最近APEX…じゃなくて仕事だったりで色々忙しかったので……
ハーメルンで活動初めてからこんなに間をあけた事が無かったので終盤かなり焦りました。そんな第九話、よろしくお願いします。
10人となって初めてのライブを来週に控えた土曜日、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のメンバーは一層練習に励んでいた。
「菜生ちゃん、本当に良かったの?」
「えっと…何が?」
部室で歩夢のライブの演出の最終決定をしながらキーボードを叩く菜生に歩夢がそう心配そうに問いかけると、菜生はそう首を傾げる。
「作曲、私たち9人分全部やるって話だよ」
「みんな自分がどんな曲をやりたいか決めてもらって、それに合う曲を一緒に考えてるだけだし、そんな特別大変って訳でもなかったよ?それに音楽科の子も手伝ってくれてるし……はむっ…」
そう言ってなんでもなかったかのように答えながら菜生は、彼方から差し入れに貰ったクッキーを頬張る。
「おいひい……ごくん…歩夢、おいしいよ。あとで彼方先輩にお礼言わなきゃ!」
「でも無理しちゃだめだよ?みんな菜生ちゃんには感謝してるけど、それで菜生ちゃんが倒れたら意味ないんだから」
無邪気に笑いながらクッキーを勧める菜生に、歩夢はそう真剣な表情で告げる。彼女の言い分はもっともだ。9人分の曲をどうするか?それは一番最初にぶつかった難関だ。
だが菜生は、自分が多少楽器を扱えるからとある程度の曲の案を作ることを申し出たのだ。それぞれがやりたいものをはっきりと提示することを条件に、音楽科の生徒の協力も得て菜生は9人分の曲を用意して見せた。
「ありがと!でもこれでみんなが自分のやりたい曲をステージで歌えるなら、それが一番嬉しいんだ!」
そう言って菜生は笑いかける。
「だから…今度のライブ頑張ってよ!私、すっごく楽しみにしてるから!!」
「うん!がんばるね」
そう告げる菜生に、歩夢も笑ってそう答える。「じゃあみんなの所行ってくるね」そう言って外で練習している他のメンバーのところへ向かう彼女を見送ると、菜生はインターネットを開く。
「ふーん…隕石ねぇ……」
その後、ネットニュースを開いた菜生の視線に映っていたのは、昨晩隕石が三つ落ちてきたというものだった。
そしてそのうちの一つはSRCが回収し、解析を行っているという内容だった。
最近のカオスヘッダーといい、活発化している怪獣たちといい、今回も何か起きるのではないか?そんな胸騒ぎがした。
「最近構って上げれなくてごめんね…?来週ライブがあるんだ。リドリアスにも見せたげたいよ」
翌日、一人鏑矢島に向かった菜生は久しぶりにリドリアスの顔を見に行っていた。
同好会を復活させてからというもの、街に怪獣が現れることもカオスヘッダーの影響で増えた。だからみんなの曲を作る傍ら、菜生とコスモスはそんな怪獣達を救い。時にはSRCが鏑矢島で保護するのを手助けしていた。
その結果以前のように鏑矢諸島に訪れることが出来なかった菜生に、リドリアスは甘えるように鳴く。
そんなリドリアスにほほ笑む菜生は、普段学校に行く時と違い、長い黒髪を一つに纏めポニーテールにしていた。普段より大人っぽく見える格好の菜生だったが、その表情は年相応以上に子供のようで純粋だった。
「最近仲間も増えてここもにぎやかになってきたね。今度来るときは、同好会のみんなも誘うよ」
そう告げる菜生の言葉が伝わってか、リドリアスは嬉しそうに鳴く。スクールアイドルというものが理解できるかは解らないし、同好会のみんなが怪獣に肯定的とも限らない。
それでも菜生は、自分の大事な友達をみんなに知ってほしいと思ったのだ。
みんなが怪獣と共存できることを理解してくれれば、リドリアスもバリアで閉じ込められた狭い空間でなく。もっと大きな空を自由に飛べる。そう信じている。
「さて…と」
そう言って菜生は尻についた砂を払いのけながら立ち上がる。
「またねリドリアス。ライブ終わったら、また報告しに来るよ」
そう言って菜生は笑いかけると、そのまま名残惜しそうに鳴くリドリアスに背を向けて帰って行く。
都内への連絡船が多くない関係で、菜生は基本鏑矢諸島を訪れるときは朝一の連絡船に乗って来て、昼過ぎには帰るようにしている。
ひとまず都内に戻ってきた菜生は、今日は歩夢も家族と出かけているし1人でうろつこうかと考えていると。
「あれ?菜生さん…ですよね?」
「あっせつ菜ちゃん。偶然だね~」
不意にそう声をかけられた方へと振り向くと、そこにはせつ菜がいた。
「髪型がいつもと違うから違ったら最初人違いかとと思いましたよ」
「あはは…ちょっと結ぶのが面倒でさ?」
人違いでなくて良かったと告げるせつ菜に、菜生はそう言って苦笑いを浮かべる。
「普段と違って大人っぽいというか…とにかく、似合ってますよ」
「そ、そう?ありがと」
「菜生さんは買い物ですか?」
「え?あぁ違うよ?ちょっと会いたい相手がいたからあってきたの」
せつ菜に問われて、あまり怪獣だと答えるのもなと思って菜生はそうぼかして答えた。
「菜生さんまさか……彼氏がいるんですか?」
「かっかか……彼氏ィ!?」
想定外の質問に菜生は思わず顔を真っ赤にして動揺する。
「ちっ違う違う!鏑矢諸島に怪獣に会いにさ」
「怪獣…ですか?」
「うん、好きなんだ」
会いたい相手が怪獣と告げられ、一瞬せつ菜も驚いたような表情を浮かべる。
「そういえば情報処理学科に怪獣好きの生徒が居るって噂を聞いた気が…菜生さんだったんですね」
「そうかも…?まだまだ怪獣保護って認知されてないし、よく思わない人もいるからあんまり表には出さないんだけどね?」
「でも、怪獣たちが好きって気持ちは、大事にするべきだと思います」
そう言えば鏑矢諸島に行きたいからとクラスメイトの誘いを断ったりしたこともあったしそれで噂としてすぐ広まったのか?なんて思いつつもそう答えると、せつ菜はそう菜生に笑いかける。
「そう…そうだよね、ありがと!でもいつか、怪獣も人間と共存できる世界になってほしいなって」
「素敵な夢です!菜生さんは優しいですね」
「そうかな?私は別に優しくなんてないよ」
そう言って菜生は視線を逸らす。
「菜生さん…?」
「あぁいや…そ、そうだ。せつ菜ちゃんって、学校と家以外だと生徒会長モードじゃないんだね?」
そんな菜生の様子を心配そうに見つめるせつ菜に、菜生はそう言って無理やり話題を逸らす。
「私は家が厳しくて、アニメやマンガは勿論、スクールアイドルも禁止なんです」
「まぁ…それはなんとなく気づいてたけど………」
なんで彼女がわざわざ『中川菜々』でなく『優木せつ菜』と名乗ってスクールアイドル活動をしているのか、直接聞きはしなかったが菜生もおおよその予想はついていた。
「でも最近はそれだけじゃなくて、変身ヒーローみたいでいいかもって」
「ヒーロー……」
「はい!そうですね、菜生さんも知ってそうなのは…『ウルトラマンコスモス』とか?」
「ブッ!?」
ばれたのかと思って思わず顔を引きつらせる菜生だったが「あれだけ大きいんですから普段はきっと私達くらいの大きさで社会に溶け込んでるんですよきっと」と恐らくそういうヒーローでは作品のお約束?に則っての推論を述べていたので胸を撫で下ろす。
流石に目の前にウルトラマンコスモスがいるとは言えないので「ソ…ソウダネ……」とカタコトになりながらも菜生は再びハラハラしながら誤魔化す羽目になった。
「そうだ、今から行く予定のお店にスクールアイドルのグッズも置いてあるんです。一緒に行きませんか?」
「そうだね。私まだあんまり詳しくないし、色々教えてもらっちゃおっかな」
「任せてください!」
そう自信たっぷりに告げるせつ菜の後について、菜生はあまり自身に馴染みのないスクールアイドルだったりアニメだったりのグッズの並ぶ店内に入って行った。
「うわぁ~すごいねこれ」
µ'sやAqoursは勿論の事、他にもラブライブに出場経験のあるグループなど様々なスクールアイドルのグッズが置かれてあるのをみて菜生は思わず感嘆の声を漏らす。
「ここにみんなのも並ぶように私も頑張らなきゃ!」
「そうですね、この人たちと肩を並べられるスクールアイドルに!!」
「みんなならなれるよ!」
そんな言葉を交わして、テンションの上がったせつ菜のスクール談義を聞きながら帰路につこうとした時。小学生の集団が押していたカートと激突してしまう。
「…ったぁ~い」
「菜生さん大丈夫ですか!?」
まるで何かから逃げているかのように後方から走ってきたカートに跳ね飛ばされた菜生に、せつ菜はびっくりして駆け寄る。
「いてて……大丈夫大丈夫」
「ごっ……ごめんなさい!」
「私は大丈夫…でも気を付けなよ?危ないから」
慌てて頭を下げる小学校中学年くらいの少年に菜生はそう笑って告げると、その少年たちが押していたカートの方に視線を逸らす。
「っていうか、それ……何?」
カートの中身は白い布で覆われていたのだが、なにやらもぞもぞ蠢いている。
「何でもない!なんでも!!」
「まったく……こんなとこでこんな事してふざけてたら危ないぞ~」
そう言って布をはぐったところで菜生は固まって動かなくなる。
「菜生さん?どうしたんですか……って、うそ……」
そんな菜生をおかしいと思いつつ、その菜生の視線の先にあるものを見るとみるみる顔が青ざめる。
「キュ~キュキュッ?」
「キャーーーッ!!」
カートの中にいたのは赤い身体をした腰くらいまでの背丈で首がなく腕も短いが代わりに指が長く関節の多い独特な格好をしたの怪獣?だった。
「か………かわいい!」
「菜生さん!?」
そんな怪獣に驚いて悲鳴をあげるせつ菜とは対照的に菜生はそう言って目を輝かせる。
「ねぇねぇ、この子なんていうの?どこから来たの?」
「ミーニンって言うんだ、この前拾った隕石から生まれたんだよ」
「『ミーニン』…?」
「何だよちっさいからミーニンだろ」
一緒にいた少女にそう突っ込まれると、今決めたと少年は告げる。
「へぇ~……あれ?でも隕石ってまだあと一つあるんじゃ……」
ならまだ見つかってない隕石も怪獣なのでは?そう菜生が思った時だった。
突如として、工場地帯からミーニンを厳つくしたようなさらに刺々しい焦げ茶色の『巨大』な怪獣が出現したのだった。
「何だあれ……?」
「ミーニンに似てるね」
「キュ~!キュキュッ!!」
それを見た瞬間、ミーニンは興奮し大声をあげだす。
「もしかしたらミーニンさんのお父さん何でしょうか…?」
そんな推測をせつ菜がする中、視線の先の怪獣は街を破壊し始める。額についている黒いヒトデのような金属質の物体の中央についている赤い結晶から電撃を放ちながら進む姿は、宇宙からの侵略者のようだった。
「お前の父ちゃん迫力ありすぎ…」
「危ないし逃げようよ…」
そう言って少年少女はミーニンの後ろに隠れるようにするが、ミーニンはカートから降りると前方の怪獣目掛けて進んでいく。
「ミーニンダメだよ!」
「君達何やってるんだ、早く逃げなさい!」
ミーニンに駆け寄ろうとした時、駆け付けたSRCの戦闘を受け持っている部隊の隊員に止められる。そしてミーニン目掛けて銃を構えるのだった。
「やめてください!ミーニンは大人しい怪獣なんです!!」
「そいつはそんな怪獣じゃない、こいつは宇宙から地球を滅ぼすために送り込まれた『ガモラン』って怪獣だ!」
最初に回収された隕石に入っていた金属製の箱には、『この箱を開けることのできる文明を持つ者、ガモランによって滅ぼされるべし』と記されていたらしく。その解析が終わるのと時を同じくして、卵からガモランとミーニンがそれぞれ出現した様だった。
「そんなことありません。ミーニンはお父さんを止めようとしています!」
そう必死にミーニンを撃たせまいと訴えかけるみんなの前で、ミーニンは身体から青い光の輪のようなものを連続でガモラン目掛けて放つ。
恐らくその攻撃によってガモランを止めたかったのだろうが、生憎びくともせず。逆にガモランは足元の岩をミーニン目掛けて蹴り飛ばす。
「キュ~……」
「ミーニン!」
「危ない!!」
目の前で地面とぶつかり砕け散った岩の破片が頭に当たったミーニンは倒れ込む。そんなミーニンに駆け寄る少年を連れ戻そうと菜生も咄嗟に駆け出した。
そしてふたりがかりでミーニンをガモランの死角まで引きずって隠れる。
「グルルルル……」
そんなミーニンを探すように唸るガモランに対して、見つかって踏みつぶされるという最悪な予想が思わず菜生の脳内に走る。
「そこは危ない!戻ってくるんだ!!」
せつ菜や他の子どもたちを庇うように立つ隊員がそう叫ぶが、菜生はその言葉には耳を貸さない。
「君はここにいて、ここでミーニンを守るんだ」
「うん!」
そう少年が頷くと、菜生は「こっちだよ!」とガモランを挑発すると誰もいない方へと走り出す。
ガモランが放つ雷撃から逃れるように全力で走る菜生だったが、やがてその身は爆炎に包まれてしまう。
「菜生さん!!」
思わず菜生の名前を叫ぶせつ菜だったが、その場が一瞬だけ輝いた。
「シュワ!」
まるで菜生を守る為にともとれるタイミングで、その輝きの中からウルトラマンコスモスが現れたのだった。
「ウルトラマンコスモス、お願いします。菜生さんを助けてください!」
そうせつ菜が叫ぶと、コスモスは一度こちらを振り向いてゆっくりと頷くとすぐさまガモランに視線を戻し構えを取る。
「イヤアッ!!」
コスモスを倒すべき敵とみなしたガモランは、見かけからは想像もできないようなジャンプ力で一瞬で間合いを詰める。
だがコスモスもそんなガモランの体当たりを避け、相手の指先を尖らせた突きにも対処して少しずつ何もない場所へとガモランを誘導していく。
両腕をがむしゃらに振り回すガモランに対して、コスモスは冷静にその攻撃を捌き足を払い飛ばそうとするがガモランは驚異のジャンプ力でそれを避ける。
むやみに戦って被害を拡大させることの内容に回避に専念したコスモスは、なんとか周りへの被害を最小限に抑えられる場所まで誘導することに成功すると反撃に出る。
ガモランの手を弾くと腹へ掌で突きを放ち、
『ミーニンはお父さんを止めようとしている』
『アイツは地球を滅ぼすために送り込まれたガモランっていう怪獣だ』
そのふたつの言葉が菜生の中でこだましていた。このまま目の前の怪獣を倒してしまっていいものか?はたまた大人しくさせるべきなのか。
(いや、やっぱりこのまま倒すなんてできないよね…)
この怪獣も、地球を滅ぼすためだけに生きている訳では無いはず。そう思った菜生にまるで合わせるかのように、コスモスはガモランの大振りの攻撃を躱し、最後に回るとそのまま突き飛ばし、フルムーンレクトを放つ。
「あの光は確か…」
興奮状態を抑制する効果のある光を浴びたガモランは落ち着き、大人しくなるかに思われた。
「グルル……」
だが実際そんなことは無く、完全に油断したコスモスにとびかかると、コスモスの腹に肩から突っ込みその巨体を宙に放り投げる。
(嘘っ!?効かないの?)
フルムーンレクトはあくまで『興奮状態を抑制する』効果しかない。つまり、一時的な感情で暴れている相手には効果があるが、最初からそうするつもりで暴れている相手には効果がないのだ。
地面に背中から落下したコスモスは、すぐに身体をうつ伏せにして腕の力で起き上がろうとする。しかし、ガモランは飛び上がるとそんなコスモスの背中を踏みつける。
「コスモスが…」
周囲が見守る中、ガモランは執拗にコスモスの背中を踏み付け、コスモスの腹部を蹴り上げコスモスが起き上がれないまま一方的に攻め立てる。
だがガモランの追撃が来るまでの一瞬の隙にコスモスは振りかぶったガモランの足を両腕で掴み、放り投げる事でガモランを転倒させる。
「ウオオッ!!」
そして起き上がったコスモスは右拳を突き上げ、太陽の如き赤き光を見に纏う。
ヒーローズオデッセイ、毎週視聴しているのですがティガやっぱりかっこいいですよね。
次回はガイアにも触れるそうなので一層楽しみです。
それではまた次回。