COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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ゼットさんが終わり、虹アニメも終わろうとしている今、何を楽しみにすればいいか分からない筆者です
Z劇場版、待ってるからな……


6話 落ちてきたロボット

『僕はイゴマス。おもちゃの、イゴマス』

 

そう告げる目の前にそびえ立つ物体に、菜生たちは唖然とする。

 

水色と金色の物体は、恐らく目だと思われる丸い頭頂部でしゃべると連動して点滅する十字のランプ。

 

「こんなおっきいの、朝は無かったよね…?」

 

そう菜生の横で自信をイゴマスと称した物体を見げていた歩夢がそう呟くと、菜生はこくこくと頷く。

 

「ていうかおもちゃって…」

 

「一体誰が遊ぶの…?」

 

「空から降ってきたし、宇宙人なんじゃない?」

 

そんな会話をしていても、目の前の巨大なロボットは何もしない。学園のすぐ近くの広場に降ってきたそれに、すぐに学園の生徒だけでなく。近隣にいた人々も集まってきて気がつけば周囲は人だかりになっていた。

 

『イゴマスの電池、もうすぐ切れる。もっとイゴマスと遊びたかったら、新しい電池と交換して』

 

「単三電池で動くかな…?」

 

「菜生ちゃん…」

 

すると誰かが通報したのかSRCも駆けつけ、すぐに近くには寄れないようになってしまった。

 

「ところで愛ちゃん、本当に空から落ちてきたの?学園の中にいたけど全然気づかなかったけど…」

 

「うん、なんか急にふわーって減速して着地してたよ。宇宙ってすごいね~」

 

「愛さんとこの近くを通りかかったら、目の前に降ってきたの」

 

現場から離れるように言われ、学園の方に戻りながら菜生がそう問いかけると愛も璃奈も口をそろえてそう答える。

 

「すご…」

 

そう呟くしかなかった。まさか宇宙人のおもちゃが降ってくるなんて、今まで想像した事も無かった。しかも50mくらいはあるように見える。

 

これを地球人の子供のおもちゃと同様の企画と仮定すれば、このおもちゃ?の持ち主は200m近い巨体を誇る事になる。

 

そうしていると青いジャケットに身を包んだ隊員が駆け寄ってきて、愛と璃奈が第一発見者だと聞いて話を聞きに来た。

 

そして菜生たちに話したように、落ちてきた時の状況を説明する。

 

「イゴマス、どうなっちゃうんですか?」

 

「うーん…今のところ有害物質も攻撃装備も無いみたいだし、攻撃したりすることは無いよ」

 

巨大ロボット、イゴマスの処置について聞いてみるとそう告げられほっとする一同だったが、詳しい事は分析の結果待ちと言った所だった。

 

「おーい!アタシは宮下愛。この子は天王寺璃奈」

 

『愛と璃奈。了解』

 

駆け寄っていくとそう自己紹介する愛に対してイゴマスはそう短く答える。

 

「イゴマスはどこから来たの?」

 

『ビビン星。イゴマス、ゲバンの友達。イゴマス、ゲバンたちと旅行中、宇宙船から落ちた。イゴマス、ゲバンの元へ帰りたい』

 

「イゴマス、さみしそう。ゲバンって子も、きっとイゴマスを心配してると思う」

 

『それにイゴマス、もうすぐ電池が切れる。電池が切れたら、イゴマス動けない』

 

「それって大変じゃん!」

 

胴体についていたプレートを分析した結果、ビビン星の工場で製作された。『ともだちロボットイゴマス』と記されていることが解った。ひとまずイゴマスの言っていた事は本当らしいが、問題はその後だった。イゴマスを動かす電池は、現在地球には存在しないということだ。

 

「何とかならないんですか?」

 

「怪獣ともまた違ったケースだからなぁ…まだその辺はなんとも……」

 

イゴマスが自身の電池について語っているのが聞こえた菜生はそう聞いてみるが、申し訳なさそうにそう返される。

 

「でもあのロボット、生きてるみたい」

 

「きっと、心があるんだよ。だからゲバンって子のところが恋しいんだと思う」

 

「そうだよね、いきなり一人ぼっちで知らない場所に来たらさみしいよ」

 

「彼方ちゃんも、いきなり遥ちゃんと会えなくなったら寂しいな~…」

 

みんなイゴマスの気持ちを考えると、そう表情を曇らせる。

 

「ねえイゴマス。愛さんとりなりーもイゴマスの友達にしてよ」

 

「私も、もっとイゴマスの事知りたい」

 

『愛と璃奈、イゴマスの友達』

 

「ねえ、ビビン星ってどんな星なの?」

 

『ビビン星、とってもきれいな星。でも、この星もとってもきれい』

 

「そっかそっか!この星はね、地球って言うんだよ」

 

『地球…地球もきれい、とってもきれい』

 

愛と璃奈もイゴマスの友達だと認識したイゴマスは、ふたりに自分がいた星の事を教える。曰く、地球によく似た惑星らしい。イゴマスの製造番号等の文字も、地球で言うポルトガル語に似た言語が使われているらしく、地球と似た文明を築いているのかもしれない。

 

「イゴマスに手があったら、ハイタッチできたんだけどなぁ…」

 

そう愛が残念そうに呟くと、唐突にイゴマスの装甲の隙間が光った。

 

それを見て菜生は咄嗟に立ち上がると陰に隠れてコスモプラックに手をかける。

 

『菜生』

 

「コスモス?」

 

『このロボットに敵意は無い。信じることも、重要な事だ』

 

愛と璃奈が危ないと思っての行動だったが、テレパシーでコスモスにそう諭されて菜生はコスモプラックから手を離すとみんなも元に戻る。

 

腕と足が出現し巨大な人型ロボットへと変形したイゴマスは跪くと愛にそっと手を向けると、愛もそれを察して手を翳す。

 

「ハイタッチしたら、ハイタッくさん友達できたね!なんつって!」

 

『うん、友達』

 

そうしていると、イゴマスの背にあった排気口から空気が噴出しその上に貼ってあったテープが剥がれ落ちた。

 

『こっこれが…これが僕の背中に…!』

 

「何?どうしたのイゴマス?」

 

そのテープをみて動揺するイゴマスが、自身を心配する愛の言葉はもう届いていなかった。

 

『ゲバン!ゲバーン!』

 

立ち上がったイゴマスは、踵を返すと街の方へと進攻していく。柵を蹴り飛ばし、どんどん進んでいくその様は、子供の癇癪のように見えなくもなかった。

 

「イゴマス、どうして…」

 

「ふたりとも危ない!とにかく離れよう!!」

 

そう呟く璃奈の元へ菜生は駆け出すと、そうふたりに告げるとそのままふたりを引き連れてみんなの元に戻る。

 

「あのテープ、何が書かれてたんですか?」

 

戻ってくるとしずくがそう隊員に問いかけているのが聞こえた。

 

「えっと…このロボットは製造年も古く、稼働に必要な電池の生産も終了したためスクラップとして処分することを認めます」

 

「それじゃあイゴマスは…」

 

「ゴミってことですかぁ!?」

 

イゴマスは、自身がスクラップとして捨てられてしまった事を知って暴れ出してしまったのだ。だがこのままだと街に被害が出る、そうなる前に攻撃という手段を取る必要性が出てきてしまう。

 

「このままだと、保護から排除に切り替えられてしまう」

 

「そんなこと…!」

 

「菜生ちゃんどこ行くの!?」

 

それを聞いて菜生は駆け出した、呼び止める歩夢の声も無視して。

 

「イゴマス、落ち着いて!この星の人は、君をスクラップになんかしないから!!」

 

今のイゴマスには、菜生のそんな叫びは聞こえない。このままイゴマスに街を破壊させる訳にも、逆に防衛軍にイゴマスを排除させる訳にもいかない。菜生は周囲に誰も居ないのを確認すると立ち止まり、コスモプラックをとり出す。

 

そして右手にコスモプラックを持ち、両手を胸の前で円を描くように回す。すると菜生へと周囲から光が集まってくる。その光をコスモプラックにつぼみに収束させ、それを天に掲げる。

 

「コスモース!!」

 

天に掲げたつぼみが花開き、周囲は眩い光に覆われる。そしてその光の中から、ウルトラマンコスモスが飛び出した。

 

「ウルトラマン、イゴマスを助けてあげて…!」

 

「愛さんからもお願い、大事な友達なの!」

 

現れたコスモスに、璃奈と愛はそう訴えかけるとコスモスはゆっくりと頷く。

 

「ハアッ!」

 

そしてコスモスは飛び上がるとイゴマスの頭上で身体を捻って反転すると、街を背にしてイゴマスに立ちはだかる。

 

だがイゴマスは、そんなコスモスを敵と認識したのか殴り掛かる。だがコスモスはそんなイゴマスの攻撃を捌き、隙をついて腹部に手の平を突き立て後退させる。

 

「ウオォオオッ!」

 

振り下ろされた右腕は左手で弾き、横薙ぎに振るわれた左腕は屈んで回避すると起き上がりざまに手の平で突き飛ばす。

 

だがイゴマスはコスモスよりも大きく、力ずくでコスモスを跳ね除けようとする。コスモスの腕を掴むと、軽々とコスモスの巨体を投げ飛ばしたイゴマスは、起き上がったコスモスに胸から光線を放ち再び吹き飛ばす。

 

「ウアァッ!?」

 

「もうやめて!」

 

コスモスへと攻撃を続けるイゴマスにそう叫ぶが、それでもイゴマスはコスモスへと追撃するべく進める足を止めようとはしない。

 

すると防衛軍の戦闘機が現れ、コスモスを援護すべく攻撃を開始する。

 

「テリャア!」

 

だがコスモスは立ち上がると駆け出し、イゴマスに抱きつくようにして戦闘機の攻撃からイゴマスを庇う。

 

「コスモスは本当に、イゴマスを守るつもりなんだよ」

 

それを見て呟く歩夢の視線の先で、コスモスは起き上がるとその身をコロナモードへと変化させた。

 

ルナモードのままでは力負けし、イゴマスを食い止めることができない。イゴマスの戦意を削ぐために、コスモスはコロナモードへチェンジすることを選んだのだ。

 

コスモスとイゴマスは互いに接近すると、イゴマスの攻撃を先程までと同様に回避し捌くがコスモスは拳を撃ち出し、イゴマスにダメージを与える。

 

「フゥン…ゥラアッ!」

 

両腕を威嚇するように広げた後、右拳を前に突き出して構えるコスモスに、イゴマスは再び光線で応戦するがコスモスは軽快な動きでこれを回避する。

 

そして再び駆け寄ると、イゴマスの胴体を両腕の拳を同時に撃ち出す。更によろけたところに回し蹴りを放ち、反撃に放たれたラリアットを屈んで回避し背後に回ると脇を蹴り上げ先程とは逆に投げ飛ばす。

 

「もう戦わないで!」

 

コスモスとイゴマスが戦っている付近に駆け寄った愛がそう叫ぶ。その隣で璃奈も「イゴマス…」と悲し気な声を上げていた。

 

だがコスモスもイゴマスとの戦闘に必死で、うかつにもイゴマスを商業施設の近くに投げ飛ばしてしまっていた。ふたりの声も届かぬまま立ち上がったイゴマスは、観覧車を掴むと支柱部分から回転部分を引き抜きコスモスへと投げつける。

 

「ッ!?」

 

咄嗟に腕で弾いたコスモスだったが、運悪くその観覧車は璃奈と愛の元へと転がっていきそのまま倒れ込む。

 

『あっ…!』

 

「ハアッ…テリャッ!」

 

コスモスは咄嗟にサンライト・バリアを射出し、ふたりの上にドーム状に展開して守る。

 

「愛さん達は大丈夫!」

 

「私たち、イゴマスの友達だよ。だからもうやめて?」

 

『友達…』

 

「そうだよ、ハイタッチしたじゃん!」

 

そう反芻するイゴマスに、愛はそう言って笑いかける。

 

『愛と璃奈、イゴマスの友達…』

 

そう呟くイゴマスの声に、一瞬ノイズが走り、目のランプが弱々しく点滅する。

 

「もう、電池が…」

 

『ウルトラマン、僕を壊して』

 

イゴマスはコスモスへと向き直るとそう訴えかける。コスモスはその申し出に肩を震わすも、頷くことは出来なかった。するとイゴマスは続ける。

 

『愛と璃奈、僕の友達。でも僕はこんなに大きい、きっと迷惑をかけてしまう。それにイゴマスの電池、もうすぐ切れてしまう…代わりの電池、この星にはない』

 

このまま放っておいてもイゴマスは動けなくなり、巨大な鉄の塊となってしまう。みんなの邪魔になるくらいならいっそと訴えかけるイゴマスに、コスモスは思わず視線を逸らす。

 

『ウルトラマン、僕を壊して。スクラップに…シ……テ………』

 

そう告げるとイゴマスは腕をだらんと下げ、そのまま動かなくなってしまった。

 

「電池が、切れちゃった…」

 

「そんな…」

 

するとコスモスの身体は赤く輝くと、青いルナモードへと再びチェンジした。

 

「ハァァアア……ヌゥゥウウッ!!」

 

コスモスはゆっくりと両腕を天に掲げるとそのまま腕をピンと伸ばす。すると宇宙からコスモスへ向けて光が降り注いでいき、コスモスの身体を黄金に染め上げる。

 

「…トリャア!!」

 

そしてその光をコスモスは両腕を前へ突き出し、イゴマスへと照射する。エネルギーの消耗の激しいのか、カラータイマーはすぐさま点滅を始めコスモス自身も肩で息をするが、それでもコスモスは光の照射を辞めない。

 

黄金の光に包まれたコスモスから放たれる光が全てイゴマスへと注がれると、その巨体は縮小されて愛たちの視線から消滅する。

 

身に纏った光全てをイゴマスへと注ぎ込んだコスモスは、限界まで力を振り絞ったのか膝を付きそのまま景色に溶けるようにして消えてしまう。

 

愛と璃奈はイゴマスが先程まで居た場所まで走って行くと、草花に埋もれて横たわる。両手で持てる大きさにまで小さくなったイゴマスを見つけた。

 

「イゴマス!」

 

『…愛と璃奈、僕の…友達。ありがとう…アリガ……ト………』

 

自分の名前を呼ぶ二人にそう告げると、イゴマスの電池は今度こそ完全に切れてしまった。持ち主に捨てられた悲しきおもちゃのロボットだったイゴマスは、最後は地球で出会った少女の優しさに包まれて眠りについた。

 

またいつか、新しい電池に交換されるその日まで―

 

「ウルトラマンは、イゴマスを人間のおもちゃのサイズに小さくしたんだね」

 

「でも、イゴマスを動かす電池は地球にはないんだ…」

 

「できるよ、今はまだ無理でも。イゴマスとまたお話しできる日が」

 

しんみりした空気になった時、変身を解いて合流してきた菜生がそう告げる。

 

「その時は、私もイゴマスと友達になりたいな」

 

「菜生さんも、なれるよ」

 

「そうだね、みんなもイゴマスの友達になれるって!」

 

「その日まで、部室に置いとかない?」

 

「いいねそれ!」

 

こうして、部員…とは言えないが、新しい仲間が増えた。




持ち主から棄てられたイゴマスを、地球は優しさで迎え入れました。
怪獣保護という概念が産まれた世界で、それ以外にはどう対応するのか?その答えとなる話だと思ってます。
だからどうしても取り入れたかったのですが本家がどう言う世界観なのか伝わればいいなと思います。
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