上げてファーブニルは中へと潜入を試みた。

ハッチを通った中はハシゴがかけられており、そこから下に降りれるようになっていた。

梯子づたいに彼が降りていくと、しばらく行った先には部屋のような空間が存在していた。

「なんだ、こりゃ?随分とメカメカしい場所だな」

彼が降り立ったのは、機械設備が整備されているラボのような場所だった。

机の上にはパソコンやモニター画面がいくつも置かれている。

ビンに入った液体や固形の成分を計測する大型の機具も備え付けられていた。

さしづめここは何かの研究室といった所だろうか。

「へへ、怪しい場所を見つけたぜ。こりゃあ多分ここで研究してやがったんだろうな。ギラなんちゃらってやつをよ」

ファーブニルはチャンスとばかりに周囲を見回してみる。

ここが稀少資源ギラテアイトの研究用ラボだとすれば、このどこかにそれがある可能性が高いからだ。

彼は探査レーダーを取り出し、反応がないか探ってみる。

「…………」

だが、辺りを調べてみてもエネルギー反応はhitしない。

しばらく周囲を歩き回ってみたが、いくら粘ってみてもレーダーが鳴る事はなかった。

ここがそれの研究室なら現物があるはずである。

しかし一向にそれは見つからない。

「んだよ、何で反応が鳴らねえんだよちくしょー!」

しびれを切らした彼は憤慨して叫んだ。

どうもおかしい。

“ブツ”があるならレーダーはもとより、彼の嗅覚が反応するはずだった。

闘将としての彼は細々した探索は得意ではない。

だが、ハンターとしての本能か、危険性の高い危ないブツや秘匿品などのレア物に対しては鋭い嗅覚を発揮して気付く事がままある。

まさに野生の勘という奴だ。

だが、その彼の野生の嗅覚を持ってしても、琴線に触れるものがない。

「ちっ……何もそれっぽい感覚を感じねえ。どうやらここは外れかもしれねえな」

本能を信頼している彼は、その結果を疑いなく悟った。

おそらくここにはギラテアイトはないと。

あれば、何かしら彼は感づいているはずだからだ。

「……ん?こりゃあ……」

ふと、彼は機具と機具の隙間に何かを見つけた。

そこには何かを固定するための置き台のような物があった。

置き台と思しきそれには、何かを収めるための凹んだへこみがあり、周囲を固定するためのベルトが備えられている。

台の寸法から見て、対象物の大きさはダチョウの卵くらいのサイズだろうか。

「匂うな……ここから」

ピクっと彼の目が野性味を帯びる。

置き台から、何かの違和感を彼は感じていた。

つい先刻まで、ここに何か特別な物が収まっていたかのような気を――。

「間違いねえ。こりゃギラテアイトだな」

彼は直感したように断定した。

鋭い彼の嗅覚がそう言っているのだ。

「ほんの10数分前までここにブツがあったんだ。現物を取っ払っても俺のこの感覚はだませねえぜ」

自信を持って彼は言い放つ。

おそらくこの置き台には直前までギラテアイトが置かれていた。

しかし、彼がやって来る少し前に誰かが持ち去ったのだ。

「持ってかれてからまだそれほど経ってねえ。持ち出した奴はまだ近くにいるんじゃねえか……?」

彼はラボの周囲を見渡す。

だが、この部屋は既に一通り探しているため、ここにはもう誰もいないだろう。

ちっと舌打ちして、彼はラボから外に出た。

 

何者かに持ち去られた、という事はこちらの存在に感づかれたという事だ。

実力者である闘将の彼が現われた事で、敵組織の人間が彼を嫌ってブツを持って退散したという事か。

「何で俺がこの拠点へ来たって気付かれたんだ……?いや、待てよ」

彼はある事に思い至った。

ここへ来て早々に、雑兵のパンテオンを2体ほど倒した事を。

「そういや着いてすぐに雑魚を殺ったっけか。だが特に連絡とかしやがった様子はなかったが……」

パンテオン達の気配に気付いて振り返った時には、彼らは手に持つバスター以外は丸腰だった。

特に連絡用の端末などは持っていなかったはずだ。

「いや、待てよ――」

ビビッと彼の脳裏に記憶が蘇る。

彼らは確か目に何かをつけていた。

望遠レンズのような物だと思って彼は気にしなかったのだが。

「まさかあれが連絡用の端末を兼ねてたってわけか……?」

些細な事だと気にも止めなかった彼は、しまったと舌を打った。

あれでこちらの存在を他の人員に伝えていたかもしれないからだ。

「ぬかったぜ。あいつら雑魚のくせに目ざとく俺の事を上の連中に報告しやがったんだ。それであそこにあったブツが俺が到着する前に外部へ運び出されちまったってわけだ」

くそっ!と地面を殴りつけるファーブニル。

雑魚相手だと安易に去ってしまったのは軽率だった。

折角のギラテアイト押収の機会を、その雑魚の働きによって潰されてしまったのである。

「舐めた真似してくれるじゃねえか。俺に無駄足を踏ませやがったなあ!!」

彼は怒りの咆哮を上げ、上空へ向けてファイヤーショットを連射した。

ドンドンドン!と打ち上げられた大粒の炎弾が雲を切るように上空へ舞う。

隠将に続き闘将ファーブニルもまた、ギラテアイトを外部へ持ち去られて外れを引かされてしまったのだった。

これまで投稿された話で好きな話はどれですか?※アンケートの結果で今後の話の展開やキャラの偏りなどに影響が出る事はありません。あくまで皆さんの感想を知りたいために実施するアンケートですので^_^

  • 第1章:稀少資源ギラテアイトを奪取せよ
  • 第2章:敵本拠地を急襲せよ
  • 第3章:エネルゲン水晶発掘所を攻略せよ
  • 第4章:水没した図書館を攻略せよ
  • 第5章:スカイビルでの戦い
  • 第6章:四天王VS暴雪月花
  • その他個別に好きな箇所があればこちらへ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。