COSMOS The Rainbow   作:カズオ

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二週間も空けて本当に申し訳ございません。
しかも今回短いです、ほんとごめんなさい。


17話 動け!怪獣

一波乱あった夏合宿もなんとか怪我等なく終え、同好会は普段通りの練習を行っていた。

 

「あづい~てか歩夢、課題やってる?」

 

「まあちょっとずつね?」

 

「いいなぁ~写させて?」

 

「菜生ちゃん科が違うし、写せるの無いと思うよ?」

 

「そうだった~…」

 

部室で休憩中に、菜生は暑さでへばっているのかそんな間の抜けた事を口走るので歩夢も思わず苦笑いを浮かべていた。

 

「てか暑すぎない?8月入った途端に一気に気温上がっちゃってさ、こりゃ来週から練習は夕方からとかにしないと熱中症で倒れちゃうよ」

 

「じゃあじゃあ、みんなで海行きませんか?海!」

 

「合宿の時にプールで遊んだじゃないですか」

 

そこで思考を切り替えてこの異常なまでの夏の猛暑をどうするか考えていると、かすみが入ってきてそう提案するがせつ菜がすぐに却下する。

 

「え~いいじゃないですかぁせつ菜先輩のケチ~」

 

「ケチ~」

 

「何ですか菜生さんまで!?」

 

「いやぁなんとなく乗ってみただけ?」

 

「なんとなくって…」

 

そんな軽口を叩きながらもきちんとその日の練習をこなす。夏休みの昼下がりのことだった。

 

「はぁ~…」

 

「彼方先輩どうしたんですか?ため息なんてついて」

 

「それがね…」

 

いつもの練習と比べて特にハードなことをしたわけでもないが。どこかいつも以上に疲れた様子の彼方を見て、心配そうに菜生が声をかけると彼方は深刻そうな表情のまま。自身の悩みを打ち明けてくれた。

 

「遥ちゃんが今スクールアイドル部の合宿に行ってるんだけど…」

 

「あれ?でも昨日帰ってくるって喜んでませんでした?」

 

「そうなんだけどね、その合宿場から帰る道の途中のトンネルで事故が起こってるらしくて帰れないみたいなんだよね…」

 

学校内の施設を借りて合宿を行った虹ヶ先とは違って、彼方の妹-近江遥の通っている東雲学院はそれなりに遠方の施設まで向かっているそうなのだが。それが仇となって帰る日の前日に起きたトンネル事故のせいで帰れないでいるらしい。

 

「それは心配ですよね…」

 

「そうなんだよね、しかもその事故っていうのが怪獣がトンネルの中に陣取ってて動かないみたいなんだよね」

 

「「怪獣!?」」

 

さらっと出てきた怪獣というワードに、一同騒然となるのは怪獣保護という概念が一般に浸透してきている現代でもっやはり危険な生き物という見方のほうが強いのだ。

 

「でもその場にいるだけで何にもしないから、どうするか判断に困ってるみたい。何しても外に出てこないんだって」

 

そこにいるだけでも、やはり怪獣ともなると熊やイノシシとは分けが違う。トンネルに居座っていることを除けば、特に被害は出ていないのでなるべく保護という形で話を進めたいようだった。

 

「やっつけちゃえばいいんじゃないですか?」

 

「そうはいっても、攻撃すれば抵抗して暴れて余計に被害を広げるかもしれないし難しい問題だと思うよ」

 

倒せばすぐに解決するのではないか?そう告げるかすみに、菜生はそう諭すように告げる。だが彼女の言う通り難しい問題なのだ。菜生個人としても、保護で済ませてほしいがこれ以上立往生する状況が続けば倒されるのも時間の問題だろう。

 

それに万一暴れれば、むしろ遥が危険な目に合うかもしれない。仲間の身内が近くにいるからこそ、どちらがいいのにともここでは言い切れない雰囲気が漂っていた。

 

「連絡はとれてるし、合宿延長みたいな感じで普通に過ごしてるみたいなんだけど。やっぱり心配…」

 

「そうですよね…」

 

トンネルに居座る怪獣。一体何が目的でそうしているのかわからないが、できれば何事もなく保護という形で収まってほしい。そう思うよりなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、ちょうど母が休みだったので親子二人で食卓を囲んでいた。

 

「お母さんは何か知ってる?あのトンネルで居座っているっていう怪獣のこと」

 

菜生がおもむろに切り出すと、しのぶは「あぁ…」と何やら困ったような顔をする。

 

「あの怪獣は、元々あの近くで発見されたムラノクラフドンっていう怪獣の化石だったの」

 

「化石?」

 

「えぇ、カオスヘッダーの残留エネルギーの影響だろうっていうのが研究班の出した結論みたいなんだけど…どうしてあの場所から動こうとしないのかわからないのよね……」

 

原因がわかれば、それを逆手にとって興味を引いてトンネルの外へと誘導できそうなものなのにと困っているようだった。

 

「もともとは草食恐竜だし、人を襲うことは現状観察してる感じではなさそうだけど。ふさいでるトンネルが問題なのよね…」

 

「だよね…彼方先輩の妹さん。そのせいで合宿から帰ってこれなくなってるし」

 

「それは心配よね…」

 

「ねぇ、せめて近くまで行くこととかできないかな?やっぱり合わせてあげたいし…」

 

「気持ちはわかるけど、それは無理ね。あなたは私の娘だけど、SRCからしたらただの一般人。近づかせるわけないでしょ?」

 

「まぁ当たり前だよね…」

 

せめて会わせてあげたい。そう思ったが、当然母はそんなことを許してくれるわけもなかった。

 

「大丈夫だから、すぐに解決するから。心配させてしまっているのは申し訳ないけど信じて待っててちょうだい」

 

「うん……」

 

菜生の手の上に自身の手を置いてそう諭すように告げる母に、菜生はただ頷くよりなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。明確に事態は動き始めていった―

 

怪獣の正体がわかったのだ。

 

『ムードン』そう命名された怪獣の正体は、近年そのトンネル付近で発掘されたムラノクラフドンという新種の恐竜の化石が、カオスヘッダーの残留エネルギーによって実体化したものだということだった。

 

「菜生さん、ムラノクラフドンについて調べてみた」

 

「ありがと~璃奈ちゃん!やっぱネットとかパソコンに強いの璃奈ちゃんが一番だよ~」

 

その情報を得た菜生は、すぐさま璃奈に協力を仰ぎムラノクラフドンについて調べることにしたのだ。

 

「ムラノクラフドンは草食恐竜で、発掘された時は複数の個体の化石がいつもまとまってみたみたい」

 

「ってことは群れ…もしくは家族単位で生活してたのかもね」

 

「その可能性は高いと思う。それに……」

 

「それに?」

 

「あのトンネル、その時に大きくする工事があったみたいなんだけどその時は小さい化石が一体分だけだったみたい」

 

その結果を踏まえて、今トンネルをふさいでいる怪獣は。前に発掘された化石の親の個体だろうというのが菜生の出した結論だった。

 

「でもこれがわかっても私たちじゃどけれない。菜生さんはどうするの?」

 

「お母さんはSRCで働いてるからね、この情報をもとにどうにか解決できないか頼んでみるよ」

 

協力したのはいいが、菜生の思惑が読めない問った様子の璃奈に菜生はそう告げた。

 

「それより夕方から練習なのにお昼から付き合ってくれてありがと!やっぱり璃奈ちゃんに頼んで正解だったよ」

 

「どういたしまして。璃奈ちゃんボード『エッヘン』」

 

「ほんとうに助かったよ~よしよし…」

 

そう言って得意げな顔が書かれたボードを顔に当てる璃奈の頭を思わず菜生はなでる。一年生はみんな可愛げがあって、菜生のことを信頼してくれるのでまるで妹ができたような気持になるのだ。

 

「菜生さん?」

 

「アッごめん…嫌だった?なんかこうしてると妹ができたみたいでつい…」

 

「そんなことないけど、菜生さんって基本一人で全部やってくれてたから。こうやって頼ってもらえるのはうれしい」

 

完全に無意識だったのでしまったと思い手を放す菜生だったが、璃奈は首を横に振ってそう告げるのだった。

 

「そうだっけ?」

 

「うん。曲を作る時も、イベントの時も基本菜生さんが一人で何から何まで準備してくれるのうれしいけど、やっぱりみんな申し訳ないって思ってると思う」

 

「それは私が好きでやっただけだし…」

 

「それでも、やっぱりみんなも菜生さんに頼ってほしいって思ってると思う」

 

「そう…かな?気を付けるよ」

 

みんなのためと自分は一人で突っ走りすぎたのかもしれない。そう思った菜生は、もっとみんなを頼るようにしよう。そう思うのだった。

 

「さて、そろそろみんな来てるだろうし。私らも練習行こっか」

 

そう言って璃奈と共に借りていたパソコン室を後にして部室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

だがその日の練習は先日以上に、彼方は身が入っていない様子だった。

 

「…今日はやめときましょうか?」

 

「どうして?彼方ちゃんはいつも通りだよ~?」

 

「妹さんが心配な気持ちはわかります。私も似たような経験があるから…」

 

そう言って菜生は目を一度伏せるが、再び彼方の目をみて告げる。

 

「明日、会いに行きませんか?近くまでなら普通にバスも動いてるみたいですし、うまくいけば入り込めるかもです」

 

危険かもしれないが、相手が人を襲う危険が今のところない以上行ってみる価値はあると菜生は直感していた。

 

「本当にいいの?お母さんSRC関係の人でしょ?もし見つかったら…」

 

「大丈夫ですよ、お母さんは医療チームなんで怪獣保護チームの人に顔見られるくらい。それに考えがあるんです」

 

「考え?」

 

そう彼方に聞き返されて菜生は得意げに頷く。

 

「あの怪獣が何であの場所に居座ってるか、考えてみたんです。私、怪獣にも人間と一緒で心があると思うんです。きっとあの怪獣、ムードンはあそこで待ってるんですよ」

 

「菜生ちゃん、待ってるっていったい…?」

 

そこで話を近くで聞いていた歩夢がそう口を挟むと、「そこがポイントなんだよ」と菜生は一層得意げになった。

 

「ムードンの正体は、家族単位で生活するムラノクラフドンです。そしてあのトンネルの近くでは小さい化石が発掘されてる。ってこては―」

 

「ムードンは、その発掘された子供のムラノクラフドンが帰ってくるのを待ってる…?」

 

「そう!だから外に子供がいるって思わせることができれば外へ誘導できると思うんだよね」

 

「それを私たちでやるんですかぁ?」

 

「うーん…それは厳しいだろうから、そこはSRCの人に頑張ってもらいたいけど…うまくいけば自体は解決するし、妹さんにも会える。一件落着じゃん」

 

そう菜生は告げるのだった。

 

「でもそんなにうまくいくかな?」

 

「当たって砕けろさ。大丈夫大丈夫いざとなったらわた……」

 

「わた…?」

 

「何でもない!なんでもないよ!!」

 

歩夢に思わず『私とコスモスで何とかする』そう言いそうになってしまうのをなんとか飲み込むと、今度は慌ててごまかす羽目になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、SRCによってムードンをトンネル外に誘い出すための作戦を行うべく準備が推し進められていた。

 

「お姉ちゃん…」

 

予定より4日も変えるのが伸びてしまい、家に帰れないこと。何より姉に会えないことが辛かった。

 

いくら危険性は無いと考えられているとはいえ、ずっと自分たちの近くに怪獣がいる生活を強いられているのだ。身の危険も感じないはずがない。

 

そんな彼女の不安は、一緒に今ここにいる全員が抱えているものだ。誰も口にすることはなかったし、万一口にしたとしても誰かに聞かれることはないようにしていた。

 

だけどそんな不安を一刻も早くなくそうと尽力する人々の手で、事態は最悪の方向へと進むとはこの時は誰も―コスモスだって、予想してなかったんだ。




重ねて言いますマジでごめんなさい。
最近PCを買い替えてAPEXをPC版で新しく始めたりウマ娘を育てたりしてました…。次回はなるべく早めに更新いたします。
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